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漫画キングダムから学ぶ会社経営  #5:六大将軍における戦争の自由

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。 

今回のテーマはみんな大好き「六大将軍」です。

漫画キングダムの2大テーマは、「秦王嬴政による中華統一」と、「信の天下の大将軍への出世物語」だと思います。その信が天下の大将軍を目指すにあたり、目標であり、超えるべき存在として毎回出てくるのが、かつての大将軍王騎です。王騎将軍は嬴政にも一瞬仕えましたが、人生の多くを戦神昭王と過ごしました。その時代の六大将軍がかつての秦六将と描写されており、回想シーンとして多く登場します。(スピンオフで六将時代の話でもやってくれたら、非常に盛り上がるんでしょうけど、原先生はお忙しいでしょうし、そもそもキングダム自体の終わりが見えないので無理でしょうね。)

さて、秦国六大将軍は、他の時代や他国の将軍達と何が違うのでしょうか。
それは単純に武力の違いではありません。武力だけで言うと、(漫画キングダムにおける)現在にも強い将軍はいますし、軍才に優れた将もいます。また、(六将時代の)他国にも三大天を中心に匹敵する将軍はいました。しかしながら、当時秦国が圧倒的に領土を広げたのは、紛れもなく彼らに「戦争の自由」が与えられていたからです。

現在も当時も当たり前ですが、どんな将も好き勝手に戦争をする事は禁じられています。そんな事を許してしまったらどこもかしこも無法地帯になってしまい、統制が取れません。逆に言うと、そういった時代を経て、ようやく戦国七雄時代に収まったと言えます。

これは、会社にとっても同じです。組織にいる以上、企業理念に則り、本社が打ち出した大きな戦略に従い、行動し貢献する事が求められます。
では、何故、昭王は彼ら六人の将軍に戦争の自由を与えたのでしょう。理由は二つあります。

1) 効率的であった。
当時は今と違い、情報の伝達手段が発達しておりません。遠く離れた将軍に指令を出すにせよ、早馬か、鳥を飛ばすかのどちらかでした。往復のやり取りをするのに少なくとも数日かかります。ですので、良い戦略を首都咸陽で描いても、最前線の将軍に伝えるのに、数日、もっと言うと、大戦ともなると伝えるだけでなく、議論を重ねる必要があるので、数週間から数か月かかると予想されます。仕事も戦争もスピードが重要なファクターを占めるのは疑いの余地がありませんが、これでは、いくら優れた戦略があり、優秀な将軍がいたとしても爆発的に領土を広げることができません。ですが、各エリアに優れた人材を配置し、彼らに戦略を考え実行させる権利を与えると、数倍の速さで物事が早く進みます。

2) 圧倒的な信頼関係にあった。
しかし、そのような自由を与えるには六将同士の信頼関係と共に、王や戦略本部との信頼関係も必要になってきます。この信頼関係が圧倒的に強かったのが、昭王と六将になります。昭王は戦神とも言われるくらい戦争が好きで、しばしば前線に出向いており、各将軍の癖、特徴のみならず、時には酒を交わす事により信頼関係を得ていたと推測できます。皆さんの会社でも、社長が社長室や本社からほとんど出ないで何をしているかわからない社長よりも、工場や現場を回って声をかけてくれる方が信頼関係が構築できると思います。この信頼関係により、情報は常に最新かつ疑いのない物、また、謀反などの心配もなく昭王を中心に国を治めかつ広げることができました。

これは、効率的に領土を広げる一方、組織の統率を取るのが難しいので基本的には諸刃の剣と言えますが、昭王は統率を信頼関係により保ち、効率よく領土を広げました。

昭王

では、ビジネスにおいてはどうでしょう。

全く同じことが言えます。現場の責任者(事業部長等)にある程度の権限をもたせビジネスを遂行する方が圧倒的にスピード感があり、効率性が高いと言えます。一方、経営陣はその責任者にはいちいち細かい事を報告をさせる必要がないほど、信頼していないと意味がありません。特に現代ビジネスにおいては多角的な事業展開が増えてきておりますので、この信頼関係はより重要になってきています。

また、これを遂行するには、各事業責任者は、経営陣の意図及び会社の方針を確実に理解する必要があります。その指針に従い、各自のビジネスセンスにおいて事業展開する事が求められます。また、もちろん、そのビジネスが失敗した際は責任を負う事が求められます(もちろん、成功したら、賞賛及び報酬を得ます)。つまり、そのビジネス領域において、社長並みの責任感と度量が求められます。ですので、このような事業展開では、分社化したり、同じ会社でもPresidentというタイトルで職務を行うケースが増えてきております。

このような、責任と役割を持たせた仕事形態というのは、欧米企業で多くみられます。それは事業部長レベルだけではなく、マネージャーレベルでも見られます。製品、ブランドに全ての権限を持たせてビジネスにスピード感を持って行うのと同時に、将来の社長候補を育てるのです。これは会社にとっても、やる気や能力がある社員にとっても魅力的でwin-winの関係と言えるでしょう。外資系出身の30代、40代が他社で活躍できるのには、このように若くして修羅場をくぐり、大きな責任を経験した事が大きな要因となります。日本の企業にもこのような経営体制が増える事を切に願っています。

長くなりましたが、今回は六大将軍とビジネスの関連性についてでした。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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