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資格起業家になる!成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方

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資格起業家になる!成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方

すべてはここから始まった
2005年に日本実業出版社より刊行された「資格起業家になる!成功する『超高収益ビジネスモデル』のつくり方」。LEGALBACKS(旧経営天才塾)の原点となった書籍。2019年全文無料公開。

「資格起業家になる!成功する『超高収益ビジネスモデル』のつくり方」は本記事ですべて読むことが可能ですが、書籍でも販売しています。手元に置き、書籍として読みたい場合は、こちらからお買い求めください。

プロローグ 資格を取れば人生安泰?

「資格を取れば人生安泰」という伝説は20世紀でなくなりました。そして「資格業は努力次第で成功できる」も間違いだったのです。

「資格を取れば人生安泰」、そう信じて私は資格を取りました。それも国家資格です。そして独立起業。結果としてどうだったか。成功どころか、電話のひとつも鳴りません。収入はゼロ。資格を取っただけでは無意味だということがわかりました。

「資格業は努力次第で成功できる」と聞いた私は、マーケティングを学び、営業をしました。その結果、資格業の仕事は入ってきました。ところが、寝る間もないほど忙しい割には、想像していたほど、収入は増えなかったのです。

「おかしい、自分が思い描いていた成功とまったく違う。資格で起業するというのは、まるで広大な砂漠の中から1粒のダイヤを拾い続けるようなものじゃないか……」

そして、私はあることに気がついたのです。資格業の仕事は、自分でコントロールしにくいビジネスであること、完全労働集約型のビジネスであること。つまり、正攻法で起業し、必死に営業しても、資格業は稼ぎにくいビジネスモデルなのです。

では、資格業だと成功できないのでしょうか? そんなことはありません。正しい方法で、きちんと戦略を立てていけば、超高収益のビジネスモデルをつくることができます。しかもそのビジネスモデルは、資格を持っていないと実現できません。

「資格を取ったら、それで食べていけるのでしょうか?」

行政書士の仕事をしている私のところには、よくこうした質問が寄せられます。これから資格試験を受けようとする人、すでに試験に合格した人からもです。

私自身も資格を取る前は疑問に思っていました。とある資格のガイドブックを見ると「行政書士で見込める年収は500万~1000万円。努力次第でそれ以上も可能」と書いてありましたが、受験当時はまだ実際に本物の行政書士を見たこともなく、本当に稼げるようになるのかとても心配でした。

私は23歳のときに行政書士という資格で起業しました。これまでの経験から質問に答えると、

「資格だけではまったく食べていけません」

ということになります。

断言します。資格を取ったからといって、それで生活できる保証はまったくありません。

ひと昔前、資格にまつわる伝説がありました。それは、「手に職。資格を取れば人生は安泰である」というものです。

まだ大学生だった私はこの伝説を真剣に信じ、わき目もふらずに勉強をして、国家資格である行政書士の資格を取得しました。そして「これで私の人生はバラ色だ」と真剣に思っていました。

ところが、いざ起業してみるとそんなことはまったくありませんでした。

もう一度言いますが、資格だけでは稼げません。どんな資格でも同じです。

よく考えれば当然のことです。私が資格を取ったことを知っているのは、その当時、私の家族と友人のみ。これでは仕事を依頼されるはずがありません。

世の中には行政書士のほかにも、社会保険労務士、税理士、中小企業診断士、司法書士、弁理士など、たくさんの資格業があります。

ところが資格業には、起業してもまったく稼げない「貧乏資格業」と、資格業で起業してからガンガン稼ぎ、“先生”と尊敬される「金持ち資格業」の2つのタイプがあります。

同じ資格を持っているからといって、誰もがみんな同じように稼いでいるわけではありません。稼げる行政書士もいればまったく稼げない行政書士もいます。それは、社会保険労務士でも税理士でも同じです。

同じ資格を持っているにもかかわらず、この違いはいったい何なのでしょうか。経験の違いでしょうか。人脈の違いでしょうか。それとも資金の違いでしょうか。いいえ、そうではありません。資格で起業して成功するのは、資格の差でも経験の差でも、人脈の差でもありません。

答えは簡単です。それは、資格業をビジネスとしてきちんととらえているかどうか。たったこれだけなのです。

資格があろうがなかろうが、起業するということは「仕事をして収入を得ること」です。新しくビジネスをはじめる人は毎日のように現れています。ラーメン屋や居酒屋などの飲食店をはじめる人もいれば、ウェブデザインやシステム開発といったIT企業を立ち上げる人もいます。

資格業以外の起業家が、「ラーメン屋で成功できますか?」「ウェブデザインで稼げますか?」と誰かに相談することはありません。個人の責任と意志で起業しているからです。そして日夜、必死に営業活動をし、競合他者との生き残りをかけて戦っているのです。

資格で起業することも、これとまったく変わりません。資格を取って起業し、成功できるかどうかはあなた次第なのです。資格業をひとつのビジネスとしてとらえ、そのために経営者としての能力や営業やマーケティングのノウハウを学び、実践していく……先人たちはこうして成功していったのです。

つまり、どの資格なら成功できて、どの資格では成功しにくいといった噂(年収データなど)は気にしなくても大丈夫です。

実は、このような「資格を持っているだけでは成功しない」という考え方が最近の常識になりつつあります。

私は比較的新しくこの業界に参入してきたために、はっきりとはわかりませんが、「資格業は営業なんてするもんじゃない」と豪語する人がいたという伝説もあるくらいですから、ある意味、非常に画期的な変化です。

資格業も営業やマーケティングのノウハウを勉強し、ひとつのビジネスとして実践すれば、起業して成功することはそれほど難しくはないのです。月収30万~50万円くらいまでは、きちんとマーケティングを実践することで必ず実現できます。ですから、これから資格を取ろうと考えている人や資格で起業したいと考えている人は安心してください。

ところで、あなたが目指しているのは「そこそこ稼げる資格業」でしょうか? 本音をいえば、起業1年目から年収1000万円以上稼げる「金持ち資格業」ではありませんか?

実は、資格業で起業し、努力で稼げるのは「そこそこ」です。つまり、1日に十何時間労働したからといって、1年で2000万円も3000万円も稼げることはあり得ません。営業やマーケティングのノウハウを身につけ、資格業に生かしても、稼げるのは月収30万~50万円くらいまでで、“プチ成功”です。しかも、この段階に達するのさえ、1年も2年もかかります。

つまり、どんなに努力をしてわき目もふらずに取り組んだとしても、「想像を超える」ほどの成果は出ないのです。

いまや資格業の世界でも、営業やマーケティングの話題がのぼるのは当たり前のことになりました。そして勉強家が多いですから、そこそこの収益を上げる人も増えています。しかし、売上の限界がくるのは早いのです。

努力した結果、売上が上がったとしましょう。ひとりではじめると、月収70万~80万円くらいから、とても忙しくなります。寝る間も惜しんで働いて70万~80万円の月収で、経費を差し引くと、利益は半分も出ればいいほうです。土日祝日休みで40万円の安定したサラリーをもらうことと大差ないのです。むしろ、サラリーをもらうほうが安定していて楽かもしれません。

では、実際に「金持ち資格業」になる方法はあるのでしょうか?

その質問に、私は自信を持って「YES」と答えます。その方法こそが、本書でお伝えする「資格起業家」になることなのです。本書では、この資格起業家を「資格で起業する人」ではなく、「資格を起点とした事業を行う起業家」として解説しています。資格起業家になれば、資格の種類に関係なく、増収増益を上げることができます。

「どうしたら仕事を獲得できるのですか?」

本格的に営業やマーケティングのノウハウを学んで、実践すると、こうした質問をする人が増えてきます。特にこれから資格で起業しようという人に多いのです。冒頭の質問よりも素晴らしく進歩した内容ですが、この発想自体がすでに間違っているのです。

まずは資格業の性質をしっかり押さえる必要があります。

資格起業家は、「資格業の仕事を獲得するためのビジネスは何だろうか?」と考え、その方法を実践しつつ、資格業の仕事を獲得できる増収増益のビジネスモデルを構築していきます。

「資格業の仕事を獲得するためには、広告費をかけることだ!」などと思っていませんでしたか? 増収増益を実現できる資格起業家は、営業活動をする前に、その前提となる「戦略」を考えるのです。

資格業では、正しい戦略をまずつくり、そこに向かって努力をすることが求められます。つまり、「正しい方向に向かって努力する」ことで、大きく成功できるというわけです。

あなたが目指すのは、もちろん「貧乏資格業」ではなく「金持ち資格業」ですよね?

そのためには「資格起業家」になって、正しい努力の方向を決めなければなりません。

必要なことは何か?

まず、「業界の常識」を消していく必要があります。頭の中を一度リセットするのです。

さあ、資格起業家になるための第一歩を踏み出しましょう。

第1章 成功する資格業は何が違うのか?

資格業が稼げないのは「悪常識」のせい
悪常識①「資格を取って起業しても、3年は成功できない」

特に行政書士の業界では呪いのように言われている常識のひとつです。そう言われる理由は、顧客を獲得するのが難しいからと一般的にはいわれています。この悪常識が蔓延してしまっているために、行政書士で稼ぐのは難しいといった固定観念を植えつけられてしまっているのです。

しかし、考えてみてください。「起業する」という点ではどんな業種でも同じです。資格業だけが特別なのではありません。ほかの業種ではたった数年で何十億円の年商を上げ、上場する企業があるにもかかわらず、資格業に限って成功するまでに3年もかかるのは本当でしょうか?

安心してください。これは典型的な悪常識です。「3年は成功できない」というのは、「3年くらいは続けないと紹介が増えない」ということなのです。

3年経つと、少しずつ顧客を獲得するスキルが上がり、その顧客からの仕事の紹介も増えます。紹介は、よい仕事をし、顧客に好印象を与えることによって自然に増えてくるのです。顧客獲得のスキルが少しずつ上がる時期と紹介が増えてくる時期が重なるのが、「3年」なのです。

「3年は成功できない」と信じてしまうのも、基本的には「資格業をビジネスとしてきちんととらえていない」からにほかなりません。

紹介が増えるまで、じっと待つことはありません。すぐに利益を出せる戦略やビジネスモデルを考えるのです。3年頑張って紹介が増えるのを待とうと考えるのは、「貧乏資格業」に陥る第一歩です。成功するには受け身にならず、積極的に仕掛けていく姿勢が大切なのです。資格起業家は「どうしたら最初から紹介が増える仕組みをつくることができるか」を考えるのです。

3年というのは実に貴重な時間です。仕事が少ない間は、積、極的にビジネスのことを考えるクセをつけることが重要です。

ちなみに私の行政書士事務所は、起業して3年が経ちます。起業当初は売上が伸びず、「月の売上が15万円」という大変な時期もありましたが、現在は仕事も順調に獲得できるようになり、年商は1年目の30倍近くになりました。

資格業ではなかなか思うように稼げないと思っていた人は、「3年は成功できない」という悪常識を早く忘れてしまい、起業1年目からすぐに稼ぐことを考えましょう。前向きな姿勢でいることが、「資格起業家」への第一歩です。

悪常識②「仕事を増やすためには、たくさんの資格が必要」
例を挙げましょう。ソニー株式会社を知っていますか? ほとんどの人が知っていると答えるでしょう。では、「ソニー」と聞いて何を思い浮かべたでしょうか。ラジオやステレオ機器を思い浮かべた人もいれば、プレイステーションなどのゲーム機器を思い浮かべた人もいるでしょう。ソニーの商品はひとつに絞れません。

ソニーは、トランジスタラジオなどの販売からスタートし、現在では多くの事業を持つ大企業になりました。このような成功例がたくさんあるので、商品のラインナップを増やせば、どれかが売れてヒットしそうな気がします。ところが資格業では逆効果で、いろいろな商品を売っていると、いったい何の会社なのかわからなくなってしまうのです。

「税金のことなら何でも聞いてください」というA税理士
「税金のことなら何でも聞いてください」というB税理士
「相続税のことなら何でも聞いてください」というC税理士

A税理士とB税理士の2人は差別化しにくいです。「なんとなく税金に詳しそうだ」というイメージがわいても、相続税の問題が起きたときに、どちらに頼めばいいのかわかりません。それに比べてC税理士は極めて明確です。

税理士という税の専門家であっても、税金の中で何が自分の専門なのかを明確にしないと、お客さまには伝わりにくいのです。

「行政書士だけでは心細いので、社会保険労務士の資格も取ろうと思っています」「資格はいくつかあったほうが有利でしょうか?」

起業前でも起業後も、このように考える人はたくさんいますが、資格の数は多くないほうが「お客さまから見て明確」です。

「はじめまして、行政書士の横須賀と申します。行政書士の業務以外に社会保険労務士の資格もあり、また無事に税理士の試験も受かりました。そこで今後は総合法律サービスを提供しようと考えております」

これでは、かえってどんな仕事を頼めばいいのかわかりません。

「はじめまして、行政書士の横須賀です。会社設立の手続きを専門に行っています」

こちらはどうでしょう。何を仕事にしているかが明確です。お客さまに業務の内容をシンプルに伝えることが大事です。ひと言で説明できないものは覚えられません。また、人は一度にたくさんのことを覚えることができません。

先ほどの税理士の例を思い出してください。全員が同じスキルを持っている状況で、「相続税で困っているから、知り合いの税理士を紹介して欲しい」と友人から相談を持ちかけられたらどうでしょうか。

あなたは間違いなくC税理士を紹介するはずです。つまり、資格の数をひとつに絞り、専門(性)を明確にすることによって、結果として仕事の紹介がどんどん増えるのです。

資格はひとつあれば十分です。欲張らずにひとつの資格をフル活用しましょう。

それでも、資格はたくさんあったほうが仕事が増えて稼げそうな気がするかもしれません。では仮に、行政書士、社会保険労務士、司法書士、税理士の資格を持った総合法律サービスをひとりではじめたとしましょう。それぞれの専門業務が依頼される状況を想定すると、受注するのはあなたひとりですから、受注できる許容量が限られているのです。

多くの種類の業務を同時にこなすと効率が落ちます。決算申告をしながら相続の書類をつくる一方で、お客さまと社会保険のことで打ち合わせをし、その後は法務局に行って不動産の登記をしなければならないとしたら? 仕事が増えすぎれば、結果として断らざるを得ないこともあるでしょう。つまり、単純に儲けが多くなるとは限らないのです。

ところで、なぜたくさんの商品を扱うソニーの商品は売れるのでしょうか。答えは簡単、企業としてのブランドがあるからです。誰でも知っている有名な企業の商品は、店頭に並べておくだけで誰かが手にとってくれるのです。

あなたにそのブランド力はありますか? 企業のブランドをつくって多くの商品を扱うのは、大企業のやり方です。資格業のような規模ではじめる場合は、「専門をつくってお客にわかりやすくする」ことが、実は成功への最短距離なのです。

ただし、すでに資格を2つ以上持っているならば、「取りすぎた」と後悔することはありません。「仕事の内容をわかりやすく伝えること」を心がければよいのです。

資格の取得には大変な時間がかかります。人生80年と考えて、ひとつの資格を取得するのに2年費やしたとしても、人生の40分の1を使ってしまいます。次の資格、さらにまた次の資格と取得していくと、貴重な人生(時間)がどんどん削られてしまいます。

特に、「資格マニア」になることは避けましょう。資格取得は甘美なものです。コツコツやってきた努力が報われ、その結果、「合格」という大きな達成感を得ることができます。この合格というプチ成功を体験してしまうと、また資格試験にトライしたくなるのです。そうなると、さらなる資格ホルダーになろうとして、貴重な時間を費やすことになります。もしこの甘美な資格取得の罠にハマッているようなら、気をつけてください。

あなたの目的は、資格を取ることではなく資格を使って稼ぐことです。ですから、資格の勉強は必要最低限にして、ビジネスで稼ぐための時間を最大限に活用する方法を考えましょう。

悪常識③「マーケティングを学べば成功できる」
「顧客獲得のためには小冊子がよいというのでつくろうと考えています。でも、どんな小冊子を書いていいのかわからなくて……」

この質問に「では、その小冊子は何のためにつくっているのですか?」と尋ねると、多くの人は「仕事を獲得するため」と答えます。実はこれが落とし穴。実は、資格業の仕事はそう簡単に発生しないのです。

行政書士の業務を例に見るとわかります。行政書士の主な業務には、相続、会社設立、建設業など各種許可の取得代行があります。これらの業務が発生するのは不定期です。どの地域のどんな人から依頼されるのか、まったく予測できません。そして不定期に仕事が発生したときに、タイミングよく「自分のこと」を知らせるのは不可能です。

小冊子に限らず、ダイレクトメール(DM)などを使った営業活動には必ずコストがかかります。小冊子は、発注する冊数にもよりますが、どんなに安くつくっても1冊300円くらいかかるでしょう。郵送すれば郵送料もかかります。100部配って1件仕事が発生すれば、それはかなりの高確率です。大変非効率なことなのです。

マーケティングは、科学的に分析することができます。顧客について分析し、反応率を見るのは、通常の商品の場合。その試行錯誤によって成約率が上がっていくわけです。

資格業はどうでしょうか。起業するタイミング、誰かが亡くなるタイミング、許認可を申請し新規事業をはじめるタイミングは偶然であり、お客さまの都合に100%左右されます。たとえば、誰も亡くなっていないのに、むやみやたらと相続業務の営業活動をしても、まったく意味がないでしょう。

マーケティング、すなわち販売する方法を学ぶことは極めて重要です。資格業もマーケティングを学ぶ必要があります。ただし、マーケティングは「戦術」であって「戦略」ではありません。まずは資格起業家としての戦略が構築されていなければ、学んだ効果は半減してしまうのです。

単に小冊子をつくって業務の案内をしても、コストがかさむだけです。潤沢に資金があるなら、いきなり仕事を獲得するための戦略を採用してもいいでしょう。しかしそうでなければ、すぐにキャッシュが必要なはずです。

小冊子やDMによる営業活動では、キャッシュが入る戦略を考えます。つまり、広告によって「資格業の仕事を売る」のではなく、「資格業の仕事以外の商品を売る」のです。

具体的にいえば、資格業の仕事を依頼する人が欲しいと思う、すぐに売れる商品を開発することが不可欠なのです。

相続問題が出ることは、人生でほんの数回です。そのタイミングでDMを打つ自信があなたにはありますか?

私なら相続対策の小冊子を商品として販売します。それを買ってもらってキャッシュを得て、名前を覚えてもらい、最終的に仕事の依頼を受けます。

資格業の商品がどんなもので、どんなタイミングで売れるのか、そういったことも踏まえずに、ただただ売ることだけを考えてしまうと、必ずどこかで失敗します。運に頼る仕組みは避け、確実に計算できる戦略を練る必要があるのです。

どんな資格でも成功できる「資格起業家」
では、もっと大きく成功するためにはどうしたらよいのでしょうか。ポジティブに資格業をビジネスとして考え、儲かるための戦略をつくることです。

この戦略をつくっていくのが、本書で提唱する「資格起業家」です。

私自身は行政書士という資格でしたが、行政書士に限らず、どんな資格業でも通用する方法です。本書で紹介する戦略の構築方法については、絶対の法則といっても過言ではありません。

資格起業家になるためのポイントは、

 ①経営の基本を知ること
 ②資格ことのビジネスモデルをつくること

たったこれだけです。2つのことを実践するだけで、資格業でも「非常識」と言われるくらい、成功できるのです。

あなたが目指すのは年収300万円? 3000万円超?
最後にもう一度確認しておきましょう。あなたがなりたいのは、「貧乏資格業」でしょうか、それとも「金持ち資格業」でしょうか。

金持ち金持ち、稼ごう稼ごうなどと言うと「俺は金のために資格業をやっているのではない!」と反論する人もいるかもしれません。もしそれが美学なのでしたら、私は止めません。

悪どく儲けることには賛成しませんが、資格業で稼ぐこと自体、価値あるサービスを世の中に提供することなのです。世の中に貢献したうえで、理想の生活を送ることが悪いことでしょうか?

資格業で成功するための最短距離が「資格起業家」になることです。不平不満を言いながら年収300万円で我慢するより、お客さまに喜んでもらいながら年収3000万円を目指しましょう!

準備はいいですか? ここから先、あなたの資格業についての常識をもっとくつがえす、「非常識に稼ぐ」資格起業家になるための方法を公開していきます。

第2章 「資格起業家」になれば必ず成功できる!

私自身が失敗の連続だった
学歴も年齢も関係ない

悪常識にとらわれずに、戦略を構築していくことで、資格業を大きく成功させることができます。私自身が「資格起業家」としての正しい戦略に基づいたマーケティングを実践してきたからこそ、今こうしてあなたに向けてお話しできるノウハウを積むことができたのです。

「横須賀さんが成功したのは、横須賀さんだからできたんですよね?」

たしかにそのとおりですが、決して「私が特別優れていたから」ではありません。私自身、最初から成功したわけではないのです。行政書士という資格はありますが、学歴も平凡ですし、知能指数が高いわけでもありません。

「学歴がないから成功できない」などとよく言われますが、学歴は成功の要因にはなりません。私のような中途半端な学歴が一番タチが悪いのです。ちなみに、私は専修大学法学部卒業です。私はこの大学が好きですが、学歴としては中途半端なのです。こうした平凡な学歴だと、中卒、高卒のような学歴コンプレックスを跳ね返すパワーもありませんし、東大卒のようなエリートとしての自信もありません。そして半端なプライドだけはあったりします。ですから、下手な学歴ほどないほうがよいのです

起業した後に、学歴が問題になることはほとんどありません。私は3年以上このビジネスをやっていますが、学歴を聞かれたことはほんの数回です。

さらに、年齢も経験も関係ありません。お恥ずかしい話、私が23歳で起業したのは、新卒で入社した会社にリストラされたからでした。再就職しなかったのは、もうリストラされたくなかったからです。

「金なし、コネなし、経験なし、そんな私でも成功できた」

これはよく聞くフレーズですが、私もまさしく起業当時はそのような状況でした。起業の数か月前まで学生だった私に資金と呼べるものはなく、コネになるような人脈もなく、十分な社会人経験すらなかったわけです。

借金こそありませんでしたが、不利な状況の中でお金をつくり出す方法を考え、人脈をつくり、経験を積んで、少しずつ「小さな成功」を重ねてきたのです。

もちろん失敗も数多く経験しました。広告費を無駄に使ってしまったり、ビジネスの提携でだまされてしまったり。利益がゼロの月もありました。私自身が成功どころか、失敗の繰り返しだったのです。

「悪常識」に振り回された起業当時
私自身、決してスムーズに成功のステップを踏んだわけではありません。第1章で説明した「悪常識」に振り回されていました。

「資格を取って起業しても、3年は成功できない」ということを知った私は、それを信じ、地道に能力を上げていくしかないと考えて法律の勉強をはじめました。

専門書を読んで実際に書類をつくってみたり、行政書士会が主催する「相続の実務と実際」「会社設立手続きのイロハ」といった研修会の中から、興味のあるテーマを選んで参加したりしました。

また、手続きの方法を知るために役所めぐりもしました。行政書士は各種の許認可の申請を代理して行いますから、各書類づくりの手引きを探しにいったのです。

こうした行動は大変勉強になりましたが、しばらく経って、ふと思ったのです。

「この状況で、いったいどうやって仕事が増えるのだろう」

仕事のやり方はなんとなくわかってきましたが、仕事はどうやって獲ればいいのかまったくわかりませんでした。そこで「まずは成功者のマネをしよう。成功した行政書士の先輩のマネをしよう」と思ったのです。

先輩のマネをすれば成功できる?
幸運にも、私は先輩の行政書士に出会うことができました。行政書士だけで生計を立てている人もいれば、行政書士と社会保険労務士の両方で生計を立てている人もいました。どちらにしても、成功している彼らから営業方法などを聞いて、そのとおりにマネをすれば同じように成功できると思ったのです。

ひとりの先輩から教えられたのは、基本的には地道な人脈営業を続け、紹介を得ていく方法でした。別の先輩からは、飛び込み営業や広告チラシのポスティングも地道に続けていけば効果が出てくるとも言われました。

そこで私は、まずはお金がかからないという理由で、飛び込み営業をはじめました。近所の商店にいきなり飛び込み、自らビジネスの説明をします。しかし、飛び込み営業は成約率が極めて悪いものです。

私自身はじめての飛び込み営業でしたし、その相手は行政書士がどんな仕事をする人かよく知らないとなれば、結果は言うまでもありません。「わけのわからない商品をいきなり売り込まれる」のですから、基本的にうまくいく可能性は低いのです。受注はゼロ……飛び込み営業はダメだと思いました。

次に行ったのが広告チラシのポスティングです。仕事の「メニュー表」をつくって、1000~2000枚以上は配ったでしょうか。しかし、問い合わせの電話はまったく鳴りませんでした。

それもそのはずです。チラシやDMは、1000枚や2000枚配ったところで、結果が出ないことは多いのです。しかも、「キャッチコピー」など、チラシをつくるために必要なテクニックを知らなかったために、結果は反応ゼロ。紙代と印刷代が消えました。

何も行動しないより、無計画でも行動したほうがまだマシですが、あまりにも無計画すぎて戦略のない行動では、大きな成果を得ることはできません。

飛び込み営業にうんざりし、広告チラシのポスティングにも疲れた私は、「人脈営業がよい」と言われたことを思い出しました。「人の集まるところはないか?」と考えて、異業種交流会に参加することにしました。多くの異業種交流会に参加し、名刺を配り続けたのです。結果、仕事につながったかというと、これもほとんどありませんでした。すべての異業種交流会がそうだとは言いませんが、配った名刺の数だけ相手からの売り込みのDMが届くことも決して珍しくありません。

なぜ、異業種交流会が仕事につながらないかというと、「みんな仕事を欲しがって集まってきているから」です。自分の商品を売りたいのです。だからこそ、そういった場所に“名簿”を集めにきているのです。

このように、人脈営業をはじめ、飛び込み営業や広告チラシのポスティングなどを繰り返したのですが、思ったような成果は上がりませんでした。成功している先輩と基本的には同じやり方をしているにもかかわらず、なぜ成果が出ないのでしょうか? それは、体験をマネすることはできても、タイミングまでマネできないからです。先輩に「助成金のチラシを配ったら、仕事が入ってきた」「異業種交流会に行ったら、仕事をお願いしたいという人に会った」などの成功体験があるからといって、自分がこれらの行為をマネしても、「偶然のタイミング」まではマネできないのです。

マーケティングを取り入れれば、一応は成功できるが
では、どうしたら成功できるのか。先輩の言うとおりにマネをしてもうまくいかなかった私は、次にマーケティングに関する専門書を読むようになりました。

そして、資格業も営業を考え、マーケティングを取り入れなければならないと信じるようになりました。さまざまな営業方法を試した結果、ようやく成果の出る方法にたどり着きました。

それは、インターネットを活用する方法です。私の場合は予算がなかったために、インターネットに力を入れざるを得なかったという事情もありました。
 一般的にマーケティングは、

 ①お客さまを集める
 ②成約する
 ③リピート化する

というのが基本的な流れです。

単純にマーケティングを仕掛けた結果、どうなったか。成果は出たのです。これまでのやり方に加えてインターネットを活用していくと、月商100万円を超える売上を達成することができたのです。行政書士という資格業でも、それなりの成果を上げることができたのです。

「労働集約型」である資格業の落とし穴
市販されているマーケティング関連書に書かれているノウハウのとおりに、資格業に当てはめて実践すれば、月商100万円程度の成功は可能です。ただし、資格業はタイミングに左右される、仕事を依頼されればされるほど忙しくなる、といった特徴があります。

資格業の仕事は「労働集約型」と呼ばれるビジネスです。労働集約型のビジネスとは実働が発生する仕事です。たとえば行政書士が仕事を受けると、書類をつくる作業、お客さまと打ち合わせをする作業、役所に書類を提出する作業などの労働が発生します。仕事を依頼されればされるほど忙しくなるのは、単純にこれらの作業数が増えるからです。

事実、私がはじめて月商100万円を超えたとき、自己流で仕事をやってきた経緯から効率の悪さが目立ち、睡眠時間が足りなくなるほどの忙しさだったのです。書類をつくり、お客さまと打ち合わせをし、役所に提出するといったことを、朝早くから夜遅くまで、毎日繰り返していました。

手許には大金ではないものの、一定のお金が残りました。それまでかなり苦しい生活を強いられてきた私にとって、喜びもひとしおでしたが、いったん仕事が落ち着いたときにふと思ったのです。

「今月は100万円以上稼いだ。でも、来月はどうだろう? 見通しは不明だ。しかも、この忙しさでは行政書士業以外何もできない。そして、来月の仕事が不透明なために、人を雇い入れることも難しい」

つまり、資格業で月に100万円程度の売上を達成できるようになると、「物理的に」忙しくなってしまうのです。また、人を雇うほど仕事が入ってくるかといえば、どこにもそんな保証はないのです。

「稼げない思考」から「稼げる思考」に変える
私は起業して1年で、資格業の限界を感じました。

「自分がビジネスで目指していたのは、多忙な月商100万円程度、しかも何度も何度も営業をしないと入ってこないようなものだったのか?」

答えは明確でした。ビジネスをはじめた以上、もっと大きく稼ぎたい。そのためにはどうすればよいのか?

「もっと自由な発想を、業界的には非常識でも、これからのスタンダードになるようなビジネス理論はないだろうか?」

常識にとらわれない発想を。そんな自由な考えを模索していた私は、資格業にこだわりすぎている自分がいたことに気がつきました。

「行政書士業のために自分がいるのではない、自分のために行政書士があるのだ」

そして、資格業の枠組みにとらわれすぎていた「自分」を解き放ちました。ここで大切なのは、行政書士という自分を捨てたのではなく、行政書士という業務に縛られることをやめたということです。

あなたの「かせ」をはずせ!
資格業には、資格という「かせ」があります。これは強力な武器にもなりますが、その分“重さ”もあるのです。

「資格業で稼ぎたい!!」

あなたも資格業でいかに稼ごうかと考えているはずです。「資格で起業」と考えているはずです。しかし、この「かせ」をつけたままで起業すると、必ず私と同じ落とし穴にはまります。「忙しいのにそこそこしか稼げない資格業」という落とし穴です。

「資格業のためにあなたが行動する」のではありません。「あなたが行動するために資格業がある」のです。

私はもともと行政書士業がどうしてもやりたかったわけではありません。新卒で入社した会社をリストラされたときに持っていた資格がたまたま行政書士だった、最初のきっかけはそんなものです。この“原点”に戻った私は、発想を180度転換しました。そして資格をもとに、誰でも成功できる究極の「超高収益ビジネスモデル」を編み出したのです。

これを1年間実践した結果、次年度は起業初年度の30倍近い収益を上げることができました。

それでは次章から、私の「資格起業家」としてのビジネス戦略を、具体的に解き明かしていきます。

第3章 「資格起業家」になるための“成功の鉄則”

10の鉄則を守れば、成功までに3年もかからない
ここから先は、「資格起業家」として成功するために、絶対に守っていただきたい“成功の鉄則”を解説します。

成功の鉄則の中には、地味なものもあります。ただし、戦略を構築する前にどうしても知っておきたいルールです。

ここであえて、基本的なことも含め、ルールを話すのは理由があります。

実は、本書を執筆するにあたって、自分自身にひとつ質問をしました。私は起業して3年以上経ちますが、現在の立場から次のように自問自答したのです。

「私の3年間の知識と経験を1冊の本に凝縮して、起業当初の自分に効率よくアドバイスするためには、どうしたらよいのか」

起業当初は、悪常識にだまされ、経営の「け」の字も知らず、戦略について何も知りませんでした。

「3年で成功できたら、とても早いのではないですか?」

そんなことはまったくありません。今思えばどうして3年もかかってしまったのだろうと、自分の未熟さにあきれるばかりです。しかし、正しい知識を身につけて戦略を構築できれば、明日にも売上は伸びるのです。

ではまず、何を知ることが大事なのでしょうか。資格業としてビジネスをはじめる場合に必要なのが、成功の鉄則です。これから紹介する鉄則を最低限守ること、そしてこれらの鉄則をもとに、柔軟な発想をすることが、極めて重要なポイントになります。

成功の鉄則1「サラリーマン脳」から「起業脳」に切り替える
まずは、起業家としての思考方法を身につけることが重要です。これは、資格業に限ったことではないのですが、「サラリーマン脳」ばかりで「起業脳」になっていない人が多すぎます。

 「資格を取ったら、それで食べていけるのでしょうか?」
 「行政書士になればどのくらい稼げるんですか?」
 「司法書士の資格を取れば大丈夫ですか?」
 「社会保険労務士の仕事だけでは心細いですか?」

……正直うんざりです。こんな考え方は甘すぎます。資格業もひとつの経営事業体なのです。ビジネスです。起業するのです。異業種の起業家は、絶対にこんなことを言いません。

なぜ、こういった質問が出てしまうのでしょうか。それは知らず知らずのうちに高まってしまう、資格への依存度です。

資格業は、資格という有利な武器を持っているがために、資格そのものに依存してしまいがちです。「資格を取れば独立できる」という風潮もあることから、「資格があれば成功できるはず」と考えてしまうのです。その結果、資格への依存度が高くなってしまうのです。

資格への依存度が高くなると、「資格があるから仕事が獲れるだろう」と資格そのものに頼り、そして自分が見えなくなります。次にどういった行動に出ると思いますか?

資格ごとにどのくらい稼げるようになるのか調べてしまうのです。

「資格を取れば大丈夫だろう。でも、この資格でどのくらい稼げるのだろうか。そうか、1000万円くらい稼げるのか。じゃあ、この資格を持っていればいいのか……」

このような「受け身の思考」で成功できると思いますか? それでも営業が大切だからとやってみたところ、戦略はないし、マーケティングも不十分、だからうまくいかない、そしてやめてしまう……というのがオチです。

戦略やマーケティングの理論は学ぶことができます。しかし、自分自身の考え方を「起業脳」にしなければ、どんな成功法則もまったく役に立たないのです。

あなたがもしまだ「サラリーマン脳」のままだったら、1日も早く「起業脳」に変えなければなりません。「起業脳」に変わるために必要なのが、次の鉄則になります。

成功の鉄則2「受け身の思考にならない」&「目標7掛けの法則」
 「行政書士になればどのくらい稼げるんですか?」
 「司法書士の資格を取れば大丈夫ですか?」
 「社会保険労務士の仕事だけでは心細いですか?」

これらは典型的な受け身の思考です。自分で何かをしようという発想が抜け落ちてしまっています。

「行政書士になればどのくらい稼げるんですか?」ではなく、「行政書士になって今年は1000万円以上稼ぐ!」と自分で決めて達成しようとする。「司法書士の資格を取れば大丈夫ですか?」ではなく、司法書士というビジネスを安定させようと努力する。「社会保険労務士の仕事だけでは心細いですか?」ではなく、心細くならないようにどうすればよいのか考える……。このように、ものごとを主体的に考えることが重要です。

絶対に受け身の思考にならないこと。成功する起業家は決して受け身でものごとを考えません。

もしかしてあなたはこんなことを思っていませんでしたか?

 「資格を取って独立すれば、おそらくこのくらいは稼げるだろう」
 「資格で独立して年収700万円くらい稼げればいいなあ」
 「資格があれば最低限の生活費くらいは稼げるだろう」

完全に受け身の思考です。自分で目標を設定して、それに向かって全力で進んでいかなければ、思うような収入を上げることはできません。

そして、なんとなく目標を年収700万円に設定すると、現実はおそらく300万円にもいかないでしょう。

なぜなら、目標には「7掛けの法則」があるからです。厳密な裏づけのデータがあるわけではありませんが、設定した目標に向かって全力で進んだとしても、実際にはその7割しか叶わないことが多いのです。

年収700万円を達成したければ、最低でも1000万円を目標にします。年収1000万円を目標として真剣に取り組むとすると、月に80万円以上売り上げる必要があります。では、月に80万円以上の売上を確保するためにはどうすればよいかを考えるようにし、実践するのです。その結果、50万円を突破すれば大したものです。このように高い目標を掲げているからこそ、目標額に近づくのです。

目標額は、どんどん高く設定していく必要があります。その額を目指して全力で進んでいくのですから、当たり前といえば当たり前です。3000万円稼ぎたければ3000万円以上に設定する、1億円稼ぎたければ1億以上に設定するというように、自分の限界を押し上げていかないと、大きな成功は望めません。

成功の鉄則3資格業で成し遂げたい「ゴール」を設定する
「ゴール」の設定は、資格起業家として成功するために欠かせないものです。資格業に限らず、起業には多くの場合、大きく2つの理由があります。上場する大きな会社をつくりたいといった売上目標達成型と、自社の商品を世界中に提供したいなどの理念型です。

前者は、ビジネスそのものへの思い入れよりも、売上を達成することが目標になっているタイプです。発想としては、「今度はこれが当たるから、この商品を売り出そう」というように、商品への思い入れは後からついてくると考えます。

後者は、開発した優れた商品があるから、どうしても世の中に広めたい、そのために事業を行いたいというタイプです。

どちらも目標の設定がとてつもなく高いわけです。年商を何億円にも設定して、その目標に向かって全力で事業を展開する。優れた商品を世の中に広めるために一所懸命に商品の宣伝をする――明確な目標があるからこそ、結果がついてくるわけです。

その点、資格業はどうでしょうか。実際のところ、ほとんどの人が「中途半端」なのです。「年収は500万円くらいあればなあ」という具合。これでは絶対に年収500万円は実現できません。

サービスについても、家業が法律事務所だったり、あるいは大学や専門学校で法律を学んでいたりすることもなく、これといって法律をビジネスとして扱うことにこだわりがない場合、たとえば「とにかく資格を取って独立でもするか」とまず起業が先にある場合は、思い入れがほとんどないのが実情です。

結果どうなるか? 理想も売上目標もないとんでもない起業家になってしまうのです。

最初のゴールは「収入」に設定
ゴールを設定することは、資格業に限ったことではありませんが、起業して何を成し遂げたいのか、これをはっきりさせてください。そして、もしあなたが起業前、あるいは起業間もないのであれば、ゴールは絶対に「収入額」で設定してください。

最低でも年収1000万円を目標にしましょう。なぜなら、充実したサービスを提供するといった理念を最初から重視してしまうと、「稼ぐ力が身につかない」からです。その結果、ビジネスが成立しなくなってしまうおそれがあるためです。

本業の資格業で満足に稼げていないにもかかわらず、ボランティア活動や勉強会を行うことに精を出す人が多いことを知っていますか? もちろん、ボランティア活動や勉強会自体は悪いことではありませんが、本業が稼げていないのに、ボランティア活動をしたり勉強会をしたりするのは本末転倒です。本業でサービスを提供し、余裕があればボランティア活動で世の中に貢献すればよいのです。勉強会もサービスを提供するお客さまをつかまえてから行っても遅くありません。

では、なぜこういった状況が生まれてしまうのでしょうか。

資格業を営む人の中には、お金儲けを美徳としないところがあります。正直なところは稼ぎたいのに、それを表に出すことを嫌う傾向があるのです。

どういうことか言いましょう。まず悪常識にとらわれ、なかなか稼げない状況になるとしましょう。本当は年収700万円を達成することは間違いないと思っていたにもかかわらず、想像以上に稼げないとすると、稼げない理由を探しはじめます。

「そうだ、俺は金のためになんかやっていないんだ」

最悪のスパイラルです。こうなると、お金を得ることも目標だったはずなのに、ボランティア活動をしたり、勉強会を開いたりするなど、「お金稼ぎ」以外の部分に注力してしまうのです。

お金を稼ぐことがよくないと思っている人は、まずその考え方を改めてください。

適正なサービスを提供して、その対価としてお金をいただくというのは、ボランティア活動にも匹敵することです。善いことをしなければ、お金は絶対に入ってきません。ですから、お金を稼ぐことはとてもよいことなのです。

私は資格業の仕事に誇りを持っています。素晴らしい仕事だと思っています。そんな素晴らしい仕事を提供しないことのほうが悪いことだと思いませんか?

もちろん、人をだますような「悪どい金儲け」はいけません。「適正なサービスを提供する」ことは、絶対条件です。

成功の鉄則4「問題解決型思考」を身につける
問題解決型思考とは、その名のとおり、問題を解決するための考え方です。

これも、多くの人が実践できていないのです。問題解決型思考がない人は、前述の「行政書士になればどのくらい稼げるんですか?」「司法書士の資格を取れば大丈夫ですか?」「社会保険労務士の仕事だけでは心細いですか?」というような質問をします。これでは決してうまくいきません。

問題解決型思考が自分の中に確立され、実践できるようになれば、資格起業家として半分は成功したといえるでしょう。そのくらい重要なのです。

なぜ重要なのか。結論から言いましょう。経営は「問題解決の繰り返し」だからです。経営は、毎日わき上がってくる問題を解決することです。

たとえば、こんな感じです。起業にはお金がかかります。最近では小資本でもできるビジネスも多く、資格業もそのうちのひとつですが、それでも0円ではじめられるわけではありません。

「お金があれば独立するのになあ」というのは、問題解決型思考ではありません。問題解決型思考では、お金がないときに「どうしたらお金をつくることができるだろうか」と考えるわけです。この考え方ができないと、いつまで経っても状況は変わらないのです。

仕事が増えて忙しすぎる場合は、「手がまわらない」とただ思うのではなく、「どうしたらこの状況を解決できるか」と考え、その結果として、外注を頼んだり、スタッフを雇ったりなどの行動が伴うわけです。

こうした問題解決型思考を養っていく必要があります。

成功の鉄則5「経済的不安」を除去する
起業の際の不安要素はたくさんありますが、なんといっても「経済的不安」が一番です。

 「資格で起業して果たしてやっていけるか」
 「収入が途絶えたりしないか」
 「資金がいくらあれば成功できるか」

誰もが抱える不安です。しかし、あまりにも経済的不安が強すぎると、必ずビジネスに支障をきたします。

そこで、この不安を解決しておきます。

この質問は、おそらく起業後の経済的不安からくるものだと思います。「最低限半年くらいの生活費はあったほうがよい」というのが優等生的な答えです。それでも、経済的な不安はおそらく消えないでしょう。

私の起業当初は、30万円程度の資金しか用意できなかったことを記憶しています。親元から離れて生活していましたから、これが精一杯でした。どんなに節約しても、3か月は持ちません。すぐにでも稼がなければならなかったのです。

しかし、すぐに稼げるかどうかわかりません。お金がなくなったらどうしようか? ここではじめて「お金がなくなったときの解決策」を考えました。今思えば、私がはじめて問題解決型思考にチェンジしたときかもしれません。

お金がなくなったらどうなるか。生活費が払えなくなります。家賃や水道光熱費などの固定費が払えなくなるのです。

「そうだ、借りればいい」

これでひとまずの解決になります。

当時の私は、就職やアルバイトという選択肢もありましたが、「雇用される」という選択肢はあえて省き、売上が上がらなかった場合のことを考えました。

「借りるだけ借りて、返済できなくなったらどうしよう」

より最悪の状況を考えました。ひとしきり考えた私は、「そうだ、最悪自己破産しよう」と思ったのです。

この話をするとよく笑われますが、こう思うことで、私の経済的リスクはなくなったのです。自己破産した後は、実家に帰って両親に土下座して謝まり、アルバイトからやりなおそう。こう考えて自分の経済的不安をなくしていったのです。

もし、どうしても経済的不安がある場合、最悪の状況を想定すればいいだけです。私の場合、23歳という年齢で独身だったこと、両親が若かったことから、このようなリスク回避が可能でした。これを自分に置き換えて最悪の状況を想定し、その状況に陥ったとしても再起できるようなイメージを描いておくことが重要です。

たとえば30代で、結婚していて小さな子どもがいると、最悪の状況はお金がなくなり、生活ができなくなることです。最低限必要な収入の額を計算し、少なくとも半年程度の生活費を確保する方法を考えます。

自己破産ができない場合などは、「引き際」を考えておくことも必要です。起業したからといって、ずっと続けなければならない理由はないのです。会社員に戻ることも、ひとつの問題解決方法です。

成功の鉄則6ゼロから自分で考えられる力を持つ
「資金がいくらあったら成功できますか?」

この質問は「経済的不安」からくるものですが、さらにもうひとつ、この質問に関連してやっておきたいトレーニングがあります。

起業ノウハウ書の多くが、資金はいくら必要かを解説するために、起業の際の具体的な資金について注目しています。このため、起業する前は「いったい資金がいくらあれば成功できるのか?」という視点で、ものごとを考えてしまいがちです。

本来は、自分が達成したい目標(最低でも年収1000万円)のために、いくら必要かを考え、そして最低限残しておきたい生活費はどのくらいかを計算すべきです。つまり、「いくらあれば成功できるのか?」でなく、「自分の目標を達成するために資金がいくら必要で、最低限残しておきたい生活費はどのくらいなのか」というように考える必要があるのです。

多くの人は「お金をつくる」という発想に欠けていますが、この発想ができればかなり有利になります。どんなときにも粘り強い思考ができるようになるのです。

どうやってゼロからお金をつくるのか。次の想像トレーニングをやってみてください。

・知らない街の中にあなたひとりきり。とても歩いて帰れる場所ではない。
・財布はどこかに置き忘れてきた。クレジットカードもキャッシュカードもない。
・携帯電話もどこかに置き忘れてきた。

このような状況の中で、お金を借りることなく、また知り合いに頼ることなく、自宅まで帰ろうとしてください。お金がない状況で、自宅に帰るために、どんな方法が考えられるでしょうか。

住宅街を訪問して掃除サービスを提供してお金を稼ぐ、通り行く人の靴磨きをしてお金を稼ぐなど、答えはひとつではありません。

想像の中とはいえ、「ゼロからお金を生み出す」ことは不可能でしたか? そうではなかったと思います。お金がないからうまくいかないというのは、単なる言い訳です。

 「お金がなかったらつくり出す」

こうした問題解決型思考を持つのが、資格起業家になるためには重要なのです。

成功の鉄則7自分の「棚」をつくる
これまでは「受け身の思考にならない」「問題解決型思考をつくる」といった、どちらかというと前向きな話ばかりしてきましたが、ここでは逆の話をしたいと思います。

「自分の『棚』をつくる」

この「棚」は何かというと、慣用句でよく使われる「自分を棚に上げて」というときの「棚」です。本来は「自分に不都合なことはわざと知らぬ顔をして打ち捨てておく」というような意味ですが、ここでは「単純に自分だけの逃げ場をつくっておく」ととらえてください。

A行政書士とB行政書士の扱える業務に差が出ることは、一部の例外を除いてあり得ません。仕事の内容は基本的に同じなのです。

このことは、競合他者とストレートに比較できてしまう特殊な業種ともいえるのです。

「今月、A行政書士が100万円稼いだらしい。僕は30万円も稼いでいない」

こうなると、落ち込みます。異業種であれば、仮にライバル会社が自分の会社より売り上げていても、「あそこの会社は扱うサービスがちょっと違うからね」と、逃げの理由をつくることができます。自分を否定することは、仕事への意欲を下げますから、決してやってはいけないことです。

しかし、資格業の場合、同じ資格であれば、仕事の内容は基本的に変わらず、売上など個人の力によるものも多いので、自分と他人を比べがちです。だからといって、他人と比較してモチベーションを下げるのはよくありません。ですから、「自分を上げてしまう棚」をつくっておくのです。

「自分は自分」と割り切ることが重要です。

あなたにはあなただけの成功のステップがあります。いきなり大きな成功を上げなくてもよいのです。

私自身、起業してから思うことがありました。「世の中、大成功した人はみんな劇的な人生を送っている。対して、自分は学歴も平均的だし、どん底と言えるような経験もしていない。こんな自分が成功できるのか」と。

大きく成功した人は、人生も劇的です。ただ、そういった人と私は違うことを認めざるを得なかったわけです。劇的な人生は劇的な成功を生むかもしれませんが、自分には無理なこと……。

そんな中、周りでは、起業して数か月や半年で結果を出す人が出てきました。

そこで思ったのです。「大きな成功を望むことは一度やめよう」と。

「自分は才能のない凡人。でも、ある程度の成功ならできるはず」

そして思ったのが、「小さな成功を重ねていく」ことでした。

どんな小さなことでもいい、成功といえるものを積み重ねていこう。そう思うようにすれば、気持ちがとても楽になりました。

数千円の仕事からでもいいのです。まずはどんなに小さくても成功を重ねることが重要なのです。

ですから、自分のモチベーションを下げないために、自分の棚をつくっておいてください。最初の段階では、自分と他人と比べないことです。

成功の鉄則8資格業ならではの人脈構築法
次は「人脈をつくること」です。ビジネスはひとりでは成立しません。インターネットとパソコンがあれば、誰とも会わずにビジネスが成立する可能性もなくはありませんが、基本的に人の力を借りないビジネスというのは存在しません。

人脈をつくる必要性は、3つあります。

 ①直接その人脈から仕事をもらうため
 ②人脈から仕事を紹介してもらうため
 ③別の分野で協力してもらうため

これからのために人脈はとても貴重です。人脈をつくることによって仕事の紹介が続けば、広告費もかけないですみ、非常に楽になります。

ですが、この3つのメリットは忘れてください。

「え? どうして忘れなければならないの?」と思ったかもしれません。これには理由があります。

自分の利益を先行させると、人脈は絶対にできないからです。

逆のことを考えてください。あなたのところへ知らない人が突然やってきて、「今度起業したので、法律手続きの仕事があったら、私にください」と言われたら? 「うっとうしいなあ」と思うのではないでしょうか。ですから「仕事が欲しい」「紹介して欲しい」といった、自分の利益だけを求める人脈のつくり方をしてはいけません。

人脈づくりは「与えること」からはじまる
人脈をつくりたければ、まず与えること。これが重要です。名刺交換のタイミングで、絶対に売り込んではいけません。与えるものは何でもいいのです。与える行為をすることが重要なのです。

次の3つが相手に喜ばれるポイントです。

 ①相手のためになる情報を伝える
 ②相手の商品やサービスを購入する
 ③相手に誰か(お客さま)を紹介する

ちなみに、起業したばかりでお金がない場合には、「相手の仕事となる人(お客さま)を紹介する」ことが効果的です。

起業当時の私にはお金がなかったので、相手の商品やサービスを購入することができませんでした。これも問題解決型思考のひとつですが、「お金をかけずに相手のためにできることは何だろうか」と考えたわけです。

結果として思いついたのが、「相手のためになる情報を伝える」「相手にお客さまを紹介する」ということです。

なお、前者は、新聞記事や雑誌記事など、相手が知ったら喜びそうな情報をFAXやメールで伝えることです。特に資格業は、知識と情報を商品にしているわけですから、相手のためになる情報を伝えることで、関係性を強める効果があります。

人脈をつくることは、地味で根気のいる行動です。しかし、真剣に相手のためを思って行動することで、必ず本物の人脈になります。その場合には、何倍ものお金になって返ってくることでしょう。

資格業において「何かあったらぜひよろしくお願いします」というのは、「あまりうまくいってません」と公言しているのも同然です。売上を伸ばしている資格業は、決して自分からは売り込んだりしないものです。

インターネットからの集客やチラシ、DMによる集客も大事ですが、起業時は直接人に会うのが人脈をつくる一番の近道です。どんなにきれいなウェブサイトやDMをつくったとしても、会って話をするほうが説明はしやすいからです。

人が仕事を頼もうと考えたときに、どのようにして相手を探すかを考えてみればわかるはずです。

たとえば、あなたが社会保険の業務を社会保険労務士にお願いしたいと考えた場合、どんなことを考えるでしょうか?

まず、社会保険労務士が知り合いにいれば、その人に仕事を頼むはずです。知り合いにいなかった場合は、自分の人脈から探すでしょう。その中から社会保険労務士が見つかれば、間違いなくその人に問い合わせをするでしょう。

仕事は自分の知っている人、自分に近い人に頼むのが一般的です。インターネットからの集客は二の次です。

では、社会保険労務士の知り合いが複数いた場合はどうでしょうか。

その中から選ばれるのは、前述の「与える行動」が身についた人です。

5人の社会保険労務士の中で、誰かを選ぶ場合に、料金がいずれも大差ないとしたらどうでしょう。

きっと与える行動を一番してくれた人に、仕事を頼むはずです。

仕事を紹介してくれた、ビジネスパートナーを紹介してくれた、役に立つ情報を提供してくれたなど、行為の種類は問いません。こういった与える行動が重要になります。この積み重ねが人脈となり、何倍ものお金になって返ってくるようになるわけです。

まずは、こうした心構えを持ってください。会う人会う人から欲しがらない。お客さまになってもらおうと考えない。人脈をお金と考えない。これが大切です。

有効なのは「セミナー」と「インターネット」
ここでは、具体的な人脈のつくり方を解説します。

人に会うことが人脈をつくる第一歩となるわけですが、実際にどういう場所で人脈を構築していけばよいのでしょうか。

これまでに私は、各種のイベント、異業種交流会、勉強会、セミナーなどに参加し、いろいろな人とお会いしてきました。その中で効果があったのは、セミナーへ参加することと、インターネットで探して直接会いにいくことでした。

セミナーとは、各地で開催されるビジネス系の講習会のことです。こうしたセミナーには、同じ目的を持った意識の高い人たちが集まりますので、貴重な人脈になる可能性が高いといえます。こうしたセミナーや懇親会に参加し、名刺を交換することから、人脈をつくることができます。

資格業で人脈をつくる場は、各種の勉強会や団体がありますが、意識の高い人と出会うには有志の団体に参加することをおすすめします。

また、私が起業したばかりの頃に人脈を開拓した方法として、インターネットがあります。これはインターネットで、各資格業のウェブサイト(ブログがある場合はそのブログ)を探し、よさそうな人がいれば、直接連絡をして会いにいくのです。私の場合、近い地域の税理士や社会保険労務士、そして行政書士などに会いにいったり、多少遠くてもビジネス的に合いそうであれば、会いにいきました。こうして得た人脈も非常に多いのです。

ただし、いきなり「ただ会ってください」と言うのは失礼です。前述の「仕事を紹介する」などの「与える行動」が伴う会い方をしましょう。

古い人脈には頼らない
サラリーマン時代の人脈を効果的に使おうとしても、起業すると、その人脈はあまり役に立ちません。だからこそ、新しく人脈をつくる必要があるわけですが、なぜそれまでの人脈は役に立たなくなるのでしょうか。

それは、起業するとあなた自身の環境が変わってしまうからです。会社という看板があったから信用されたということはよくあります。起業するとその看板がなくなり、信用を得にくくなります。

特に資格業の場合、これまでの人脈が役に立たなくなります。なぜなら資格で起業することは、ほとんどの場合、「異業種での起業」だからです。

行政書士はその典型です。行政書士は、実務経験を積むことが独立開業の要件になっていません。ですから、サラリーマン時代の同僚、取引先からは、「頼りない起業」に見られてしまうのです。そのため、既存の人脈に頼ることは極めて難しいのです。

ちなみに起業すると、嫉妬されることが少なくありません。起業は、成功すれば世間的にカッコよく見えるので、素直に協力してくれる人が少ないのも事実です。そういった現実も知っておきましょう。

成功の鉄則9専門の中に、さらに専門を持つ
第1章に、「商品が増えれば増えるほど、どれかが売れてヒットしそうな気がしますが、何でも売ると、いったい何の会社なのか、よくわからなくなってしまう」という一節がありました。人脈をつくる場合にも、「専門(性)」がないとうまくいきません。

「行政書士や社会保険労務士という資格の名称だけで、すでに専門性はあるのでは?」と思われるかもしれませんが、実際のところ、行政書士や社会保険労務士の業務を理解しているのは、それを仕事にしている人だけです。

資格で起業するには、まずその資格業の仕事内容を調べ、試験を受け、合格して行政書士名簿に登録し、実務経験が必要な場合は実務経験を積む必要があります。こういった経験をした人だからこそ、「行政書士」と聞けば行政書士の仕事内容が、「社会保険労務士」と聞けば社会保険労務士の仕事の内容がパッと思い浮かぶようになっているのです。

しかし、一般の人は違います。行政書士と聞いただけでは、その仕事内容はわかりません。社会保険労務士でも同じです。税理士でも、税金に詳しそうだといったくらいのことしか知らない人がいるのです。

そのために、誰が見ても「どんなときにどんな仕事を頼めるのか」、これだけは少なくとも明確にしておく必要があります。話の流れが仕事に関することになった場合や、あるいは名刺へ記載する場合などには、わかりやすく専門性を伝える必要があるのです。

「専門の中に、さらに専門を持つ」と、紹介を受けやすくなります。資格の名称だけでは仕事の内容がわかりにくい人は、相続税専門の税理士や会社設立専門の行政書士など、誰でもわかるような「専門の専門」を持つことによって相手に理解されやすくなり、記憶にも残って紹介も受けやすくなるわけです。

成功の鉄則10別の資格業と連携する
ここからは、他の資格業との協力関係について考えてみましょう。他の資格業との連携は重要です。資格業の場合、ひとつの仕事を成し遂げるのに、ひとつの資格だけでは片づかない場合が多いからです。

例を挙げましょう。行政書士で、会社設立手続きを主な業務として扱っていたとします。お客さまから見れば、「行政書士に頼んでおけば、全部やってくれるだろう」と考えます。

しかし、行政書士ができるのは会社設立の書類をつくるのみ。登記関係は、司法書士にお願いしなければなりません。そして会社の設立後は、税金の手続きと毎月の税務に対応するために税理士の力を借りる必要があります。さらに、法人は社会保険に加入しなければならないので、社会保険労務士にもお願いすることになります。

このように、ひとつの資格で完結する仕事は意外と少ないのです。そのため、他の資格業との連携が極めて重要になるわけです。

ここでやってはいけないのが、「新たに資格を取ること」です。新たに資格を取るのは時間がかかります。どうしても他の資格業との連携がイヤだ、自分で資格を取りたいという場合には、儲かって他にすることがなくなってからにしてください。勉強の間に、ライバルのビジネスは一歩も二歩も先に進んでしまうことを知るべきです。

他の資格業との連携は、実は人脈の増加にもつながります。自分で資格を取って増やせる仕事に比べ、紹介で得られる仕事のほうが、はるかに時間も労力もかかりません。この方法は、大変有利だということを知っておいてください。

第4章 「経営」を知ることが成功までの最短距離

「経営のルール」を知らなければ、何もはじまらない
さて、ここからは「経営のルール」の解説になります。

起業当初の私を振り返ると、知識も経験もなく、いいところはほとんど見当たらないのですが、ひとつだけ自分を褒めてやりたい行動がありました。それは、法律の本ではなく経営の本を先に手に取ったことです。「経営」というものを起業の時点で学ぶことができたのです。

「生活費に余裕がない。すぐにでも稼がなければいけない。行政書士の先輩は実務の勉強が大事だと言っていたが、起業するわけだから、会社をつくることと同じ意味なのでは?」

そう考えた私は、実務の勉強は後回しにして、経営を学ぶことを優先させたのです。実務は後で調べればなんとかなる、でもビジネスのやり方は先に覚えなければならない――そう考えて経営とマーケティングの基本について、最初の段階から学んでいったのです。

経営を知らないままで起業すると……
資格業で稼げない一因は、経営を学んでいないためです。経営といっても、MBAのような難しい知識を学べというわけではありません。経営がどう成り立っているかを知らないと、どんなに効果的な営業を行っても成果が出ないのです。

たとえば、ある行政書士が「インターネットを使って集客しよう」と考えて、ウェブサイトを立ち上げたとします。ここでは、相続の仕事を獲るためのサイトをつくったとしましょう。

相続の手続きは、戸籍謄本の取得や書類の作成、それから相続人に押印をもらうなどの作業が発生します。普通、サイトを立ち上げただけではアクセスを集めることは難しいのですが、仮にアクセス数が1日50件程度あったとします。

しかし、問い合わせはありません。「50人も見ているのに、どうして問い合わせがないのだろう」と思って、行政書士は私に次のような相談をします。

「アクセスはあるのに、どうして問い合わせがないのでしょうか」

その行政書士の事務所は埼玉県にあるとします。私はこう答えます。

「そのアクセスのうち、何名が埼玉県に住んでいると思いますか? 行政書士に仕事を頼む場合は、近い人に頼むのがほとんどです。50アクセスのうち、1日1名埼玉県在住の人がいればいいほうでしょう。このような地域のことを考えてみましたか?」

つまり、インターネットという「営業」方法と、「地域」がミスマッチしている可能性が非常に高いわけです。もちろん、インターネットで集客するためのノウハウも重要ですが、地域という経営の要素を知っていないとすれば、問い合わせがないのも納得できます。

経営がどういうものかを知らないと、このようなミスマッチが生じます。ですから、経営がどんな要素で構成されているか、最低限学ばなければなりません。

経営を知らないままで起業するのは、はっきり言って無謀です。サッカーの試合で勝つためにはどうすればよいか? いろいろな意見があるとは思いますが、最低限サッカーというスポーツがどういう要素で成り立っているかを知らなければ、勝つことはできません。つまり、シュート、パス、オフェンス、ディフェンスなどの要素があり、それらを学び、鍛錬しなければならないのです。

素人が試合に出て「ルールもわからないし、パスやシュートのやり方もよくわからない」では、絶対に試合に勝てません。

経営の「8要素」を理解しないと、戦略は立てられない
経営の「要素」には何があるのでしょうか。私は、経営の要素を大きく3つ、さらに細く8つに分類しています。大分類としては、

 ①売る(営業方法・商品やサービス・地域・客層)
 ②管理する(顧客化・財務)
 ③育てる(時間・組織)

となります。まず、①売ることをさらに分類すると、どうやって売るかという「営業方法」、何を売るかという「商品やサービス」、どこで売るかという「地域」、誰に売るかという「客層」になります。

次の②管理することは、お客さまを管理していかにリピートを増やすかという「顧客化」、お金を管理する「財務」に分けられます。

そして最後の③育てることは、自分を成長させるという意味での「時間」、経営においてその母体となる「組織」に分けられます。

つまり、経営を構成する要素は「商品」「営業」「地域」「客層」「顧客化」「財務」「時間」「組織」となり、これらのすべてを合わせたものが「経営」となるのです。

よい商品があっても、営業方法が悪ければ売れません。お客さまのことを知らなければ商品は売れないのです。

こうした経営のすべての要素を知ってこそ、資格起業家としての戦略が完成するのです。

経営の要素を知り、戦略を構築し、そして集客・販売することが、資格起業家の目指す流れです。

「売る」ことの重要性
結論からいうと、「売る」ことを覚えてしまえば、ある程度戦略が欠けていてもうまくいく可能性があります。そのくらい「売る」ことは重要なのです。

特に資格業の場合、扱う商品が法律やその手続きなので、勉強することが強調されがちです。しかしビジネスとして考えれば、それは間違いです。

大胆な言い方をすれば、「仕事ができること」より「仕事が獲れること」のほうが圧倒的に重要なのです。

私自身も失敗した経験があります。私が23歳で行政書士の資格で起業した当時は、仕事もロクに獲れずに、時間とお金を食いつぶしてしまいました。そのとき、先輩の行政書士事務所のお手伝いをする機会がありました。

それまで、行政書士という資格を持っていたものの、実際に本物の行政書士を見たことがなかった私には、願ってもないチャンスでした。ごく一部でも、行政書士の仕事を実地で覚えることができるからです。

行政書士がつくる書類を間近に見た率直な感想としては、「意外と簡単そう」でした。「許認可申請書」といえば、厚さが数センチ以上もある書類を想像していましたが、実際のそれは意外と薄く、調べる方法さえわかれば自分でも作成できそうだということがわかりました。

私はこの経験を通して、仕事を依頼されてもこなせる自信を持ちました。以前は、自分自身が扱える業務すらよくわかっていなかったのですから、その不安を払拭することができたのです。

ところが、これが勘違いだったのです。この勘違いが、私の歩みを遅くしてしまったのです。

「仕事ができる」ことと、「仕事の獲り方がわかる」ことは、天と地ほどの違いがあったのです。「仕事ができる」ことを、「仕事の獲り方がわかる」ことと勘違いした私は、意気揚々として開業したわけですが、散々たる結果でした。開業初月の売上は2万5000円。これならアルバイトのほうが稼げます。

商品よりもまず「売る」ことを覚えていくことが重要なのです。

経営の要素1自分に合った「営業方法」を見つける
重要なのは、「仕事ができる」ことではなく「仕事を獲る」こと。つまり、お客さまをつかむことです。そのためには、「営業」にもどんな要素があるのか知っておく必要があります。

書店に行くと、「営業」や「マーケティング」に関する書籍がたくさん並んでいます。たとえば、インターネットで集客する技術や営業トークのテクニックについて書かれた経営書やビジネス書です。

特にインターネット関係は進化が早く、「メルマガで儲かる!」と言われた1年後には「ブログで儲かる!」に変わり、その次には「SNSがいい」「Web2・0だ」というように、営業の方法やマーケティングの手法はどんどん変わってきています。

すると、「そうか、今はWeb2・0なのか」と安直に飛びついてしまう人が多いわけです。そして、それに取り組めば成功できると思い込んでしまうのです。もちろん、最先端の情報を押さえておくことも必要ですが、営業には本来たくさんの方法がありますから、その中から最適な方法を選んでいくことが重要なのです。

営業の要素を知ることは、営業方法を知ることからはじまります。具体的な営業方法は図のとおりです。

図解すると、非常に明快になったと思います。「メルマガで儲かる!」と聞いたからといって、それだけやれば儲かるわけではありません。メルマガは、営業の要素の中の「インターネット」という手段の中のほんのひとつなのです。

ですから、どういった営業方法があるかをまず把握してください。そのうえで実践をしていかないと、「儲かる方法をやっているにもかかわらず、成果が出ない」ことになりかねません。

私もすべての営業方法をやってみました。その中で自分に合った営業方法を見つけたのです。それが「ブログ」でした。

起業して1年後の当時、ブログが非常にブームになっており、「ブログを活用することでビジネスが変わる」といった話題にあふれていました。偶然知ったブログですが、せっかく立ち上げたのにまったくアクセスのなかったウェブサイトに比べ、圧倒的にアクセスを集められることに気がつき、ブログでの営業活動を展開しました。そしてこれが見事にはまったのです。

私の場合、ブログというインターネット上の日記を更新することで、読者を集めました。当時、ブログそのものがとても反応のよいツールであったこともあり、自分自身のことを毎日ブログに書き込んでいくことでファンを集め、そのブログ読者から仕事の依頼があったり、紹介をいただいたりしました。

そしてブログを使った営業やネットマーケティングにより磨きをかけるために、ブログやネットマーケティング関係のセミナーに参加し、結果として自然と人脈が広がり、仕事も増えていきました。

直接人と会う営業と、ブログを使った営業の相乗効果が実を結びました。結局、この2つに絞った営業方法を繰り返していったのです。

営業方法の最適な選択方法とは何か? それは、できる限りすべての営業方法を試し、うまくいった方法を繰り返す、たったこれだけなのです。自分に合った営業方法を選択することが、最大の結果を出せる方法なのです。

この「ブログ営業術」が自分に合った営業方法だとわかった私は、ブログを1日3回以上更新し続けるとともに、年間1000人以上の人と名刺交換をすることを1年間実践しました。

その結果どうなったか。当時まだビジネスモデルについては考えていなかったため、売上の額はさほど大きくありませんでしたが、1年目の月15万円の約6回にまで増加しました。

営業の要素2専門を入口に、「商品」は出口に
「売る」ことに長けるための要素として、次に重要なのが「商品」です。言い換えれば、「何を売るか」という話です。資格業の場合、知識や情報が商品であり、手続きなどの業務がサービスになるでしょう。

一般的には、なるべく「人が扱わない商品」を販売するのが理想とされています。競合他者が少ないからです。しかし資格業では、資格業の仕事そのものを差別化することは非常に難しく、「人が扱わない商品」に仕立てるのは困難です。

資格起業家としての戦略としては、資格業の仕事を特別に差別化しなくても大丈夫ですが、それでも「専門(性)の打ち出し」は最低限やっておかなければなりません。

 「専門を絞ると、そのほかの仕事がこなくなってしまいませんか?」

名刺交換などの際、「会社設立専門の行政書士」と名乗ってしまうと、「もしかしてこの人(名刺交換の相手)が相続の問題を抱えていたりしたら、業務獲得の機会損失になるのではないか」といった不安があります。

実際に私も、専門を絞る前は不安がありました。そこで私は「専門性を打ち出しながら、その他の仕事を獲得する方法はないだろうか?」と考えました。

その方法が、「入り口をひとつにして、出口を増やす」ことです。名刺などには「○○専門」と書き、それを差し出しながら「実はこんなことも仕事にしているんです」と口頭で伝えるだけです。しかし、効果は抜群です。

「横須賀さん、あなたの事務所は会社設立専門と言ってますが、そういえば契約書もつくることができましたよね?」

というように、別の仕事も必ず舞い込んでくるようになります。

このように、出口をたくさんつくっておけば、タイミングを逃すことは減るでしょう。

営業の要素3人は「地域」に過剰反応する
意外と軽視されがちですが、どこで商品を売るかという問題も見逃せません。

もともと資格業の仕事は、自分に近い人に頼む傾向があります。なぜなら、役所ごとに管轄があり、地域ごとで手続きが必要だからです。

インターネットで集客する方法は、資格業と極めて相性がいいかといえば、そうとは限りません。扱う仕事の内容にもよりますが、インターネットで100アクセス集めるよりも、地元の100人に会うほうが効果的な場合もあります。それは、営業方法と合わせて考えることです。

守っていただきたいのは、「アナログ営業なら地域密着、インターネットなら全国展開」という鉄則です。

アナログで人に会うような営業を展開する場合は、ある程度地域を絞るべきです。仮に仕事が獲れるからといって、多数の県にまたがるような営業をしてしまうと、効率が落ちます。なぜなら、あちこちから仕事を依頼されると、移動時間が増えるからです。移動の時間はムダです。アナログな展開を考えているのであれば、「地域で一番」を目指すほうが賢明です。

インターネットを使う場合は、全国に売れるものをつくって勝負すべきです。ウェブサイトの閲覧者は、近隣にいないことがほとんどですから、「興味があるお客さま」のアクセスを集めたとしても、すでに取り逃してしまっている可能性があります。

また、地域については面白い属性の話があります。「人は地域に過剰反応する」のです。

具体的にはこういうことです。

「私は埼玉県行田市の生まれです。埼玉県の東松山市にある高校に通いました。その後は、専修大学に入学し、神奈川県の川崎市に住むようになりました。校舎が生田校舎から東京の神田校舎に変わってからは、中央線の通る武蔵野市に住居を移し、現在は東京都調布市に住んでいます」

どうですか? 「行田」「埼玉」「川崎」「武蔵野」「調布」という地名に反応した人がいるはずです。これらの地域に関連のある人は、私に親しみを感じませんか?

「行田」というキーワードを出すと、行田市に関係する人が反応するのは当然のこととして、行田市の隣接市町村に関連する人まで反応するのです。こうした地域が増えれば増えるほど、あなたに興味を持つ人が増え、ビジネス上有利になると思いませんか? 地域への帰属性は、非常に強いものがあります。同じ地域に属していた場合は、ウェブサイトやブログを使って伝えるだけで、仕事を頼みやすくなります。

戦略にも「地域」という要素があるのです。

営業の要素4「お客さまの視点」から考える
お客さまを知ることは重要です。そしてお客さまの視点でものごとを考えることも重要です。購買を決定する権利はお客さまにあります。そのため、お客さまの視点でものごとを考えるのは当然重要なのです。

しかし、資格を使って起業する人は、このお客さまの視点に無頓着なことがかなり多いのです。

一般的にもよく使われる例で見てみましょう。あなたがアパレルショップに買い物に行ったとします。

本当はゆっくりと商品を見たいのに、店員は次から次へと商品を案内しようとします。だんだん店員の接客がうっとうしく感じたあなたは、店を後にします。押し売りの営業が否定される、よくある例です。

 「そんなの、誰だってわかるよ」

と思うのですが、起業してしまうと、このお客さまの視点が不思議とわからなくなってしまうのです。売り込まれることに抵抗があったにもかかわらず、起業して売上が上がらないと、知り合いに片っ端から「お願い営業」をする傾向が強いのです。もちろん、友人や知人への営業が悪いとは言いませんが、少なくともお客さまの視点が消えてしまっていることは間違いないでしょう。

自分自身の営業活動については、常に「お客さまだったらどう思うか」「お客さまだったら買うか、買わないか」というように、お客さまの視点でものごとを考えることが重要になります。

営業の要素5お客さまに「好かれる」努力をする
顧客についての戦略とは、「お客さまに」好かれる仕組みと「何度も買ってもらう仕組み」をつくることです。

お客さまに好かれること、これ以上の効果はありません。自分のことをお客さまに好きになってもらえれば、仕事を依頼されたり、紹介してもらうことも簡単になります。

私が実践している感謝の仕組みづくりとは、「感謝を伝える」ことです。具体的には、はがき、FAX、メールなどで感謝の気持ちを伝えます。

私は起業して間もなく、直接人と会う営業がうまくいくことに気がつき、さまざまなセミナーやイベントに参加し、名刺を配ることに決めました。しかし、その活動をするうえで、ひとつの不安があったのです。

 「たかだか23歳の若造に、周りは対応してくれるのだろうか」

もちろん、軽くあしらわれることもありました。ところが、予想に反して多くの人が私をひとりの人間としてきちんと扱ってくれたのです。何でもないようなことに思われるかもしれませんが、当時の私にしてみれば大きな感動でした。

その感動と感謝をなんとか伝える方法はないだろうかと考えた結果が、「名刺交換をしてくれた人すべてにお礼のはがきを出す」ことでした。私は本当に心から感謝していたのです。純粋にお礼をはがきに書いて送りました。

すると、予想外の反響が返ってきたのです。「お礼のはがきなんてもらったことがない。ありがとう!」と、わざわざ連絡をくれる人もいました。

はっきりいって地味な行為です。しかし、50人にひとりくらいの割合で私の大ファンになってくれます。

もちろん、下心があっては効果がありません。誠実にお礼をすることが重要です。

次に実践したのが、感謝FAXです。うれしいと思ったときには、FAXで直筆のお礼状を送ります。お客さまからの入金、あるいは贈り物、仕事の依頼など、とにかく「うれしい」と思ったときには迷わず相手に伝える、これがお客さまに好かれるコツです。

メールでも構いません。伝えることが重要です。

感謝を伝えると、どういったことが起こると思いますか?

お客さまに信用され、好かれるとともに、仕事の成約率が飛躍的に上がるのです。

これをやらない手はありません。お客さまに伝える努力をする、これが積み重なって成果となります。

FAXやはがきは、ひとりの相手だけが見るものではありません。会社に送れば複数の人が見ます。ひとり以上の人に自分を伝えることにもなります。ぜひこの感謝を伝える仕組みを取り入れてください。

もうひとつの顧客戦略が、何度も買ってもらうための仕組みづくりです。資格業の場合、一度で終了してしまう仕事が多いことから、この戦略は軽視されがちです。しかし、お客さまを紹介してもらう仕組みづくりも、とても重要な戦略です。

具体的には、定期的にお客さまに接触することです。そうして、ほかのお客さまを紹介してもらうことを目指します。

そのために有効なのが、ニュースレターやメルマガです。定期的にお客さまに対して自分を知らせること。つまり、自分のことを忘れ去られないようにするのです。こうするだけでも、圧倒的に紹介が増えます。

ちなみに、ある税理士事務所はニュースレターを出すことで、顧客から顧客を紹介してもらっていました。ところが、ニュースレターを毎号発行するのは労力がかかります。そのために、一度止めてしまったそうです。その結果どうなったか。既存客からの紹介件数が半分以下になってしまったそうです。

営業の要素6「お金」の流れを意識する
本来、財務の管理は主に資金調達を指しますが、ここでは起業時のお金の使い方と考え方についてお話しします。

「サラリーマン脳」から「起業脳」に切り替えようと思ったときに、一番変わりにくいのが、このお金に関する感覚です。

金銭感覚も、資格業に限ったことではありませんが、成功したければ無駄なお金は一切使わないことです。徹底的なコストカットを最初から心がける必要があります。什器や設備はあるもので十分です。もちろん、無駄に遣いません。飲み食いに無駄遣いするくらいなら、広告費に使ってください。

いったん身についたぜいたくな習慣や生活レベルは下げにくいものです。ですから、起業すると決めたら節約を心がけることが重要です。

ぜいたくは、成功すればいつでもできます。設定したゴール(最低でも年収1000万円)に達していないうちは、徹底的に無駄遣いをなくすことです。

そして、資格業に欠けているのが「お金の流れ」です。具体的にいうと、「いつお客さまからお金をいただくか」ということです。お金、つまり売上は必ず先に入る仕組みにしなければなりません。そうでないと、いつか破綻します。資格業でビジネスを行う以上は、お客さまにはなんらかの形で先にお金を払ってもらうことを徹底しましょう。

法律に関する仕事は、たとえば契約書といった目に見える成果物が紙数枚であるケースも多く、そのためにそもそも価値が理解されにくいサービスです。後になってお客さまに請求すると、「やはり高いのではないか?」と言われたり、最終的には支払いをしてもらえなかったりもします。

代金を先にいただくことは、特に行政書士のような単発系の仕事では重要です。入金された時点で申し込み成立とみなすくらいのことは、最低限守らなければなりません。

営業の要素7「時間」は量をこなすためにある
経営には「時間」という要素があります。ようは「資格業で成功するためには、どのくらいの努力をすればいいのか」という答えにつながります。質の問題もありますが、最初から質の高いことはできませんので、量で勝負することになります。

結論からいってしまえば、長時間働くこと、これが成功の秘訣です。これも資格業に限ったことではありません。多くの成功者は、起業当初には必ず長時間労働をしています。

効率よく仕事をするという考え方もありますが、最初から効率的に経営をすることは至難の業です。まずは量をこなして経験を積んで、その過程で質を上げていくことが、成功のポイントです。

私の場合、長時間労働をするために、朝早く起きることを心がけています。早く起きることによって、時間が長く使えます。普段は午前4時に起きます。すぐに会社に行き、メールやFAXのチェックといった日常業務を片付けながら、前日にスタッフが作成した書類の確認などに時間を割いています。

起業当初は、朝から書類の確認をし続けていましたが、現在はスタッフが出社するまでの間にすべて目を通し終え、それを踏まえてスタッフへの指示を作成して、スタッフが無駄な時間を過ごさないようにしています。

そしてもちろん、土日祝日も基本的には仕事をします。

 「いつ休んでいるのですか? そんなに働かなければ成功できないのですか?」

長時間労働をしている私を見て、こうした質問が出ますが、逆に私はこう聞き返します。

「資格業で成功しようと本気で思っていますか?」

中学生、高校生の頃は、多くの人がクラブ活動などをしていたと思います。私の場合はバスケットボールをやっていましたが、サッカーであれ野球であれ、本当に上手になりたいのであれば、休日返上で練習をするはずです。実際、私は年末年始以外はほとんどバスケットボールの練習をしていましたし、真剣にうまくなりたいと思っていたので、練習がつらいと思ったことはほとんどありませんでした。

資格業で成功したければ、一度は「仕事人間」になること。いきなり質の高い経営などはできません。まずは量をこなして経験を積むことが求められます。

そのくらいの真剣さがなければ、成功には程遠いのです。

営業の要素8“作業”は迷わず「人」に頼む
「組織」は、資格起業家としての戦略を構築した後に考えていけば十分に対応できる要素です。これについては、自分自身が目指すイメージによってつくり方も変わってきます。

自分ひとりを中心にした小さな組織でやっていくのか、それともスタッフを育てながら大きな組織でやっていくのか――自分自身が目指すイメージに向かって組織をつくり上げていく必要があります。

ただし、どちらの場合にも共通していえるのが、スタッフを雇用したり、外注したりしないと、ビジネスは一定以上伸びないということです。ひとりでは、あっという間に限界がきます。

資格業の種類によっても異なりますが、月商100万円のラインが見えたら迷わず誰かに仕事を頼むようにしましょう。そうしない限り、成長はあり得ません。私の場合は、少しずつ仕事をスタッフに任せるようにしました。

現在のスタッフは2名です。任せているのは「作業」が中心です。スタッフは、封筒の宛名書き、ゴミ出しや掃除などの雑用も兼ねながら、行政書士の仕事を勉強しています。

行政書士の仕事でも、役所への書類の提出といった私でなければできない業務以外の仕事は、すべてスタッフに任せるようにしました。

その結果、自分の時間が増え、お客さまの相談に乗ったり、セミナーの企画や準備、そして原稿の依頼を受けられるようになりました。

スタッフを雇用しても、仕事を任せることは不安だという意見もあります。たしかにすべての仕事を任せることは難しいでしょう。

そこで、「仕事」と「作業」を分けてください。作業とは、誰がやってもできること、仕事とは、自分しかできないことです。まずは郵送物の発送や単なる提出代行など、自分でなくてもできる作業をスタッフに任せていくのです。そうすることによって、自分自身の時間をつくることができます。

自分自身の時間をつくり出すことができないと、いつまで経っても忙しい状況が続くだけです。もちろん、長時間労働は重要ですが、戦略を練る時間や本業を生かすためのビジネスに取り組む時間は確保しなければならないのです。

こうした、時間をつくり出すためにも、組織づくりは重要なのです。組織づくりは、起業の次の段階にあるといえますので、起業前はまだ考えなくてもいいかもしれません。ただし、「資格業で自分が何を成し遂げたいのか」を自問自答したときに、従業員を多く抱えているイメージを浮かべた人は、組織についてもあらかじめ考えておきましょう。

第5章 実践! 「超高収益ビジネスモデル」構築法

超高収益ビジネスモデルを構築する3つの前提
それではさっそく、資格起業家になるための具体的なステップを踏んでいきましょう。

ただし、これからお話しすることは、極めて非常識な話になります。これまでの資格業の成功セオリーからは完全にはずれます。準備はいいですか? 常識にとらわれていては、この先は理解できません。素直に私の話を聞いてください。

多くの資格業は、儲かる仕組みを構築していません。悪常識に染まっていたり、起業家としての思考方法に欠けていたり、あるいは経営がどんなものかわからずに起業してしまったりしているからです。

それでもマーケティングを取り入れれば、一定の成果は出ます。その結果、中には成功する人も出てきていますが、圧倒的な増収増益システムをつくり上げているとはいえません。

なぜでしょうか? それは、思考方法、人脈づくり、経営の理解以外に、足りないものがあるからです。このポイントを押さえない限り、資格起業家になる、つまり資格業で超高収益を実現する仕組みをつくることはできないのです。

資格業で超高収益のビジネスモデルをつくるために前提となる必要なポイントは、次のとおりです。

 ①自分自身のたな卸しをする
 ②お客さまのことをもっとよく知る
 ③資格について深く理解する

 では、具体的に見ていきましょう。

前提1自分自身のたな卸しをする
資格業では個性が商品になる

資格を取れば起業に有利。そういった風潮が昔からあることはすでに述べました。たしかに資格を取れば、その資格を持った人だけができる仕事があるので、一見有利に見えます。

ところが、現在では有利ともいえないのです。なぜなら、資格業を営む人が圧倒的に増加したからです。たとえば、行政書士試験の合格者数を見ても、毎年平均4000人が合格しています。もちろん、すべての人が起業するとは限りませんが、毎年必ず増えているのが現状です。

これは、「単に資格を持っているだけでは差別化にならない」ということです。

そしてなにより、「資格業をはじめると個性が消える」という問題があります。同じ資格業であれば仕事の内容はまったく同じです。つまり、仕事が資格業内で画一化されてしまうのです。

 「行政書士の佐藤です」
 「行政書士の鈴木です」

説明する仕事の中身も大差ありません。これではお客さまからすると、差があるかどうかわかりません。そして個性がなくなり、その結果「価格破壊」が起きてしまうのです。

「あそこの行政書士事務所はもっと安かった」

お客さまからこう言われてしまうと、もう終わりです。

では、資格業の画一化から逃れるためにはどうすればいいのでしょうか? それが、「自分自身のたな卸しをする」ことなのです。

例を挙げましょう。ある行政書士と話をしたときのことです。こう言っては失礼ですが、冴えない中年男性というのが初対面の印象でした。スーツにはシワがあり、覇気も感じられません。

ところが彼の話を聞くと、過去に事業の失敗で約1億円の借金を背負ったことがあり、しかもすでに短期間のうちに返済したというのです。私の彼に対する印象はまたたく間に変わりました。

「冴えないオヤジ」から「1億円を短期間に返済した経営者」にイメージが変わったのです。肩書きは同じ行政書士でも、相手に与える印象はまるで違います。

つまり、資格業では「個性」が商品になるのです。

個性とは、あなたのスキルと魅力です。個性を前面に打ち出し、個人としてのブランドを確立していくことが、資格業では極めて重要なのです。

そのために、自分自身を一度、たな卸しする作業が必要になります。

具体的には、自分の経歴を振り返ること。そして、自分自身が提供できる知識と技術は何かを考えることです。

私は起業した頃、何も思いつきませんでした。しかし、たな卸しをすることで、どうすればよいのかわかってくるのです。

「年齢は23歳。実績もなし。変えられない事実は仕方がない。それでも、お客さまが頼みたくなる行政書士像とはどんなものか?」

この質問を徹底して自分自身に投げかけました。その答えとして、「勉強熱心である」「ビジネスに対して積極的」「毎日真剣に取り組む」といった姿勢を表に出していったのです。

お客さまから見れば、資格業は画一的でどの人も同じなのです。つまり、誰に頼んでも仕事の結果は同じだと思っているのです。したがって、お客さまがどんな人に仕事を頼むかというと、それは自分が知っている人か自分に近い人です。

自分自身をいかに魅力的にプロデュースし、お客さまに好印象を持ってもらえるかが、重要なポイントになります。自分自身の人間的な魅力を引き出すこと。そのためには、自分自身のたな卸しは欠かせません。

しかし、資格業を営む多くの人は、たな卸しをしていないのです。一度、自分自身の経歴、体験を書き出してみてください。想像以上に人間的な魅力やスキルがあるはずです。

お客さまには業務の質は伝わりにくい
「お客さまには、そんな自分の魅力を打ち出すより、業務のスキルに磨きをかけてその点を伝えたほうが、効果的なんじゃないの?」

私自身、もちろん業務のスキルには磨きをかけてきました。しかし、スムーズに仕事を獲るためには、むしろお客さまがどう思うかが大切なのです。

私に仕事を依頼したお客さまの感想は、「横須賀さんの人柄が誠実そうだったから」がダントツの1位です。そのほかにも、「仕事を安心して任せられそう」「ビジネスのアドバイスももらえそう」「成功例が多い」などがありますが、そんなことよりも、インターネットであれ、口コミであれ、「人間的魅力」によって、仕事は得られる場合が圧倒的に多いのです。

重要なことをもうひとつ付け加えておきましょう。それは、「お客さまには、業務の質はわかってもらえない」ということです。

「合同会社をつくるときに、代表社員が法人になり、その職務執行者が代表取締役ではない場合、特殊な書類が必要です。これをつくるには法律のこの部分とこれがですね……」

お客さまにとって見れば、「経過」はどうでもいいのです。成果(物)をきちんと出してくれれば、そのプロセスに高度な技術が使われようが使われまいが、関係ないのです。

むしろ、高度になればなるほど、より理解してもらえなくなります。

法律などの知識を高めることは重要です。しかし、それが売りになるかといえばそうではないのです。資格業の仕事を獲るには、人間的魅力のほうが圧倒的に効果的なのです。

過去のマイナス体験を生かした自己プロデュースを
人間的魅力をどう伝えるかといえば、ウェブサイトやブログ、名刺や会社案内などのプロフィール欄です。ここで経歴や自分のビジネスへの思いを伝えることが重要になります。

それにはまず、経歴をすべて洗い出し、整える作業が必要です。経歴は、マイナスの出来事を先に出し、最後は持ち上げるのです。この話をすると

「過去のマイナス体験を出すのは印象が悪いのでは?」

と思うかもしれません。もちろん、本当に印象が悪くなることは伝えてはいけません。

先ほどの借金を返済した行政書士の例を思い出してください。事業で失敗しただけではマイナスイメージです。しかしそれを克服した経験は、どう見えるでしょうか。そう、過去の失敗やマイナス体験を積極的に話すことで、現在を輝かせることができるのです。

このような魅力的な自己プロデュースは、資格起業家のビジネスモデルをつくる際に極めて有効になります。徹底して自分のたな卸しをしてみてください。

資格起業家のビジネスモデルは、仕事を直接得る方法と、間接的に獲る方法がありますが、いずれも自己プロデュースがないと成約率が落ちます。画一的な資格業だからこそ、個性が求められることを覚えておいてください。

前提2お客さまのことをもっとよく知る
お客さまの視点から考える

資格起業家としての増収増益のビジネスモデルをつくるにあたって、もうひとつ重要になるのが「お客さまのことをもっとよく知る」ことです。

 「ウェブサイトからどうしたら申し込みが増えますか?」
 「名刺はどんなものをつくればいいですか?」
 「どんなニュースレターを出したらいいですか?」

実はこれらの相談は、私が答えるまでもなく、すべて自分の中に答えがあるのです。

日常生活の中では、自分が商品やサービスを売ることより、買うことのほうが圧倒的に多いからです。お客さまの視点でものごとを考えれば、すべて答えが出せるのです。

「ウェブサイトからどうしたら申し込みが増えるか?」と考えるのではなく、自分がお客になった場合、どんなウェブサイトなら申し込むだろうかと考えるのです。こうすることで、ほとんどの答えが出てきます。

自分がお客さまだったらどういうことを考えるか、求める商品は何かというように、第4章で説明した「経営のルール」のひとつ、「お客さまの視点から考える」と、次々と疑問が出てきます。

 「この事務所に頼んで大丈夫だろうか」
 「行政書士はどんな人だろうか」
 「料金はいくらかかるのか」
 「申し込みはどうしたらいいのか」

これらの疑問に対して答えられるようにすればいいわけです。

信頼度が低ければ、お客さまの声、自分自身のプロフィール、業務の価格などを、ウェブサイトやブログ、名刺や会社案内に載せます。これだけで、お客さまからの申し込みは圧倒的に増えます。

お客さまの視点でものごとを考えること、これがお客さまを知る第一歩です。

私は起業家向けに会社設立サービスを提供していますが、ウェブサイトでは、「起業支援します。アドバイスします」と強調していません。

なぜなら、お客さまの求めるものは、あくまで適切に手続きを行ってくれるかであり、ビジネスのアドバイスを求めるケースはまれだからです。そもそもお客さまのほうが、行政書士などの資格業よりも、ビジネスは上手な場合が多いのです。そのため、私は「起業アドバイザー」として、あくまで控えめな立ち位置でいます。

客層は属性で絞る
そして客層を絞ること、これも重要です。商品によって「30代の主婦」など、客層は徹底的に絞るほうがよいと一般的にいわれています。

しかし、資格業では注意が必要です。税理士の顧問や社会保険労務士の社会保険手続きなど、資格業の仕事は年齢を問わないものが多いのです(相続や遺言、年金などの一部の業務を除く)。そのため、「20代の経営者のための税務」などと客層を絞り込みすぎてしまうと、お客さまの数を自ら減らしてしまうことになります。

そこで、年齢ではなく、属性で客層を絞ることにします。「成果を出したい起業家のための会社設立」「節税して儲かりたい経営者」というように、お客さまの属性で考えることが、資格業では重要です。

前提3資格について深く理解する
「起業ありき」の人はストーリーをつくる

資格起業家としての超高収益ビジネスモデルをつくるために必要な最後のポイントが、資格について深く理解することです。

「お客さまから見て仕事の差がわかりにくい」ために、資格業の仕事は誰が行っても同じに見えます。このことをプラスにとらえれば、営業力さえあれば勝てる仕組みになっているといえるし、マイナスにとらえれば、差別化しにくく価格破壊が起きやすい仕組みになっているといえます。

資格について理解を深めるとはどういうことでしょうか。まずは資格を取って、起業する場合の動機を考えてみてください。

ほとんどの場合、「起業ありき」だったのではないでしょうか。そして、過去の仕事(前職)と資格の仕事(資格業)はかけ離れていませんでしたか?

 「今の仕事がイヤで独立したかったから」
 「手に職を持って働きたかったから」
 「仕事を増やすのに役に立ちそうだったから」

多くの資格業が、こういったわがままな理由からの起業です。お客さまから見れば、不思議で仕方がないのです。

「なぜ、資格で起業したのだろうか?」

実は、資格で起業する場合は、「一貫性」に欠け、「大義名分」もないことが少なくないのです。

一貫性と大義名分がないから、売りにくいのです。

 「行政書士を開業しました!」
 「どんな仕事を扱っているのですか?」
 「主に相続を扱っています!」
 「なるほど、開業前はそういった仕事をされていたのですか?」
 「いや、SEをやっていまして……」
 「では、なぜ行政書士で相続業務を扱おうと思ったのですか?」
 「……ニーズがありそうだからですかね……」

どうでしょう。この行政書士に仕事を頼みたいと思いますか? 頼みたくない理由は、「資格業でスタートするときのストーリーがない」からです。

ストーリーには一貫性が必要
ものにたとえるとわかりやすいので、例を挙げましょう。

ここに500認のペットボトルに入った水があるとします。ただの水です。価値はせいぜい100円以下でしょう。

ところが、「中国の奥地で年間1リットルしか取れない水を職人が特殊な技術を使ってろ過した水です」と謳われると、1000円以上の価値がつく可能性があります。

ストーリーがないものは売りにくいのです。「水」は差別化がしにくいわけですから、ストーリーがなければならない。これが一貫性です。

一貫性のないまま資格業を続けても、物語のない水を売ることと同じくらい難しいのです。経歴と資格業をリンクさせ、一貫性を持たせることが、資格への理解を深めることにつながります。

単に「民事法務を扱おうと思っています」という行政書士。一方で、「過去、相続手続きで困っているときに、行政書士に助けてもらったことがあり、法律の世界の素晴らしさを知りました。私もこのサービスを多くの人に提供したい。そのための勉強や苦労はいとわないと思い、数年かけて行政書士の資格を取得しました。今後はこのサービスを通じて多くの人を助けていきたいです」という行政書士。あなたはどちらの行政書士に仕事を頼みますか? 答えは言うまでもないでしょう。

事業を行う大義名分はあるか
これに関連して、大義名分が欠けていることがあります。それは一貫性と似ていますが、事業を行う理由です。なぜその仕事をやるのかを、常に明確にしておく必要があります。

資格業が稼ぐことにためらうのは、この大義名分に欠けるからです。はじめからビジネスで大きく稼ぎたいと思っているわけでもなく、また広めたい商品があるわけでもない場合、そして起業自体が大きな動機のような場合は、さまざまなところで迷いが出てきてしまうのです。

資格業以外の業種は、画一化されていないビジネスが多く、柔軟な発想があり、一貫性も大義名分もある商品を扱っています。

しかし資格業は、最初から業務の内容が決められているので、その仕事に大義名分がありません。

 「中小企業を活性化したい」
 「起業家の支援をしたい」
 「円満な相続をお手伝いしたい」

このように、何でも構いません。必ず大義名分をつくって、一貫性を持つことが重要です。そうすれば、あなたが資格業をしていることが、客観的にもわかりやすくなるのです。大義名分と一貫性があれば、どんな状況であれ、お客さまに支持され、応援されます。

資格業特有の「職域の問題」に気づく
最重要事項が、資格の性質です。

資格業で起業する人の多くは、「起業ありき」。なぜ資格を取るかというと、「独立したいから、独立に有利になるから」と考えています。もちろん、スキルアップのためもあるでしょうが、最終的に自分でビジネスをはじめるために、資格は取るのでしょう。

「独立に有利だと思ったから」

資格業で起業するということを、今一度よく考えてください。

「資格がないとできないことがあるわけだから、資格のない人より有利なのでは?」

実は、これが大きな間違いなのです。「資格で起業」するということは、「仕事の幅を極めて狭くしてビジネスをはじめている」ことにほかならないのです。

資格業でビジネスをはじめると、資格業の仕事以外は一切しなくなるのです。仕事の幅を広げているようでいて極めて狭くしているのです。

これを「職域の問題」と呼んでいます。

たとえば、「起業に関すること」をテーマにそこから考えられるビジネスは何かを考えてみましょう。コンサルティング、セミナー、起業家向け教材制作、ビジネスパートナーのマッチングビジネス、各種ビジネス向けのデスク、イス、電話、FAXの販売など、挙げればキリがありません。

ところが、行政書士を例に考えると、「会社の設立手続き」か、あってもひとつか2つの許認可手続きです。このように、資格業での起業は自らの首を絞めてしまっているのです。

仕事の幅が増えたような錯覚をしてしまいますが、実は狭くなっていることに気がつかなければなりません。ソニーが「ラジオだけしか売らない!」と言っているような感じです。どうでしょう、違和感がありませんか?

まずこの自ら職域を狭めているという点を理解しましょう。

「販売型」と「受注型」
資格業の仕事の性質も押さえなければなりません。

私は、世の中のビジネスを大きく2つに分けています。販売型ビジネスと受注型ビジネスです。簡単にいえば、「ものを売って完結するビジネス」と、「注文を受けてから何かを制作し、それを納品するようなビジネス」です。

前者は時間がかからず、自分でコントロールしやすいビジネスです。なにより同時にたくさんの数をさばけるので、売上も上げやすくなります。一般の物品販売をイメージすればよいでしょう。

これに対して後者は、サービスの内容によって、営業のしやすさは違いますが、時間もそして労力も大幅にかかるものが多いのです。

資格業は完全に受注型ビジネスです。時間と労力がかかります。その仕事は、お客さまに100%決定権があることを知らなければなりません。

たとえば、受注型ビジネスとしてウェブサイトの制作を仕事にしている場合はどうでしょう。「私が制作すれば、毎月100万円以上の売上が得られます」と営業し、実際にそのサービスを提供できることがお客さまに理解されれば、受注できる可能性はあります。営業力が高ければ高いほど、サービスの受注が増えるのです。

ところが、資格業の仕事は違います。会社をつくる、営業許可を取る、相続手続きをする、社会保険の手続きをする、決算申告をする……どんなに営業力が高くても、お客さまのタイミング次第なので、仕事が獲れないときは100%獲れません。営業力は関係ないのです。

あなたをお客さまと仮定して、私があなたから行政書士の仕事を獲るために商談をしたとしましょう。建設許可や産廃業の許可、相続手続きなど、行政書士の仕事はたくさんあります。しかし、おそらく世界一魅力的なプレゼンテーションをしたとしても、あなたから仕事は獲れないと思います。それはあなたに、許可を取る必要がない、あるいは相続手続きをする必要がないからです。

そのため、どんなに営業力を持っても、獲れないときは獲れないのです。そういった仕事の獲り方は、砂漠で一粒のダイヤを見つけるようなものです。

繰り返しになりますが、資格業の仕事は、お客さまのタイミングに左右され、営業力で勝ち取れるものではない、受注型で、時間のかかる極めて稼ぎにくいビジネスなのです。

起業ありきだったビジネスの素人が、受注型で仕事の獲りにくいビジネスをはじめるから、ほとんどの資格業の人が食べていけないのです。そもそもビジネスの素人にとっては不利なのです。

起業して1年、月商がはじめて100万円を大きく突破したとき、私は収入が上がったのでうれしかったのですが、こうも思ったのです。

「来月はどのくらい稼げるかわからないし、受注に比例する忙しさ。そんな状況で人を入れるのは相当なリスク……なんて稼ぎにくいビジネスなんだ」

それまで、資格業の仕事を獲るために頭をフル回転させてきたわけですが、ここで資格業の限界に気づいたのです。そして考えに考え、資格にこだわってこだわって、最終的に資格にとらわれずに考えることをはじめました。

「資格業の仕事を獲ることにこだわらず、後から資格業の仕事が入ってくる仕組みでもいいのではないか?」

そう考えるようになったのです。「稼ぎにくいところより、稼ぎやすいところからはじめる」。この発想から、すべてははじまったのです。

超高収益ビジネスモデルをつくる際の手順
では、どのようにして資格業での稼ぎやすいビジネスモデルをつくっていけばよいのでしょうか。ひとつは、資格業にとらわれないビジネスを展開し、最終的に資格業での仕事も受注することができる仕組みをつくること、もうひとつは、既存の資格業でも仕事を受注しやすい体制をつくっておくことです。

資格起業家のビジネスモデルをつくるには次の手順が必要です。

 ①自分自身のたな卸しをする
 ②資格(資格の一部)を決める
 ③①と②の一貫性をチェック
 ④事業ベースを決める
 ⑤稼ぎやすいビジネスを決める

資格業は完全受注型で、自らの仕事の幅を狭める稼ぎにくいビジネスです。ですから、資格業を中心としたビジネスを行うと失敗してしまうのです。

たとえば、私が主に行っているのは、コンテンツ事業、セミナー事業、コンサルティング事業、行政書士業です。これらのベースになっているのが、「起業支援」です。それぞれの事業で利益を上げながら行政書士の仕事も受注していく、これが自分でコントロールでき、かつ収益性の高いビジネスモデルなのです。

小冊子をつくって配ることや、セミナーで集客することも重要です。しかし、集客が目的になってしまうと必ず苦しくなります。それぞれで収益を上げながら、資格業の仕事が入ってくる仕組みを考えなければなりません。

私の場合は、「教材」の販売で収益を上げ、その後、資格業の仕事も入る仕組みをつくりました。

大切なのは、「資格業の仕事を依頼する人が欲しい商品やサービスは何か」を考えることなのです。私の場合、「会社設立」が仕事なので、お客さまは起業家です。そして「起業家が欲しいと思う商品は何か」を考えました。

これを「会社設立の仕事を獲るためにはどうしたらいいか」というふうに考えてしまうと、広告費ばかりがかかり、収益は資格業の業務でしか発生しなくなってしまいます。

「資格業に依頼する人が欲しいと思う商品をつくり、提供する1収益を上げながら、最終的に資格業の仕事が入ってくる形」

これが理想的な資格業のビジネスモデルです。

これまでの資格業のノウハウとは真逆で、非常識なことを言いますが、この不安定かつ受注型の資格業をビジネスの中心におくべきではないのです。極端な話、資格業の仕事がひとつもなくてもよいのです。この逆転の発想が、極めて大事なのです。

たとえば、行政書士の相続の業務だけだとします。「相続の仕事を獲るためにどうすればいいのか」を考え、チラシや広告を出しても、それらの行為はギャンブルに近いのです。もちろん一定の反応がある可能性はあります。ただし、ほかの商品を売ることに比べ、その反応率は極めて低いのです。

では、資格の決定を「行政書士の相続業務」とした場合はどうするか。事業ベースを「相続支援事業」とするのです。そこから関連するビジネスを展開していきます。相続に関するセミナーを開催し、そこで収益を得る、相続に関する教材を制作し、販売する……必ず収益が出ます。

本当に誰かが亡くなったときには、間違いなく仕事を受注することができるでしょう。もちろん、セミナーや教材の質にもよりますが、結果として相続の業務をこなさなくても、お客さまに貢献しているので、収益が上がっているのです。

次に、各資格業の特徴を簡単に整理しどのような事業ベースにすればいいのかを見ていきましょう。

各資格業の「事業ベース」の決め方
①「採用支援」や「人材活性化」を事業ベースにした社会保険労務士

社会保険や労働保険の手続きが主な仕事になります。たとえば、事業ベースを「採用支援事業」とします。そこから採用を支援するビジネスをスタートします。採用のコンサルティングから、会社説明会や面接の代行、面接のコンサルティングなど、採用に関する仕事は極めて多いわけです。

まず教材のコンテンツ化やコンサルティングの事業化を行います。企業に向けて営業を行い、仕事を獲ります。満足のいく採用ができたら、今度はその社員の社会保険などの手続きが発生しますから、ここで社会保険労務士としての仕事を獲ります。こうして資格業以外のビジネスで成果が出れば、資格業の仕事に依存しなくてもいいわけです。

もうひとつ、社会保険労務士の例を挙げましょう。

事業ベースを「人材活性化事業」にした場合。基本的に社員研修などのビジネスをはじめることが多いでしょう。まずは社員研修のためのビジネスをつくります。教材、コンサルティング、セミナー、なんでもいいでしょう。それから「人材の活性化」に関するテーマのビジネスを立ち上げます。その後、社会保険や労働保険などの手続きを受けられる体制にしておくことがポイントです。

研修事業をしながら「社会保険などの手続きの仕事をしている」ことを伝えます。そのために、会社案内や名刺などをフル活用します。こうしておけば、仮に社会保険労務士の仕事が獲れなくても、収益を上げながら広告を打っていることになります。

②「節税支援」や「相続支援」を事業ベースにした税理士
事業ベースを「節税支援事業」と仮定すれば、税理士の仕事は税務顧問だけではないのです。税務顧問の仕事を獲りにいくことにこだわらなければ、節税に関する教材を制作して販売したり、セミナーを開催したりして収益を上げてもいいわけです。逆に、税務顧問の仕事だけを獲りにいくと、獲れなかった場合に何も残りません。あくまで利益が得られる仕事を先にもってきて、最終的に資格業の仕事を獲るのが、資格起業家のビジネスモデルなのです。

相続税を中心とした事業ベースとして、「相続支援事業」スタートしてもいいでしょう。前述の行政書士の例と同じになりますが、違うのは手続きの部分だけ、相続に関するコンテンツは同じです。

先に相続、特に相続税に関するコンテンツを提供し、利益を得ます。相続税のコンサルティングが必要な部分には介入し、その他の手続きは行政書士や司法書士に任せてしまってもいいでしょう。こうして、手続き以外でコントロールできるビジネスをつくっていくことがポイントです。

③「債務整理支援」などを事業ベースにした司法書士
たとえば、破産処理手続きを選択し、「債務整理支援事業」を提供します。通常は、破産者だけを相手にするので、ビジネス的にはキャッシュも取りにくく、難しいものです。しかし、債務整理支援にすれば、破産処理になる前の人に対し、お金の借り方や返済方法までを事前にレクチャーすることも仕事になるのです。そういったことを教材にまとめて販売すれば、本来は仕事の対象にならない人までお客さまになり、収益がぐっと増えるわけです。また、仮にそういった人たちが破産しなければならなくなった場合には、間違いなく仕事が獲れる仕組みになります。

④「知的財産活用支援」の弁理士や「離婚問題解決支援」の弁護士
弁理士であれば、商標や特許の仕事を待つのではなく、「知的財産活用支援」などの事業ベースをつくり、そのうえで、コンサルティングやセミナーなど、利益の上がる仕事を先にして、結果として仕事が獲れるような仕組みを考えます。

弁護士であれば、事業ベースを「離婚問題解決支援事業」などにして、カウンセリングやブックレットの販売などからスタートしてもいいでしょう。

いずれも利益を上げながら本来の仕事を得ることが重要なのです。

資格業の業務を最初の商品にしないこと。そして資格業の業務に頼らないこと。稼ぎにくいビジネスに頼ることは怖いことです。教材やセミナーの収益は、マーケティング次第でいくらでも伸ばすことができます。しかし、他人の都合だけはコントロールできません。

そもそも資格業の仕事は、やろうと思えば自分でも手続きができてしまうものもあり、自らやってしまう人も多いのです。しかし、そんな人でも、教材だけ買ったりセミナーだけ参加したりすることは意外とあります。関連事業から収益を上げることができるわけです。

ここで大切なのが、「事業ベースの選定」です。事業ベースの選定をしないと、超高収益のビジネスモデルは成立しません。

事業ベースを決めるヒントは、「わかりやすくて広い」事業を選ぶこと。たとえば、行政書士の業務に古物商の許可取得がありますが、これでは幅が狭すぎます。もう少し広い事業を選定していかないと、事業の広がりがなくなってしまいます。

事業の選定からはじめると、自由な発想がいくらでも取り込めます。資格業の仕事にとらわれることがないので、経営支援業としながら、コンサルティング業をしたり、人材派遣をしたり、マッチングビジネスをしたり……時には会社をつくって許可を取ったりすることも可能です。こうすることで、今まで「広告費をかけて資格業の仕事を獲っていた」ことが、「お金をもらいながら、資格業の営業ができる」ことに変わるのです。

このように、積極的に自分から仕掛けられる商品をつくり、収益を上げる仕組みをつくります。

ビジネスの「エンジン」がひとつしかない恐怖
以上の戦略こそが、資格業としては適切な方法だと断言します。顧問報酬が取れる資格業はともかく、資格業だけの収益に依存しすぎるのは危険なのです。

わかりやすく言いましょう。

1台の自動車には通常1台のエンジンしか積まれていません。もしエンジンが壊れてしまえば走れなくなってしまいます。自動車は修理すればまた走るかもしれませんし、修理中に代車を貸してもらえることもあるでしょう。

しかし、あなたのビジネスではどうですか。止まってしまう=売上がなくなるということです。これは絶対に避けなければいけません。

ではどうすれば? 資格業もひとつの事業だけでなく、複数の事業を持つことが重要なのです。

自動車の例でいえば、複数のエンジンを積んでいれば、ひとつくらい故障しても走れます。資格業も、複数のエンジンを持つような戦略を考えていかなければ、急に仕事が減った場合に走れなくなってしまうのです。

あなたはビジネスの達人ですか? そうでなければいくつかのエンジンを積んでいないと止まってしまうことがあるわけです。どんなに少額でも、収入の道は増やすこと。ひとつの事業に依存することほど、怖いことはないのです。

さらにいうと、他の事業を持つことで「余裕」ができます。余裕ができると、資格業の仕事の成約率も飛躍的に上がります。それは、資格業の仕事を焦って獲りにいく必要がないので、態度や言動に余裕が生まれるからです。余裕はお客さまに安心を与えるので、お客さまも安心して頼めるようになります。

タイプ別・超高収益ビジネスモデル構築法
資格業のビジネスモデルについて、理解していただけたでしょうか。

「戦略の組み立て方はなんとなくわかったけど、実際にはどうやればいいのでしょうか?」

では実際に、成功している「資格起業家」のビジネスモデルを、タイプ別に見ていきましょう。

1コンサルティング型の資格起業家
「相談」というと無料でやってくれそうなイメージがありますが、「コンサルティング」というと印象が少し変わってきます。自分自身のたな卸しをして、コンサルティング業務が行える場合は、「コンサルティング」が有効です。

自分自身のたな卸しの中で、「資格業の業務と関係しそうなテーマのコンサルティング業(またはコーチング業)」を探します。起業、節税、融資など、自分自身でできるコンサルティングを行います。

ここで重要なのが、コンサルティングだけで一度完結し、収益が上がる仕組みをつくることです。

「仕事を獲得するための無料相談」では、徒労に終わってしまうことが極めて多いのです。たとえば、会社設立手続きの業務を獲得するために無料相談をしてしまうと、骨折り損のくたびれもうけになることもあるわけです。そうした広告宣伝にかける労力をお金に変えることが大切です。そこで、

「会社設立手続きを(将来的に)頼む人が欲しい商品に対して、自分ができることは何か」

を考えます。

私の場合は、自分のたな卸しをすると、ビジネスブログで収益を上げるためのノウハウが見つかりました。だからといって「会社設立手続き+ビジネスブログアドバイス」という形にしてしまうと、逆に収益が上がりにくくなってしまいます。

そこで、ビジネスブログについてのコンサルティングだけを独立させた事業にすることにしました。この事業でコンサルティングを行い、起業家に向けてアドバイスをする。そして収益を上げていくことを続けた結果、どこかで資格業の仕事(会社設立手続き)が受注できるという仕組みです。

大切なのは、資格業の仕事を無理やり獲りにいかないということです。コンサルティングだけで生計を立て、資格業の仕事はボーナス的にとらえることが重要です。

これから資格業の業務を依頼しようとする人が欲しくなる商品、その人が依頼した業務が終わった後にも欲しくなる商品を考えなければなりません。

このように、事業を考える場合には、資格業の仕事と事業がリンクする仕組みを考える必要があるのです。ただ単にコンサルティングをすればよいというわけではないのです。

コンサルティング型資格起業家になるためのステップ
①自分が決めた資格(あるいは資格の一部)の仕事を頼むと思われる人が、どんなコンサルティングを求めているか考える

たとえば行政書士で、会社設立手続きを前提に考えるのであれば、会社を設立する人が何を欲しているかを考えます。起業家が欲しがっていることは、融資や助成金などの資金調達、あるいは売上アップ、販売促進などのノウハウです。

通常は、「会社をつくるならぜひ弊社で手続きを任せてください」と営業してしまいがちです。しかし、まずはコンサルティング業務を先に考え、ここでしっかりキャッシュを出す方法を考えます。

②実際のコンサルティングメニューを考える
次に、実際のコンサルティングのメニューを考えます。タイムチャージでコンサルティング料を取る、あるいは1か月、3か月のコンサルティングの顧問契約を取る、などのメニューを考えます。

融資や助成金のコンサルティングであれば、相談料1時間2万円、成果報酬で調達した金額の3%などのメニューを考えます。

販促のコンサルティング、あるいはコーチングなどのコンサルティングメニューをつくる場合には、月額の金額を決め、訪問はあるのかないのかなども考慮し、自分自身のメニューを考えます。

私の場合、ビジネス系のコンサルティングなどでは、最初の月を2万9800円、次月からは1万5000円のコンサルティング料をいただき、メールのみの相談を受けています。いつでもどこでもインターネット環境さえあればできる仕事なので、この価格で提供できています。

③コンサルティングのための営業方法を考え、実施する
コンサルティング業務を獲得するための営業方法については、一般的なマーケティングを活用し、小冊子やDMなどを活用してもよいでしょう。

私の場合は、最初は無料に近い形でコンサルティングを行い、紹介を得て、その実例をもとにインターネットを使って広く募集をかけました。

結果、行政書士の仕事がこないこともあります。しかし、紹介はありますし、そもそも利益が出ているのですから、何の問題もありません。コンサルティングのメニューが完成すれば、一般的なマーケティングを活用し、営業展開を図っていくことが必要です。

なお、コンサルティング型の資格起業家は、次に紹介するコンテンツ型資格起業家の方法と組み合わせると効果的です。ぜひ併用される形も考えてみてください。

2コンテンツ型の資格起業家
コンテンツ型の資格起業家は、価値ある情報を先に提供するタイプの資格起業家です。

資格業のコンテンツは「知識」です。行政書士でいえば許認可の手続き方法や法律全般、社会保険労務士でいえば社会保険、年金、税理士でいえば税金になります。

本来、これらの知識は、仕事を獲得できてはじめて発揮できるものです。

行政書士は、たとえば建設業許可の申請をお客さまに依頼されてはじめて建設の知識を使い、提供することになります。こうした流れが一般的です。コンテンツ型は、先に知識を提供するのです。

ポイントは、お客さまとなる人が欲しがる情報を提供することです。資格業で発生するキャッシュポイントは、お客さまの依頼からはじまる労力に対して生まれるものです。そのため、「動かないとお金が入らない」という暗黙のルールを生みました。しかし、コンテンツとしてまとめることによって、より多くのキャッシュポイントを生み出すことができるのです。

コンテンツ型がコンサルティング型と違うのは、「もの」として提供できるかどうかです。無形のものより、有形のものを売るほうが明らかに簡単です。

具体的には、教材、セミナーなどの有料コンテンツを提供することになります。そうすることによって、

 ①有料コンテンツを購入し、資格業の手続きなどは自分で行う
 ②有料コンテンツを購入した後、資格業の仕事を依頼する
 ③資格業の仕事は別の人に依頼したが、有料コンテンツは購入する
 ④資格業の仕事のみ依頼する

という4つのパターンのお客さまができるのです。これまでの資格業は④のお客さましか獲得していませんでした。そのため、収益構造をつくることが非常に難しかったのです。

ところが④以外のお客さまをつくると、複数の収入の流れができ、仮に資格業の仕事がゼロだとしても、ほかの収益があることで安定するのです。

しかも、有料コンテンツは「販売型」なので、マーケティングが生きます。

純粋に資格業の仕事を獲る場合に、

 ①集客
 ②クロージング
 ③リピート

という仕組みをつくることは非常に困難でした。それは何度も繰り返すように、資格業の仕事が受注型で、お客さまの個人的なタイミングに左右されるためです。

これに対してコンテンツは販売できるので、たとえばインターネットから集客、メールマガジンにより販売、その後メールでフォローなどの流れが極めてつくりやすいのです。

私の場合、行政書士として「会社設立サービス」を次のように提供しています。

①有料コンテンツを購入し、資格業の手続き等は自分で行うお客さまに対しては、書籍、起業ノウハウのコンテンツ(教材・セミナー)を販売し、収益を上げる。

②有料コンテンツを購入した後、資格業の仕事を依頼するお客さまに対しては、書籍を買ったにもかかわらず、手続きが自分でできない、あるいは不安というお客さまに対して、書籍の収益プラス資格業の収益を上げる。

③資格業の仕事は別の人に依頼したが、有料コンテンツは購入するというお客さまに対しては、有料コンテンツだけを提供する。

④資格業の仕事のみ依頼するお客さまに対しては、通常どおり資格業としての収益を上げる。

なお、④の場合は、資格業の仕事を受注し、よい仕事をすれば、別のサービスを売ることが非常に簡単になります。

実際に、私が開催するセミナーに参加されるお客さまに対し、「資格業の仕事を頼んだ後に欲しくなるサービス」を用意しておくと、さらに収入の流れが増えることになります。

また、情報だけが欲しいお客さまと仕事をお願いしたいと思っているお客さまとは明確に違います。前者と後者のお客さまの両方を取り込んでいけるのが、このコンテンツ型なのです。

コンテンツ型資格起業家になるためのステップ
①自分が決めた資格(あるいは資格の一部)の仕事を将来的に頼むと思われる人が、どんな情報を求めているかを考える

たとえば、税理士を例にとりましょう。顧問契約が欲しいだけでは、なかなか増えません。なぜなら、すでに顧問としてお願いしている税理士がいる場合がほとんどだからです。

そこで将来、顧問契約を結んでくれそうなお客さま、あるいは現在の顧問の税理士を変えたいと思っているお客さまが欲しい情報は何だろうかと考えます。

一般的には「税金の新しい情報」だったり、「節税のノウハウ」だったりします。このようなお客さまが欲しがりそうな情報をまず考えます。ここまでは、コンサルティング型と同じです。

②販売するコンテンツをつくる
お客さまが欲しい情報がわかったら、今度はそれを商品としてパッケージングします。セミナーであれば、ビデオ教材、DVD教材、CD教材、冊子教材などの形が挙げられます。

税理士の例で、お客さまが欲しい情報が「節税のノウハウ」だったとします。これを商材としてまとめるのです。節税セミナーを開催し、DVDや冊子の教材にして販売したり、またはゼロから執筆して冊子の教材をつくり上げてもよいでしょう。こうすることによって、わざわざタイムチャージで相談料をいただくことが避けられます。

相談料を「時間」でいただくことも大事なことです。しかし、1時間1万円の相談料では、1日8時間、1か月20日間相談を受けたとしても160万円です。現実的にこのペースで仕事が入り続けることはないでしょう。たしかに年間で考えれば十分な金額かもしれませんが、その間、あなたの身体が休まる日はありません。たとえ毎年続けられても、売上は横ばいです。

一方、コンテンツをしっかりつくっていけば、自分の時間を削らずに販売することができるので、結果的に全体の売上を伸ばすことができます。

③実際に販売する
世の中にはさまざまな営業方法があり、人によって向き不向きがあります。さまざまな営業方法を試して、うまくいったものを試すことが大切です。自分自身に合った方法で販売していきましょう。

私も含め、最近はやはりインターネットで商品を販売する方法が主流です。

 ①ウェブサイトを立ち上げ、商品の販売ページをつくる
 ②アクセスを集める
 ③販売する

私の場合も、つくった教材をウェブサイト上で販売していますが、すぐに買ってもらえない人には無料のレポートを提供し、そうした人のメールアドレスをリスト化することを心がけています。無料のレポートを希望した人をリスト化することによって、教材をすぐに買ってくれなくても後になって買ってくれることは多いのです。

無料のレポートをきっかけにメールアドレスをリスト化し、定期的にメッセージを送り、実際に教材を買ってもらって利益を得ながら、お客さまに各資格業の仕事が発生するタイミングを待つ――という仕組みがコンテンツ型なのです。

3名称独占型の資格を持つ資格起業家
「名称独占資格」とは、有資格者でなければ名乗ってはいけないという資格です。代表的な例が中小企業診断士やファイナンシャルプランナー(FP)です。これに対して、行政書士や社会保険労務士は、「業務独占資格」とばれ、その資格がない人が業務を行うことは禁止されています。

名称独占資格は、独占できる業務がないのが特徴です。中小企業診断士であれば、主な業務はコンサルティングです。コンサルティング業務を行う際に資格は不要ですが、資格のない人が「中小企業診断士」と名乗ることは違法なのです。

名称独占資格で起業する場合、特に中小企業診断士であれば、独占業務がないためにそもそも成功することが難しいといわれています。中小企業診断士の資格を取らなくても「コンサルタント」は名乗れますし、コンサルティング業をすることができるからです。

では、名称独占資格は意味がないのでしょうか。そんなことはありません。信用という点では、無名のコンサルタントよりも有利になります。有能なコンサルタントであることを証明するには、まず自分自身のプレゼンテーションをして、コンサルタントであることを伝えなければなりません。資格はそのための武器になります。

中小企業診断士の資格を持っていれば、おおよそどのような知識があるのかがわかります。その点で有利になるわけです。

名称独占資格には「商品」がない場合がほとんどです。そこで、「商品」と「サービス」をつくる必要があります。

まずは、受注型でなく販売型のビジネスを展開します。資格を取得する際に得た知識をまとめて商品にするのです。その点では、コンテンツ型の資格起業家と似ています。冊子教材、DVD・ビデオ教材でもいいでしょう。とにかく販売できるものをつくります。そのほうがやり方は簡単です。まずは商品を販売し、利益を得るのです。

その次に、その教材を買った人が欲しくなるようなサービスを考えます。すぐに思いつくものとしては、「コンサルティング」「カウンセリング」「相談」などの無形のサービスです。これを高額に設定して、教材の次のサービスとするのです。

名称独占型資格起業家になるためのステップ
①前提となるビジネスモデルを考える
独占業務がないため、自分自身で商品やサービスをつくる必要があります。独占業務のある資格起業家は、コンテンツ販売やコンサルティングの先に、提供できる資格業の業務がありますので、順番は戦略次第で変えてもいいと思います。しかし、名称独占型のビジネスの場合は、必ずコンテンツ販売から入るべきだと考えます。

いきなり「月に50万円の顧問契約をください」と言っても、正直難しいと思います。もちろん、ビジネスの達人でその自信があればやるのは結構ですが、自信がなければ商品をつくることからはじめましょう。やはり無形のコンサルティングを先にしてしまうのは、成約率も難しいと考えられるからです。

最終的には、月単位での顧問料、コンサルティング契約を受けるのが、収益的にも安定します。そのため、独占業務がない資格の場合は、「コンテンツ販売」「コンサルティング」の2段構えのビジネスモデルを前提とするのが無難です。商品を売っても構いませんが、それはリスクが高いのです。

②コンテンツ、コンサルティングメニューをつくる
たとえば、中小企業診断士などのように、独占業務がない資格の場合には、まずは自分自身の得意分野、専門分野を考えます。

資格だけではその専門性がわかりません。専門性をわかりやすく表現することが大切です。そして、その専門性を中心にサービスを考えます。

中小企業診断士の例を挙げましょう。アパレル関係の売上アップが専門だったとします。一番手っ取り早い方法は、最初に専門にするテーマのセミナーを開催することです。

たとえば、アパレル関係であれば「ショップが売上を半年で倍にするための戦略セミナー」などにします。なぜ、セミナーを先に行うかといえば、セミナーをビデオやDVDなどに収録しておけば、コンテンツとしてそのまま商品にできるからです。集客状況やお客さまの反応で、その専門のテーマに興味のある人が多いのか少ないのかもわかります。

商品が完成すれば、その商品を販売して利益を上げつつ、コンサルティングの契約を獲得する行動をはじめます。これも実例を先に集め、そこから紹介客を増やしたりなどの方法をとっていくのが好ましいでしょう。

4固定収入型の資格を持つ資格起業家

顧問料などの固定収入を得られる資格の場合です。社会保険労務士の給与計算、税理士の税務顧問などは、一度仕事として獲得できれば定期的に収益が得られるようになります。

この手の資格は、地道な営業を続けていくと、次第にクライアントが増えていくことから、3年くらい我慢して地道に営業を重ねていけばそれだけで十分に稼ぐことができるのです。

ただし、本書では今すぐ稼げることを念頭に置いているので、「今すぐ顧問契約を獲りたい」という人のために、飛躍的に成約率を上げる方法を解説します。この方法も、基本的には資格起業家になるための戦略、お客さまの視点でものごとを考えることで解決できます。

結論から言いましょう。年単位での契約を分割すれば、成約率は上がります。

つまり、税理士でも1年契約ではなく、3か月、6か月の顧問期間を設定すればよいのです。

 「いや、税務は年間で見ないとダメなんです」

そう考える税理士は非常に多いのですが、お客さまの気持ちになっていないからそう言えるのです。あなたが紹介もなく、新規に契約する場合に、知らない税理士といきなり1年契約を結べますか? 私は怖くて結べません。一度や二度会っただけでは、その人がどんな人かもわかりません。

「でも、やっぱり1年でないと……」

では、新聞購読の勧誘はどうでしょう。決して新聞の勧誘が悪いとは言いませんが、いきなり「○○新聞を1年とってください」と言われてもまずとらないでしょう。「まずは3か月だけとってもらって、それでダメだったら解約してもらって結構です」といった勧誘だからこそ、最初の購読契約がとれるわけです。

お客さまは想像以上に慎重です。この点は忘れないでください。また、このような固定収入が期待できる資格業でも、コンサルティング型やコンテンツ型など資格起業家として活用できるところはぜひ活用していただきたいと思います。

固定収入型資格起業家になるためのステップ
①お客さまが申し込むにあたって、不安だと思っている点を解決するサービスを考える
いきなり1年契約を取るのは極めて難しいことは前述のとおりです。最終的には、起業家としてのブランドを高め、サービスを充実させ、高い価格で年間契約を取るだけの形にしたいところですが、はじめはそうもいきません。

最初にお客さまが不安に感じるのは、「この人で大丈夫だろうか」「長い期間頼んでもいいのだろうか」「お金を支払い続けられるか」ということです。

人格や実績については積、み上げたものを伝えることで解消できます。ようは、お客さまの長期間の契約と金銭的不安をどう解消するかがポイントになります。

その解消ポイントは、2点です

 ①短期間契約
 ②初期費用を抑える

税理士を例に挙げましょう。まずは1か月、3か月単位で契約を交わすようにします。そうすることで最初の成約率が上がります。契約期間が終了する頃に更新のお知らせをします。こうした期間を短く設定することがひとつの方法です。

もうひとつの方法は、顧問報酬を安くすることです。

「価格を下げると苦しくなるのでは?」

たしかにそのとおりです。しかし、最初はそんなことも言ってられません。顧問料を下げる代わりに、年間契約を獲る、あるいは最初の費用を抑える代わりに、売上に比例して顧問料を上げる契約を獲るなどの工夫が必要です。

最初の段階での不安を解消する、つまり成約率を上げることが重要なのです。

②長く付き合うことのお得感を与える
固定収入が計算できるなら、お客さまと長く付き合うことが大切です。そのため、お客さまとコミュニケーションをきちんと取り、継続して関係をつくっていくことが重要です。

そこで、ニュースレターを定期的に発行するなど、税理士業以外のところでもアドバイスができるようにしましょう。特に税理士は、決算書からのアドバイスなどが多くなりがちです。もちろん、そういったアドバイスはお客さまにとって貴重ですが、それにとらわれてはいけません。

「お客さまのためになること」

ここから考えて、お客さまの得になることを考えて、実践していきましょう。

5物販型の資格起業家
資格業だからといって、知識だけが商品とは限りません。そもそも無形物を商品にすることは、ビジネスの素人であればなおさら難しいのです。そのため、資格起業家のビジネスモデルは、将来的に物販や、別の事業と並行して行うことも考えなければなりません。

私はこれからの資格業も、物販を行うことを視野に入れても構わないと考えています。

商品を売ろうと考える物販型資格業は、これまでの資格での成功法の概念になかったため、あくまで仮説としてお話しします。この解説をヒントに柔軟な発想でビジネスを考えてください。

「資格業の仕事を自分に依頼する可能性の高いお客さまが欲しくなる商品」を設定することがポイントです。物販で利益を上げながら、資格業の仕事を得るという仕組みになります。

注意していただきたいのは、起業経験がないまま、決して物販型の資格起業家になってはならないということです。

資格業には基本的に仕入れにあたるものがありません。各種の許可や税金の手続きなどに必要なのは、せいぜい資料や紙、会計ソフトのようなものだけです。

ところが、物販の場合は仕入れが発生します。ということは、在庫のリスクを抱えることになるのです。

したがって、ビジネスの素人が物販型資格起業家を目指すべきでありません。そのほかの資格起業家のタイプよりは優先順位が低くなるといえるます。

物販型資格起業家のつくり方
①資格(あるいは資格の一部)を決め、将来その業務に関連した商品を探す
ある許可が必要な健康食品があるとします。この仕事をするには、行政書士の資格が必要です。その場合、まずはこの商品を売るための許可を自分自身で取得し、販売する準備をします。

②販売して利益を上げ、資格業の仕事に最終的につながる仕組みを考える
実際に健康食品を販売して利益を上げます。一定の成果が出ると、どのような業界でも「同じ商品を扱いたい」という人が必ず出てきます。

ここが重要ですが、その成功したい人向けに、ビジネス支援サービスを展開するのです。

具体的には、コンサルティングやコンテンツの販売が考えられます。そして、健康食品を売るには許可が必要なわけですから、その許可も引き受ける形を取ります。こういった仕組みをつくるわけです。

利益が入る仕組みは複数あります。物販、コンサルティング・コンテンツ、そして資格業の仕事という流れになります。

つまり、物販型の資格起業家は、通常の実業家と同じレベルなのです。通常のビジネスがうまくいけば、あえて資格業にこだわる必要もありません。

ただし、前述のように在庫リスクがありますから、ビジネスの素人がはじめる場合は優先度が低いタイプの資格起業家といえます。

エピローグ 資格業はもっと稼いでいい

資格はとても不思議なものです。起業するための手段は資格だけではないにもかかわらず、最初は資格を取ることが目的となり、資格を取ればすべてがうまくいくと思ってしまいます。そして、資格を取ると資格に依存してしまい、資格の本質が見抜けずに、資格業で起業しても稼げない状況が続き、最悪の場合は廃業してしまうのです。

資格の取得を考えたとき、ひとつは資格の仕事内容に注目が集まります。たとえば、会計やマネーに興味があれば、税理士や公認会計士、FPなどの資格を取るでしょう。

もうひとつ注目されるポイントとして、「収入」が挙げられます。これはどの資格がどのくらい平均して稼いでいるのかを示す指標です。年収1000万円以上稼ぎたいから、弁護士になりたい……おそらく、この資格で起業すればこのくらいは稼げるようになるだろうという目算です。

ところが、現実はそんなに甘くありません。資格を取得し、理想の仕事をはじめたものの、その理想に収入が追いついてこないのです。

過去、資格を取れば「手に職」で、そのまま資格で食べていくことが可能でした。ところが、「最近は資格業も営業をしなければいけないらしい」「資格によって稼げるものと稼げないものもあるらしい」、そういったことが言われるようになりました。

結果、資格がランキングされ、取っても意味がない、役立たずの資格だと言われてしまっているものもあるのです。もちろん、試験の難易度の違いがありますから、すべての資格が必ずしも対等であるとは限らないのですが、すべての資格の差は性質であって、優劣ではないはずです。

せっかく資格を取ったのですから、自分のビジネスとしてぜひ生かして欲しい、私は本当にそう思います。

「俺は稼げない資格を取ってしまったんだ……」
「私の取った資格は使えない資格だって誹謗中傷されている……」
 いくつかの資格業が稼げないのも、こういった背景が影響しているのではないか、そう感じています。

私が行政書士の資格で起業するときに、いろいろな調査をしました。どのくらい稼げるのか、実際のところ稼げる資格なのかどうか。やる気をそがれる情報も少なくなかったのです。

本書で資格起業家のビジネスモデルを学んだあなたは、資格業は自分次第でどうにでも稼げることを理解されたと思いますが、何も知らずにやる気をそがれる情報を見てしまうと、資格業に誇りが持てなくなってしまうのです。「一定の収入を得ること」は、世の中ではひとつのステータスであることに間違いありません。

私は、資格業の仕事は価値ある仕事だと思っています。

主に法律の知識を使い、その人しかできない仕事をするわけです。多くの人は、試験のためにマジメに勉強し、その努力の結果、資格を取得したはずです。

本書では、資格業が労働集約型であるデメリットをお話ししましたが、逆の言い方をすれば、ひとつの仕事に時間がかかり、ミスも許されないような極めて価値のある仕事をしているともいえるのです。

資格業について後ろ向きな気持ちを持っていた人は、それを改めてください。もっと自信を持ってください。資格業は価値ある仕事です。もっと稼いでいいのです。

もう一度言いましょう。資格業はもっと稼いでいいのです。

資格業が世間的にも認められ、起業家としても認められるためにも、もっと稼ぐ必要があるのです。

私は行政書士で起業した当初から、ずっと違和感を覚えていました。資格業は基本的に“先生”と呼ばれる業種でもあります。しかし私も含め、本当に尊敬の意味での先生と呼ばれている人は極めて少ないような気がしたのです。

これはいったいどうしてだろうと常に思っていました。資格起業家としてビジネスモデルをつくったときに、その原因がわかったのです。

「資格業はクライアント(お客さま)より稼いでいない」ことが原因だったのです。

「拝金主義」を肯定するつもりはありませんが、収入は一種のステータスです。また自分に自信をもたらすものでもあります。本当に先生と呼ばれるには、クライアントより稼ぐ必要があるのではないか、と思ったのです。

年収が300万円にも満たない行政書士のところに、年商が億を超える建設業の社長が相談に訪れたとします。

「ねえ、先生、建設業の許可、もうちょっと安くできない?」

その行政書士が少しでも収入を得たいときは、なんとなく値下げをしてしまいます。

 「先生、悪いね。安くしてもらっちゃって」

この場合の“先生”は、おそらく資格業としては多少認められていても、起業家としては認められていないでしょう。それはやはり、稼いでいないからにほかなりません。資格起業家として、クライアント以上に収益を上げている人が、「ねえ、先生、建設業の許可、もうちょっと安くできない?」と頼まれたら?

資格起業家のビジネスモデルによって、断っても十分な仕組みはできていたとすると、古い知り合いならばともかく、別に無理をして受けなくてもビジネスはまわるわけですから断ることもできるのです。この状況まできてはじめて、クライアントとフェアな関係になれるのではないか、私はそう思っているのです。

さらには、こうした「資格起業家」が増えることによって、資格業界も活性化し、より健全な競争社会になると考えています。その結果、資格業界がより注目され、脚光を浴びてマスコミやアパレルのような憧れられる人気業界になることが、私の密かな夢です。

この資格起業家のビジネスモデルのつくり方は、極めて「非常識」です。「資格業の仕事はなくてもいい」と言い切るのですから、従来の資格業のマーケティングのやり方とは真逆の方法です。

「非常識」というのは決して「奇人」「おかしい」という意味ではありません。「多くの資格業は失敗する」と言われています。それは常識的なことにとらわれてしまうから失敗してしまうのです。

多くの人がやっていることを常識的にやるからこそ、みんな同じように失敗してしまうのです。逆の言い方をすれば、失敗しないためには、従来のスタンダードからははずれることになります。

奇をてらっているわけではないです。発想を逆転してやっているだけなのです。人がやらないことを、常識にとらわれずに行動することでうまくいくのです。たまたまそのときに常識ではなかったから、「奇人」だとか「おかしい」とか言われる可能性があるということです。

常識にとらわれない道を進むのは、勇気が必要です。しかし、その一歩を踏み出すからこそ成功できるのです。

ですから、常に逆転、常に逆の視点を持って自分自身を客観的に見て、常識にとらわれず、どんどん非常識に稼ぐ資格の起業家、「資格起業家」になってください。

横須賀輝尚

巻末企画 横須賀式「最短で資格を取得する」極意

受験生と資格起業家の間にある「情報」の差
起業する前の段階で、業界のことをリサーチしておこう

本書は、資格を取って起業したがなかなかうまくいかない人、あるいはすでに資格を持っていて、これから起業しよう考えている人向けに、経営やビジネスモデルの話をしてきました。

最後に、これから資格を取ろうと考えている人に向けての内容を盛り込むことにします。

その理由は、受験のときの知識や情報と、実際に起業してからの情報が、あまりにもかけ離れすぎているからです。

たとえば行政書士業界でも、同業から尊敬される成功者がいます。しかし、受験生はほとんどそういった情報を知りません。合格後、開業前にそういった情報を集めます。そして業界などについて知ることになるわけです。

しかし、これでは遅すぎます。起業の方法に正攻法はありませんが、技術を身につけながら業界や競合他社を知り、タイミングを見計らって起業するのが一般的でしょう。

これに対して資格業の場合は、資格を取得し、身につけた後に起業のことを考えます。そこではじめて業界を知って業界の情報や、同業他者の状況をリサーチしているのです。つまり、起業までに一度「受験」をはさむという特徴があり、その間ビジネスとしては空白の時期になってしまうのです。そのため、資格業で新しく起業すると出遅れてしまうことが多いのです。

業界のことは起業前に知っておくこと。最短で成功したければ、資格を取得する以前に、最低限の業界情報をリサーチしておくべきです。

私はよく、「行政書士になりたい」という相談を受けますが、ほとんどが「どうすれば試験に受かるか」という内容です。その先のプランや情報については聞いたことがありません。ですから、起業しても成功しないのです。業界をリサーチすることは、受験前でも可能です。

そうはいっても資格業は資格ありき、資格取得の障害を取り除こう
とはいえ、試験に合格しなければ資格業ははじめられませんから、あくまで最低限のリサーチにとどめておくとともに、試験勉強に全力で取り組みましょう。

試験は、年1回しか行われないものがほとんどです。貴重な時間を無駄に費やさないためにも、1年後にはきちんと取得したいものです。

試験への取り組み方は、人によって千差万別です。自分に合った方法ですすめていけばよいと思います。何より、試験に受からなければ資格業では1円も稼げないのですから、最短での合格を目指しましょう。

私の経験上、合格を遅らせるものは、疑問や不安です。その結果、悩むことに時間を使ってしまい、思うように受験勉強がすすみません。そこで次から、受験前、受験中、受験後などにぶつかる疑問に答えていきます。

受験前の「疑問」に答える
たくさんの資格からどの資格を選べばいいのか?

資格起業家のスタート地点を受験とすれば、無駄をなくし、合格を最短で目指すことが必須だといえるでしょう。まずは、受験前の疑問と不安の解消から解説します。

基本的に、どの資格でも起業することを目標にされるでしょう。中でも本書で例として取り上げている資格業は、資格起業家のビジネススタイルに向いています。

業務独占資格でも名称独占資格でも、自分自身のたな卸しをして、一貫性のあるビジネスができる資格か、または自分自身の好きな資格を選択するのがベストです。決して難易度だけで資格を選ばないようにするのが大切です。難易度が高い資格だから高収入を得られるわけではありません。どんな資格業でも、自分自身でビジネスモデルを構築しなければ高収入は得られません。

資格を取るのに制限はあるのか? 創業に制限はあるのか?
一部の資格は、受験するのに一定の学歴が必要なケースがあります。受験資格は法律で決まっているので、これには従わなければなりません。

しかし、起業に関しては制限がありません。制限がないので、資格さえ取ってしまえば、年齢も性別も学歴も関係ありません。現に私自身、23歳のときに何もないところからはじめて、現在に至ります。ですから、起業については年齢は関係ないと考えてください。

資格についてもっと知りたいときは
資格についてもっと知りたいときは、各資格を管轄している試験機関のウェブサイトなどを参考にするか、受験予備校が公開している情報を参考にするのがよいでしょう。受験資格や受験内容、試験の日程などがすべて掲載されているはずです。

本書の中でも、「資格を知る」ということが極めて重要だと説明しました。資格を取得した後に、実際の業務内容や平均年収などを知り、「自分の思っていたことと違う」といった勝手な勘違いを防げるのは、受験前だけです。

資格を取ろうと思ったら、できる限りその資格のことを調べ、実際の業務内容は理解したうえで受験しなければいけません。

資格を取ってから「思っていたような資格ではなかった」と後悔する前に、どんな資格で自分がやりたいことは何なのか、ある程度すり合わせてから資格を選択するようにしましょう。

勉強方法の選び方

一般的に、勉強には

 ①通学(講座)
 ②通信(講座)
 ③独学

の3つのパターンがあります。金銭的なことや自分の状況などで分かれますが、何より自分にとって快適な勉強状況を選択すべきです。そして集中して続けられるものがいいでしょう。

私自身は、大学の3年時に取得しましたが、金銭的な余裕がなかったため、独学を選びました。独学の場合は、何より継続して集中した勉強ができる環境をつくり出せるかどうかが重要です。

独学ではなく、講義を受けるほうが集中して勉強を継続できるのであれば、予備校(専門学校)などに通うのも手です。講義をじつと聞くのが苦手であれば、通信も可能です。

「どの勉強方法が受かりやすいのか?」ではなく、「自分にとって、どの方法が一番成果が出やすいのか」を基準に選択しましょう。他人の意見はあくまで他人の意見です。資格取得者の合格記なども役に立ちますが、目安にとどめ、自分についてどうなのか考えましょう。

参考までに、通学、通信、独学のメリット・デメリットを解説します。

①通学(講座)
通学講座とは、その名のとおり資格試験を指導する予備校(専門学校)などに通う方法です。各校独自のカリキュラムとテキストを使った講義を受けるので、定期的に通うことになります。試験直前などには集中講座や模試があります。

メリットは講義形式なので、独学や通信講座より理解が早いといわれています。年間のスケジュールが決められているので、自分で計画を立てなくても計画的に勉強を進めることができます。また、試験の最新情報も手に入りやすいです。

デメリットは、それなりの費用がかかることです。また、講義を受けるために予備校のスケジュールに合わせる必要があります。移動に時間を取られてしまうのも、デメリットでしょう。

②通信(講座)
教材を購入し、自宅などで自主的に勉強を進めていくタイプの勉強方法です。独学と異なる点は、問題の添削が可能であったり、勉強について相談できたりといったオプションがある点です。

メリットは、時間と場所に制約されずに、自由に勉強することができることです。なかには電話やメールでの質問を受け付けてくれるところもあるので、わからない点もしっかり理解することができます。

デメリットは、予備校などが主催している講座の場合、金銭的負担がかかります。また、自由に計画が立てられる反面、自分の意志が強くないと続きません。

③独学
市販されている書籍や教材を使用して、独自に勉強を進めていく方法で、最大のメリットは金銭的な負担が軽いことです。市販されている教材を購入し、予備校の模試を受けたとしても、2万~3万円の出資で済みます。また、拘束される時間がないので自由に勉強することができます。

デメリットは、すべて自己責任で行うため、合格するまでに時間がかかることと、最新の情報が入りにくいことです。また、自分で計画を立てて進めていかなければいけないので、挫折しやすい勉強方法といえます。

受験中の「疑問」に答える
1日何時間くらい勉強すれば合格できる?

よく、「1日何時間くらい勉強すれば合格できますか?」と質問されますが、これは聞いても無駄です。3か月集中した勉強で受かる人もいれば、何年やっても受からない人もいます。

「それでも目安を知りたいのですが……」という質問には、「生活や仕事、睡眠などの必要な時間以外はすべて試験勉強に使えば受かるでしょう」と答えるしかありません。試験に合格することが目的なのですから、勉強できる時間をできるだけたくさん用意して、集中して勉強するだけです。

もちろん、体力や集中力には限界がありますので、単にたくさん時間を割けばよいということではありません。あくまでも「合格」が目標なのですから、「1日何時間勉強すればいい」のではなく、「いかに受験のために多く時間をつくり出せるか」という発想が重要なのです。

モチベーションを保つ方法
受験勉強中は、モチベーションを維持することも非常に重要です。ポイントは気分転換ですので、自分にあったストレス解消法を見つけましょう。ただし、あくまでも勉強を快適にするためのストレス解消です。ストレス解消が目的になってしまってはいけません。

モチベーションは、「勉強した結果が出ない」ときにも下がります。そんなときには「成功したときの自分の姿を想像する」ことです。

想像してみてください。あなたが資格を取って成功する未来を。クライアントからは先生と呼ばれて尊敬される。収入も1000万円以上あり、あなたを慕う従業員もいる。理想の住居にも住むことができ、車や時計などの物欲も満たせている……。

実際に想像すると、思わずにやけてしまうかもしれませんが、間違いなくモチベーションは上がります。思い悩んだら、成功した自分を想像する。これがポイントです。

批判、悪口からは何も生まれない
やってはいけないこととして、資格を悪く言う人や情報には触れないことです。資格によっては、インターネットの掲示板などで、ひどく言われているときがあります。そういう情報は見ても気にしない、あるいは最初から見ないことです。

たとえ弁護士であっても、成功できる人ばかりではありません。本当に使えない資格であれば、とっくにこの世から消えています。どの資格であっても、きちんと結果を出している人はたくさんいるのです。

あなたのモチベーションを下げるような情報や、あなたのやる気をそぐような無料のアドバイスは、何のメリットも与えてくれません。無視するのが一番です。

どこまで勉強すればいいのか?
独学だと、ポイントをつかめないことがあります。「試験に出る可能性は低いが、念のために覚えておこう」とテキストに記述されていると、いったいどこまで勉強すればよいのかわかりません。勉強には終わりがありませんが、まずは合格するまで続けることが目標です。傾向と対策を練って、試験によく出るところはカンペキに押さえ、それ以外は余裕があったら覚えるくらいでちょうどよいでしょう。

特に独学の場合は自分自身のレベルを知るために、できるだけ模試を受けるようにしましょう。そして、試験の結果を勉強方法に反映させて、合格レベルに達するまで勉強するのがベストです。

私自身が実践した勉強法を大公開
参考までに、横須賀式の勉強方法を紹介します。私が受験したのは行政書士の試験で、採用した勉強方法は独学です。参考書を購入し、自力で勉強して約3か月で合格しました。

行政書士の試験は選択問題が多く、その選択問題ができるかどうかが合否を左右します。そのため、選択問題の正答率を合格ラインまで引き上げる方法を考えました。

受験当時は大学生だったため、大学の授業に時間を費やさねばなりませんでした。そこで、短期間で効果が上がる方法を考えなければならなかったのです。

①ノートをつくらない勉強方法
まずは基本的な勉強をどうするか考えました。教科書を読みながらノートにまとめるのは時間がかかります。そこでノートを使うことをキッパリとやめました。

基本は教科書を読み込む。蛍光ペンで重要なところにマーキングし、何回も読み返して理解を深めます。1回目は黄色の蛍光ペン、2回目は赤色、3回目は青と色を変え、読む回数を増やしていきました。何度か読み込んでいくと、少しずつ理解が深まっていきます。 そこではっきりと理解するために、問題集を解きます。

②過去問に集中する
何度読み込んだとしても、ハッキリと理解することはできませんので、過去問を集中して解いていきます。もちろん最初はわからない問題もたくさんありますが、気にせずに解いていきます。

問題集はあれこれ買わずに、1冊を徹底的に使用しましょう。サイズは電車でも自宅でも持ち運べるサイズの問題集が最適ですが、行政書士試験のように科目が多く、問題集1冊が厚くなりがちなものは、科目ごとに切り離してしまいましょう。こうするとひとつの科目は1センチ以下の厚みになりますので、とても運びやすくなります。

さて、問題集を何度も何度も解いていくと理解度が増し、解ける問題が増えていきます。最低でも5、6回は集中して行い、10回は繰り返し解くと効果的です。

ここまで問題を解いてくると、正解にも違いが出てきます。

 ①選択肢もすべてわかり、完璧に答えがわかっている問題
 ②答えだけわかった問題
 ③なんとなく答えがわかった問題
 ④苦手でいつも忘れてしまう問題

おおよそこの4パターンに分かれます。②と③は続けていけばそのうち①になります。しかし、最終的に苦手な問題が1~2割は残ってしまうものです。

そこで、この苦手な部分をはじめてノートに整理します。これを繰り返すと、自分だけの「弱点ノート」が完成します。この「弱点ノート」はおすすめです。

③予想問題、模試を活用する
ここまでおよそ1か月半から2か月です。最後の1か月は何をしたかというと、予想問題集を解きました。

過去問は1冊を徹底的に使用しましたが、予想問題集は可能な限り多くの、できれば違う出版社のものを解きます。

予想問題集は、各出版社が真剣に予想してつくった問題です。そのため、実際に本番で出題されたり、似たような問題が出ることが多いのです。

ここでできなかった問題も、すべて「弱点ノート」に書き込んでしまいます。これですべての弱点をノートにまとめることができたはずです。あとは同じように過去問を解いて、理解を深めていきます。

さらに、できることなら「直前模試」などを受け、同じくできなかったところは「弱点ノート」にまとめてしまいましょう。

そして試験の前日や当日には参考書を見ずに、「弱点ノート」を徹底的に読み返します。参考書を見てしまうと、覚えていないことも発見してしまうので不安になってしまいます。いらぬ不安は合格を妨げるだけです。

この「弱点ノート」があれば、そんな不安とは無関係です。「弱点ノート」に書かれていることは、自分の苦手なことです。これをひとつでも覚えてしまえば、確実に合格が近づきます。

資格を取った後に考えるべきこと
いつ開業すればいいのか?

これもよくある質問ですが、結論からいえば、いつでも開業できます。自分のタイミングで開業すればいいのです。

しかし、本書のような資格起業家としてのビジネスモデルを構築して、成功を目指す場合には、起業する前に経営とマーケティングについて解説した本も併せて読み、ビジネスを学ぶことをおすすめします。

もちろん、本を読むだけでは身につかないノウハウは多く、体験によって学ぶことも必要ですが、経営に必要な最低限の勉強はしておくべきです。

どこで開業すればいいのか?
最初のうちは、場所は関係ないと思います。私自身、最初は自分のアパートをオフィスとしていましたし、場所は関係ありません。

「お客さまが訪問したいと言ってきたらどうするの?」という質問もありますが、こちらからうかがえばよいだけの話です。実際に来てもらったほうが、お客さまにとっては都合がいい場合も極めて多いのです。最初からオフィスを持てばそれだけ経費がかかります。什器もそろえなければなりません。お客さまでない人(飛び込み営業や知人など)も訪れれば、無駄なお茶代がかかるのです。

ですから、最初は「無駄なお金を使わない」という財務戦略で、お金のかからない方法を選びましょう。

ただし、オフィスのあるほうが、お客さまから見れば、信用度が高いのは事実です。

オフィスを持ってスタッフを抱えない限り、ある一定の売上を超えることができません。ゆくゆくはオフィスを持つことを検討しましょう。

実務がわからない
行政書士のように、登録に実務経験を必要としない資格は、「どこでどう実務を学ぶのか?」「やったことのない仕事がきたらどうするのか?」という疑問があります。

基本的に、資格業の仕事は法律に関するものが多いので、答えがあります。

法律は役所がすべて教えてくれます。ですから、「仕事がきたときに調べる」で足ります。いつ依頼されるかわからない仕事のために、常に勉強するというのは、最初のうちはすべきではありません。もちろん、勉強は大事ですが、仕事が獲れる方法を優先するという流れが重要であることは忘れないようにしましょう。

開業したら、どのくらい働けばいいのか?
ゼロから起業した場合、自分自身納得のいく結果が出るまでは、ビジネス中心の生活を送ってください。いわゆる仕事人間になってください。

起業というのは、簡単なことではありません。起業を成功させた人たちの多くは、一度はビジネス中心の生活を送っています。成功したいのであれば、すべてを仕事に注ぎ込むくらいの気持ちでがんばってください。

私自身、12~14時間労働を今も続けています。「自分の目標を達成させるために、どのくらい働けばいいのか」ではなく、「自分の目標を達成するために、生活サイクルを決める」というように考えるのがポイントです。

これに合わせて営業時間をどうすればいいかというと、お客さまの視点で考えてみましょう。9時~18時くらいが一般企業ですが、お客さまのことを考えれば、24時間営業でもよいのです。「ひとりで対応できない」場合、お客さまからかかってきた電話は、手許の携帯電話に転送するようにしておけばいいわけです。すべては自分の達成したい目標とお客さまの視点から考えてください。

※掲載されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、書籍販売当時のまま掲載しています。
※書籍販売当時に収録していた成功事例は、現在の公開には適さないため、非公開とさせていただきました。

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