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人の心を動かすのは、共感である。

多くの人に刺さる言葉を書きたい。

商品やサービスと向き合うコピーライターが常日頃より思っていることです。「刺さる」という言い方は、広告業界ならではかもしれません。もう少し噛み砕いて言うと、「心に響く」「心を動かす」ということ。

では、人に刺さる言葉ってどんなものだと思いますか?

共感が興味を連れてくる

広告をつくる上で必要不可欠なのは、商品やサービスを利用するターゲットの気持ちを想像すること。人の心を動かそうと思ったら、人の心がどんなときに動くか考えねばいけません。

わたしが今まで広告について学び教わってきた中で、一番人の心を動かすのは「共感」です。

共感を生み出すことで、商品やサービスに親しみを持ってもらうことができます。

広告業界では、これを「自分ごと化」と言います。

自分ごと化は、ターゲットの見方を変える重要な要素です。

知らない・興味のない商品やサービス

<自分ごと化>

「関係がある」「必要である」「大切である」
モノ・コトになる

みなさんTwitterはやっていますか?やっていたら、自分がいいねしたツイートを見返してみてください。だれかの発信した言葉に共感して、ハートを押しているはず。noteのスキもそうです。

SNS以外の話だと、街頭演説も同じです。選挙が始まると、候補者が駅前などでスピーチしていますよね。国民の前で政策を主張して、共感を促しています。聞いた人がマニフェストに共感して賛同すれば、当選の一票につながります。

共感とは、それほど人の心を動かす強い感情なのです。

続いて、個人的に気になった「共感」を呼んだ事例を3つご紹介します。

みんな言えなかった「かぜで休みます」

去年の秋、Twitterでこんなツイートがバズりました。

シオノギヘルスケアのパイロンPLシリーズの中吊り広告です。

「かぜの時は、お家で休もう!」

体調が悪かったら会社を休みたい。みんな思ってはいるけれど、風邪ぐらいで休んではいけないという見えない圧も感じる。社会人って簡単には休めませんよね。

でも、体を壊したら元も子もない。ツイート主も言っていますが、当たり前のことを企業がやっと発信したのです。おそらくコロナの影響も大きいでしょう。

今までの広告ではどうしても言いにくかったことだと思います。きっと以前はコピーを考えた人も、この商品を売る企業の人も「じゃあ、わたし風邪だから今日は休みます」とは言えずに働いていたのではないかと。

仕事と健康の関係で、多くの人が長年抱えていた気持ちを広告が代弁したことで、16.2万ものいいねを集めたのです。

女性雑誌の服が買えない

わたしは学生の頃からファッション雑誌を読むのが好きです。でも、読みながら「いいな」と思った服の値段を見て、いつもこう思っていました。

「高っっっ」

肩を落としました。当たり前かのように、高校生向けの雑誌に1万円以上する服が載っている。大したお小遣いもないわたしには服にそこまでお金をかける余裕はなく、ファッション雑誌はすてきな服を眺める写真集となっていました。

このモヤモヤをだれかに吐き出すこともなく、時は経ち...タイムラインに突然このツイートが流れてきました。

20代向けの雑誌にのってる服は
20代向けの金額とは思えない。

「わかるーーー!!!」

「そうそう、よくぞ言ってくれた」と心の底から同意しました。

これ、ツイート主が考えた言葉かと思ったら、2006年の雑誌広告でコピーライターの松田脩さんが考えたものでした。

同じコピーライターの方が、わたしがずっと思っていたことを代弁してくれていたんだなぁとうれしくなりました。個人的にとても刺さった言葉です。

世代を超える「おふくろの味」

私事で恐縮ですが、「餃子を増やす母と減らす娘」という記事にたくさんの反応をいただきました!noteの注目記事に取り上げていただくなど、わたしにとって人生初のバズに近いような体験です。

後から自分なりに解釈してみて、「おふくろの味(家庭の味)」というテーマが刺さったのではないか?と思います。

もらった感想では、自分も親という人が、わたしの母と同じ気持ちになっていたり。娘側の立場でお母さんの行動に「わかる!」と言ってもらえたり。

共感を狙って記事を書いたわけではありませんが、親と食の関係にまつわる、”あるある”みたいなものに読んでくれた人が惹かれたのではないかと。

反応をもらって気づけたことなので、大変勉強になりました。読んでくださったみなさま、ありがとうございます!

共感を探すためのヒント

「共感」がとても重要であることはご理解いただけたかと思います。

「人が共感するものを書けばいいんだ!」
「でも、何が共感につながるんだろう?」

理屈がわかっても、うまく言葉としてアウトプットするのは、実際には難しいもの。

広告をつくるときも、コピーで表現する前に企画やマーケティングの段階から、共感する要素を模索しています。

気をつけないといけないのは、「こう言えば共感するでしょ?」「こういうの好きでしょ?」と上から目線の姿勢で書くと、読む人がそれを感じ取って、ネガティブに受け取られます。ひどいと炎上につながるんですが...それについては別の機会に記事にしたいと思います。

ポジティブな共感を見つけるには、生活の中でアンテナを張る必要があります。例えば、以下のようなものが参考になります。

・自分の感情
いいねしたツイート、ほしいと思った物、人に勧めたくなったご飯屋。自分に刺さった=心が動いた瞬間はどんなときですか?
・人との会話
同じ話題でも、人によって意見はさまざま。他人と話す中で、話題に対する興味や価値観、自分にはない視点を発見することができます。
・ニュースや新聞など世間の情報
世の中の流れを知ることは、時代の価値観の変化に気づくことにつながります。かぜ薬の広告は、時代の空気を汲み取った事例と言えます。

感じたことを”なんとなく”で終わらせるのではなく、「なぜそう思ったか?」自分なりに理由を考えることで、人が共感するポイントに気づけるようになります。

”なんとなく”をきちんと言語化するための方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

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それでは、また。


文:ハギ

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