なければつくればいいと思っている人が、パリの空の下でアジを干した話
「なければつくればいいのよ」の精神とは、なかなか日本の食材が入手しにくい環境で生活を送るうえで私の基本のキたる心構えであり、なかなかにサバイバルな現状において心身ともに生きながらえるための生存戦略でもある。
つい最近、noteから「300記事になりましたオメデトウパチパチ」とメッセージが来た。300!?始めた当初は三日坊主以上続けばいいかと思っていたので、100倍である。口座のお金も100倍になってくれないかなと切に願う。
300本も記事があれば自明なことだが、少し前から、作ったものがあまりにも自分でちゃんと区分け出来ていないことがストレスになっていた。そのせいで書いた本人のくせに「あれ、いつどこで書いたっけ?」と大混乱をきたしているような状況。
こりゃいかんということで、網羅できてない気もするけど、マガジン化なるものを積極的にしてみた。「なければつくればいいのよ」系の記事も、「なければ代用すればいいのよ」記事に合わせマガジンでシリーズ化してみてたところ、今日時点で30件ちかく積み重なっていることに気づく。ほー、ようやるよ、まったく。
大体は私が望郷の念とその時の気分と思いつきで作ってきたものなのだけれど、ざっと見すると、漬けたり干したりという調理法が多いなということに気づく。
漬けて干した結果が漬物に干物だ。酒のつまみにもご飯のお供にもなる、素晴らしい日本の食文化から産まれたものたち。
料理の場合は、最初にがっちり文法から固めた語学と違い、もっぱら幼少時からの経験や感覚から入っているので、ちゃんと料理の科学(化学?)的なことを知っていればきっともっと楽しいのにな・・・という場面に遭遇することもちらほら。なのでたまに、noteでお知り合いになったプロや元プロや私同様酔狂系の方々からいただくアドバイスやコメントがうれしくて仕方ない。
とまあ、ここからは脈絡ゼロの展開になるのだが、昨日、どっと疲れた案件をひとつ済ませて小一時間放心したあと、恒例の「マジで俺KKもれ5秒前アピール🐶💩」が始まったので、とりあえず近所のマルシェ方面に散歩にいった。
そこで出会ったのが、この方。
Chinchard(アジ)である。
ああこれは、去年、Otto氏がまったくもって手をつけなかった豆アジの南蛮漬けを思い出す。
このとき豆アジを買ったのと同じお店で普通に大きいアジが並んでいた。
肉より魚。東京汐留サラリーヌオッサンヌ時代、外ランチといえば好んで焼魚定食をチョイスしていた私の血が騒ぐ。
ちょ、これ、アジの開き、できちゃうんじゃないの?
ビビビっとシナプスから電流が走った私。イカソーメンにイカの一夜干しに、エイヒレに。おさかな系の仲間たちをベランダなしのパリのアパルトマンで干す試みは、かつて何度かチャレンジしている。アジだって、できるに違いない!
ただし、大事なのは干す時間だ。エイヒレのように匂いもきつく干すのも数日かかるものだと、匂いにうるさいOtto氏から集中砲火を浴びる恐れが非常に高い。
干し時間ってどれくらいなんだろう?とサクッと検索してみると、こちらの主婦A子さんという方のページが一番上にヒットした。
どうやらアジの干物に関しては、4時間から7時間干すだけでいいらしい。ってことはだよ、今(AM11時)から帰って開いて干せば、Otto氏が帰ってくるまでに干からびるはず!!
よっしゃーとガッツポーズを軽くキメながら、中くらいの大きさのものをとりあえず1匹購入してみた。ちなみにキロ単価はサバ並みにお買い得で、キロ10ユーロいかないくらい。
買ってきてから、速攻で開きましたとも。ごーかーいーちょーうーー!
小さめサイズを選んでも結構ご立派なアジ。開く過程は、イカの内臓なんてかわいいもんだってくらいあまりにグロいので、自粛。
10%の食塩水に漬けて、しばし放置する。「ヘイシリ」からの30分後にタイマーよろしくしたら、その間に私はランチ。前日のあまりのトマトソースパスタをかきこむ。
30分ちょっと後。塩が入ると目が白濁してくるらしい。すまんのう、これが食物連鎖というやつなんや。
ザルにあげたら、林家のペーパータオルさんで両面、水気をちゃーんととろな。
あとは、窓際で優雅にひなたぼっこしてください。
表面がちょい乾いてきたかなと思ったら、ひっくり返す。
アジ様のひなたぼっこ中、私が何をやっていたかはまったく記憶にございませんのだけど、PC作業をしながらふと窓際をみるとなんだかエモい光景。
私はどこ?花の都と呼ばれるここは巴里よ。
現在19時以降外出NGなので、19時前後に仕事から帰宅するOtto氏。帰宅前に洗濯物じゃなかったアジ様をきちんと取り込んで、ラップをして冷蔵庫でお休みいただきつつ、部屋は全力で換気。これで完全証拠隠滅完了。翌日のランチが楽しみで仕方ないククク。
日付変わりまして翌日、つまり本日。
朝から焼きアジ定食のことで頭はいっぱいだった。
金曜日も近所でマルシェが立つのだが、大根おろし用にちっちゃい大根っぽいのを買って、よおーし準備万端!!と思っていたところに・・・
イカがお買い得なわけで。
通常の半額くらいのキロ単価になっとる。
あれ、イカの日いつ?ん、先週終わったばっかり?
買っちゃいました〜。
こちらで600gほど。期せずしてイカまで手に入ってしまった。イカ連盟副会長としては、いつ何時たるものイカを愛でることを止めないのである。
問題は、アジ定食にどう合わせようか。
焼くのはアジとかぶるし(イカ刺しが食べたい)
煮るのは時間かかりそうだし(イカ刺しが食べたい)
揚げるのは昼間からビール飲みたくなるし(イカ刺しが食べたい)…
心の声を聞こう。生だ、刺身だ。
とにかく念入りに洗って、1匹の胴体部分をイカ刺しにした。
当たりませんように・・・🙏
(ちなみにご立派なイカ様の片割れ、金曜でお肉を食べない日なので、夕食の素材としてもちょうどいい。これまたいいアイデアをnoteから頂いて作ったので、これはまた、次回のお話にて。)
すっかりイカ刺しに夢中になっているけど、本日の主役はアジの開き。魚焼きグリルなんてものはないので、オーブンで焼きますよ。
見た目、実家の朝ごはんに出てくるアジの開きと同じだ。
こうして、満を持してユイじょり風焼き魚定食の完成でーす。
白米に、玉ねぎとわかめのお味噌汁、自家製(なんちゃって)野沢菜、イカ刺し、アジの開き。
別名、望郷の念の権化メシとでも名付けようか。
結局ビール飲んでるがな・・・って、今週疲れたのでお許しを。
いやのはや、アジ、ふっつーに、アジですから!!思わず実家の朝ごはんすぎて笑ってしまった。最高じゃないのこれ。
イカ刺しはするっとちゅるっと飲んだ。今は亡き祖母の朝ごはんの定番😭
全て綺麗に完食。定期的に欲しい定食だ。
花の都パリのキラキラなイメージとは程遠い魚臭い話で恐縮しつつ、今後も「なければつくればいいのよ」スピリッツを武器に、異国の土地でサバイバルしていこうと思う。
本日の俺っち🐶
恒例の、未知との遭遇。
俺のほうがおめめおっきんだもんね〜!!👁
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