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読書感想 三島由紀夫 「豊穣の海」

今回は
「豊穣の海」について
三島文学の集大成であり
遺作となった四部作
春の雪
奔馬
暁の寺
天人五衰
四作品の読書感想を書かせて頂きます。

新潮文庫四部作


三島作品を全て読了後に最後に豊穣の海を読みました。なので、三島文学の流れ、歴史を頭に入れた上での感想となります。

まず全体の印象として
緻密さは三島作品の中で最上でした。
「小説」「純文学」という枠を越えたんだなと思いました。
四作品共にラスト6ページ辺りの締め括り方が異常なレベルに到達しています。
始まりの「春の雪」
終わりの「天人五衰」
この二作品はかなり読みやすかったです。
とは言っても難関なテキストかとも思いますが、豊穣の海に関して言えば読みやすいです。
二部三部の奔馬、暁の寺は仏教や歴史的な説明、解釈が長々と入ってきたりで、なかなか本当に純文学や三島文学に慣れ親しんでいないと読み進めるのが大変かも知れません。

三島文学の魅力は、生と死、美と醜、瞬間のエクスタシー、読者に学びを強いる。
これらが魅力なので、そういう意味で遺作らしく、全てが完全に内包されています。

内容をザッと説明すると、
各時代の主人公、清顕、勲、月光姫、透。そして全ての相手役でありもう一人の主人公本多の物語で、輪廻天生を主軸としたストーリーです。
各話の主人公達の美しくも儚い生き方が胸を打ちます。
生きる事、生きる意味、美しさの脆さと尊さをまざまざと見せつけられ、これ程魅せられ、引き込まれるものだろうかと驚いてしまう作品群でした。
春の雪 どこまでも美しく儚い。
奔馬 純粋な疾走が胸に迫ります。
暁の寺 哀愁が止まりません。
天人五衰 もはや言葉になりません。

涙を流しながら読了致しました。
こんな作品に出会えた事、
素晴らしい時間を過ごせた事、
とても幸せに思います。

最後に
もし、まだ三島文学を未読の方が読まれる場合は、「命売ります」や「レター教室」「美しい星」「潮騒」辺りからがオススメです。

魅力を感じた場合、ある程度後に、
豊穣の海。最高です!!!!

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