文科省が教育委員会に出した「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知を読み解いてみる①
前回は、文部科学省による最新の不登校対策(COCOLOプラン)をご紹介しました。
↓こちら↓
個人的にとても興味深い経験だったので、今回は令和元年度に文部科学省が教育委員会などに向けて出している通知を見ていきます。
↓公式ページはこちら↓
まずもって読みづらい
今回読み解くのは、令和元年10月25日に文部科学省の初等中等教育局長が教育長、都道府県知事などに宛てて出した「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」です。
…うーん、文字がいっぱい。もうちょい改行してほしい、せめて行間を広げてくれれば…と、思いますよね。
行政側からすると、解釈がブレないように、正確な表記を目指した結果の産物なのです。行政文書としてはこれがノーマルなので、前回のCOCOLOプランがいかに画期的だったかが分かります。
通知が出された背景
ちょっと一工夫、同じ画像にマーカーを引いてみます。
画像が荒くて申し訳ありませんが、タップして拡大するなりでご対応ください。
私なりにかみ砕いて解釈すると、
・平成29年2月に教育機会確保法が施行されたことを受けて、文部科学省も基本的な考え方を示したり議論をまとめました
・そのなかで、教育機会確保法が掲げていることと、文部科学省がこれまで出してきた通知の間に誤解の生じる恐れのある部分がありました
・なので、これまで出してきた通知は全部廃止して、いま出しているこの通知に一本化します
・皆さん(教育委員会など)も研修などを通じて、現場の先生方が教育機会確保法の理解を深めるよう協力してくださいね
法律が施行されてから2年半経っても、その理念がなかなか現場に浸透しない。そんな現状に対して文部科学省が「よーし!これまでの考え方は一旦リセット!不登校の子どもに対してはこの通知が唯一ですよー!!」と言っている。
私にはそんな風に読み取れました。
不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方
次は、支援に対する基本的な考え方についてです。
ちょっと見づらいかもですが、黄色部分を読んでみてください。
私なりに魔翻訳するとこうなります。
・目標は「学校に登校する」ことではなく、子どもが自分で進路を決めて社会的に自立すること
・不登校は子どもにとって、休養や自分を見つめ直すなど積極的な意味を持つ
・学校だけで抱え込むのではなく、家庭や関係機関と連携し、その子に応じたきめ細やかな支援を行うこと
・本人が希望するならば、不登校特例校やフリースクールなど様々な関係機関を活用すること
・民間施設やNPOと積極的に連携し、協力・補完しあうことが大切
めちゃくちゃいいこと書いてます。
不登校についてのリスクや学校の在り方にも言及
一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益があること、社会的な孤立につながるリスクがあることにも触れています。
そのうえで、学校教育は子どもの能力を伸ばし、社会的自立を目指すという大きな役割があるので、より一層充実させる必要があるとも言っています。
これも、その通りだよなーと思います。
我が家の子どもたちは、たまたま学校が合わずにホームスクールを選んでいますが、学校が楽しくて通っている子どももいるわけです。
同時に、学校がしんどいなーと思いながら通っている子もいる。
学校教育がもっと多様になり、子どもがありのままで成長できる場になればそれが一番でしょう。
素晴らしい理念があるのだから、現実を近づければいい
文部科学省が掲げている理念と現場対応の差にぶつかり、モヤモヤを抱えている方もいらっしゃると思います。
でも、この理念があるということを知るだけで、学校とのやりとりがしやすくなるのではないでしょうか。
なお、今回ご紹介した解釈は、私というフィルターを通しました。
分かりやすさを重視した結果、零れ落ちてしまった部分も多々あります。
文部科学省の公式発表は、下記通知の通りなのでご留意ください。
↓通知原文はこちら↓
続きはこちらです
関連記事
ホームスクールと行政手続きについてまとめた記事もあります。
↓こちら↓
「不登校」や「ホームスクーリング」など様々なテーマで連載をしているため、全体をまとめたページを作っています。
↓こちら↓
この記事が「いいな」と感じたら下の♡を押していただけると励みになりますし、他の方に届きやすくなるのでとても嬉しいです。
さらにフォローボタンも押していただければ、新しい記事が更新されるたびにお知らせが届きます。