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「色」ってなんじゃろ?

普段から「なんでだろう?」に出会うと調べなくては気が済まない性格の自分。
染色レザーブランドのオーナーとして強い興味関心を持つ「色」や「美しさ」を感じる科学的なメカニズムについてもこれまでにさまざまな知識を得てきました。

そこで今回は、私たちの日常に溢れる「色」にまつわる不思議な世界をご紹介したいと思います。

そもそも「色」というのはどのようなものでしょう?
「色」が存在するためには、「光」と「視覚」の二つの要素が最低限必要な条件となります。
また、「色」は大きく分けると2つあります。
 
「光源色」:光源そのものが発する色
「物体色」:光源から光を受けた物体の表面からの反射によって発する色や、光源からの光が半透明物体を透過した際に生ずる色
 
「光源色」とは、光源そのものが発する色のことです。
光に色があると言われてもなかなかピンと来ないかもしれませんが、TVやスマホのモニターを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。また、「光の三原色」という単語を聞いた覚えがある人もいるかもしれませんが、光の色は絵の具などとは異なる性質を持っていて、赤と緑の光が混ざると黄、緑と青が混ざると空色、青と赤が混ざると赤紫、赤緑青すべてが混ざると白になる……と、いう風に、「赤」「緑」「青」の3つの原色の交わり方でさまざまな色が生まれ、混ぜるほどに明るくなる特徴があります。

次に、「物体色」とは。
私たちの身の回りの物は色で溢れていますが、実は物体そのものには色が無く、光源から発せられる光の反射度合いにより色を感じ取っていると考えられています。つまり、葉っぱの色が緑に見えたり、桜の色が淡いピンクに見えるのは、それらの物体を反射する光の色を見ているのです。また、白は全ての光を跳ね返し、黒は全ての光を吸収する特性があります。

ちなみに「海」の色「水」の色は何色ですか?
と、質問をされると「海」は「青」だけど、「水」は「透明?」と少し疑問を感じると思います。
一見青く見える海ですが、青い色の付いた水ではないことはみなさんご存知かと思います。水は、太陽の持つ赤い光を少し吸収するため、深い海では多くの水があることより、より多くの赤い光を吸収するため、より青く見えるというわけです。また、透明度の高い水では砂浜の色も影響するため、白い砂浜では鮮やかに、茶色っぽい砂浜や黒い岩場では沈んだ色に見えます。
 
物体の色も、実は表面のみ光が透過し自分たちの目に入ってきているものが多いのですが、この透過の仕組みを利用してうまくコントロールして色づくりをしている分野があります。
例えば、車の塗装。仕上げる色によって下地の色を使い分けることで、目に入る色の印象を変えています。
鮮やかに見せる際には、白の下地。くすんだ色に仕上げる際にはグレーの下地が使われたりします。
こうした色の見え方はyuhakuの色作りにおいても重要なポイントになります。
顔料のように不透明な色でも人の目に影響するのですから、透過性の高い染料となれば本当に大きく影響を与えます。そのためyuhakuでは、青には水色、赤には黄色、ワインには焦げ茶の下地を作ることで、発色良くかつ深みのある色を生み出しています。


さらに、yuhakuの色作りではもう一つ興味深い特性を利用しています。
光には「赤外線」「紫外線」「可視光性」の3種類の電磁波があり、それぞれの波長によって異なる色が存在します。
人が認識できる範囲は「可視光線」と呼ばれる帯域の光であり、可視光線の放つ周波数が長くなるにつれて紫、青、緑、黄、橙、赤と、感じる色が変わります。虹色とも表現される七色ですが、面白いことに弊社で使用している染料の対光性の強さはこの並びと一致するのです。つまり、紫や青などの周波数の短い寒色系は耐光性が弱く、赤や橙などの暖色系は耐光性が高いのです。この法則と革自体の色の変化を組み合わせることで、経年変化を予測し、染色しています。
 
さて、これらは全て、「3色型色覚」に分類される人の視覚を元にした色の見え方ですが、最後に、動物はどのように色を認識しているのでしょうか。
動物には「3色型」の他にも「2色型」「4色型」……と、さまざまな色覚タイプがあり、その発達には活動時間帯、主食、生活環境が影響していると考えられています。人間はりんごを赤色と認識しますが、2色型色覚の猫は赤色を見分けられないため、りんごを緑色と認識しているそうです。これは猫が夜行性主体の生活を送ってきたため嗅覚や聴覚は鋭く進化してきたものの、夜間の環境下においては色覚は2色までで十分だったからだと考えられています。
 
ひとことで「色」と言っても、実はとても奥深い世界が、視覚する生き物の数だけ広がっているのです。
 
例えば、地球とは全く異なる環境で育ってきた宇宙人の視覚は、このいずれにも当てはまらない可能性があります。
そのため、宇宙人と色について会話する際には光の周波数でないと通じない……なんてこともあるかもしれません。
 
そのような日に備えて、今からその練習をしておこうと思います(笑)

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