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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #43:旧六大将軍の組織構造問題

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は43回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回#42では「呂不韋の経営論」というテーマで、史実でも様々な描写があり、キングダム前期で嬴政最大のライバルであった呂不韋の経営論についてまとめました。まだお読みでない方は、こちらのリンクよりご確認ください。

さて、今回は秦国の旧六大将軍(61巻までの最新巻ではまだ描写されていませんが、ヤングジャンプの最新話ではすでに新六大将軍の話が出ているみたいなので、王騎将軍含む、昭王時代の六大将軍を今回から旧六大将軍と呼びます。ちなみに私も単行本派なので、新六大将軍については、5月31日時点で詳細は知りません。)について様々考察したいと思います。

実は、この「漫画キングダムから学ぶ会社経営」というシリーズを書き始めたかなり初期に一度六大将軍の戦争の自由について、昭王との関係性をテーマにまとめています。まだお読みでない方はまずは、こちら「#5:六大将軍における戦争の自由」をお読みください。

「#5:六大将軍における戦争の自由」で、六大将軍に戦争の自由を与える事により、物事はスムースに効率良く進める事ができると述べました。しかし、秦は昭王の時代に、これほど強力な大将軍が6名もいたにも関わらず、領土を広げたものの、結局中華統一どころか、一国も滅ぼす事はできませんでした。それは、なぜでしょう。一言でいうと組織構造に問題があったからだと考えられます。

基本的に六大将軍は位は並列とは言え、六将の一人胡傷が実質的な戦略を練っていたと言われております。胡傷とは、現軍司令昌平君の師でもあり、頭脳だけで六将の一角に登りつめた軍略の天才と言われています。つまり、昭王の下で胡傷が軍司令のような役割で全国に目を向けつつ、細かい戦略や戦は各将に任せていた事が伺えます。しかし、ここで問題なのが、六将の一人白起が六将筆頭だったとの描写もあります。筆頭というのは、その中で優劣をつけるとするならば、一番手に当たる人を指します。位についての優劣はなくとも、筆頭と言われると基本的にその人を敬い、パワーバランスが出てしまう事があり得ます。ましてや、白起と言うと、長平での40万人の生き埋め殺戮など、頑固で融通が利かなそうな性格である事も想像できます。そんな人間が筆頭となると、胡傷が描いた戦略を本当に100%文句も言わずに遂行できていたのか疑問が生じます。ちょっとした事ですが、このような組織の歪みというのは全体に悪影響を及ぼします。

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例えば、会社においても、経営戦略室長の人が常務、営業本部長が(常務より)位がやや上の専務だったとしたら、経営戦略室長の人が描いた本社としての戦略を、文句も言わずにこの営業本部長の専務が聞き入れ、遂行するのか疑問が残ります。この二人の関係、及び周りに与える影響というのは何とも気持ち悪く、意見が食い違った時に上手くいかなそうな事が想像できます。

ビジネスも戦も大きくなればなるほど、各チームの活躍よりも、全体の組織構造が重要性を増します。昭王はCEOとして、前線まで出て各武将を鼓舞したり、いわゆるカリスマ国王であったことが伺えますが、逆にカリスマだからこそ、自分がいなくても、いなくなった後も上手く運営できる組織を作らなければなりません。「#16:後継者問題」でも挙げましたが、優秀な経営者というのは、自分がいなくなった後の後継者だけでなく、組織の事も常に考えておかなければなりません。

今回は王騎将軍含む旧六大将軍の組織構造の歪みについて触れました。次回は、ではより良い組織構造とは何なのかについて考えたいと思います。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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