事業計画101①事業計画とは何か?
こんにちは!
株式会社プロフィナンスの木村 義弘です!
20年弱の経験とノウハウをまとめた「魂の事業計画講座」(全体像見出しはこちら)の連載を始めましたが、各所から温かいお言葉を頂き嬉しく思っています。
連載開始時、読者の皆様が一番悩むであろう、また読みたいと思っていただけるのではないか、という内容から売上高の設計から始めました。
その後、コストの考え方についてもご紹介しましたが、今回は改めて基本に立ち返り、「そもそも事業計画とは?」というポイントについてご紹介いたします。
本記事の内容はワークショップでも前フリ・導入部分になるため、退屈かな…と思って毎回ドキドキしてご説明するパートです。ただ実際にワークショップ等を行うと「事業計画を作る意義がわかった」と意外にご評価いただけるポイントでもあります。
起業家の方であれば「投資家の方に求められて」、
社内新規事業の方であれば「社内決裁で必要で」、
と、どちらにしても受け身なところからスタートしがちな事業計画。
本記事を通じて「事業計画を作る意味・意義」をご理解いただき、「いっちょやってみっかぁ!」と前のめりに事業計画作成に取り組んで頂けることを目指しています。
本記事でわかること
まずは、本記事を通じて読者の方が何を得られるのかご提示します。
事業計画とは
事業計画
そもそも事業計画とは何でしょうか?
折角なので、この問いを考えるべく、「事業計画」という言葉を構成する「事業」と「計画」に分けて考えていきましょう。
まぁ、そうですよね(苦笑)。
では、事業とは何でしょうか?
これは…深い質問ですね(笑)。
厳密には経営学者の皆様にお譲りしたいと思いますので、読者の皆様と「目線合わせ」を目的に、私なりに言語化した定義をこちらに記します。
大切なのは、「価値を創出」した上で、その価値創出に関与したステークホルダーに還元していくことだと考えています。
以上を踏まえて、事業計画についても目線を合わせましょう。
いかがでしょうか?
事業とはなにか、事業計画とはなにか、それ自体深淵な問いですが、目線合わせのために定義を記しました。
もちろん議論を深めるため、異論・反論ドシドシ頂ければ幸いです!
(よろしければ Twitter…あらため、Xの著者アカウント宛で!)
本連載で扱う事業計画
一言に事業計画といっても、人によって意味は異なるかもしれません。
本連載では(すでに他の記事を御覧頂いている読者の方はお察しの通り)、「数字の計画」を扱います。
実務上、さまざまな会話の中で語られるとき、事業計画には「広義の事業計画」と「狭義の事業計画」があります。
広義の事業計画では、いわゆるビジネスモデルや顧客、マーケティング戦略に対する定性的な説明と、どれくらいの収益を生み、どれくらいの利益を生み出すか、という定量的な説明(というか表計算)が含まれます。
一方、狭義の事業計画では、後者、つまり定量部分のみを表します。たとえば銀行や金融機関の方と議論する中で事業計画が求められた場合、この数字の部分を指しています。
本記事・本連載では、主に後者の「狭義の事業計画」に焦点を置いています。狭義の事業計画に含まれない定性的な部分については、他に素晴らしい書籍・記事が多数存在しますので、あえて私が語る必要もないでしょう。
しかし、どの書籍や記事も定量化部分については、十分に解説されているとは言えず、ミッシング・ピース(足りない部分)となっています。この穴を埋めるのが本連載(であり、執筆中の書籍)です。
事業計画の役割
さて、そんな事業計画、どんな役割があるのでしょうか?
長年事業計画作成に携わって私が至った考え。
事業計画には大きく4つの役割がある、ということです。
一つひとつ見ていきましょう!
事業アイデアの整理ツールとして
まず、事業計画に取り組むことによって、自分の事業アイデアを様々な観点で考察・可視化することができる、アイデア整理ツールとしての役割があります。
世の中に数多く出版されている「事業計画の作り方」という書籍を手に取ると、「目次」に書かれていることが一定共通していることがわかります。
つまり「事業計画に何を書かなければならないか」について一定の共通の見解・観点があるということです。そして、その観点は「事業を成功させるために必要な要素」として導かれているものです。
別の言い方をするなら、「事業を推進するにはこういうことを考える必要がある」というフレームワークであるとも言えるでしょう。
もちろん、必ずしも全ての観点を埋める・考え尽くす必要はありません。「あ、ここ考えてなかったけど大事だな」、「実際やってみたらどうなるかな」という不確実性やリスク、仮説を自身で認識することが大切です。
コミュニケーションツールとして
事業アイデアを整理したら、次はどうしましょう?
一緒にこの事業に取り組んでくれる仲間が必要かもしれません。「とりあえず●●ってビジネス立ち上げようと思うんだけど一緒にやってよ」といって、「OK!いいよ!」と二つ返事でYESをくれるとは限りません。
また、資金が追加で必要な場合、投資家や銀行の方に対して説明する必要があります。
そういった「関わってくれる人々(=ステークホルダー)」に誠意をもって自身の事業を説明するために事業計画は存在します。
実行支援ツールとして
アイデアも整理できた。仲間も集めることができた。
さぁ、いよいよ実行だ!価値を実現していこう!
で……何からやろうか ……え?笑
ということで、事業計画でアイデアを可視化して整理していくことで、何からやろうか、実行を進める上での指針を得られます。ちゃんと作れば作るほど、中身が分厚くなって、「あれ、なんて考えていたっけ?」ということもあります。私はあります(笑)。そういったときに事業計画に立ち返ればよいのです。
達成したい目標が明示されており、そのために何をしたらよいか、何がまだ不明(=不確実性)かを認識することができます。
事業計画は、「事業の地図」とか「羅針盤」に喩えられたりしますが、その通りですね。
仮説検証ツールとして
最後に、「仮説検証ツール」ですが、この側面が最も大切なのではないか、と個人的には考えています。
結局、計画だけで終わったらもったいない!
「最初計画で考えていた不確実なこと(=仮説)は正しかったのかどうか / 何をどう修正すればよいのか」を見極める必要があります。
なんとなく100万円売り上げて「よかったね」で終わるのではなく、「こうしたら100万円の売上になるのではないか」ということを考えて、実行していかないとその100万円はラッキーパンチかもしれません。もちろん事業家としては運を見方につけるのも大事です。しかし、運はあくまで「初速」です。運に恵まれたのならば、その運を掴んだ上で、そのあと「運でなくする」取り組みが必要となります。
100万円を売り上げるのに、こういうマーケティングをした。1000人集めようと思ったが、実際には500人だった。しかし計画していた成約率10%より高く20%という結果になった。では、次はもう少しマーケティングに投資をしたら伸びるのではないか。それって費用対効果としてはよりよくなるのかどうか。
「やってみないと分からない」ことに一旦の自分なりの根拠を持って考えを可視化する。まさしく仮説構築です。この仮説を実行によって検証する。そして何が異なっていたかを知る。仮説構築~検証のサイクルを廻していくことで、真に事業計画を意味あるものにすることができます。
こういう一連の取り組みを続けていくことで「事業成長の再現性」を高めていくことができます。これはまさしく計画を作り、検証をしていくことによってこそできることです。
事業計画は作らなくてよい?
こんなに事業計画推しの著者でも、世の中に存在する全ての企業は事業計画を作るべきである、なんて思っていません。
よく「事業計画作らなくてよい/作るべき」論争もありますが、この論争自体が無意味です。
結論は至ってシンプル。
事業成長を目指すなら不完全でも事業計画を作り、磨いていくことが大切
事業成長を求めてない?
それなら事業計画は必須ではありません。
事業計画は前述の通り、アイデアを整理し、そのアイデアを誰かに伝え、計画に基づき実行し、その計画に含めた仮説を検証するツールです。
事業成長を考えるのであればよりストレッチした目標を掲げ、その目標を達成するためにはどんなリソース、どんな施策が必要か仮説を構築します。高い目標をすぐに達成することは難しいかもしれません。しかし、その高い目標に挑戦し続け、仮説検証を繰り返すことによって高みに至るのです。
ただ、いきなり「完璧で素晴らしい計画」を作る必要はありません。
そんなに身構えなくてもいいんです。むしろ成長を続けていく限り、計画は「見直し続けられる」運命にあります。
もし完璧な事業計画ができたとしたら、事業計画で本当に大切となる要素、「成長性」が欠けてしまうでしょう。完璧であることは「不確実性」を排除します。そうなると「成長の余白」、つまり「伸びしろ」が含まれなくなってしまいます。それは計画ではなく、ただの「マニュアル」です。
今回の記事では、「事業計画とは何か、何故作る必要があるのか」に焦点を置きました。
今までやらされている感があった事業計画を作るという取り組みに、少し前向きに取り組めるようになったかも、と思っていただけたのであれば嬉しいです。
我々が開発・提供しているプロダクトVividir(ビビディア)は、「前のめりになったけど実際に作るのはしんどいな」と思った方の味方です!
Vividir自体、「事業計画をもっと楽しく取り組めるように」という想いを込めて開発しています。
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まとめ
事業計画とは、価値創出に向けて、必要となりうる経営資源を特定し、どのようなステークホルダーを迎え、どんな取り組みが必要かを明らかにし、その結果どれだけの価値を創出しうるのかの見立てを記したもの
事業計画には、アイデア整理ツール、コミュニケーションツール、実行支援ツール、仮説検証ツールの4つの役割がある
事業成長を目指す場合は、将来の不確実性に対する仮説を明らかにするため、不完全でも作るのがよい
次回予告
「確かに、事業計画作る意義はわかってきたけど、結局ブレるじゃん」
そうお考えの方も多いでしょう。
事業計画が何故ブレるのか。
そして、そもそも「よい事業計画とはどんなものか?」
次回の「事業計画101②」で解き明かします。
では、次の連載記事まで、ごきげんよう!
本連載、是非フォローをお願いします!
まずは売上の計画を作らなくちゃ!コストについて考えなくちゃ!という方は過去のこちらの記事を御覧ください。
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