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違法の冷蔵庫【ショートショート】

『高級プリン』と正面のタッチパネルに入力し、冷蔵庫のドアを開けた。現れたのは、予約3ヶ月待ちの話題のプリン。
「おぉ、本物だよ。すげえな、これ。」
男は不気味に笑いながら、プリンを食べた。
闇市場で手に入れた冷蔵庫には、空間転送システムが組み込まれている。タッチパネルで入力したものを空間サーチし、どこかの冷蔵庫につながる仕組みだ。

「のども渇いてきたな。」
次は、『アイスコーヒー』。グラスに注ぎ、ゴクゴクと喉を鳴らす。

「夜の楽しみに、酒でも用意しとくか。」
迷いなく『ワイン』を取り出し、テーブルに置いた。すっかり気を大きくした男は、闇商人の言葉を忘れていた。
「この冷蔵庫を使えるのは、1日3回まで。それを超えたら、絶対にバレる。」

「つまみは、これだな。」
『チーズ』と入力し、冷蔵庫を開けた瞬間、ドアが消えて部屋が別の空間につながった。目の前にいたのは、警察官。
「お前もあの冷蔵庫を使ったな。盗みの現行犯で、逮捕する。」

ー了ー

お題にそった410字以内のショートショートを投稿する、「 #ショートショートnote杯 」。

応募作品、第1号ができました!

選んだお題は、「違法の冷蔵庫」。

なにかの物語を考えることは何とかできるけど、指定された410字以内で完結するものとなると、難しかったです。
2週間かけて、ようやくひとつ書き上げることができました。

構想を膨らませて、書いてみて、削る。
短い物語は、余計なものを削るのが難しい。でも、諦めずに手を入れたら、なんとか収まった。
ということは、知らず知らずのうちに無駄なものがくっ付いている証拠だと思います。文章に向き合う、いい訓練になりますね。

もちろん、ただ短くするだけでなく、おもしろいくないといけない。まずは自分が読んで楽しめるものでなければ。
今回は、とりあえず書きたいと思ったストーリーを書けたので、良しとします。

「 ショートショートnote杯 」の締め切りは、11月14日。あと一ヶ月あります。他のお題にも挑戦して書いてみます。

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