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五年目

13
2023年
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#エッセイ

しゃけ

すきなおにぎりの具は?と訊かれたら「鮭」と答えるけれど、それは母の作る鮭おにぎり一択だ。コンビニやその他のお店の鮭おにぎりはあまり得意ではない。
母の作るそれは鮭が柔らかく甘塩っぱく、すこし柔めの白米で握られたもので、海苔もパリパリではなくてふにゃっとしていて食べたときに白米と馴染む。あと、ちょっと大きい。まだすこし温かい時に食べるのがベスト。だからか初めてコンビニの鮭おにぎりを食べたときは衝撃だ

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あなたはだれ

あなたはだれ

人の名前が覚えられない
学生時代から今の職場までとにかく覚えられない、まず初対面で名乗られたくらいの関係だとほぼインプットされない、顔を覚えるのに必死で、だから誰かが○○さんってさ~と話してきても○○さん、どれだ?あの人かもしれないけど違う人かもしれないと不安になってしまうし、○○さんを呼んできてと頼まれてわたしのなかの顔データベースと一致させるのに時間がかかるし、その人を見つけても本当に○○さん

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はる

春、あなたのぬくもりが曖昧になる、すこしの不安と僕の存在も曖昧になった気がして心地がいい、まろやかな風が、匂いが僕たちの棘をまるくする、あたたかいというだけで安心してしまうこと、冬の間だけ末端冷え性なあなたの指先がちゃんと熱をもつ、桜吹雪のなかにみたあなたは神様みたい、春というだけでなにかのスタートラインに立たなければいけない、出逢わなければいけない、新しい僕にならないといけない、この苦しさを花粉

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破壊の後始末

ドラマや映画で感情が爆発した主人公が暴れてその場をめちゃくちゃにするシーンに一瞬憧れたりするけれど(箱入り息子の恋でそんなシーンがあった気がする、それがいちばん刺さってる)、あれって暴れ狂ってるときは破壊することしか考えていないからいいけれど、終わって冷静になった瞬間に絶望しかないよね、大切なものまで壊れていたり、この惨状を片付けるのも自分だし、うっかり怪我をしていたらもう最悪、黒歴史決定、本棚に

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