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【アラサーOLがハワイの海で死にかけた話②】
前回記事の続き!
助けて!!決死のSOS!!!
近くにいた同期の女子に、溺れていることを伝えると、
彼女は必至に私を落ち着かせようとしてくれた。
「ラッコのように仰向けになって!」と言われ実践するも、高い波がきて顔にかかり、私はやはりバタバタしてしまう。
何度も水を飲み、必死に唯一できる犬掻きを続けた。
2人で「助けてー!!」と岸にいる先輩に向かって叫ぶも、
みんなふざけていると思い相手にしてくれない。
(いや、ふざけてするようなジョークじゃないだろ)
来てくれないことを悟った同期の女子が、「泳いで助け呼んでくる」と言って泳ぎ出した。
私は見捨てられたような感覚になり、「行かないで!」と叫んでしまったのを鮮明に覚えている。
救助が来ても無理?!
彼女が泳ぎ出したのを見て、やっと事の重大さに気づいた先輩たち。
泳げる男性2人が、私の方に向かって泳いでくる。
しかし波が強く、とりあえず辿り着けたのは一人。
一生懸命、泳いで私を後ろか押してくれる先輩。
でも全然進まない。
来てくれた時点で、もはや体力を使い果たしていた私は、
なかなか足の着く場所にたどり着けないのを理解し、
「あっもう無理だ」と思った。
せめてこの先輩も一緒に死ぬなんてなったらマズイな。どうしよう。
と、もはや自分の命は諦めていた。
救世主現る!!
そこで当然、海の中から黒人男性が出てきた。
私たちが遊んでいたビーチは、他に誰も居なかったはずなのに。
「Are you all right ?」と聞かれ、
精一杯「NOOOOO( ;∀;) !!!!!!!」と答える。
「オーケー捕まって」と言われ、
(本来ならしてはいけないのだろうけど)首にがっつり両腕を回した。
もう私に体力は微塵も残っていなかったから、バタ足などして補助することも全くできなかったのだが、
私なんてまるでいないかのように、力強く彼は泳ぎ出し、
あっという間に岸まで連れて行ってくれた。
岸に着くと、皆が心配そうに集まってくる。
助けてくれた黒人男性に「サンキュー」と伝えると、彼は海へ帰って行った。
(天使だったのかな)
死にそうになって、その後
私が立ち上がり、咳込んで飲んだ海水を必死に出す。
途中泳いで助けを呼びに行った同期の女子は泣き出してしまった。
申し訳なくて、私は笑った。
せっかくの旅行が、これ以上バカな私のせいで楽しくなくならないように、
「びっくりしたー怖かったー!」「本当にすみません!!」と笑った。
そしてまたドライブは再開し、ホテルに帰った。
会社全体の食事会があったが、パスして部屋に残った。
そして一人、声を出して大泣きした。
本当に怖かった。
なぜか、その時、会社を辞めて実家に帰ろうと思った。
絶対そうしようと思った。なぜだか分からない。
猛烈にお母さんに会いたくなった。
でも、結局日本に帰っても会社は辞めなかったし、実家にも帰らなかった。
母に電話さえしなかった。
それでもその後何年かは、あの溺れる夢を何度も見た。
でも海に二度と入らなかったわけではなかった。
人間て不思議だ。
そして自然は決して、なめちゃいけない。
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