中野

愛及屋烏

中野

愛及屋烏

最近の記事

才賀 1

Aの消息が不明となったのは、彼の記憶が充分に改編された後である。 Aは寂れた美術館のような建物がよくお似合いだった。消え去るものに手を伸ばし続ける彼のような人物にとって、Aの発する気というモノはまさしく好都合であった。だからこそ、全てが廃れた今となってもAの名は土地に儀を残す。 “因習と言ったか、事実があったとて 全てを肯定することはできまい。” “それでも確かに見たのよ。すっかり変わってしまった彼の姿を。” “あの顔付きまで変わってしまったとは。” Aの振る舞いには何

    • これ以上文章を書いたら死んでしまいそうな日がある。もしシナリヲライターだったら私は500文字何Kで契約を結ぶのだろうかと考えた時、きっと私がいつも書く量は1日あたり25万辺りなんだと計算できた。確かに外注じゃコスパが悪い。ありえない。そんな無駄をするべきではない。単位は別に関係ないからいい。 血の騰がる瞬間というとどうやってもまだあの特有の感覚を抜けられていない人という印象を受ける人も多いだろう。が、それに対する他者の評価は個人的憶測としては必要が無い。比べようがない。芸術

      • 送付先

        全部私が考えて私が産み出した。 0→1の創設者は、それなりの責任を持つべきである。だからこれでいいし、これを望む。 6月みたいな8月はまだ来ない。今では無いいつかについて。 歯を磨いてどうにか咀嚼する。消えないものとする。パノプティコンの構造を今調べるわけがない。だから。 その子のそれからは知らないから、自分で探す必要はない。その子にも時間は平等に流れていて、その子が望んだ平和はきっと違うものになってしまった。一度でいいから。きっと手を振ったら小さく振り返してくれる。だ

        • 幸福

          彼に出会ったのは鳥がまだ青い頃。 音楽の趣味が良い。言葉の選び方が上手。特別な言葉を使うわけではない。選び方が上手い。インターネットセンスが優れている。たまにその言葉の選び方に嫉妬した。 私がゲロを吐くたびにツイートにいいねする。癪だからツイートをその度に消した。 お互いの可哀想な話にはいいねをしていた。なにそれ。毎日それでよかったじゃん。 それ以外も、私のほぼ全部のツイートにいいねをくれていた。彼は気を遣わない。だからありがたかった。コンプレックスもネタだった。だから、家

          間違いなく神様だった子の話

          あの子は神様だった。 無宗教らしく信条がない私も、神様がいた。本当にアホらしい。何年か前の話だから時効としてもちょうどいい。 その子は前髪を切るタイミングをよく逃していて、鍵が開けっ放しの私の家によく家主不在の間入り浸っていた。猫背。服はアレしか見たことがない。蓄積された深い知識を持つ。嘘をつくと目が泳ぐ。笑ったときに見える犬歯が綺麗だった。纏う光が暖かい。ちゃんと地上を歩いていて、よくみんながいうこの世の人ではない雰囲気は纏っていない。でも目を離したら何処かに飛んでいっ

          間違いなく神様だった子の話

          八月になった

          実は知らないとか覚えてなかったとかって思われたら癪だから誰よりも早く君には見えない場所で紡ぐ。君にはなにをしても敵わないけれど、私にとってはそれでさえ安心材料となる。 もう少ししたら歳をとって、グラスにコーラを注ぐのも面倒になったら毛布を増やして、何を言われても顔には出さないで。 大切な日といえば。私が一喜一憂することは全く君にとって関係がない。だから普通の日。暦でも黒字だったからどうにか私の脳も諦めがついた。 女性。 おーい、透明少女になりたかったのなら髪を赤に染め

          八月になった

          故人の作品は芸術とて

          嫌いな夏。祭り。キラキラした林檎飴と騒音。飴に混ざった虫の死骸。もうすぐ終わる。文体の崩し方を教わる。真似をしたとて馬鹿の一つ覚えのような詩。 祭りで買う飴には大抵虫がいる。当たりとするかハズレとするか。取り敢えずその虫の一生を閉じるための場を買ってしまった。よくある。あんなにファンシーな夏の総称に包まれて死ぬなんて殉職もいいところ。今年は出会いたくない。業務スーパーでエビ餃子を買った。 嘘をついてごめんね。本当はその時間ゲームをするよりも映画を観たかったから一言も発せな

          故人の作品は芸術とて

          君の知らない偶像

          気付かないうちに私が変わってしまったのか、あの子の方が一歩先に進んでしまったのかという話になってくるが、他人を責めるなどもってのほかであり私自身の非を認めるべきである。 その時々の感情に合わせて動いているので大きな後悔はあの夏の日以来ない。本当はその日の予定なんてどうでもよかった。生乾きのシャツが気持ち悪かったことだけ覚えている。 だからこの選択に2分もかからなかった。ここまで自分の足を動かせるのは珍しいということはあの子が一番わかっているだろう。クーラーが無いと生きれな

          君の知らない偶像

          片手のなる音

          9月はどうあがいても吸い込まれてしまうから避けていたのに6月もこれだから。 目的が無いまま歩くとどうやってもコンクリートが歪む。だから6月は人生を変えてしまう。 普通の言葉が苦手なせいだという言い訳をしておかなければあと2年ももたない。 あと5日でこれも終わって、毛布を閉まったら

          片手のなる音

          改稿、拡張に続く

          世間体としては受け入れられないタイプの人間が書く文章である。それでもこうやって文字を紡ぐ際、少しばかり許された気になってしまう。 先週までの私は無意味という言葉を嫌う。

          改稿、拡張に続く

          捨て身の慈悲行

          産まれた時から2番手だとする。 それが近頃顕著に出ており、良き友人だと思っていた三人は今になって私に連絡をいれた。好ましいとは思えない。きっと変わってしまった。 江戸時代だったら側室として良い生活をしていたのかもしれないが、現代では傍から見たら泥水の上澄みだけを啜っているような。 それでも違和感のない暮らしはきっとこれでもどうにか成り立つ。 さて、トラウマを1つずつ乗り越えている。 もうきっと待ち合わせという概念にも総武線というアレにも前のような苦しさは感じていない。 い

          捨て身の慈悲行

          スカイフィッシュ見た

          間違いなくそこに居た

          スカイフィッシュ見た

          キネマトグラフ

          1週間で全て変わりすぎた気がするので本日執筆日。人の不幸をすするような逆に運が良かったことのほうが珍しいような人間だったのに随分幸せの上澄みを啜って生きている。ノリノリダンスタイム。 不安材料は少しだけあるけれど2日くらい前からの日常生活に支障が出るレベルの眠気と食欲のおかげで悩まずに住んでいる。昨日なんて荷物も下ろさないまま玄関で13時間寝ていたらしい。食べるか寝るか泣くかの赤子のような暮らし、あまりよくないね。 私が怖いのはよくあるサイトに纏められたそれじゃなくてもう

          キネマトグラフ

          メメントモリ類似

          学問の部類を一区切りつけてきたらそこにあった本屋で目に入ってきたので海底二万里をまた読みたい。 少しだけ大切な日になるかと思ったらならなかった。過去は過去なので気にしないつもりでいたけどまだ忘れてないみたいだったので元バイト先の系列店に行って一人で茶をしばいた。別にバイト先に思い入れがあるわけじゃなくて思い出すと関連として出てくるから私だけこうな気がして少し悲しい。きっと覚えてないんだろうなって思う。価値観のズレだけ少し怖いから今が今のままでありますようにって歌った某アイドル

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