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死亡日が特定できない場合の退職日について

休職期間中の従業員が自宅で死亡した状態で見つかりました。検死の結果、病死であることが分かったのですが死体検案書には明確な死亡日が記載されておらず「令和3年1月中旬」とだけ記載されています。警察に確認しても特定できないとの一点張りです。このようなケースでは退職日をどのように取り決めれば良いでしょうか?


長期休職中の従業員への対応として、職場離脱の不安軽減やスムーズな復職に繋げるために適度な頻度でコミュニケーションを取って頂くが基本的には望ましいです。

一方でメンタル不全に罹患された従業員等の場合、医師の指示により労使関係のストレスからの完全解放が必要とされ、会社からの積極的な連絡を差し控えなければならないことがあります。

そのようなケースではご相談のように死亡してから長期間経った状態で従業員が発見され医学的に死亡日が特定できないことが稀にあります。

この場合の退職日(就業規則等にて退職事由を死亡としている場合)の特定については退職金の計算や社会保険事務手続等にも影響するため個別事案毎に行政に確認頂く必要がありますが、基本的には以下による民法の学説に準じた相続税法の取り扱い(出典:東京国税局・資産税審理研修資料・平成20年8月)に従うと問題とはならないと考えます。


① 年月が明らかで推定日に幅がある場合(例:1月1日から10日の間)
→ 最後の推定日の終日(10日)となる。

② 推定月までしか知り得ない場合(例:1月)
→ 推定月の末日(1月31日)となる。

③ 年が明らかで推定月に幅がある場合(例:令和2年6月から11月の間)
→ 最後の月の末日(令和2年11月30日)となる。

④ 推定年までしか知り得ない場合(例:令和2年)
→ その年の最終日(例:令和2年12月31日)となる。

⑤ 年に幅がある場合(例:令和1年から令和2年の間)
→ 最後の年の末日(令和2年12月31日)となる。


従って、ご相談のケースは令和3年1月31日を死亡日(=退職日)とされれば良いでしょう。

〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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