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漫画キングダムから学ぶ会社経営  #3:明確な企業理念と目標

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。

今回のテーマは「企業理念」についてです。

まず、企業理念について簡単に説明させていただきます。
企業理念とは、企業の活動方針の基礎となる基本的な考え方を言います。それを基に会社の短期的から中長期的な目標やゴールが設定され、さらにその目標やゴールを達成するための戦略が描かれます。一般的に企業理念はやや曖昧になる傾向がありますが、会社としての根幹であり、指標になります。
ちなみに英語ではMission Statementと表現する事が多いですね。

それでは、キングダムの秦国における企業理念は何でしょう。

理念という概念では、「武力行使の時代を終わらせ、戦争のない世の中にする。」という事になるでしょう。その手段として、中華統一という目標があげられます。さらに中華統一後の戦争のない世の中にする具体的な戦略として、法治国家という事が挙げられています。法治国家については、深い話なので、別の機会に深堀したいと思います。

上記でも触れましたが、ここで大切なのは理念と目標は違うという事です。理念は割と抽象的な事が多いのですが、目標はより具体的になります。ですので、多くの会社でも、企業理念を理解させるというよりは、ほとんどの社員向けには目標を大々的に掲げ落とし込ませます。ただし、役員クラスは固より当然ながら、本来ならばすべての社員はしっかりと企業理念を理解する必要があります。

キングダム秦国の場合、一見、理念である「戦争のない世の中」と目標の「(武力行使による)中華統一」は真逆の事に思え、漫画内でも何度かこの問答があります。しかし、呂不韋との最後のやりとり(39-40巻)でもあったように嬴政がこの矛盾と思える考えに対してはしっかりと説明をしております。この時印象的であったのが、嬴政は今後自分の側近になるであろう人物に理念やビジョンを聞かせているのです。しかも、相対する呂不韋陣営の人物も含めてです。これにより、蔡沢は心を打たれ、後に斉王・王建と秦王・嬴政の王同士によるトップ会談を実現させます(45巻)。李斯は法治国家の礎を築く事になります。トップの言葉で、理念やビジョンを明確に打ち出し、側近を同じステージに上げるというのは、確固たる経営陣を作り上げるのに最も重要な事になります。ちなみに、昌平君はこの問答の場にはおりませんでしたが、彼はすでに嬴政の考え、理念に自分の考えを照らし合わせており、すでに同じベクトルを向いておりました(#1:優秀なCOO、昌平君 参照)

また、過去の英傑達も中華統一の先に見える世の中をぼんやりと眺めていた事が伺えます。藺相如はその道の先に見える中華の何かを感じており、王騎も嬴政に同意したので、再び戦場に戻ってきます。

藺相如

逆にこれを理想論だと否を突き付けているのが、趙国の最大のライバル李牧や嬴政のライバルであった呂不韋になります。彼らは理想主義者ではなく現実主義者であり、この理想論の本質は言葉ではわかっていても、心の底からは理解できていません。これはどちらが正解という次元ではないと思います。現に、呂不韋が掲げていた、お金を中心とした世の中作りは現代社会に近いと感じます。

話を企業理念に戻します。

現在ではほぼすべての会社が企業理念なるものを持ち合わせており、公開しております。しかし、会社内での浸透率で言うと、非常に低く見受けられます。これは、日本企業に限らず、欧米企業でも同様の傾向が見られます。ここを甘く見ると、中長期的な会社経営をするにあたり大きな問題になってきます。経営者の皆様は、まずは、企業理念をしっかりと浸透させる事に時間を費やすべきではないでしょうか。社員の方々も、自社の事(製品やサービスではなく)をしっかりと理解する為に企業理念をじっくり眺めて考えてみてはいかがでしょうか。そもそも企業理念と自分の考えが合わないのであればその会社にいるべきではありません。

という訳で、今回は企業理念について触れました。深いテーマなので、今後もう少し深堀するかもしれません。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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