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瀬戸際を迎える日本

鹿児島県警で警視正、生活安全部長で定年退職した元県警幹部が、匿名で県警本部長による不正の隠蔽、並びに、前刑事部長の不正の隠蔽を内部告発したところ、逮捕され、告発文が送付された報道機関が捜索を受けるという前代未聞の大スキャンダルが発生しました。

しかも呆れ果てた事に、県警内部に残存する書類を、国賠訴訟や再審に備えて、警察に不利にならないように廃棄の徹底を訴えるという、証拠隠滅と不正の横行を窺わせるようなとんでもない指示が県警本部刑事部刑事企画課から出ていた事実まで判明しました。

更に呆れた事に、県警側はこの指示を「誤解を与える表現があった」等と釈明し、国家公安委員長も「(県警が)内容を改めたものを再発出すべきだと判断し、それを発出した」「都道府県警に対して捜査資料の適正な管理について指導しており、引き続き適正に業務が行われるように指導する」等と述べ、実質、擁護する姿勢を取った。

なお、問題とされた文章には下記のように記述されている。

・事件記録の写しは、 送致 (付) した事件全てで作成し、保管する必要は  ありませんので,写しを作成する前に、 その必要性を十分検討しましょ  う。
・現に保管している事件記録の写しについても、保管の必要性を適宜判断  し、保管の理由が説明できず,不要と判断されるものは速やかに廃棄しま  しょう。

※最近の再審請求等において,裁判所から警察に対する関係書類の提出命令  により送致していなかった書類等 (以下「未送致書類」 という。)が露呈  する事例が発生しています。
 この場合、「警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかったの  ではないか」と疑われかねないため、未送致書類であっても,不要な書類  は適宜廃棄する必要があります。
※再審や国賠請求等において, 廃棄せずに保管していた捜査書類やその写  しが組織的にプラスになることはありません!!

インターネットニュースサイト「HUNTER(ハンター)」提供の文書の写真

一体この文章のどこに「誤解を招く表現」があるのだろうか。
またこんな文書を擁護した国家公安委員長は一体何を考えているのか。
更に前刑事部長には下記のような疑惑があるようだ。
以下、引用。

「警察一家」擁護としか思えない不当な捜査指揮で強制性交事件の実相をねじ曲げた鹿児島県警が、数十件分もの捜査資料を流出させながら公表せず、内々で処理しようとしていることが分かった。県警は、違法な情報漏洩の実態を把握しながら、隠蔽に走る構えだ。

■発端は「不当な捜査指揮」

ハンターは昨年10月から、鹿児島県警幹部による不当捜査の実態について報じてきた。問題視したのは、強制性交の疑いで鹿児島中央署に告訴状を提出された男性が、逆に被害者の雇用主を名誉棄損で訴えた件の捜査指揮。二つの事案の捜査を指揮した中央署の当時の署長は、現在の県警刑事部長・井上昌一氏で、同氏は鹿児島西警察署が対応すべき名誉棄損事案を強引に中央署で処理させ、先に表面化した強制性交事件を捜査中だった強行犯係の警察官に対応させるという異常な捜査指揮を行っていた。その証拠が、県警内部から流出した下の2枚の「告訴・告発事件処理簿一覧表」。いずれの事案にも「署長指揮」と明記してある。

赤い囲みで示した処理簿の記述から明らかな通り、中央署強行犯係が同一人を“被疑者”として『取り調べ』しながら、同時に“被害者”として『聴取』を行うという、テレビドラマでもあり得ない事態。さらに、二つの事件に関する捜査が行われていた間、強制性交の疑いが持たれていた男性の父親が、現役の警部補として中央署に在籍していたことも判明している。(参照記事⇒①)

子供でさえ“警察の正義”を疑いかねない暴走に、県警周辺から上がったのは「不適切な捜査指揮だ」「捜査をやり直すべき」といった声。上掲の2枚は、弱者を切り捨て組織防衛に走る県警幹部に反発した「正義の関係者」が流出させたものとみられていた。

【速報】鹿児島県警で数十件分の捜査情報漏洩|公表せず関係者謝罪で幕引きの構え HUNTER

警察幹部による犯罪の揉み消しは古くからあるよく聞く警察不祥事の雛壇のような物で、この事自体は、実際にはさほど驚く事ではない。

また、この件では県警本部長による犯罪の揉み消しがあったとも内部告発されているわけだが、事実であったとしても、これも1996年に発生した神奈川県警覚醒剤使用警官隠蔽事件(県警本部長が県警警部補の覚醒剤使用事件を隠蔽)があり、大型の不祥事である事は事実だが、前例はある。

重要な事は、警察の不祥事が続発しているにもかかわらず、これだけの大型の不祥事が露見したのに、また真相を解明せずに逃げるような態度を、国家公安委員長と警察側が取っているように見えている点だ。

2019年に発生して世間からの強烈な非難を浴びた愛媛県警松山東警察署による女子大生誤認逮捕・自白強要事件以降、テレビ番組で氷見事件の再現VTRが流された事で視聴した人達がこの冤罪事件を初めて知り、警察に対する不信感と怒りが沸騰する出来事があったり、警察による誤認逮捕や冤罪、大型不祥事の報道が絶えず、つい最近も滋賀県警で高齢女性がいなり寿司を万引きしたとして誤認逮捕し、送検し、実に80時間も身柄を拘束し、自白を強要するというとんでもないミスを起こしている。

警察官が犯罪に手を染めて逮捕されたり、逃亡を図るといった事件も相変わらず多発している。

しかし、不同意性交で逮捕された警視正(岡山県警出身の地元組幹部)、少女に対するわいせつ容疑で逮捕された沖縄県警警備部警備2課調査官の警視、強姦で逮捕された千葉県警捜査4課・課長補佐の警部、強盗容疑で全国に指名手配された群馬県警捜査2課・係長の警部補等、都道府県警察内で組織内エリートの地位にある者らが逮捕される不祥事の報道が増えている点に特徴がある。

このような現象は、今までは見られなかったものだ。

警察に関しては、随分前から、内部の腐敗が余りにも酷いので、改革が必要だと言われてきた。

氷見事件のような深刻な冤罪事件が生じても、政府は重い腰を上げようとはせず、改革を一向に行わなかった。

警察とマスコミは癒着している。

事件報道を警察幹部らと捜査員からのリークに頼っているマスコミは、警察の機嫌を損ねるわけにはいかない事情を抱えており、元から警察の不正や不祥事の報道を忌避する傾向がある。

それが現在は更に進んで、一部の新聞社では、キャップと呼ばれる記者クラブに籍を置く現場の記者らを纏める立場にある者が完全に警察と一体化している、等と言った噂まで流れる始末で、これでは警察が嫌がる不正や不祥事の報道などできるわけがない。

遡ると北海道新聞が道警の裏金問題をスクープした事があったが、その後、道新は道警からの嫌がらせに遭い、罠に嵌められて大失態を犯すなどして、現在は完全に道警に屈服した格好となっており、道警と道新は幹部レベルで癒着していると言われるところまで身を落としている。

参考記事
北海道新聞が警察に屈した日 最終更新時間:2006年2月22日19時57分44秒

マスコミは警察に喧嘩を売れば、警察から執拗に付け狙われて、嗅ぎ回れて、ちょっとでも隙を見せたら逮捕される、ガサを入れられる、国税に通報されて脱税の嫌疑をかけられる――冗談みたいな話だが、こういった嫌がらせ(報復)は実際にある。

政治家に関しても同じで、警察の機嫌を損ねたら、痛くない腹を探られる。

実際、有権者からの陳情や相談でも、冤罪に関するような内容、警察から敵視さるような内容を含むと、容赦なく追い返す政治家は多いとされる。

だからマスコミだけを責めるのはフェアではないのかも知れないが、道警による道新への報復と屈服があって以降、マスコミはより一層、警察の不正や不祥事について報道しなくなったとされる。

これが平成18年、2006年頃の話だ。

以降、警察官が内部告発しようとしても、新聞社が取り扱ってくれない、下手に新聞記者に相談して県警にバレたら、閑職に左遷されて、執拗な嫌がらせを受けて依願退職に追い込まれる為、不正や不祥事を関知しても内部告発などしない方がよいと警察官が考えるようになったとされ、警察内部の腐敗は更に加速度的に悪化して行ったとも言われている。

それから既に20年近くに達している。

経緯を見ると、県警が「再審や国賠請求等において, 廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません」「速やかに廃棄しましょう」などと内向きの情報とは言え紙面で伝達するような舐めた事をやり、バレても「誤解を招く表現があった」等と釈明すれば済むと国民を愚弄するような態度を取り、完全に馬鹿にしていて、今回の内部告発も適当に誤魔化して、時の経過で風化させて誤魔化してしまえばいいという腐りきった態度に出ている事も、そこまで腐敗が進行しているのだな、という印象しか受けない。

更に深刻なのが、先程も書いた通り、マスコミは報道しない、調査もしない、国会も内閣もまともに調査する気がない、追及する気もない、必要とされる警察改革をやる気もない、つまり、ここまで腐敗が酷くなっていて、誰の目から見ても組織が保てないレベルになっているのに、現状維持のまま続行しようという姿勢を取っている事だ。

恐らく、今回の件を受けても、国民が怒らず、政府も議会も動かず、何も変わらずとなると、警察は不正や不祥事を起こしても証拠を徹底的に隠滅し、関与した警察官同士で口裏合わせして、徹底的に隠蔽し、マスコミも調査する気が一切ないから、警察が不正を働いて被害に遭ったら、国民はただただ泣き寝入りするしかないという、酷い状況に置かれる事になるだろう。

文字通り、警察の犯罪組織化が生ずる、という事だ。

現状ではその瀬戸際に来ている。

既に愛知県警ではその兆候が出ている。

交通事故を起こしたパトカーのドライブレコーダーの音声ファイルを消去し、「録音機能は使用していなかったので最初から音声データはない」、事故時にはサイレンを鳴らしていた為、国賠訴訟を起こした事故被害者の市民にも非があったと監察官室の訴務官が裁判所相手に主張して反訴するおぞましい事件が起きている。

裁判官に事実を見抜かれた県警は反訴を取り下げ、2022年に敗訴したが、音声ファイルの消去は証拠隠滅行為に当たるにもかかわらず、県警側は「誤った内容の報告書を作成してしまった」と反省の弁を述べるのみで、真相の解明と刑事処分を行っていない。

しかし、先程も言った通り、また、ご覧の通りで、国会議員も、大手新聞社やテレビの報道局も、何にもする気なし。

彼らの行動原理は単純明快。

自分のポジションさえ守れたらいい。

国会議員なら議員の地位、新聞記者やテレビの報道局の人なら今の職。

それが守れさえしたらそれでいい。

国民が警察の不正の被害に遭って酷い目に遭わされようが興味なし。

自分に関係なければどうでもいい。

自己の保身にしか興味がなく、その職が期待される役割を担う気ゼロ。

まるで世相から隔絶したところで生きた平安貴族のようだ。

この記事を執筆した理由だが。

実は警察の事が話したくて書いたのではない。

この記事を読んで下さっているあなたにお聞きしたい。

こういう問題を解決せず放置する政府と国会議員に対して、
どういう感情を抱くか?

また、警察に対して、どういう感情を抱くか?

警察は一切信用できない。
ただの犯罪組織だ。
内部告発者に対してなんて酷い事をするんだ。
告発しても潰しにかかるとか組織として終わってる。
文書廃棄しろって不正の隠蔽する気満々じゃん。
……等々。

政治家はおかしい。
政治家なんてこんなもの。
どうせ何にもやる気ないんでしょ。
いい加減なことして警察の肩持って有耶無耶にするだけじゃね?
政治家は悪い事やった時に警察使って揉み消したり利用してるから、
警察の不正や不祥事の追求なんかできるわけないよね
……等々。

こうした答えが返ってくるものと思われる。

両者に共通している事は、一切信用していない、という事だ。
また、何もしないだろうと端から諦めている(呆れている)。

統一教会が大勢の国民をマインドコントロールし、財物を奪い、酷い目に遭わせていた実態がマスコミに報道された。

また、統一教会が政治権力に深く食い込んでいた実態が報道されて、例えば、警察に相談に行っても、教団がそれを嗅ぎつけると、繋がっている政治家に働きかけて、その政治家に警察に働きかけさせて、まともに動かないようにしてしまうとか、そういった恐ろしい話が大量に報道された。

記事をお読みのあなたは、この報道を知った時、どう思ったか。

国って私達の事を守ってくれないの?

そう思ったのではないか?

実際、政府も、警察も、カルトから私達を守ってくれない。
自分の身は自分で守るのが当たり前だとしたり顔で言い、その考え自体がおかしいのだと言い放つ人がいるが、だとしたら政府が存在する理由は、一体どこにあるのだろう?

公権力の権威が大きく毀損された。

あまり注目されてないが、安倍元総理銃撃し事件とその後の統一教会問題で生じた事は、まさにこれだ。

国民が政府を信用しなくなった。

こう書けば「俺は昔から信用なんかしてなかったさ!」という人が絶対に現れると思うが、そういった人でも、本人に自覚があるかどうかは別として、究極的な状況に陥れば、政府は国民を助けてくれるものだという甘い幻想が、実際にはあるものだ。

その種の幻想を一切抱かない人というのは、実際には少数だろう。

最終的には自分を助けてくれる大きな存在があるという根拠のない幻想を信じているからこそ、人間は自身の生存(存在)と将来に対する漠然とした不安から逃れることができる。

普段は意識しない深層心理なので、気づいていない人も多いだろう。

しかし、統一教会報道によって、政府は私達を助けてくれない、それどころか、選挙に勝つ為だと称して、或いは、自分自身が信者だという事で、統一教会との関わり合いをやめない政治家が大勢いて、いざとなったら教団側について国民の敵になることまでわかってしまったのだ。

恐怖以外の何ものでもない。

政府の役割は国民の生命と財産を守る事にある。

その役割を担っているからこそ、徴税し、行政機関を整え、法令を制定し、警察と軍隊(自衛隊)を保有し、利害関係の調整に当たったり、国民に対して公共サービスや福祉を提供している。

国民の生命と財産を守らないなら、政府は支配の正当性を失う。

公権力による支配(統治)の正当性(正統性)が揺らいでいる。

これが今の日本で起きている事なのだ。

現在、予言や都市伝説といったオカルトがブームになっているそうだ。

ブームは数年前から始まっていると言われ、実際、最近はYouTubeでその系統の動画が増えているといった話もあるようだ。

社会が不安定になり、人々の心に不安と動揺が広がると、オカルトチックな物が流行(蔓延)する。

現在、日本で予言や都市伝説をはじめとするオカルトが流行しているのは、多くの人達の心に不安と動揺が広がっていて、社会が不安定になっている事も、その要因の一つと言える。

例えば、三国志で有名な中国の後漢王朝では旱魃や凶作、疾病が発生し、多くの人達が苦しんでいるのに、政治の腐敗が著しくて賄賂が横行し、重税を課し、宦官や役人らは豪奢な生活を送った。

そのせいでばったばったと人が死に、犯罪が横行して治安が悪くなり、多くの人は救いを求めて淫祠邪教に縋りついた。

そうして大勢の信徒を抱えた太平道という宗教教団が黄巾の乱を起こし、これがきっかけとなり、後漢王朝は滅亡に向かった。

いつの時代も人間社会で生起する出来事やパターンは似通る。

予言を信じる人には生活が苦しい人が多い、という話もあるようだが、社会が不安定な時に予言を信じたり、飛びつく人が出る原因としては、将来を見通せる力を得る事で安心したい、不安を打ち消したいという不安心理にあるのではないだろうか。

世の中がどんなに不安定だったとしても、先に起こる出来事がわかれば、それだけで不安(心理的負担)は軽減する。

勿論、将来起きる事を知る事など不可能なのは言うまでもない。

現代は科学が発達し、伝統宗教の教義が科学的に間違っている事がわかっており、無宗教の人が増加傾向にある時代だ。

そのような時代だからこそ、多くの人達は宗教に走ることをしなくなっており、代替として、予言、都市伝説、オカルト的なスピリチュアルに走る(縋る)人が増えている、という事なのだろう。

日本では2021年後半から物価の高騰が始まり、生活苦の国民も増えており、強い不満を抱える人が増えている。

その最中で政権党である自民党は政治とカネの問題で身内に甘い処分を下し、当該議員が国民の神経を逆なでする発言を繰り返し、国民の怒りに火をつけるような事までした。

結果、4月末の補選で全敗(3タテ)するという事態に陥った。

黄巾の乱が起きる直前の後漢王朝の状況と似ていないだろうか?

そこまで古い話に遡らずとも、政治腐敗や生活苦から国民の怒りが大爆発して、クーデターや市民革命が勃発して、体制崩壊した国々の直前期とよく似ている事がわかる。

要するに今の日本は、国が崩壊するその末期の状況と酷似する状況にある、という事だ。

つばさの党という政党が補選で問題を起こして注目を集めたが、同党が様々な陰謀論を唱える人々からなる雑多な政治集団であった事も、日本が崩壊末期の様相を呈しており、だからこそそのような政治勢力が現れたのだと認識すると、腑に落ちる。

スーパークレイジー君のような候補者が市議選で当選するのも、2019年の参院選でNHKから国民を守る党が比例区で1議席獲得したのも、2022年の参院選で参政党が比例区で1議席獲得したのも、その兆候と言える。

何もしない、機能不全に陥る既存政党に対する不満と怒り、民衆らの叛乱が形を変えて噴出したものと捉えると理解し易い。

現在の日本を滅びゆく国の末期と捉えると、納得のいく出来事が幾つも見受けられる。

安倍元総理が銃撃されて、命を落とすという歴史的大事件が起きたのに、政府は法改正してでも統一教会を潰すという選択肢を取らなかった。

統一教会が典型的なカルト教団で、非常に危険であり、多くの国民が犠牲となり、食い物にされている実態が明らかとなったにもかかわらず、だ。

カルトを規制する反セクト法が国会で制定される事もなかった。

これで国家としての体を成していると言えるのだろうか?

それ以外にも様々な問題があったが、そういった流れの中で、冒頭から長々と取り上げた鹿児島県警の内部告発問題が発生し、相も変わらず、政府も警察も改革やる気ゼロ、風化待ちで誤魔化す気満々のふざけた姿勢を取ったのだ。

日本には選挙制度がある。

だから世の中を変えたければ政治家になればよく、議会で多数派を握って改革すればよい、と力説する人がいるが、果たしてそうだろうか。

仮に政権交代させて、自民党と公明党を下野させて、立憲民主党を中心とする政権なり、日本維新の会を中心とする政権なりが出来たとしよう。

彼らは必要な改革を行うだろうか?

本音を言わせて頂ければ、とてもそうとは思えない。

立憲民主党にせよ、日本維新の会にせよ、典型的な、自分のポジションさえ守れたらいい、政治家として期待されている役割を担う気など毛頭ない、そういったタイプの人達の集まりにしか見えないからだ。

日本の国会議員は、戦前から、こういうタイプの人が大多数を占める。

浮世離れした世界で政治を行う平安貴族的な人ばかりだ。

恐らく日本の政治家の体質、性質なのだろう。

実際、彼らを見ていて必要な改革を行おうとする気配があるだろうか?

そういう気配があるならば、今の時点で何らかの兆候が見られるはずだ。

何もない。

また、こういった問題もある。

カルトの被害に遭ったら警察に行け、弁護士に相談しろと熱弁する人がいる。

ところがカルトを取り締まる法律はない。

だから警察は動かない(動けない)。

カルトは金に物を言わせて優秀な弁護士を大勢揃えているから、教団の行動は万全の民事裁判対策が取られているので、弁護士に相談しても無駄だ。

警察とカルトの癒着は以前と変わらずで、大勢のカルト信者が警察官として勤務している状況も全く同じ。

被害に遭ったら泣き寝入りするしかない状況は何も変わっていない。

「カルトの被害に遭ったら警察に行け。弁護士に相談しろ」という言葉は、政治家が、あるいは警察やカルトが、非があるのは被害に遭った時に適切な行動を取らなかった被害者にあるのだと責任を転嫁して、自分達には非がないと主張し、正当化(抗弁)する為に垂れ流す虚構でしかないのだ。

警察が何もしない、司法も機能しないというのであれば、徒党を組んで行動し、じかにカルトとやり合った方が早い、確実だという考え方をする被害者達が出てきても不思議ではない。

法的に禁じられている自力救済を暴力的に実行しようとする流れになってもおかしくない。

仮にそうなった時、政府が徹底的取り締まろうとしても、反カルト系の武装勢力が誕生する事態にまで発展したら、締め付けは政府がカルト側の勢力だからという認識を国民に抱かれるのは当然で、上手く行くかは不透明だ。

海外では多くの国で武装勢力が公然と存在し、反政府勢力として国と戦っていたりするが、日本国内でも、カルトと戦う武装勢力が公然と存在し、政府がそれら勢力をテロ組織に認定して潰しにかかるといった異常な状況に陥る可能性がないとは言えないのだ。

また、抵抗権の問題もある。

抵抗権とは『国家や政府などの公権力に抵抗する個人や集団の権利』、『人々によって信託された政府の不当な権力行使に対して、国民が(それをまさに不当と見なして)抵抗する権利』というものだ。

カルトによる政治侵食が極めて深刻で、政府がカルトに乗っ取られた状態と言っても過言でない現状がある以上、政府がカルト対策を行わず、国民を害したカルトを取り潰さないのであれば、国民による政府に対する抵抗権の発動要件を満たす状況が生まれる。

つまり、国民が徒党を組んで政府を潰したとしても、その行為に正当性が認められるところまで来てしまっているという事だ。

国が何もしない現状は、悪手以外の何ものでもない。

普通の国であれば、末期の様相を呈すれば、革命かクーデターが起きて体制崩壊が起こり、国自体がなくなる。

日本も普通の国なので、このまま政府が何もしないようなら、そのような流れになる可能性が高いものと考えられる。

私は予言者ではないので、仮にそのような流れになるであろうことを予測すことはできても、何がどのようになって、そのような結末を引き起こすのかまでは、流石にわからない。

だが、これだけは言える。

もし、この国が、今後政権交代が起きたとして、その新政権がカルト問題に取り組まず、一部の悪質なカルトを解散に追い込まず、警察改革をはじめ、必要とされている改革を実行せず、現状維持で茶を濁し、やっている感を演出して誤魔化すような真似をすれば、確実に革命かクーデターが起きて体制崩壊し、国自体がなくなるという結末を迎えるだろう、と。

国会議員の中でも、特に野党議員の人達には、日本がそういった瀬戸際にある事を自覚し、重く受け止め、必要な行動を取って頂きたいものだ。


追記

昨日、工藤会の野村悟氏の話題が出て、繰り返される市民襲撃による死傷事件について聞かされた際、ロケットランチャーが見つかった事件、最武闘派として恐れられている事などを思い出して、この団体は暴力団と言うより、既に武装集団と認識した方が正確なのだろうな、と思った。

つまり日本には、既に武装集団は存在している。

日本各地で武装勢力が事件を起こし、姿をすっと消して、警察がどれだけ捜査しても辿り着けない、武装勢力による武装闘争が本格化して、自衛隊や警察では潰す事が出来なくて、内戦に近い状態になる。

これらは一見すると荒唐無稽で現実感のない御伽噺のように聞こえるのかも知れないが、工藤会型の組織が全国各地に存在し、市民や政府に攻撃を仕掛ける状況を想定すれば、決して空想の産物でない事が理解できると思う。

政治勢力の中でも、目的の為なら手段を辞さない、武力行使も厭わない過激派の団体は、犯罪に手を染める事が多々ある。過激派の活動家と裏社会とは繋がっていると言っても過言でないくらいだ。

目的は活動資金や武器弾薬を購入する為の資金調達の獲得にある。

コロンビア革命軍が薬物売買を行っていた話は有名で、帝政ロシアの末期には武器売買で莫大な富を得ていたアレクサンドル・パルヴスという革命家もおり、この種の話は枚挙に暇ない。

日本の右翼団体の中には、本体が暴力団で、金銭を得て街宣活動等を行う事から街宣右翼等と呼ばれるところもあるが、活動資金を反社会的な活動から得ている点では、街宣右翼の方が、過激派である極左暴力集団と呼ばれる団体郡よりも国際的なスタンダードに近いと言える。

日本の暴力団はマフィア化が進んでおり、どんどん地下に潜っているとも言われている。

上記の記事では触れられていないが、暴力団の二次団体や三次団体なのに、組の名前自体が隠されていて、世間に知られていない。

それらの団体の構成員であるが、その事実を隠しており、周囲の人達は、ただの会社員、ただの自営業者だと思っている。

警察が把握している暴力団、同幹部、構成員らとの接点がまるでない為、暴力団員である事実をまるで把握できていない。

ピーク時と比較すると激減したとされる暴力団員数も、実際には、大して減少しておらず、警察が把握できない構成員が増えているだけではないか、とする見解もある。

無論、暴力団だけでなく、犯罪組織に関しても同様だろう。

2000年代初頭、建国義勇軍事件と呼ばれる右翼テロ事件が相次いだ。

犯人グループは刀剣友の会のメンバーで、みな、一般人であり、世間に非常に強い衝撃が走った。

このように、既に日本では、公安警察にマークされていない潜在右翼によるテロ事件を経験している。

こんな事を考えていたら、このまま社会が自浄作用を失ったまま進んだら今後とんでもない事が起きるのではないかという考えが脳裏を掠めた。


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