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日記じゃないもの

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日記以外をまとめたものです。
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#コラム

魚行きて水濁る

魚行きて水濁る

   例えば、繁華街の少し入り組んだところを歩いている。奥まった路地に二つ折りの黒い財布が落ちているのを見つけた。お金がない私は出来心でその財布を手に取る。まわりに人はいない。中身を見ると3万と2000円入っている。さてどうしよう。

   私はここで葛藤する。人間に罪悪感というストッパーがついているからだ。これのせいで大変動きづらい。ときに道徳的な、非常に曖昧なところでこれが出ると私は悔しい。だ

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素直になるか、煙に巻くか

素直になるか、煙に巻くか

 もうそのアカウントごとなくなってしまったが、一か月前にここで突然ある方に絡まれたことがあった。それで気になって、そのアカウントを覗いてみると、なにがそうさせるのかその人は一日に50本も100本も投稿をしていて、突然おかしなことを聞いてくるのもどこか納得という感じだった。

 それが、どうか同じ類いの人間と思われたくないというくらい、本音にトゲでも付けたような本当に理解できない過激な批判(というか

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善意のこと

善意のこと

 人間はやはりその節々になにか企んでいるような気がしてならない。無意識に行う善意の正体とはいったい何なのだろう。善意にもなにか裏があるようである。こうなると人間不信の一歩手前だ。しかし、それがいかようであっても私はそれを改めたいわけではない。ただ、肯定して赦す。これも言ってしまうとやさしさなどではない。 

 私が他者を赦すのは、もしものときに私もまた他者から赦してもらうためである。ならば、この憎

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愛をはかる人たち

愛をはかる人たち

 子どもには人間の基礎が詰まっている。親戚の子どもなどを見ていると、それが意図せず漏れ出るので見てて面白い。 

 子どもは無邪気なふりをするのがうまい。腹の底で思っていることは、たぶん私と違わないはずなのにである。こうなると、見た目は大事なんだと嫌でも思わされる。 

 やつらはモノをよくねだる。私もそうであった。さして欲しくもないモノに駄々をこねて、親が愛想を尽かせてどこかへ行ってしまうと、泣

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