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創作・物語

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これまでに書き上げた創作作品や、物語風に綴った日常を集めています。楽しいひと時のお供ができたら嬉しいです。
運営しているクリエイター

#ショートショート

透明の美学

何かと何かをくっつける。 それが、僕の仕事。 あるときは、壊れたものを修理する。破れた絵…

吉村伊織
2年前
15

オコッタイマー

胸につけてるマークが言うぜ。 「さあ、ショータイムの始まりだ」 発動時間は30秒。 パパの意…

吉村伊織
2年前
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げんきえんぴつ

1年生になって最初の国語の授業は、校長先生が一人ずつえんぴつを配ることから始まった。 「み…

吉村伊織
2年前
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瓶の中の黒電話

「ねえ、みてもいい?」 「ああ、いいよ。」 あやかが聞くと、おばあが答えた。町はずれの日本…

吉村伊織
2年前
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ショートショートnote杯に向けて書いたお話たち

10月1日から今日(11月14日)まで、1ヶ月半にわたって開催された「ショートショートnote杯」。…

吉村伊織
2年前
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空飛ぶストレート【ショートショート】

「あ」 おっちゃんが言った。僕が振り向いたら、 「ぶっ」 公園で知り合ったおっちゃんは、よ…

吉村伊織
2年前
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数学ギョウザ【ショートショート】

「まさかここまで広がるなんて、僕が一番びっくりしています。」 インタビューに答えているのは、数学博士の桐山氏。巷で話題の『数学ギョウザプロジェクト』が、雑誌の特集記事になる。 原点は、桐山博士の子ども時代。兄弟4人と両親、祖母の7人家族だった桐山家では、よく手作りギョウザを食べた。毎回のように、何個食べたかで兄弟ゲンカをしながら。 長男の博士は、一人当たりの個数を計算して話し合うほか、ひき肉の牛と豚の割合や、肉と野菜の比率、皮に対する具の量の計算に興味を持ち、そこから数の世

ぼくがかんがえたさいきょうのマスク

見た目がカッコイイのは当然。 赤、青、黒、グレイ、白、の5色から、その日の気分で好きな色…

吉村伊織
2年前
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君に贈る火星の【ショートショート】

花火がドンと鳴る瞬間、ビクッと体が反応した。だけど、おじいちゃんにもらった黒い石をギュッ…

吉村伊織
2年前
16

アナログバイリンガル【ショートショート】

少年と少女が、丘の上のベンチで風に吹かれながら話している。時は、205X年。ふたりの間には、…

吉村伊織
2年前
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違法の冷蔵庫【ショートショート】

『高級プリン』と正面のタッチパネルに入力し、冷蔵庫のドアを開けた。現れたのは、予約3ヶ月…

吉村伊織
2年前
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コロコロ変わる名探偵【ショートショート】

いつしか人は、親しみを込めてこう呼ぶようになっていた。 「名探偵コロン」 見た目はサイコロ…

吉村伊織
2年前
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河童の川下り【ショートショート】

「どうだ、そろそろお前も一人でやってみるか。普通は素人から鍛えたら5年はかかるが、お前は…

吉村伊織
2年前
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待ち受け画面のつぶやき【ショートショート】

あ、また、ため息。 何回目だろ。 ちっともご利益ないって、オレのせいにされても知らんし。 だいたい、せっかくいい絵を描いてもらったのに、その効果を自分で打ち消してるって気づいてないのかな。 アプリ?まぁ、必要なのは分かるよ。でも、そんなに使うの? ちっちゃな丸いのを、いくつもいくつもばら撒いてるもんだから、絵が隠れてしまってる。 何が描いてあるか分からんって、クイズ番組でもあるまいし。 この絵はさ、職人さんが心を込めて描いてくれた、貴重なものなの。 見た人が、大切なこと