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枝瀬優
2021年12月30日 16:37
電子レンジで温めなかった惣菜のからあげ気の抜けた三ツ矢サイダー削ってすぐに折れた2Bの鉛筆あと一歩のところで点滅する信号TLが更新されない平日昼間のTwitterピントが合っていなかった夕日の写真冷たくなっていく理科室の机夕日がなめらかに滲む黒板日誌に記される誰かの今日グランドからきこえる野球部の掛け声リズムよく響く卓球のラリー職員室から溢れる珈琲の香り下駄箱にきれいに揃え
2021年11月22日 16:40
理科室の窓から覗く裏庭園芸部の育てている夏野菜の小さな畑不格好でもおいしい未熟でなにも知らなくても許されるわたしたち如雨露で恵みの雨を束の間の魔法使いごっこホースの先をぎゅっと握って遠くに水撒き用務員のおじさんはいつでもいるのにいつもいなくてきょうも落ち葉がまとめられている花壇の隅にアルコールランプの炎はいつも妖しい蓋を被せて消すとき息をとめた
2021年8月31日 18:22
美術室の隣の音楽室重い扉を引けば天井が高く臙脂色に囲まれた空間すべての教室にある机や椅子たちは違和感として存在していて五線譜黒板にらくがきすることなんだか躊躇われていつだって綺麗で長いチョークが並んでる夜中に絵画の音楽家たちが奏でるピアノ聴きたくて忍び込んだ8月31日
2021年8月21日 15:12
校舎裏のプール夏限定で僕たちの学校生活の一部となる去年の一年生が育てた朝顔が今年はプールのフェンスに絡まって植物係だけが青い花を見ていた朝直射日光に焦げるプールサイドをともだちの肩つかみながら走らないように心だけ走って塩素のにおいと泳げない僕の夏の記憶のにおい
2021年6月22日 12:51
下駄箱からスニーカーがなくなった放課後廊下の蛍光灯がつく前の夕方未満の校内踊り場にたまる影はどこまでも深い闇で職員室からおとなとこどもの境界線をつくる珈琲の香り音楽室の窓から吹奏楽部の未完成な曲が校庭にゆるやかに響く校舎と体育館を繋ぐ廊下を脱線して、上履きのまま裏庭にでる生活の時間に植えた朝顔が眠っていた
2021年4月19日 20:41
午後の道徳の授業命や死について学ぶとききまって同級生の親友の死を語ってくる先生がいた名前も顔も声も知らないその親友の最期を聴かされるわたしたち不慮の事故だってわたしたちは話の中盤にはもう飽きていて途中から涙ぐみながら語る先生はいつだって不気味で感動ポルノ監督気分で教壇に立つ死にたいクラスメートは窓際の席からグラウンドを見つめて下級生の持久走を眺めていて一周遅れのあの子は世界の理