空飛ぶストレート【ショートショート】
「あ」
おっちゃんが言った。僕が振り向いたら、
「ぶっ」
公園で知り合ったおっちゃんは、よくおならをこく。子どもの頃は、おならで空を飛べたらしい。僕はウソだと思う。だけど、おっちゃんは気になることを言う。
「ウソだと思うなら、それでいい。あとで飛びたくなっても知らんけどな。」
とりあえずやり方だけ教えてやると、こんなことを話し始めた。
「コツは3つ。まず、まっすぐに体を立てる。背中と腰が曲がったら、力が逃げて飛べん。次に、まっすぐに空を見上げる。空の中心に向かっていくイメージで、発射や。」
僕の目は、空を見ていた。おっちゃんのケツが、また鳴った。
「最後が一番重要や。まっすぐに、信じる気持ち。俺は飛べる。誰がなんと言おうと、自分がそう信じる。自分が疑ったら、おしまいよ。」
僕は、息を飲んでいた。
「人には言わん方がええぞ。大概のもんは、バカにする。そしたら、ダメかもしれんて思うやろ。雑音は気にするな。まっすぐに、ストレートや。」
-了(410字)-
◇
お題にそった410字以内のショートショートを投稿する、「 #ショートショートnote杯 」。
応募作品、第5号が出来ました。今回は、『空飛ぶストレート』。
カッコいいのを書きたいとずっと考えてたけど、行き着いたのはこれでした。きっかけになったのは、三男が学校から持ち帰ってきたサツマイモ。
イモと言えば・・・、と思考が働いた結果、生まれたのがこの話。
クスッとしてもらえたら嬉しいです。
「 ショートショートnote杯 」の締め切りは、11月14日。
興味がある人は、まだすべり込めますよ。
ショートショートは、来週以降も書き続けます。お付き合いいただけると嬉しいです。
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