TOMOHIRO yuhaku NAKAGAKI - ユハクと友博 -

『命を頂く』感謝を形に。 その敬意は世界一美しい革製品を作り上げました。 人々に寄り…

TOMOHIRO yuhaku NAKAGAKI - ユハクと友博 -

『命を頂く』感謝を形に。 その敬意は世界一美しい革製品を作り上げました。 人々に寄り添う美を生み出すことを目指し、手染めの革製品ブランド「yuhaku(ユハク)」を立ち上げ14年。 代表として経営とデザインをしています。ものづくりのこだわりから経営への理念などを書き綴ります。

最近の記事

創作に対する妄想力(その5)

第5章 花ひらく妄想力 以上がデザインの全て……と、思われるかもしれませんが最後にもう一つ、欠かせない要素があります。 それが、製造工程を知りどのように作るかまでイメージすること。 デザインをするということはモノを作るということです。実際に作る工程を分かっていると製造現場とも非常に現実的な会話ができます。今は製作現場が動画で見られる時代なので、自動車製造から伝統工芸まで幅広く見ています。分野が違う現場は面白いですし、非常に為になる情報がたくさん潜んでいます。 よく目にする

    • 創作に対する妄想力(その4)

      第4章 1日100デザイン たくさんインプットし終えたら、いよいよアウトプットの時間です。 この段階で、ようやく実際にデザインをする対象物の画像や実物を研究します。これまでに詰め込んできたたくさんのデザインと対象物を頭の中で掛け合わせることで、さまざまなデザインが浮かんでくるでしょう。 建築物のシルエットとバッグを掛け合わせて……、虫のディティールとシューズを掛け合わせて……、車の流線形のラインと財布を掛け合わせて…etc. 1章で触れたペルソナを思い浮かべながら「モノに溢

      • 創作に対する妄想力(その3)

        調理法を知る 申し訳ないことに、更新が予定より大幅に遅れてしまいましたが、 前章では実物と妄想のギャップを楽しみながらデザイン力を磨くというお話をしましたが、インプットの過程では実物と対峙することが重要な対象もあります。それが、「色」と「素材」です。 yuhakuの「色」を生み出す際には、絵画や風景からインスピレーションを受けています。 絵画を鑑賞することによって生まれる心象風景の彩りは、新たな発想につながります。絵画には質感があり、その質感が臨場感を生み、作家の性格や

        • 創作に対する妄想力(その2)

          第2章 妄想力を磨く デザインソースに触れて、その秘訣を分析できるようになった次にはネットで素敵な商品の画像や建築物を見て、「実物はもっとスゴイんじゃないのか?」と、思い切り妄想を膨らませてみましょう。実物を見てしまうとそこで想像力が止まってしまいますが、未知に期待する妄想の世界は無限です。 「きっとこんな風に出来ていて、素材も素晴らしいものを使っているんだろう」と期待と妄想が十分に膨らんだら、次の段階で実物を見て触り、自分の妄想の産物と対決させます。 最初の段階では、

        創作に対する妄想力(その5)

          創作に対する妄想力(その1)

          はじめに 2020年から不定期に続けてきたこのブログですが、投稿4年目ともなると少々ネタに困ってきて先日、「読んでみたいテーマ」で社内アンケートを募りました。 すると、創作に対するアイデアの生み出し方、ガレージ時代から今までのヒストリー、やる気の出し方……などなどのテーマが挙がりました。 最も要望が多かったのは「創作に対するアイデアの生み出し方」。 自分が長年やってきたことだけあり、書いているうちにどんどん筆が捗っていき、気がつけばかなりの長編になりました。 そこで今回

          創作に対する妄想力(その1)

          「色」ってなんじゃろ?

          普段から「なんでだろう?」に出会うと調べなくては気が済まない性格の自分。 染色レザーブランドのオーナーとして強い興味関心を持つ「色」や「美しさ」を感じる科学的なメカニズムについてもこれまでにさまざまな知識を得てきました。 そこで今回は、私たちの日常に溢れる「色」にまつわる不思議な世界をご紹介したいと思います。 そもそも「色」というのはどのようなものでしょう? 「色」が存在するためには、「光」と「視覚」の二つの要素が最低限必要な条件となります。 また、「色」は大きく分けると

          世界的材料不足と価格高騰は革業界には関係ない??

          新型コロナウイルスの蔓延、世界情勢の変動による物価の高騰、円安…… こうした世の中の動向を受けて、モノ作りの現場は今、大きく影響を受け、さまざまな困難に見舞われています。 たとえば、私たちの社会に大きな影響を与えている半導体。電力の制御を主機能としており、コンピューターや電波を必要とするパソコン、スマートフォン、エアコン、炊飯器、テレビ、洗濯機など、身の回りにあるものに多数使われています。数年ほど前から深刻な材料不足と高騰化が取り沙汰されていましたが、なぜ、世界的な不足

          世界的材料不足と価格高騰は革業界には関係ない??

          やはりyuhakuも値上げですか?

          日用品から嗜好品に至るまで、もうどうしようもないほどの値上げが続いています。原材料の世界的な高騰、ロシアとウクライナの衝突、コロナの拡大、そして急速に進む円安など、さまざまな要因が絡み合い、幅広い業界へ影響を与えています。それはもちろん、皮革産業も例外ではありません。 今年に入り革の単価が10%から倍近くに上がるものまであり、製品に使用するためのパーツも軒並み高騰しています。これを真正面から受け止めると弊社も値上げせざるを得ない状況です。 元々、yuhakuの製品は決して

          やはりyuhakuも値上げですか?

          IMAGINE

          最近はオンライン形式のセミナーも多く目にするようになり、世の中には数多くのセミナーがあります。その中でも『本当によかった!』と、心から思えるセミナーは何気に少ないなと思います。 もちろん、受けた直後は意識が上がりますが、時間が経つにつれて次第に下がっていってしまう。人間の構造上仕方のないことですが、せっかくなら受けた直後の良い状態をキープできたらなと思います。 と、思っていた自分ですが、先日受けてきたセミナー『アクティブ・ブレイン』は一味も二味も違いました。 アクティ

          お店を出店するということ

          インターネットでモノを買うことが当たり前になってから、随分と経ちました。コロナ禍になってからはオンラインショップを立ち上げる企業もますます増えています。それでも、現実の地域にお店を出すことには、オンラインショップには代えられない魅力があります。 出店の際に考える基準として無視してはいけないのがまず数字です。街の経済規模やオンラインショップでの都道府県別購入金額などを加味しながら、ブランドの需要のある地域を見定めます。しっかりと利用していただける店舗にして利益を出さなければ、

          お店を出店するということ

          コスト意識と働く意識(その2)

          前回、売上に直接つながる部署の定量的な成果の求め方を述べましたが、企画、MD、広報、人事、経理などの部署は?という質問が来たため、お答えしていきます。 まずは、企画。自分が関わった商品の年間売上をベースに考え、 「年間売上 x 5%~10%」を自身の生み出した利益と考えます。 具体的には、商品企画の場合、弊社のように定番的に3年以上継続し販売していく会社であれば、着任してから2.3年は10%、5年以降は5%程度と考えて下さい。 大量に生産しシーズンごとに商品の入れ替えのあ

          コスト意識と働く意識(その2)

          コスト意識と働く意識(その1)

          「人」は、企業にとってなくてはならない、大切な財産です。 近年、デジタル技術が発展し、働き方が多様化する中で労働の価値も変化しつつあります。 機械化を推し進めた先で、「人」の仕事はあるのか?と、いう議論もしばしばされてきていますよね。 しかし、世の中には人にしかできない志事が数多くあります。 yuhakuの製品作りもその一つなのです。 経験と感性によって生み出される製品は、機械には再現できない美しさと味わいがあるものです。そのような「人ならではの仕事」は、弊社以外に

          コスト意識と働く意識(その1)

          アートへの想い 、yuhakuとアート(後編)

          前回に続きアートへの想いを綴らせていただきます。 銀座7丁目に位置する、和とアートをコンセプトとしたカーギャラリー「G735 gallery」 ラグジュアリーな高級車が、ゆったりと佇む洗練された空間。 まさに、贅沢の極みとも呼べるギャラリーです。 現在こちらで、yuhakuのアイテム、そしてTomohiro Nakagakiとしてのアート作品を展示しております。 インターネットもない少年時代、福井県の田舎に住む自分にとってアートといえば美術の授業と美術館の中だけの世界で

          アートへの想い 、yuhakuとアート(後編)

          アートへの想い 、yuhakuとアート(前編)

          ブランドオーナーとして独立したころ「世界のメゾンと対等に渡り合えるブランドに!!」という野望を抱いていました。この野望は今でも変わっていませんが、もうひとつ、同じくらい強い気持ちで抱いていた野望があります。 それが、「自分の力でアートを!!」というものでした。 時を遡り、アートに心を奪われて大学を中退した頃。 独学での作品作りに没頭する自分に最初の壁として立ちはだかったのが、資金でした。 画材と出展費用をまかなうにはバイト代だけでは厳しく、シューズブランドに就職。 仕事で

          アートへの想い 、yuhakuとアート(前編)

          社内から生まれた新しい芽(その1)

          自分の毎月の仕事の一つに、社内限定公開のYoutube動画作成があります。 コロナによって集まりづらい環境の中、少しでも社員との接点を、と考え、始めました。 先日、その動画の中で商品企画から社内改善まで様々なアイデアを募集をしました。 どんなアイデアでも、会社を良くしようという意思があればOK! 拙くても、思いつきでも、「とにかくたくさん」をお題に募集しました。 自分のポケットマネーから報奨金も付けたところ、50を超えるアイデアが集まりました。 全てを取り上げることは難しい

          社内から生まれた新しい芽(その1)

          地球に『ごめんなさい。』

          『yuhakuのサスティナブルプロジェクト』  命への敬意を込めて、最上級のものづくりをする。  そんな⾃負を持って、⾼い基準を設けてきたyuhakuのプロダクト。  しかし、どれだけ細⼼の注意を払っても、  基準をクリアしない製品が⽣まれてしまうのも、事実でした。  今も倉庫で眠る、多くの製品たち。  そのストックは、年々増え続けています。  使われてこその価値。循環してこそのものづくり。  そして何よりも、ものとしての”命”を全うしてもらいたい。  眠ってしまったも

          地球に『ごめんなさい。』