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サウナの持つコミュニティ性について考える

こんにちは。
最近サウナ後に入る露天壺湯で溶けるように果てるのが趣味のUtoです。

私はサウナが好きでほぼ毎日サウナに行く日々を過ごしています。

お陰様で地元のみならず、地元周辺の地域にも行動範囲は広がり、普段は中々行かないよな地域にもサウナのために散策することで、閑静な住宅街の真ん中にある銭湯や健康センターに行く機会も増えました。

都内にある有名サウナ施設や温浴施設とは一味違うサウナを中心とした地域コミニティを覗くことも増え、サウナを中心に社会を学んでいる毎日です。

私はローカルな温浴施設に通い始めてから「サウナ室内の会話」について考えるきっかけとなるある体験をしました。

それは、サウナ室内での会話が不快ではなくむしろ心地よいと感じる不思議体験で、私自身「静寂」を好むタイプだったのでこの体験は感動的で自分の中に生まれた新たなサウナの一面に感動すら覚えました。

サウナの持つ社交場という一面は案外心地よく、静寂とはまた違った良さがあると自分の中で新たに発見したことでサウナに対する視界が広がったと思います。

都心部のサウナ施設やローカルでも場所によっては小声での僅かな会話ですら、

「うるさい!」
「マナー違反!」
「喋る人がいて不快だった!」
「気が散ってしまってととのえなかった!」

という非難が殺到することもあり、意外と肩身が狭いイメージがありますが、私が行くような地域密着型施設ではサウナ室内は社交場のようなもので、会話があることが多いです。


私はこの「会話」が気になる時気にならない時があることに気付きました。

本記事では私自身の体験から「サウナ室内コミュニケーション」について考察していきたいと思います。


なぜサウナ内の会話は不快に感じるのか?

「サウナ内の会話は不快感を与えるもので、サウナ室では静かにすることがマナーである!」


ルールとしてサウナ室での会話を禁止している施設を除いて、多くの場合「サウナ室での会話はマナーに反するもの」とされています。

よく張り紙には「サウナ室での大きな声での会話はおやめください」とあるように、サウナ室では少なくとも「大きな声」での会話はマナー違反となるようで、実際にサウナ室で大声を出せば分かるように意外と声が響きます。


サウナ室は密閉された空間であることと、多くの人は黙っているため会話を遮るノイズが少ないため小声での会話でも耳に入ってしまう特徴があります。

声も音であるため「あらゆる音は空気中を移動する目に見えない振動である」という特性が当てはまります。

空気中で音が伝わる速さというのは、温度が高くなればなるほど音は速く伝わりやすい特徴があります。

サウナ室は通常よりも声が耳に届きやすい可能性が考えられるため、いつも以上に「音」に敏感になっていることから声のボリュームを下げないとうるさく感じてしまうのだと思われます。


また、サウナ室内では会話をしない方が多い傾向にあります。

これはサウナ自体が個人で嗜む人が多いこともあり、そもそも会話する相手がいないことが「サウナ室=静か」という環境を作り出していると思われます。

会話がない空間では音を遮る障害が存在しません
そのため通常よりも音そのものを敏感に感じ取れる現象がサウナ室内では起こっており、僅かな音量の会話でも「うるさい!」と感じてしまうのではないかと考えられます。


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私個人の考えとして、サウナ室での会話は時と場合を選ぶべきで、他に利用者がいる場合は会話をしない方が得策であると思っています。

ただし、会話を全くしてはいけないと思っておらず、会話をする場合は声のボリュームや会話の内容、テンションの調整など気にすべき箇所は多いですが周りへの配慮があれば特別大声であるとか、そういうのでなければ問題ないとも思っています。

むしろ、静寂を好む人が少しでもうるさいと感じただけで非難する方が私は問題な気もしています。(気持ちは分かりますけどね)

サウナ室内での会話を不愉快だと感じる最大の理由は「音が通常よりも聞こえやすくなっている」という状態にあることで、逆を言えば静寂である時は「いつも以上に静寂さが心地よい」という状態になると言えます。

サウナの熱源でが人気なのは、通常時でも落ち着く音の代名詞である薪が燃える音をサウナ室内ではより敏感に感じ取れるのですから…それは心地よいはずです。

結論、サウナ室での会話がNGなのは「不快に感じる母数」が多いこと、そして小声でも音に敏感になっているため不快と感じるまでのラインが通常よりも低いことにあると考えられます。


サウナ室で会話が不快に感じる理由
・サウナ室内は通常よりも音が通りやすい空間である
・音を遮るノイズが少ないから小声でも耳に入りやすい
・サウナ浴は一人で入ることが多いから会話する人の母数が少ない


サウナには「交流の場」という一面もある

私個人の意見が強く、不快に感じる方もいるというのを重々承知で私の中にある「サウナ室内における会話」に対する回答を述べさせていただきます。

そもそも「サウナ室=静寂であるべき」という絶対的なルールは存在せず、「静寂にすること=全サウナ施設共通のマナー」ではありません。

全てのサウナ室内において会話をするという行為自体を「悪」と決めつけるのは行き過ぎた正義であると思っています。

サウナには施設ごとに色があり、先人たちが作り上げてきた環境があります。その中で「会話NG」というのが伝統的に残る場所においては会話は控えた方が紳士的ですし、会話NGを施設側が提示しているのでれば会話はしないべきです。

そして時と場合によるということも念頭におくべきで、必ずしも静寂を求める方が正しいわけではなく、また会話も全ての場所で関係なく行って良いものではないということも理解する必要があります。

つまり個人個人の倫理観が非常に重要になってくるのですが、少しの会話でも過剰になるほどサウナ室での会話というのはそれほどまで人の心を揺さぶります。ある意味とてもセンセーショナルな話題なのだということです。


ちなみに私は基本的にサウナ室は静かであることが好ましいと思っています。会話は普通に気になるタイプです。

そんなサウナ室での会話も不快に感じない時が私にはあります。

それが「地域の社交場になっているサウナ空間」でのサウナ室という条件の時です。


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「地域の社交場になっている状態」というのはどういう時なのか、それはサウナ室内にいる利用者が顔見知りの状態で、交流が生まれやすい環境にある状態を指します。

江戸時代には多く見られたと言われている共同井戸の周りで、水くみや洗濯をしながらうわさ話を楽しむ「井戸端会議」のような会話がサウナ室で自然と起こる状態の時、サウナは「交流の場」としての一面を覗かせます。

そもそもサウナはパブリックな特性を持っており、閉鎖的ではなくオープンな環境のため人の流れが流動的な場所で交流が自然と生まれやすい条件が揃っています。

アメリカの都市社会学者であるレイ・オルデンバーグ氏が提言した「自宅でも職場・学校でもない自分にとって心地よい第三の居場所」を指す「サードプレイス」と言う言葉がありますが、サウナは正にサードプレイスの条件を満たしています。

・中立的である
・平和である(平等性がある)
・会話が生まれやすい場所である
・アクセスしやすい(利便性の良さ)
・常連という存在がある
・目立たない場所にある
・バイブスの共有ができる

会話が生まれる空間として機能したサウナでは「会話が同時に多発する」状態となり、音に対する感覚が静かなサウナと違い音が多く空間に存在するため会話が逆に気にならない状態に入ります。

この不思議な感覚を味わうには、環境に対して自身で歩み寄る必要もあるため全ての人が味わえることではないと思いますが、会話の中心地となったサウナは失われつつある地域コミニティを感じることができるのと同時に、人と人の関係性について「会話が生まれる場所」の重要性を考えるきっかけになります。

サウナ発祥地のフィンランドでもサウナには「交流の場」としての機能している一面もあり、サウナをメインとした民営の公衆浴場として「パブリック・サウナ」がサードプレイスとして機能しています。

サウナでは「孤独」になれると言う性質が日本では需要があり、ストレスからの解放として「静寂」や「ひとりになれる場所」を求める傾向にあり、サウナは日頃自身の中にあるノイズから解放される場所として機能しています。

そのため「交流の場」としても機能しにくく、音に対する煩わしさが生まれやすいのではないかと思います。


サウナの持つ「交流」という一面を念頭におくことでサウナに倒する視界が広がる

物の見方を広げることは対象物の理解を広げることに繋がります。

サウナには「孤独」と「交流」という2つの相反する性質を持ち合わせており、合い入れないが故に争いの火種になることも多々あります。

サウナにはその場所その場所にあるカルチャーが根づいており、全てのサウナが共通のルール、共通のマナーがあるわけではありません。

サウナごとにあるその地域のカルチャーに適応し、交流の場では交流の場ならではの楽しみ方をすることでサウナの奥深い趣きを感じ取ることができると私は思います。

サウナに対する視野を広げ、広い視点でサウナを楽しめる。

そんなサウナライフを体現するならばぜひ一度は「交流の場」として機能しているサウナも味わってみてください。

新たな出会いが待っているかもしれませんよ。


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S.Uto
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