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日記じゃないもの

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日記以外をまとめたものです。
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2022年4月の記事一覧

魚行きて水濁る

魚行きて水濁る

   例えば、繁華街の少し入り組んだところを歩いている。奥まった路地に二つ折りの黒い財布が落ちているのを見つけた。お金がない私は出来心でその財布を手に取る。まわりに人はいない。中身を見ると3万と2000円入っている。さてどうしよう。

   私はここで葛藤する。人間に罪悪感というストッパーがついているからだ。これのせいで大変動きづらい。ときに道徳的な、非常に曖昧なところでこれが出ると私は悔しい。だ

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何も言えなくて…30

何も言えなくて…30

・何も言えなくて…夏

・何も言えなくて…おっととっと夏だぜ

・何も言えなくて…村にダムできる

・何も言えなくて…ストリートバスケ

・何も言えなくて…ダンクシュート

・何も言えなくて…お会計

・何も言えなくて…草

・何も言えなくて…草超えて森

・何も言えなくて…村の風習

・何も言えなくて…法廷

・何も言えなくて…控訴

・何も言えなくて…志摩スペイン村

・何も言えなくて…4人で

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素直になるか、煙に巻くか

素直になるか、煙に巻くか

 もうそのアカウントごとなくなってしまったが、一か月前にここで突然ある方に絡まれたことがあった。それで気になって、そのアカウントを覗いてみると、なにがそうさせるのかその人は一日に50本も100本も投稿をしていて、突然おかしなことを聞いてくるのもどこか納得という感じだった。

 それが、どうか同じ類いの人間と思われたくないというくらい、本音にトゲでも付けたような本当に理解できない過激な批判(というか

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善意のこと

善意のこと

 人間はやはりその節々になにか企んでいるような気がしてならない。無意識に行う善意の正体とはいったい何なのだろう。善意にもなにか裏があるようである。こうなると人間不信の一歩手前だ。しかし、それがいかようであっても私はそれを改めたいわけではない。ただ、肯定して赦す。これも言ってしまうとやさしさなどではない。 

 私が他者を赦すのは、もしものときに私もまた他者から赦してもらうためである。ならば、この憎

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継続は

継続は

 色味のない屋内の市民プールを泳ぐ。気の済むまでひとしきり泳いで、さて休むかとプールから上がる。隅の方にあったベンチへ歩み寄るとこれがぐっしょりと濡れている。妙な気持ち悪さを覚えるが、恐る恐るでも腰を下ろせば、なぜかすっかり平気になる。

 そうして、ずっと向こうの白いタイル張りの壁をぼんやり眺めていると、視界の端に他の泳ぐのが目に入る。少し呼吸も整ったので、もう一度泳ぐことにして、再びプールに足

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