留学先NZのマオリからマジョリティの特権を考える
こんにちは、ニュージーランド留学中のLuuです🐑
ニュージーランドと切っても切り離せない事柄といえば、先住民族の「Maori(マオリ)」。
国内では、依然としてマイノリティとして存在しています。
*本記事でのマイノリティは、数としては少数でなくても、差別や構造により社会的に弱い立場の集団と定義します。
以前note記事で紹介したように、メールや授業の冒頭挨拶でマオリ語が用いられていたり、看板にマオリ語が記載されていたりするのをよく目にしますが、不当な扱いを受けたことが根強くマオリの人々に残っていること、未だに社会的ディスアドバンテージを抱える人が多くいる現状があるのは事実として存在しています。
このような状況は、ニュージーランドの社会構造がマジョリティであるPākehā(パケハ:マオリ語で白人を指す)中心になっていることが原因としてあります。
ニュージーランドの土地がパケハによって植民されてから、パケハ中心の制度、パケハが過ごしやすい社会が構築されてきました。
その結果が、マオリの貧困に苦しむ状況、低い健康レベル、違法薬物への着手といった状況を生み出しています。
このような状況を受け、ニュージーランドは社会の構造を変えつつあります。
医療の面でいうと、昨年にTe Aka Whai Ora*1という国の機関が設立されました。
この機関は、医療制度を整備する国の他機関と協力して、医療システムがマオリにとってうまく機能することを目指しています。
今までのパケハ中心の医療制度を見直し、マオリの文化面やスピリチュアル面に配慮した医療体制を整えている最中です。
パケハが社会の構造により優遇されることで得られる権利。
これをマジョリティの「特権」と呼びます。
「特権」は、ある社会集団に属することで労なくして得られる優位性・権力と定義され(グッドマン,2017)、
努力の成果ではなく、たまたま生まれた社会集団に属することで自動的に受けられる恩恵のことを指します。
この「特権」の有無は上記で取り上げた民族や人種だけでなく、出生時に割り当てられた性、性自認、性的指向、身体・精神の健康状態、学歴などでも変化します。
私を例に挙げると、今当たり前に大学へ進学し、留学をしていることは、特権なわけです。
このような環境に身を置けるのは、私の努力や能力だけでなく、たまたま大学に入学できるほどの、留学にできるほどの経済的により恵まれた家庭に生まれたことによって得られたものです。
逆に、性自認や性的指向の面ではマイノリティに分類されます。
男女二元論を前提とした制度や教育、同性婚ができない状況。より小さな環境スケールでいうと、彼氏がいることが前提の会話や、ちゃん呼びなど。依然としてヘテロセクシュアル、シスジェンダーがマジョリティとして特権を持つ社会の構造が存在しています。
中立的な立場、差別はしたくないと思っていても、あらゆる面でマジョリティ/マイノリティ、マジョリティの特権は存在しています。
自分の特権に自覚がないことで、無自覚に差別をしてしまうことがあり得ます。
私も例外ではなく。
いまニュージーランドではマジョリティであるパケハの特権が可視化され、特権を生み出している社会の構造を変えようとしています。
私も、まずは自分の特権に気づくことから始めていきたいなと思います。
*1 https://www.tewhatuora.govt.nz/our-health-system/who-were-working-with/te-aka-whai-ora-maori-health-authority/#:~:text=Te%20Aka%20Whai%20Ora%2C%20working,responds%20to%20Māori%20health%20needs
参考文献
真のダイバーシティをめざして : 特権に無自覚なマジョリティのための社会的公正教育
ダイアン・J・グッドマン著 ; 田辺希久子訳
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