母の短歌4:光る波(は)ざまに時は流れる
触れもせず 見ることもなし
キラキラと 光る波ざまに
時は流れる
七十路の山のぼりてふりむく
ふもとには 菜の花畑に
遊ぶわれ見ゆ
三歩進み二歩後退の
ちんどんやの鐘のきこゆる
わが人生
万を越す 日々を棹し
今日に着く 欠けたる一日も
なきが命か
秒針の 動きはいたく
我を打つ この回転の上に
我儘はなしと
(木下タカ作)
(木下タカの短歌作品14点は、長野ゆうほ著「地球自転の音のない音」の短編小説の中に組み込まれてあります。)
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