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辛い過去をダイヤモンドに!生きづらさを幸せな未来に変える魔法


アナタは、ACEスコアという言葉を聞いた事があるだろうか?
Adverse Childhood Experiences略してACE。
日本語だと、逆境的小児期体験。

小児期における被虐待や機能不全家族との生活による困難な体験を点数化して、成人期以降の心身の健康にどの様な影響を及ぼしたか明らかにした研究から、使われる様になった言葉だ。

何を隠そう私はACEスコア7のトラウマサバイバーである。だから、これから語る内容は、自身の経験と海外の最新のトラウマ治療最前線の内容を織り交ぜた視点からの心のメッセージである。

因みに、ここではあえてACEスコアの算出方法は省略しようと思う。
何故ならば、トラウマとは『実際に何が起ったのか』ではなく、アナタが 『何か起ったもしくは、何も起こらなかった事に関して、どう感じたか』なのである。ただ現実として、ACEスコアが0の人と比べ4以上と高かったサバイバー達は大人になってから、がん、心筋梗塞、糖尿病、肥満、依存症、自殺念慮、うつ病等の健康リスクが高くなると言われている。 (Felitti 1998)

話を本題に戻そう。

日本には、残念ながら『過去に起こった事をいつまでも引きずるなんて』という人がまだいるかもしれない。だけど、子供時代のトラウマは実際に、脳、身体、精神に大きな傷跡を残してしまう。そして多くのトラウマは、「過去」というラベルを貼っていく作業をしない限りは、その人にとっては「今現在も起こり続けている」出来事という事になってしまう。

少し分かりにくかったかもしれないので、簡単な具体例を挙げてみよう。

誰もが、一度はかき氷を食べた事があると思う。
かき氷を急いで食べると頭が「キーン」とする。

多くの人は「かき氷をゆっくり食べたら大丈夫」というアドバイスを得る事で、「かき氷=頭痛い」という過去の体験を、「かき氷は安全で美味しいもの」であると書き換える事ができる様になる。

その一方で、かき氷を食べる事で頭がキーンとした体験自体が、トラウマになってしまった人や、キーンという感覚が、誰かに殴られた感覚と重なってしまい、トラウマを彷彿させる恐怖体験として記憶されてしまった人が居たとしよう。過去のかき氷体験がトラウマとして残っている人にとっては、いつまでも「かき氷=生命を脅かす危険な食べ物」として無意識下で認識し続けてしまう。そして、もしかしたらその人は、一生かき氷を食べない選択をし続けるかもしれない。

ここで間違っては欲しくないのは、起こった事象をどう捉え、どう処理するかはその人の自由であり権利でもある。だからもし「そんな事感じるのは、過剰反応してるだけ、大袈裟だ」という人が居たとしたら、それは大きな誤解。余計なお世話である。そんな事を言う人こそ、自分自身が囚われてしまっている固定概念を、今一度自分自身の未来の為にも、見直して頂きたいと思う。

ここで「辛い過去をダイヤモンドに、生きづらさを幸せな未来に変える」為に絶対に必要な過程がある。そして、その過程は、辛い過去を背負っている人にとっては、最初はチャレンジングなステップとなってしまう。

それは、「今は、安全である」という事を経験する事だ。

どうしても、希望に満ち、幸せな未来を生きる為には、辛い過去によって打ちのめされ、傷ついてしまったパーツに『今現在、Now』と『安心・安全』という二つのキーワードを感覚として再習得する必要がある。

トラウマなんて私には関係ないと思われていらっしゃる方にとっては、なんだそんな事かと思われるかもしれない。ただ、辛い過去を背負って生きている人にとっては、この二つを取り戻す事は、ただただ恐ろしい事として、無意識で避けてしまう。

特に、今現在を感じる事が難しい人は、解離する事でなんとか子供時代をサバイバルしてきた人が多いと思う。そしてそんなサバイバーが感覚を取り戻す事は、即刻危険アラートが発動してしまう程の緊急事態になってしまう。

今現在の感覚を取り戻すという事は、自身に再び人間として感じることを許してあげるという事である。わたし達は本来、日々色々な感情や感覚を感じながら生活をしている。ただ、学校や社会に出て人間関係を築いて行く際に、自分の腹で思ったり感じている事と真逆の反応が求められる場合が日本では特に多いと思う。その為、敏感に相手の意図や思惑を汲み取りながら、なんとか生き延びてきたサバイバーは、自分の感情や感覚がわからなくなってしまっている事が多い。

そんな中で、ゆっくりと「眠い」「なんかざわざわする」「身体が痛い」「息をしている」「イラっとする」「なんか嬉しいかも」って一つ一つの感情や感覚を大切にして、人間であることを学び直すということである。

私の知っている見慣れた世界でさえ、あれだけの恐怖が渦巻いていた。だから未知である「安全・安心」が存在する世界が、どれだけ快適であったとしても、その人にとっては紛争地帯や、地雷が埋まっている危険な場所に突入していく様に感じてしまう。これは、過去から学習し、サバイバルする為に獲得した人間の防衛本能である。その防衛本能に打ち勝たなければいけないと想像して頂けると、どれだけサバイバーにとって大変な事であるかを理解してもらえるかもしれない。

最後に、これを読んでいるアナタに「希望をプレゼント」して文章を結びたい。
それは、経験者の立場から、この二つのキーワードを取り戻す事は、決して「不可能ではない」という事を何よりも伝えたい。そしてアナタが、毎日一歩ずつ、着実にこの二つのキーワードを取り戻す為のチャレンジができた暁には、過去の辛い経験の深さや重さのすべてが、未来の希望と幸せの深さと大きさへと変化していくと言う事だ。

鉛筆とダイヤモンドは同じ炭素から出来ている。そして、その違いを作っているのは、炭素にどれだけの圧力がかかったかだ。辛い過去を経験した人は、もう既にダイヤモンドがアナタの中で眠っている。そしてダイヤモンドは、じっとアナタがその存在に気づいてくれる日を、きっと首を長くして待っているに違いない。


Eri Blue  (エリ ブルー)
自分はぐくみ塾 塾長/Dr Blue Coaching 代表
1983年生まれ。イタリア・ミラノ大学大学院卒(生化学博士)。管理栄養士。日本初IAOTRC認定トラウマ回復コーチ。外資系企業勤務を経て独立。ACEスコア7のACEサバイバー。名著「身体はトラウマを記録する」の著者ベッセル・ヴァン・デア・コーク先生主催のTraumatic Stress Studies(トラウマストレス研究)、IFS (内的家族システム療法)、NVC(非暴力的コミュニケーション)での学び、及び自身の経験を通して「ACEサバイバーに希望の光」を灯す為に活動。

詳しいプロフィールはこちらから

ACE(逆境的小児期体験)についてはこちらから

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