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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #44:機能する組織を作る-旧六大将軍編

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は44回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回#43では「旧六大将軍の組織構造問題」という題目で、昭王時代の六大将軍が僅かに機能しなかった点についてまとめています、今回は前回の問題を踏まえての内容になりますので、まだお読みでない方は、まずはこちらのリンクよりご確認ください。

前回も述べましたが、単行本61巻までの最新巻ではまだ描写されていませんが、ヤングジャンプの最新話ではすでに新六大将軍の話が出ているみたいなので、王騎将軍含む、昭王時代の六大将軍を旧六大将軍と呼びます。そして、私も単行本派なので、新六大将軍については、6月7日時点で詳細は知りません。

前回、秦国の旧六大将軍は領土を広げながらも、なぜ国を亡ぼすまでの活躍ができなかったのかを、組織構造の歪み問題としてまとめました。具体的には、実質的な軍略を練っていた胡傷と、六将筆頭であった白起の力関係が問題になっていたのではという事です。では、どのようにすればより良く機能する組織になったのでしょう。

答えは簡単で、胡傷を軍総司令として、白起含め残り五将の上司にすればよかったのです。さらに、戦争の自由の権限をもう少し厳しく、限定的な自由を与えた方が良かったと考えます。戦争の自由は「#5:六大将軍における戦争の自由」でも述べましたが、物事をスムースに効率よく領土を拡大できるメリットがありました。しかし、ある程度領土を拡大した後に最後国を亡ぼす段階になると、武力だけではない、より戦略的な戦いが求められます。しかも、中華全土を見渡して、他国との力関係も重要になってきます。

例えば、白起軍と王騎軍が魏を滅ぼす寸前まで魏の領土を削ったとします。ここで重要なのが、1)最後どのように魏の王都大梁を攻め込み、どのような条件を突き付け降伏させるのか。2)どのように、周りの国々に邪魔をさせないようにするのか。の2点になります。

1)は誰もが考えるところですが、2)に関しては、全体図が見えている軍略家でないと適切な判断はできません。ここで、例えば楚を任されていた王齕が戦争の自由により、いつもと変わらず楚の城を攻めていては楚は魏を助けに何らかの策を仕掛けてきます。また、隣国の趙や韓、さらには遠国の燕や斉にまで根回しをしなければなりません。これらは、いくら優れた軍師でも現場にいる人間が出来る事ではありません。常に中華の地図を見て中華全体の戦略図を描いている軍総司令にしか描けない軍略になります。軍総司令が現場に出ると、どうしても全体の大事な所を見落としてしまう事があります。現趙国の李牧は良い例で、李牧はご存じの通り、(少し前までは)軍総司令件三大天で、軍総司令でありながら、各現場で指揮を執るスーパー将軍です。誰もが認める才能です。しかし、現場に良く出てるからこそ、後手になる事もしばしばあります。例えば、先の戦いでは、秦の鄴攻めを許してしまいました。もし、李牧が王都邯鄲で、軍総司令に徹していれば、鄴攻めのかなり初期段階で秦の進行を食い止める事ができたでしょう。これに関しては、李牧の問題というよりも趙国の悼襄王と言う残念な王が一番の問題でしたが、それも踏まえて策を練った昌平君の戦略勝ちになります。つまり、軍総司令はいかなる時も、王都で、全体の戦略を練る事に徹するのが一番重要だという事です。

李牧 5

会社でも同じ事が言えます。会社の規模が小さく、市場やそれに関わるプレーヤーが限られているときは、CEOやCOOは直接現場に出る事で、大きくビジネスを伸ばす事が出来ますが、複合的なビジネスを始めると、本社で全体図を把握し、指揮を執る人間が必要になってきます。もちろんCEOが兼務でも良いのですが、COOや経営戦略室の責任者に任せるのが理想の組織となります。

旧六大将軍時代の秦の理想の組織を会社に例えると、昭王:CEO、胡傷:COO、五大将軍:事業部長というのが、最もシンプルで機能したと思われます。

日本の会社の役員リストを見ると、様々な役職をやたら兼務して、何に重きを置いているのかわからないような人がいる事がありますが、正直あまり望ましい事とは思えません。自分の仕事を聞かれた時にエレベーターピッチではないですが、30秒で完結に応えられる職務でないとそもそも機能しません。

上下関係や役職を明確にする事で、責任の所在も明らかになります。多くの会社では、責任を取らずに押し付け合う文化が未だに見られます。誰が、何を、何の為に、誰の責任で、いつまでに行うのかを明確にするだけで、仕事は恐ろしくスムースかつ的確に動きます。管理職の方は自分が総司令と言う意識を持ち、しっかりとチームをマネージする事が求められます。漫画キングダムにはそのヒントがたくさん隠されています。

今回は旧六大将軍時代の理想の組織についてまとめました。次回は、現秦国の理想の組織についてまとめたいと思います。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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