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3万円の勉強代

皆さん、待ちに待った金曜日の夜。




しかも、会社によっては、今夜が長期連休の入口という方も。



そんな胸躍る夜に、私から心のこもったクリスマスプレゼント(笑)。



とっておきのお話を、有料記事にてお送りしたいと思います。






今回お話するのは、10年前の就職氷河期時代。



単に、社会から撥ねつけられたのみならず、
長い間、ずっと抱き続けた夢をズタズタに引き裂かれた、
大変メモリアルな出来事を(笑)、皆さんと振り返っていきましょう。








30年間、不況のトンネルから抜けることができない日本。



人生のほとんどを、不況に塗りつぶされた我々は、
リーマンショックの煽りを受け、直近25年間で、
最低の内定率を記録した、2011年3月の大卒組です。



(参考)厚生労働省 「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」




大学4年間、バイトを続けた個別指導塾では、
先輩が就活帰りに、スーツ姿で出勤してきたこともあり、
「就活は大変だよ、覚悟した方が良いよ」などと言われ、
当時は何も分からず、漠然とした不安を感じたのを覚えています。



大学3年の夏辺りからは、友人がほぼいなかった自分ですら(笑)、
周囲がソワソワし始めたのを、肌身に感じるようになります。



中学時代からの夢は、シンガーソングライターになることでしたが、
まぁ、それはそれとして(笑)、普通に会社員として働きながら、
安定した収入を得つつ、音楽活動もやれたらと考えていました。



"音楽一本で、俺は生きていくんだ"という人によくありがちな、
その日暮らしの極貧生活や、醸し出される悲壮感みたいなものが、
たまらなく嫌だと感じる気持ちが(笑)、当時の自分にはありました。



誰から習ったわけでもなく、頭の中で作詞作曲をしていた自分。



人と会話しても、社会で流行っているものを見ても、
何ら面白いと思えなかった自分にとっては、
音楽だけは、自由で楽しくて、無限の夢に溢れた世界でした。



キラキラした幸せな宇宙を、ずっと笑顔のまま泳いでいたい。



食うや食わずの生活で、苦しみながら無理やり続けるといった、
そんな音楽に対する向き合い方など、当時は考えられませんでした。



普通に会社に入って、そこそこ働いて、土日は休んで、
普通に生活できる収入を、安定して得ながら暮らす生活。



才能がある人は、会社員生活の空き時間でも名曲を生み出し、
世の中に、その名を刻みつけることはできると思っていました。







社会のことは、今一つよく分かっていませんでしたが、
アメリカの金融機関が潰れたことによる大規模な不況が、
世界を覆い尽くし、日本もその影響を多大に受けている、
そんな様子を、周囲から何となく伝え聞く毎日。



早めに動くに越したことはないと、大学3年の夏から、
色んな業種の企業の1dayインターンなどに参加することに。



ネット業界、旅行業界、証券業界、…様々な業種に顔を出し、
簿記2級を持っていたため、経理職志望として、
ありとあらゆる企業の説明会や面接に応募し続けました。



バイト代は、みるみる交通費に消えていき(笑)、
1日に3社も説明会を入れた日は、もう自分が今、
何の会社を訪問しているのかも、分からなくなっていました。



社会人経験もない自分に、何がアピールできるでもなく、
会社研究・業界研究なんて言われて、本やネットを調べても、
それぞれの会社の強みなど、さっぱり見つけることはできません。



説明会に参加した企業だけなら、少なくとも200社は受けました。



その後、書類が運良く通って、面接に進んだ企業も、
おそらく70~80社はゆうに超えていたと思います。



しかし、面接になると、志望動機が上手く準備できず、
自己PRも大したものがなく、概ね1次面接で落とされました。



"下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる"ということわざも、
就職活動においては、必ずしも当てはまるとは言えません。



100社以上受けて、全く内定が取れそうな気配もなく、
気付いた時には、大学4年の夏を迎えていました。







両親の期待に応え、小中高大すべて公立に進学したものの、
結局、大学時代の後半は、家の居心地が本当に悪かったです。



幼少期から、両親に強く当たられることが多く、
正直、この人達とどう会話すれば良いのか、
全く答えが見つからず、日頃からストレスを感じていましたが、
就職が上手くいかない自分に対し、両親は呆れた様子でした。



有名上場企業に就職し、20代で職場結婚。



転職経験すらない両親は、挫折ばかり繰り返す息子を見て、
愚かで無能な、恥ずかしい人間だと思っていたのかもしれません。



1年間、何十社も面接を受けては、その度に、
"どこの業種の、何という企業を受けて落ちたのか"を、
逐一報告させられ、イライラした態度を取られました。







かれこれ、100社以上もの説明会に足を運び、
面接も数十社受けましたが、何の手応えもなかった1年。



その間、就職サイトを複数登録していましたが、
膨大な競争相手と同じ土俵で戦っていては、
1社あたり"若干名"しか出されない内定を獲得するなど、
夢のまた夢のように感じていた私。





少しアプローチを変えようと、SNS上で社員募集をしていた、
ある音楽業界の企業に、応募を試みました。




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