マガジンのカバー画像

道草植物図鑑

21
運営しているクリエイター

記事一覧

道草植物図鑑No.1「ツユクサ」

道草植物図鑑No.1「ツユクサ」

私が1番好きな草本は、ツユクサです。
「なんて品のある花なんだろう!」が第一印象。

藍染のような濃淡のある青は、
太陽の光を受けて、慎ましやかに輝きます。

"ツユクサ (露草)" という名前も、上品さを感じさせる理由のひとつ。

梅雨の時期に咲くから、とか

早朝に花が咲いて、昼頃には萎んでしまう様子が
朝露みたいだから、とか

いくつか説があるようですが、
梅雨の雨でしっとり濡れる様子も、本

もっとみる
道草植物図鑑No.2「オオイヌノフグリ」

道草植物図鑑No.2「オオイヌノフグリ」

なんてことない空き地の隅っこ。
気づけば、瑠璃色の小さな花畑ができあがっていました。
思わずしゃがみ込んで、春の訪れにわくわく。

オオイヌノフグリ

別名は「星の瞳」
「キャッツアイ」という英名もあるそうです。
言われてみれば、溌剌と輝く瞳に見えてくるような気がします。

きらきらした、たくさんの瞳に見上げられていると思うと、なんだか照れくさいですね。

そんな瞳のようなオオイヌノフグリの花には

もっとみる
道草植物図鑑No.3 「スギナ(ツクシ)」

道草植物図鑑No.3 「スギナ(ツクシ)」

見つけると、こんなにも嬉しくなる植物は他にない!
そう断言できる。
子どもの頃は、春になると誰よりも早く見つけてやる!と意気込んでいたし、見つけたらみんなに自慢していました。

そして、それは今も変わりません。
ツクシを見つけたら、道ゆく人に「ここにツクシが生えていますよ!」と言いたくなります。

ところで、ツクシとスギナは地下で繋がった同じ植物だと知った時、
少しびっくりした記憶があります。

もっとみる
道草植物図鑑No.4「キュウリグサ」

道草植物図鑑No.4「キュウリグサ」

名前を知るまでは、意識すらしたことのなかった花。
花の大きさは2〜3ミリととっても小さくて、
普通に歩いていたら、咲いていることも気づかずに素通りしてしまいます...!

その名も「キュウリグサ」。
キュウリ要素はどこにもないのに、どうして?
という好奇心でいっきに興味が湧く、いい名前!

名前の由来は「葉を揉むとキュウリの匂いがするから」らしいのですが、植物ってだいたいキュウリっぽい匂いな気がす

もっとみる
道草植物図鑑No.5「シロツメクサ」

道草植物図鑑No.5「シロツメクサ」

正式な名前は「シロツメクサ」ですが、
子どものころはクローバーと呼んでいました。

近所の空き地で目を皿のようにして探し、
いそいそと持って帰り、
ティッシュに挟んで、大量の事典を上に載せて、
四葉のクローバーの押し花をつくる。
小さい頃から馴染みの深い植物です。

積み上がった事典を早くどけたくて、
暇さえあれば覗いてみたりしていました。

シロツメクサといえば、花冠も定番ですね!

どこにでも

もっとみる
道草植物図鑑No.6「ゲンゲ(レンゲ)」

道草植物図鑑No.6「ゲンゲ(レンゲ)」

私が初めてこの植物を目にしたのは、いわゆる里山と呼ばれるような場所でした。

周囲はぐるり畑と林。
土と緑の爽やかな香りや、木々が鳴らすざわざわという音は、普段なかなか意識に上らない感覚です。

畑の畔に、目を惹く紅色の花が咲いていました。

レンゲの花、童謡などで聞き馴染みはあるけれど見る機会は意外と少ない!
「これがレンゲか〜!」と感動した覚えがあります。
ちなみに正式名称は「ゲンゲ」だそうで

もっとみる
道草植物図鑑No.7「カタバミ」

道草植物図鑑No.7「カタバミ」

こんな植物初めてみた!という人はきっと少ない、どこにでも生育している種。

ホームセンターなどに行くと、「オキザリス」という名前で園芸品種が売られています。

ハート型の葉、レモンイエローの可憐なお花は
確かに可愛いけど、面白みのない形。
見慣れすぎているせいか、そんなに興味を惹かれたことがありませんでした。

実を見るまでは!

なんだか不思議な形をしています。
ロケットみたい!

よく見てみた

もっとみる
道草植物図鑑No.8「アメリカフウロ」

道草植物図鑑No.8「アメリカフウロ」

その名前からもわかる通り、アメリカ原産の帰化植物です。
日本で生育する個体は草丈10〜40cmと
わりかし小ぶりですが、
本場アメリカだと80cmになる個体もあるそうです!
巨大なアメリカフウロ、ひとめ拝んでみたい。

1番の特徴は、深く切れこんだ葉でしょうか?

見慣れてくると、葉だけでも比較的簡単にアメリカフウロだ!とわかるようになります。

そして私が1番感動したのは、その実の形。

まっす

もっとみる
道草植物図鑑No.9「コハコベ」

道草植物図鑑No.9「コハコベ」

毛むくじゃらの生き物ってどうしてあんなに可愛いのでしょうか?

実用的な面では、毛は体温の維持、皮膚の保護などの役割を担っているそうですが、
もふもふは見るも可愛い触るも可愛い、
最強の装備だと思います。

そして毛といえば、動物!
という思い込みがあったのですが、
実はそうではないということに、植物に興味を持ってから気づきました。
植物にだって普通に毛が生えているし、
毛むくじゃらもたくさんいる

もっとみる
道草植物図鑑No.10「オオバコ」

道草植物図鑑No.10「オオバコ」

「尊敬する植物はなんですか?」
もしそんな質問があるとすれば、
私は「オオバコ」と答えます。

踏まれてもへこたれない、逞しい植物としてよく知られていますね!

中国名は「車前草」。
車(馬車)がよく通る場所に生育していることから、この名前がついたそうです。

また、山で道に迷ったらオオバコを辿れば人家に辿り着くなんていう言い伝えもあるそうです。

実際に登山道では、どう考えたって人に踏み潰されて

もっとみる
道草植物図鑑No.11「ネジバナ」

道草植物図鑑No.11「ネジバナ」

螺旋状に巻いた、フリルのようなピンクの花序は職人さんの手仕事のよう。

なにか特別なこだわりを持って造られたんじゃないかと、つい思ってしまいます。

さらにひとつひとつの花をよく見ると、ガラス細工のように繊細!

見つけたら、ぜひ手に取ってじっくり観察してほしいお花です!

さて、ネジバナはラン科の植物です。
ランというと、お花屋さんや植物園で見るイメージがありますが、
ネジバナは公園や空き地など

もっとみる
道草植物図鑑No.12「コミカンソウ」

道草植物図鑑No.12「コミカンソウ」

一歩外に出ただけで感じるむわっとした熱気。
しゃがんで道端の草を眺めているだけなのに、だらだら流れる汗。

夏の道草観察は、気合いがいる。
どうしても外に出るのが億劫になってしまう。

けれども、夏はこの植物に出会える。
その名も「コミカンソウ」!

ぱっと見はオジギソウのような姿形ですが、
オジギソウとは違うコミカンソウ科の植物です。
(オジギソウはマメ科)

この植物を見つけたら、まず目線を植

もっとみる
道草植物図鑑No.13「セイバンモロコシ」

道草植物図鑑No.13「セイバンモロコシ」

大空に向かってすくっと伸びた、存在感のある草姿。
赤みを帯びた花も空の青によく映え、綺麗で目を惹きます。

名前は「セイバンモロコシ」
イネ科の多年草です。

私は植物のことを勉強するまで、イネ科の植物は全て「イネ科」というざっくりした認識でした。
実際には驚くほど種類が多いのです。

さらに、至極当たり前のことなのですが、
イネ科にも「花」があることは私にとってとても新鮮な発見でした。
「花=可

もっとみる
道草植物図鑑No.14「ヤブガラシ」

道草植物図鑑No.14「ヤブガラシ」

まだまだ暑い日が続きそうですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
これから季節が進んで、秋になると紅葉が楽しみですね。

瑞々しい青から、落ち着いた赤や黄色へ
葉の色の変化は、視覚的に四季の移ろいを感じさせてくれます。

ただ、色が変わるのは葉っぱだけではありません。
「花の色」が変わる植物もいるのです!
私が花の色の変化を知るきっかけとなったのが、この植物。

ヤブガラシ
ツル性の多年草です。

もっとみる