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市内RPG 16 蛙神社から出たカエル

ぼくら勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーは子郡市の蛙神社で、青いウシガエルと戦っている。

小さな青い蛙にたくさんの蛙がくっついて、牛くらいの大きさの青いウシガエルになったのだ。

前足を振り回す。
噛みつく。
舌を伸ばす。
跳ねる。

青いウシガエルの攻撃に苦戦している。

僧侶のカナは武器の木魚を青いウシガエル呑まれてしまった。
「このクソ蛙」カナは黙って木魚を持ち出していたようで、怒り心頭だ。

カナの方が蛙よりもコワイかも。蛙、蛙、、、コワイ、、、これならどうだ?

「ヤス、う○こ花火を貸して」
「え?」
「コンビニで買ったやつ!全部!」

ぼくはヤスからう○こ花火5個全部を受け取ると、青いウシガエルに投げつけた。

「ヒラ、メチャアツッを」
「メチャアツッ」火の全体呪文。

5個のう○こ花火に火がつく。
煙が5本立ち上った。そして、いつもの黒いう○このようなものがうねうねと身をよじらせてのびてきた。うわぁ、気持ち悪い…。

青いウシガエルは、動きを止めて、う○こ花火を見つめている。

「ほら、蛇だぞーー」ぼくは叫んだ。
「蛇?」

ぼくの考えを感じ取ったヒラも叫んだ。
「蛇が出てくるぞーーー」

動きを止めた青いウシガエルに不思議なことが起こった。身体がぶるぶる震えている。

そして、砂山のように青いウシガエルの身体は崩れ去った。

「ヒラ!」
「メチャアツッ」

蛙たちはばらばらになって、池に逃げ込んでいった。

青い小さな蛙がぽつんと残っていた。

ヤスはそいつをつまみ上げた。
「お前が魔王か?」
「いやいや、とんでもありません」
青い蛙は敬語で答えた。

「魔王はどこなの?」
「横熊山遺跡に向かったようです。もういたずらはいたしません。代わりにコレをどうぞ」
「何、これ?」青い蛙が差し出した小さい石を受け取った。
「これはイシガエル。かえりたい願いを3つ叶えます。これで許してください」

ぼくはイシガエルをポケットに入れて、蛙神社を後にした。
「魔王はいなかったね」
「疲れた、ホント疲れた」

ケータイが震えた。
「経験値1200、報酬600円」
レベルアップ。みんなレベル8まで上がった。
「強敵だったからねー。このくらい上げてくれないと」
「でも、何で600円?」

どうやら蛙がほとんど逃げたからみたい。
「う○こ花火代くらいだね」ぼくは言った。

「イシガエルでうちに帰ろうか」
ヤスが言った。

「もったいないよ、それは」
ヒラが言った。

みんなわかっているのだが、へとへとなのだ。
「次の手がかりは横熊山遺跡ね。今日は遅いから、解散ーー」
カナが言ったので、ぼくらは家に帰ることにした。

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