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茅ヶ崎市にて古書店を開業しました。 店の話しや、読書感想など。 「ビブリアの部屋 葉隠…

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茅ヶ崎市にて古書店を開業しました。 店の話しや、読書感想など。 「ビブリアの部屋 葉隠れ書房」

最近の記事

自筆短編 「江島詣」

江島詣(えじまもうで) これは、私の知らない母の妹の話し。名前は義子さんと言う。その人は日記を書いていて、それを読んだ母が聞かせてくれた話しだ。 またあの夢をみた。 私の背後にしぶきの様な緑の光を感じながら、ぼんやりと人影が現れて、その姿が視界に入って哀愁が込み上げて泣いてしまう。 目が覚めると頬が濡れていた。 病室のベッド。 今日も退屈な一日が始まる。 肺の病を煩いこんな転落をするとは夢にも思わなかった。 朝起きると、新聞でバスケットの記事を探すのが日課になっている

    • 読書感想 三島由紀夫 「潮騒」

      青春小説の金字塔と言われ、映画化も度々されたタイトル、また三島由紀夫の書籍は文庫だけでも2400万部以上を販売している中で、発行部数は1位の金閣寺に次ぐ2位がこの潮騒となっております。 初版は昭和29年6月10日新潮社より刊行 また、隠れたエピソードとして、三島本人はこの書籍が売れた事にショックを受けたという作品で、そちらに関しては後程ご説明させて頂きます。 舞台は三重県の伊勢湾に位置する歌島という社会から隔離された様な漁村での話し。この島は現在は神島という名前で、三島自

      • 読書感想 三島由紀夫 「鏡子の家」

        三島由紀夫の傑作長編。 単行本は前半後半の二冊構成で、新潮文庫では一冊で出版されています。 1959年(昭和34年)刊行で三島中期の代表的作品の一つです。 あらすじ 資産家の令嬢である鏡子。その家に集まってくる四人の若者。それぞれが人生の巨大な壁の前に為す術もなく立ちつくしていた。世界滅亡と狡猾さを信じるサラリーマン清一郎、大学ボクシング部の選手峻吉、画家の夏雄、無名俳優の収。今をいかに生き、先をどう見据えたらよいのか、四人四色の自信と葛藤の中、事ある毎に鏡子の家に向かう。

        • 開業より1ヶ月 太宰治「晩年」特別展示 &取材記事

          葉隠れ書房 茅ヶ崎市菱沼一丁目18-18 この度太宰治の晩年を特別展示する事になりました!!! 湘南経済新聞にて取材、記事にして頂きました。 特別展示に伴い太宰治コーナー彩り豊かになっております。 この機会にぜひ晩年を観にお越し下さい。

        自筆短編 「江島詣」

          読書感想 太宰治 「斜陽」

          今回は太宰治の斜陽について書かせて頂きます。 太宰治を改めて人気作家に押し上げた、ベストセラー小説。 初出 文芸誌『新潮』にて掲載 単行本初版発行は1947年 昭和22年 新潮社 あらすじ この作品により、後に「斜陽族」という言葉が生まれた、貴族の没落と、「デカダン」という虚無感や退廃的な人物、若しくは作家、集会。 このふたつが主軸となる内容で、シンプルに言うと斜陽とは=話しの中心となる元貴族の母、娘、息子が、戦中から戦後という時代の流れの中で、金銭的に一市民化していく

          読書感想 太宰治 「斜陽」

          自筆短編 「ある若者の物語」

          短編小説になります。 駄文で恐縮ですが、一読頂けたら幸いです。 「ある若者の物語」 ※2018年某メディアインタビューと、 その後の取材を底本にして。 前書き 著者が、あるメディア取材で出会った一人の若者の話しの顛末が、あまりにも興味を引かれ、何度も足を運び、その数奇な生き方に、取材という形であれ触れる事が出来て大変嬉しく思う。決して大きな成功者とは言えなくとも、この様な「人」にスポットを当てる事は、記事を書くという生業をする者としての本分であると感じている。 どんな時も

          自筆短編 「ある若者の物語」

          読書感想 三島由紀夫 「豊穣の海」

          今回は 「豊穣の海」について 三島文学の集大成であり 遺作となった四部作 春の雪 奔馬 暁の寺 天人五衰 四作品の読書感想を書かせて頂きます。 三島作品を全て読了後に最後に豊穣の海を読みました。なので、三島文学の流れ、歴史を頭に入れた上での感想となります。 まず全体の印象として 緻密さは三島作品の中で最上でした。 「小説」「純文学」という枠を越えたんだなと思いました。 四作品共にラスト6ページ辺りの締め括り方が異常なレベルに到達しています。 始まりの「春の雪」 終わりの「

          読書感想 三島由紀夫 「豊穣の海」

          古書店開業5日目

          開業後、やはり現代作家の文庫しか売れていませんでしたが、本日三島作品がついにご購入されました。 記念すべき初!!お買い上げ、三島作品書籍こちらになります。 自殺をしそこなった羽仁男の前には、何だかカラッポな、すばらしい自由な世界がひらけた。 永遠につづくと思われた毎日がポツリと切れて、何事も可能になったような気がした。 -作中文より- 三島没後40年以上が経ち、近年突然売

          古書店開業5日目

          本日オープン致しました!

          6月10日無事開業出来ました。 ⬆️私です。 告知等もしてなかったので、目標販売数は1冊でしたw で、結果は、3冊売れました!!!やった!!! 6名様が来店 内3名様が購入でした。 浅田次郎1冊 森見登美彦1冊 宮沢賢治1冊 皆さん話しかけて来て下さって、 一人一人お話ししながら本を選ぶ様な雰囲気でした。初日から感動してしまったのは、女性のお客様で、中2の息子さんが読む本なくなっちゃったから本買って、と言う流れで、何がいいですかね?とお話し頂いて、あれこれ好みを聞いたりしなが

          本日オープン致しました!

          6月10日になんとか開業出来そうです!

          6月7日 いよいよ最終段階に入って参りました。 他の仕事もあるので夜始めて気がつけば深夜2時半。 「ビブリアの部屋 葉隠れ書房」 茅ヶ崎市菱沼一丁目18-18 営業時間などは明日最終決定する予定です。 もう店舗は増やしたりしないので、私の最後の出店となります。 最後の店作りが古書店になるとは夢にも思いませんでしたが、ここに辿り着けて良かった。 自分自身が悩み苦しんだ時期に本に救われた様に、「本」が誰かの何かのきっかけになる、あの本と出会えなければ、あの本に出会ったから。 本

          6月10日になんとか開業出来そうです!

          古書店ほぼ完成です!!

          6月2日 写真右側の壁一面に造作でアクリルの展示スペースを作りました。 それにブックスタンドを釘でひとつひとつ打って固定をした仕様です。 ここは三島由紀夫コーナーです。本を飾るのが楽しみ。 ガラスショーケース探しが少し苦戦しました。 新品だと高くて全く予算が合わず、リサイクル品でなんとか2台手に入れられました(カウンター横の白い物と、右奥角に置いてある物です。) あと、アパレルをやっている友人から木材の飾り棚を頂いて、なかなかユーモラスで可愛いです。 明日から荷物の運び込み

          古書店ほぼ完成です!!

          古書店出来てきました!

          外観 5月22日 いよいよ完成に近づいて参りました。 元々は電気さんだった店舗を古書店に作り変える作業です。 写真の通り外観は既存のおしゃれさを活かして塗装のみで仕上げてみました。 内装はラーチ材という木板仕上げで、低予算で雰囲気を作ってみました。 今回は古書店なので、外観は「物語の入口」を演出してグリーンに、内装は「色」を少なくして、本を引き立たせる設えにしてみました。 これから抜いて高くした天井の塗装をして、あとは壁のショーケース等を造作して、その後インテリアに入ってい

          古書店出来てきました!

          古書店を開業します!!

          2024年5月1日 一年探しに探した店舗物件がとうとう決まりました。今5月中旬、まさにお店作りをしている真っ最中です!! これからリアルタイムに古書店の開業、古書店経営をNoteに綴っていこうと思っています。 本屋さんの現状 古書店を開業するというのは、この令和の時代になかなか珍しいチャレンジになる様です。 まず、書籍業界の現状として、全国の書店数は1万918店で、10年前と比べて、4600店が閉店しているそうで、特に小規模な個人店が大きく減り続けているそうです。 このまま

          古書店を開業します!!