見出し画像

道草植物図鑑No.7「カタバミ」

こんな植物初めてみた!という人はきっと少ない、どこにでも生育している種。

ホームセンターなどに行くと、「オキザリス」という名前で園芸品種が売られています。

ハート型の葉、レモンイエローの可憐なお花は
確かに可愛いけど、面白みのない形。
見慣れすぎているせいか、そんなに興味を惹かれたことがありませんでした。

実を見るまでは!

なんだか不思議な形をしています。
ロケットみたい!

よく見てみたいと、そっと手に取ると...

なんか出てきたー!
勢いよく、パンっと飛び出してきます。

これがカタバミの種子散布戦略。
種子を包む白い袋は、内側の皮が種子の成長に伴って大きくなる一方で、外側の皮の大きさは変わりません。

内側からぎゅうぎゅうと押されている実は、
ふとした衝撃で爆ぜるように種子を撒き散らすのです。

しかもこの種子、小さくてネバネバしているのでいつのまにか服にくっついています。

また、雨の日にお出かけしてカタバミを観察してみると、花を閉じていることがわかります。
訪花昆虫が訪れる可能性の低い雨の日には、花粉が無駄にならないように花を閉じるそうです。

雨の日


こちらはオッタチカタバミというカタバミの仲間です。茎が立ち上がっているので、「オッタチ」カタバミ。
夜になると、葉っぱを閉じていました。

カタバミの名前の由来は、この葉を閉じた様子が葉を半分食べられてしまった(片喰)ようにみえるからだそうです。

水分が蒸発しないようにするためや、
夜間の放射冷却によって熱が逃げないようにするためなどの説があるようです。

「夜は光合成できないし、雨の日は昆虫も来ない。それなら無駄に水分や熱や花粉を失ってしまうのはもったいない!」ということでしょうか?

周囲の状況にあわせて、柔軟に対応しています!意外と倹約家でたくましい植物。
すぐに面白くないと判断せずに、ちゃんと知ろうとすることはとても大切ですね。


カタバミ
Oxalis corniculata
カタバミ科カタバミ属

在来一年または多年草
花時期 : 4〜10月
生育地 : 路傍、畑地、空き地など


オッタチカタバミ
Oxalis dillenii
カタバミ科カタバミ属

北アメリカ原産多年草
花時期 : 4〜10月
生育地 : 路傍、畑地、空き地など


出典 : 身近な雑草の愉快な生きかた/稲垣栄洋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?