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【日本一周 九州編1】 そうだ、九州に行こう

・出発準備

 九州旅行の最初の鬼門は、旅程を立てることだった。今回の旅行は、経済的制約と、時間的制約と、効率面を加味した結果、8泊9日かけて、九州地方を反時計回りに移動するスケジュールに決定した。今回で、沖縄を除く九州全県を、一気見してやろうという算段だ。

 今回は2人旅ということで、レンタカーも宿も2人で割り勘しないといけない。レンタカーに関しては、お得意の優待券を底値で大量に仕入れておいたから、やれることはやった。あとは、宿代を究極まで節約することを意識して旅程を考えた。

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毎回こういう感じで旅程を立てている

 反時計回りの動線を考えるうえでは、長崎県の処理に頭を悩ませた。あのチリチリした土地を、3か所以上の観光スポットを訪れつつ、きれいな一本線を描いて周るには、どうすればいいのやら。これを考えるだけで、小1時間費やした。最終的には、たゆまぬリサーチのすえに、島原港と熊本港を結ぶフェリーを見つけ、それを利用することで決着がついた。そうこうして、九州地方を踏破するうえでの基盤が整った。


・いざ九州大陸へ

 成田空港と福岡空港を結ぶLCCを利用して九州に上陸する。最寄り駅から成田空港までの電車移動は、片道3時間弱の苦行だ。さっさと入眠してしまわないと、後々つらい目を見る気がしたから、最初に明石と多少の雑談を交わした後は、早々にradikoを起動して、三四郎のANN0を子守歌に眠りにつくことにした。が、思いのほかトークが面白いこと、面白いこと。これでは全然眠れない。そこで、藤井風さんのお力に頼って、無事、成田まで運んでもらった。

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 機内では、岡本太郎の『青春ピカソ』を読んで、優雅な空の旅を叶えようと思っていたが、いざ搭乗すると、空気がこもった迫っ苦しい機内で、活字と相対するモチベーションなど湧くはずもなかった。おまけに、一応の一応で、本をめくってみたのだが、この作品は、芸術を通じた精神論を唱える『今日の芸術』とは打って変わって、自伝的文調で進行するため、グサっと心に刺さるフレーズがあまりなく、今の状況で読むには、固くて重い内容だった。そのため、数ページ、字面に視線を滑らせているうちに、視線は本から滑落し、深淵に飲み込まれ、まもなくの到着を告げる機長のアナウンスで、ようやく意識を取り戻したのだった。

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狭いぜ!

尾道

・LCCの客

 福岡空港まではいつも通りLCCを選択したため、東京から成田空港までの長―い京成線タイムを過ごすことになる。この京成線の往復運賃を加味してもなお、羽田発のANAやJALの方が高いのだから詮方ない。


 また、大体において最寄り駅の始発で間に合う最速の便を選択するため、京成線タイムは往々にして眠い。イヤフォンで外界を遮断し、日暮里から成田空港まで休むことなく舟を漕いでいた岡に何を聴いていたのか尋ねると、「藤井風だよ。彼の歌は眠りやすくていいね」とこたえた。褒めているのかけなしているのかわからんなぁ。


 ガバガバの計量と厳密な液体検査をくぐりぬけてロビーに辿りついた。搭乗時間までは余裕があると思いきや、飛行機まではバスでの送迎だったため思ったよりもかつかつだった。

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空港のそそる一風景

 飛行機までのバス移動もLCCあるあるのひとつだが、僕はそんなに嫌いではない。移動中の車窓から、機体の下に潜り込む整備士や、特殊な車両で移動する作業員を見ることができる。街とは異なる規則のなかで働く人々は、月面基地で活動する宇宙飛行士のようで格好よい。この風景を挟むことで、これからはじまる旅が前途洋々なものに思えてくるのだ。

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 機内で読むために、サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」を持ってきた。鮮明に描き出された主観と会話によって、子供の高飛車とも、ある意味達観しているともとれるイノセンスが大人の心に波紋をきたすさまが綴られていた。ただ、ひとつ困ったのはとなりの男子大学生がそれはもううるさかったこと。同じグループの人とは離れた座席になってしまったらしいのだが、それならば大人しく福岡に思いを馳せていればいいものを、何列かまたいでの会話を幾度となく試みていたのだ。ずっと成立するならまだしも、何度か失敗して無視されてしまうこともあって、二重の意味で見ていられなかった。

明石

・メンバー
明石、尾道

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