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花も団子も◯◯も、我が家のバレンタイン

フランスでも、2月14日といえば、バレンタイン。

こちらではSaint-Valentin(サン・ヴァランタン)と呼ばれているけど、元はといえばキリスト教圏のお祝い事で、基本はカップルの日。男性から女性にお花を贈るのがまあオーソドックスな感じで、あとはちょっとしたプレゼントを贈りあってちょっと豪華なディナーを食べたりする。

私は日本にいてもフランスにいてもこういったイベントごとは大好物なのでもちろん張り切るわけだけど、Otto氏は「どうせマーケティングだろ?ふん。」と一笑に付す。キリスト教の方ですよねあなた??夫婦間で温度差がすごい。

日本のバレンタインは、「女性から男性にチョコレートの贈り物をする」とか「女子が男子に告白する」とかいう独特の発展の仕方を知ったOtto氏は、「ジャポン、イイな・・・」とかほざいていたけど、ここはアムールの国おフランス、郷に入れば郷に従いましょうねー。

まあ日本と違わずフランスでも、ショコラティエやパティスリーではバレンタイン用のハートモチーフスイーツがお目見えするし、メーカーや小売店はここぞとばかりにプロモーションをかけるし、レストランはバレンタイン用のメニューを特別に提供するし、花屋さんの前には男性たちが行列をなす。こうやって書いていると、まあ、完璧にマーケティング的イベントってのはあながち間違いではないな。


さて、我が家のバレンタイン。

単純にOtto氏を讃えたいのだけど、マーケティングだろとかなんとかブツブツ言いつつも、氏はなんだかんだで毎年お花を買ってきてくれる。

一応結婚したあとだったのだけど、私が東京でOtto氏がパリにいて、完全別居状態だった2019年のバレンタイン。

私はバレンタインだってことすら忘れて新橋と銀座の間らへんでゴリゴリ働いていたら、昼過ぎに受付から「お届けものがあります」と内線で呼び出しを受けた。ん?これは一体何事??と思って下に降りたら、衝撃的に大きな花束が私宛に。

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職場にお花が届く・・・って。
え、これって、アメリカのラブコメ映画によく出てくるやつ??

花束にくっついていた小さなメッセージカード(しかもフランス語が文字化け)で、Otto氏がパリから遠隔でオフィスに届けてくれたのが判明。
なかなかイキなサプライズをしてくれる人だなあと、いたく感動したものだ。

巨大な花束を持ってデスクに戻ってきたので同僚にはびっくりされたけど、あ、夫フランス人なので・・・とやり過ごした気がする。

その日に限って、外出で打ち合わせ@文京区からの直帰の予定だったから、ずっと花束を抱えて移動することになって、打ち合わせ先でも不思議な顔をされた。そりゃそうだ。


ちなみに昨年はこの反動もあったのか、仕事帰りに赤い薔薇3輪だった気がする。もらえるだけうれしいものだけども。今年はなんだろう?氏は当日になっても相変わらず花に関しては難色を示していたから、買い出しに出たタイミングで近所の花屋さんの開店状況を写真付きでしれっと「ご参考までに」と送り付けていた。


前置きが長くなったけど、今年もやってきましたバレンタイン。
今年は日曜日だから終日一緒なわけだ。

私は相変わらず細切れ睡眠なので、2時間毎くらいに目が覚めて、最終的に叩き起こされたのが8時半。寝起きは血液がどこにも十分に回っていないので、ゾンビのように食卓へ向かうと、Otto氏が朝食を用意してくれていた。

いただきますをしてコーヒーを飲みながらようやく脳が起きてきたところに、「ちょっとしたプレゼントがあるから目をつぶって」と。

不意をつかれて一体なんのこっちゃ?。あ、バレンタインのプレゼント!?いきなりお花??

指示通り目を閉じて、オープン許可が出たところで目に飛び込んできたものは、お花でもチョコレートでもなかった。



背筋ストレッチ用の器具。


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花より団子より健康か・・・


「ユイはいつも背中(腰)が痛いって言ってるからよかれと思って」、と。

爆笑したけど、嬉しい。すごく嬉しいから速攻、ヨガマットみたいなのを床にひいて背筋を反らせてみた。

調子にのって最初から反り傾斜がキツいやつにセットしたら痛すぎて1分ももたなかったので、最小値に変更。最小値ならかろうじて痛いようできもちいい。ひとつ言えるのは、ぽこぽこした突起が血行を促すのか、寝っ転がったあと数時間は腰のあたりが温かかった。毎日やれば腰痛消えるかな?寝っ転がるだけでいいなら続くかも。


ひとしきり笑って背中を伸ばしたら、外はマイナス1度と極寒ではあったけれどとても天気がよかったので、リクエストしてちょっくらドライブへ。

さーてここはどこでしょう?

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ヒントはこちら。フランス王って彫ってありますね。
答え合わせは後日🐶

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本当はもっとお散歩する予定だったけど、あまりに寒すぎたのですぐに引き返す。時はすでにお昼。ちょっくら夜の買い出しに出ている間に、Otto氏がお昼ご飯を用意してくれていた。

帰って速攻、「アペロですよ〜」と出てきたのが、まさかのちっさいタコさんウインナー。ここでも爆笑。しかも私の作るタコさんウインナーより可愛い。

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メインはピザを焼いてくれた。シチリアのkaorinaさんの相方様のように生地からは手作りはさすがにしないけど、ボリュームたっぷりでなかなかに美味しい。

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なぜか七味をふりかけるOtto氏。「サムライソースがないから」ですって。
お腹気になるならもうずっとこっちにしなよ!と言いかけたけど、やめた。

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朝から背中が伸びたせいかいつもよりたくさん食べた気がする。
ここまでかなり楽しませてもらったので、夜は私ががんばりましょう。



まずはデザートから。
先日ピエール・エルメの前を通りかかった時に、ピンクのハートなマカロンを作ろうと決めていた。

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ローズ&ホワイトな感じにしたいので、中のガナッシュは、某MプリPBのホワイトココナッツチョコを。このココナッツホワイト、めっちゃ甘くて歯に染みるんだけど美味しくて、日本の友人たちにもファンが多い。

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生クリームとバターでガナッシュを作って、冷蔵庫で冷やしておく。

コックは、ラデュレの分量で。
今日は天才・マカロンおじなケイチェル師匠のスイスメレンゲ製法を試してみた。

メレンゲは失敗することなく綺麗にできたと思う。

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その後の工程も無事に終えて、最後に絞り。最初小さく作っていたら、Otto氏が顔を出して「そりゃ小さすぎるだろう」とツッコミを入れてきたので、大きくしてみた。

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焼き上がり。こないだ鏡餅風マカロンを作ったときもそうだったけど、表面が割れガチなのですよねー。今日も割れがち。なんでだろう?無理くりハート型にしたからかな。マカロン師匠みたく目をつぶってても作れるようになりたい。


さて、デザートの準備は終わったので、次はメインを。
私はいつも量を作りすぎるということに最近ようやく気づいたので、今日はメインのみ。

バレンタインといえば、なぜか鴨と私の中では決まっている。パリ右岸の最愛レストラン、Le Sot L'y Laisse(ル・ソリレス)の青首鴨のオレンジソースが大好きなのだけど、それをイメージして。

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まずは付け合わせ。きのことか野菜をソテーしてもいいかなと思ったけど、今日はシンプルにじゃがいものピュレにした。茹でて裏漉ししたじゃがいもに、ひと煮立ちさせた生クリームとバターを入れて混ぜ合わせたら、飲めるじゃがいもの完成。

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キッチンにこもっている間は、独立キッチンでもない我が家なのにOtto氏の存在をすっかり忘れているわけだが、ピュレが出来上がったくらいで玄関でバタンと音がした。

何事?と思ってむかうと、そこには花束を持ったOtto氏が。

健康グッズだけかと思ったら、花もキタ〜
わーーーーーい!!


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ぼそっと、私バラよりもこの季節ならチューリップとかラナンキュラスとかが好きなんだけどな・・・って呟いたことを覚えていたのか、氏が選んだというオレンジのチューリップと白いアジサイ(冬なのに?)、あと黄色のミモザ。ミモザに関しては、花屋のお兄ちゃんが強く推奨したから仕方なく入れた的なことをいっていたけど、なかなかに元気が出る色の組み合わせである。

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いくら花より団子派でも、花をもらうとそりゃあ無条件にうれしいわけで。
これから数日は癒される。メルシー!!


ほくほく嬉しい気分で、メインの前に軽くアペロ。
世界に誇る万能つまみ柿の種と、小さすぎるといわれたマカロンコック。

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メインの鴨。オレンジソースはいつも適当だけど、今日はこんな感じでいってみよう。ビオのオレンジ(果肉と皮)、オレンジジュース用のオレンジ1個を使って生オレンジジュース、白ワイン、はちみつ、白ワインヴィネガー、バター。

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鴨肉は少し前に冷蔵庫から出して室温に戻しておき、脂身に切り込みを入れ、塩胡椒をふっておく。

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脂身部分を下にして火にかける。鴨の脂で十分なので、他の油はひかないことにしている。

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こんがり焼き目がついたら、赤み側も焼く。

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出てきた脂をスプーンですくって、肉にかけながら焼く。
やり方正しいのかは知らないけど。アロぜってやつですね。

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10分くらい焼いた後。
なんと香ばしく美味しそうな焼き上がり。

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アルミホイルにくるんでバットにのせて、暖かいところでしばしおやすみいただこう。

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その間にソース作り。フライパンに残った脂で泡泡しているところなどを除いたら、ソースの材料を加えて煮詰める。煮詰まってきたら最後にバターひとかけいれて味を整えて完成。

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ちなみにオレンジの果肉は早い段階で入れてしまうと形が崩れて跡形もなくなってしまうので、形を残したければ仕上げにさっといれるのがよいのかも(私は跡形も無くなってしくじったひと)

ソースができたら、鴨をカット。アルミホイルの肉汁はソースに投入。

いい感じのロゼ具合〜

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いつ何時もあらゆる肉に対してビアンキュイ(ウェルダン)派のOtto氏は、これだと受け付けないだろうと思って、スライスしたものをさらにバットに並べてオーブンで火を通して差し上げた。食の好みが違うのはやれやれ大変だ。

焼いたらさらに肉汁がでたので(もったいない・・・)、これもソースに加える。最終的に鴨エキスたっぷりなオレンジソースに。

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あらかじめ作っていたじゃがいものピュレを温めてもりつけ、緑にルッコラをそえたら、出来上がり。こちらOtto氏用。

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こちらは私の。ほら、オレンジの形、跡形もなくなってしまったわ。

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でも久しぶりの鴨、とてもおいしかった!
やっぱり冬はこういうのがよいな。

前菜がなかったので、一応デザート前にチーズを買っておいた。
バレンタイン仕様💌まあ結局鴨でおなかいっぱいになったから、2スライスくらいしか食べなかったけど。明日以降に持ち越し。

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甘いものは、別腹。

それはもちろん私でなく、Otto氏。

ハートのマカロンにココナッツホワイトチョコガナッシュを挟んでサーブしたら、大体食べてた。見た目イマイチだけど美味しいことは美味しいらしい。さすがのスイーツ大王なOtto氏も、マカロンは甘すぎるから全部は無理っていってふたつくらい残していたけれど。

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以上、駆け足で朝から夜まで時系列に書き殴ってみたけれど、なんだかんだで蓋を開けてみたら、朝からMORI MORIな2021年のバレンタインデーなのであった。


俺にも鴨クレ、カモーーーー!!!(赤身部分お裾分けしたよ🦆)

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