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仏版ビーフシチュー、ブフ・ブルギニョンを食べ尽くす3日間

最近ようやく、室内の暖房がついたパリの自宅。安堵きわまりない。

もちろん建物にもよるが、パリのアパートはセントラルヒーティングが割と多いので、大元のスイッチさえONになれば室内はぽかぽか。外は死ぬほど寒くても、家のなかはTシャツでもへっちゃらだったりする。

東京の家のほうがよほど底冷えして寒く、帰宅してすぐにIHヒーターを速攻つけてすぐにお風呂のお湯を張って温まっていたものだ。現在の家はシャワーだけでバスタブがないので、芯から温まることはできないのだけども。

こう寒くなってくると、流れてくる脳内BGMの定番は、「おーうちーへかえーろうーシチューをつくーろうー♪」。クリームシチューにビーフシチュー。年がら年中食べられるけれど、やはり旬は秋冬だと思う。そんなビーフシチューのフランス版が、今日のテーマ、ブフ・ブルギニョン。

そういえばすでに、日本のパリではすでにブフ・ブルギニョン開きをしている方がいた。さすが、相変わらずの時代を先取りで私は後追い。出待ちしようかなそのうち。

Bœuf bourguignonは直訳すると「牛肉のブルゴーニュ風」

ブルゴーニュ地方といえば、言わずと知れたフランスワインの名産地。かれこれ3、4回くらい行った。というかワイン好きの方々に連れて行ってもらったことがあるが、大体ワインに溺れていた。むしろ溺れに行っていたというほうが正しいかもしれない。

普段、1本3ユーロ台のワインとか普通に飲んでる自分が恥ずかしくなるほどワインは感動的だし、「酒がうまけりゃ食べ物もうまい」。美味しいものもたくさんなので、またそのうち旅と食コーナーで書きたいと思う。

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この辺りのワイン畑はcôte d’or(コート・ドール) 黄金の丘と呼ばれる

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かの有名な高級ワイン、ロマネ・コンティの畑の前の十字架


さて、このブフ・ブルギニョン。巷にあふれる日仏のレシピを眺めてみると、実に千差万別。牛肉をマリネして一晩置くものもあればそうでなかったり。ラルドン(ベーコンみたいなもの)を入れるものもあればそうでなかったり。

私の一番の悩みどころは、「マリネした野菜を具として残すか、はたまたあくまでダシ用にするか」問題。煮込む寸前まで悩みに悩んだが、今回は具要員として立派なシャンピニオン・ド・パリ(平たくいうとマッシュルーム)とペコロス(これまた平たくいうとちっちゃな玉ねぎ)を仕入れていたので、煮込みまくってトロトロにしてダシに専念いただくことにした。

煮込みは大体適当でどうにかなる(と思っている)ので、我流でちゃちゃっと進めよう。

まずは、前日の夜から牛肉をマリネ。スーパーで売ってるお買い得な煮込み・ブルギニョン用600グラム、セロリ、玉ねぎ、にんじん、ローリエ。あと写真に写ってないけどにんにく1かけ、タイム2束くらい。

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肉を適当な大きさに切って、野菜はそれぞれ薄切りに。

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ボウルに肉を入れて、野菜などを上から被せて、赤ワインを肉がつかるくらいまでとぼとぼ注ぐ。赤ワインもブルゴーニュで揃えようみたいなのは無視で、飲みかけのボルドーの安いやつ。

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ラップをして、冷蔵庫にいれて一晩お休みいただく。

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翌日、天気は相変わらず悪いので絶好の煮込み日和。まず、マリネ液をこして、肉と野菜とハーブとマリネ液に分ける。

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肝心なところでボケる私のこの詰めの甘さよ。。

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ココット鍋(今回はストウブのオーバル)にバターを引いて、まずは肉に焦げ目がつくまで炒めて、全面に焦げ目がついたらバットに取り出す。

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マリネにつかった野菜を入れて、小麦粉をスプーン2杯くらいふりかけて炒める。

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野菜に火が通ったような気がしたら、バットに取っておいた肉を入れて、

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フォン・ド・ヴォーを400mlくらいと、

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マリネ液という名の赤ワインをいれ、

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ハーブ類も入れて蓋をし、アクを取りながら2〜3時間くらいひたすら煮込む。

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煮込み後、肉を取り出し、スープを濾す。これでもかというほどぎゅうぎゅうして、野菜たちからエキスを抽出。

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だいぶ引き締まった肉およびいろんなエキスが混ざり合ったスープの完成。これをまたココットにうつす。

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ここでさらに味に深みを出すため、ラルドン(Lardon、ベーコンぽいやつ)を1パック100gくらい、フライパンで炒める。

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カリッと炒めたら、先ほど肉とスープをうつしておいたココットにラルドンのみを加えて、さらに適当な時間煮込む。オーブンに入れてもよい、というかうちはコンロ一口しかないのでオーブンへ直行。

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具の準備をする。ペコロスは皮をむき、シャンピニオン・ド・パリは半分に切っておく。

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バターでじっくり火を通して、キャラメリゼ。

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きのこも同様に。

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具材の完成。ちょっと焦げたけど、これで登場人物はそろった。

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盛り付け。肉を真ん中にのせて、周りに玉ねぎときのこをバランスよく並べ、上からソースをまわしかける。こちらパセリを食べないで私の皿にしれっとのせてくるであろうOtto氏用。

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パセリ大好き私用。初日はシンプルにバゲットとのみいただく。

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特別難しいことはしていないけど、時間をかけただけあって、肉はほろほろ、スープも複雑な感じで大変美味しい。気分はもはや冬。

日本ではなかなか塊ドーンで買えるお店って少なかったっけな?と思いつつ、ハナマサとかオオゼキとかで牛の硬そうな安かたまり肉が手に入れば、是非作ってみていただきたい。


さて2日目。私は夜不在だったので、Otto氏用に準備。幅広パスタを茹でて、付け合わせに。チンして食べておくれという旨を書き残して、おでかけ。

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「食べたー?」って外出中に尋ねたら、この写真だけ送られてきた。チーズ大好き星人。。

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余っていたソースと少しの肉、玉ねぎは冷蔵庫で保管して、最後3日目。オムライスのデミグラスソース的なものの位置づけで使ってみた。

フランスでデミグラオムライスが食べられる幸せよ・・・こちらは半熟ラブな私用。

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固焼き以外召し上がらない方には、両面焼きの卵をのせただけのオムライス。

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そういえば、Otto氏に「肉はどこの?」と言われて、「普通にスーパーで買ったやつで、ブルギニョン用って書いてあったよ、しかもお買い得いえーい!」って言ったら、「あーそれは捨てる部分だからだな」って。

そういう位置づけなのか、ブルギニョン。だからお買い得なのね。
腐りそうなくらい熟れた野菜のごった煮ラタトゥイユにしても捨てる部分の牛肉使いブルギニョンにしても、フードロスの観点からは素晴らしい調理法じゃないか。

600gの牛肉どの、3日間の夕食を支えてくれて、ありがとうございました!


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ロマネコンティの十字架の近影。
これ、4年前の秋なのでまだ1歳ちょっとの若ミルゥ。





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