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漫画キングダムから学ぶ会社経営  #1:優秀なCOO、昌平君

連載15年、単行本58巻(2020年6月現在)、しかもまだまだ完結の気配が見えない、大人気漫画キングダム。面白いですよねー、いい歳した大人がこぞってハマっています。特に私の知り合いの経営に携わるほとんどの方々が熱心に読んでいます。

なぜ、キングダムはこれ程までにビジネスマン(特に経営層)に受けるのか。答えは簡単、キングダムはビジネス特に経営と似ており、共感し、学ぶことがあるからです。人は、自分の人生の役に立つことに関して興味を持たないはずはありません。

ここでは、毎回、キングダムと経営やビジネススキルの共通点及びそこから得られる学びについて触れたいと思います。毎回、様々な視点で話をしますので、議題があっちこっち飛ぶのはご容赦ください。また、キングダムを一回は読んだことを前提で、話を進めていきますので、まだの方は有給で休んででもまず58巻まで読んでください。また、史実とは異なる点があるかもしれませんが、そちらもご容赦ください。

それでは、栄えある第一回のテーマは「昌平君とCOO」についてです。
秦国の丞相兼軍総司令(58巻現在)の昌平君。イケメンもさることながら、頭のキレ、行動力、武力、すべてを兼ねそろえたまさに誰もが憧れるキャラクターです。

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政治でトップに立ち、かつ国の戦略を一手に担う、国の行栄を左右する最も大切なポジションです。会社でいうところの、COO(Chief Operation Officer)でしょう。秦国のCEO(Chief Executive Officer)は王様の嬴政になります。

現在多くの会社では、CEOと同等レベルでCOOの役務が重要になってきています。それは、会社が大きくなり、多角的なビジネスをするほど1トップの経営では人もビジネスも管理する事ができなくなってきているからです。表舞台に立ち目立つのはやはり会社の顔でもあるCEOですが、ほとんどの場合で、COOが戦略を練り、組織を操り、CEOがそれを最終決定する役割になってきています。その他、CFO(Chief Financial Officer)やCTO(Chief Technology Officer)などいわゆるCxO(Chief xxx Officer)が乱列していますが、CxOを束ねるのはCOOの役務になります。日本語で言うと、CEOは会長、COOは社長というのがしっくりくるかもしれません。

という訳で、昌平君が秦国におけるCOOであるというのは、恐らく誰も異論がないと思います。40巻までは呂不韋という圧倒的なCOOがいましたが、彼はご存じの通り失脚しました。これは別の回で触れたいと思いますが、成功する会社や経営者は呂不韋ではなく昌平君をCOOに置きたいと思うはずです。

ではなぜ、昌平君が優秀なCOOなのか。3つあると思います。

1) 机上の空論ではない。
昌平君はCOOなので、基本的には現場(戦場)に行って営業(戦い)をしたりはせず、その戦略を練る責任者です。ですので、まずは、頭の良さ、論理的思考能力、長期的な軍事戦略が必要になってきます。しかし、これら戦略作りにおいて何よりも大事なのは、経験です。机上の空論では現場は動きませんし、現実的かつ大胆な戦略は描けません。
最近は減りましたが、少し前まで、事業経験のない(もしくは非常に少ない)経営コンサルタントがよくいました。彼らは海外のMBAで学び、頭でっかちのまま、事業戦略のコンサル業務をしておりましたが、私の経験上、正直全く役に立ちませんでした。乱雑なデータ整理だけやってもらいました。MBAで学ぶ事には価値がありますが、それだけでは圧倒的に足りない事を彼らは知りません。経験と学びは表裏一体の関係であり、優秀なビジネスマンは双方兼ねそろえています。
昌平君もただの軍師上がりではありません。昔はあの蒙武よりも強かったと、現場を誰よりも知る一人なのです。

2) 強い信念がある。
COOレベルではさすがにあまりいませんが、部長レベルでは、自分の考えが薄く、浅く、上部や会社の言いなりで仕事をしている人を多く見かけます。会社という組織にいる以上、すべて自分の思い通りとはいきませんが、自分の信念や、主となる方向性がない人は部下もついてきませんし、大成する事はありません。
昌平君は、長く呂不韋に仕えていました。呂不韋に才能を見出してもらい、才能を開花させたのです。ですが、呂不韋失脚の直前に彼を裏切り、嬴政サイドに付きます。これは、見方によっては、酷い裏切りで、また、結果的に呂不韋の失脚直前ですので、上手く逃げたと思う方もいるかもしれませんが、彼が呂不韋から嬴政サイドに移ったのは、自分の信念が嬴政と同じだったからです。客観的にみれば、呂不韋側の圧倒的優位なあの場面での裏切りは、得策には見えません。しかし、昌平君は自分の目標と同じ考えを持った嬴政に付いたのです。
人は信念を持った熱い人を慕います。会社のトップ層には欠かせない事です。昌平君 2

3) 後進の育成。
よく、仕事はできるし圧倒的なカリスマ性はあるが、後進の育成を怠って、引退後に会社が傾くという事が起きます。会社が大きければ大きいほど、またリーダーがスーパー経営者程陥りやすい罠です。理屈ではわかっていても、後進の育成の優先順位が低くなってしまう経営者は良い経営者とは言えません。
昌平君はこの点に関しても、怠りません。彼は軍事学校を開いており(恐らく、基は国から依頼されたのではなく、自身で開き、結果、国認定の軍事学校になった)、そこの校長兼直接指導も行っております。卒業生には蒙恬、河了貂など、若手の優秀な人材がすでに活躍しております。当時の状況では、自分の部下には経験や知識を継承するが、門戸を大きく開き幅広く教育し組織の底上げをする事はあまりなかったように見受けられますが、昌平君はそれもやってしまうのです。これは時間と手間がかかり典型的な「言うは易く行うは難し」です。

漫画の世界とは言え(昌平君自身は実在)、これほどCOOとして最適な人間は当時も今もいないでしょう。

昌平君の言動だけでも本が一冊書けそうなので、また出てくると思います。

とりあえず、今回は昌平君とCOOについてでした。

また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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