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12. AIと哲学『石橋を叩いて渡る哲学』

 AIと哲学  2022年頃からのAIの急激な進化が将来及ぼすであろう社会的な影響について考えてみました。2022年頃とは述べたものの、AIという言葉が指す意味として、機械・ロボット・コンピュータ・人工知能などを含む広義の意味でのAIであることを述べておきます。  私達が普段コミュニケーションを行う中で使っている日本語や英語のような自然言語を機械への命令として利用可能にするような技術が発明されました。それどころか、今や多くの人間よりも自然言語を扱うのが上手いのではないかと

    • 11. 政治の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

       政治の構造  私は、政策は金で買えると考えています。政治を構造として見た場合、政治献金が可能であるならば、政治献金により少数の資本を持つ者が政治家を通じて政治ができるのではないかと考えています。また、現在の日本は実際にそのような構造であると考えています。フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーは大規模な民主制について懐疑的な見解を示しました。その理由の中に、上記のような経済的不平等を挙げています。したがって、この構造を前提とするならば、どの政党が与党になったとしてもその構

      • 10. 日本社会の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

         不安が蔓延る日本  「自信がない人」にも関わる話ですが、日本社会全体に言えることとして、不安を抱く人が多い、自信がない人が多いということがあります。私はその要因として、石橋を叩いて渡る哲学の幸せの定義にも登場した、自由の条件である、尊厳が大きく関わっていると考えています。背理法ではありますが、不安を感じさせない、自信に溢れている人達を想像してください。どの方も確固たる尊厳を持っているように感じます。尊厳というのは、自尊心・自己価値のことです。石橋を叩いて渡る哲学において尊

        • 9. 木ではなく森を見ろ『石橋を叩いて渡る哲学』

           悪人は存在しない?  資本主義を、全体をカバーするシステムと捉えることで「悪」に見えてしまうということを述べました。この視点から悪人という概念について考えます。  言葉は、思考の材料である知識・知識体系・体験を情報として形作り、他者にそれを共有するというツールとしての役割があります。しかし、世の中ではこの認識が逆になっていると感じます。言葉の前には、話し手の知識・知識体系・体験などの情報が存在します。話し手の情報の前にはさらに脳に情報として格納する前の現象・事実やそれに

        12. AIと哲学『石橋を叩いて渡る哲学』

          8. 労働の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

           労働の構造から問題を探る  現代の日本社会における労働の大まかな構造について考えていきます。 日本社会における労働の役割は4つあります。 ① 資本主義から成る仕組みを維持するための経済活動 ② 社会制度やインフラなどのシステムの維持・運用 ③ 技術・研究・文化の推進 ④ 個人の生活資金の確保  この4つの役割の内の「個人の生活資金の確保」をメインに社会における労働の問題を考えていきます。  会社員の役割についての仕事論・議論は職場や居酒屋、SNS上でよく見かけます。そ

          8. 労働の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

          7. 自信がない人『石橋を叩いて渡る哲学』

           自信がない人  昨今、日本人の自己肯定感や自信、自尊感情が他の先進国と比べて低いというアンケートの調査結果が度々話題になっています。調査結果だけでなく、実際に自信がないという方は多いのではないでしょうか。自分に自信がないという問題の構造を定義して認識・理解することでこの問題に対処していきます。自分に自信がないとはどのような状態だと言えるのでしょうか。  次のシーンを想像してみてください。 ① あたなは暗闇の中を歩く集団の中にいます。 ② 見えるのは共に歩く仲間の様子だけ

          7. 自信がない人『石橋を叩いて渡る哲学』

          6. 人間関係の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

           脳内世界と現実世界  職場の人、家族、恋人、友達とうまくいかないという人間関係の問題は多くの人が抱えています。人間関係の問題は多種多様ではあるものの、大抵の場合は両者の脳内に構築された世界の差異、つまり認識相違によって生じます。人は目の前で起こった現象をありのまま認識することができません。外部から入力された情報を脳が利用できる形式に変換することによって初めて現実世界を間接的に認識することができます。感覚器官から入力されるリアルタイムの情報を随時、言語として認識・記憶・想起

          6. 人間関係の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

          5. 知識体系の収集『石橋を叩いて渡る哲学』

           仮説思考における知識体系の更新  石橋を叩いて渡る哲学は、仮説思考を基にした思考の構造を土台として、学問の知識体系やそれを前提として考察した幸せや生きる意味、悩みなどについての知識体系を積み重ねてきました。これまでの構築作業や定義した思考の構造から考えると、哲学はもちろんのこと、その材料である知識体系が重要な役割を果たすことが伝わったかと思います。仮説思考というのは更新機能を前提として持っています。その時点での最適解を自分で考え、それを基に行動・検証・修正をしていく思考法

          5. 知識体系の収集『石橋を叩いて渡る哲学』

          4. 実践的なお悩み解決法『石橋を叩いて渡る哲学』

           実践的なお悩み解決法  生きる意味という前提を得ることで堂々と生きていけるようになった石橋を叩いて渡る我々ですが、生きていく中で直面する問題への対処法を知っておくとより安心できます。そこで、今回は実践的なお悩み解決法について紹介します。思考の要素で表現すると、実践的なお悩み解決法とは、作業体系という知識体系に該当します。 悩み・問題├── background│ ├── 対処の種類│ ├── 悩み・問題のステージ│ ├── どうすれば良いのか決まってない状態

          4. 実践的なお悩み解決法『石橋を叩いて渡る哲学』

          3. 生きる意味『石橋を叩いて渡る哲学』

           石橋を叩いて渡る哲学の土台として、思考の構造を定義しました。次は、人生の取扱説明書における重要な前提となる生きる意味について検討していきます。生きる意味という前提を得ることでようやく石橋を叩いて渡る我々は堂々と生きていけます。  生きる意味を考えるタイミング  まずは、定義の前に一般的に考えられる生きる意味とそれを考えるに至る状況について考えます。生きる意味というと、一般的には「なぜ生きているのか?」という疑問の答えを充てる人が多いように思います。 ・子どものため ・美

          3. 生きる意味『石橋を叩いて渡る哲学』

          2. 思考の定義『石橋を叩いて渡る哲学』

           思考の定義の必要性  仮説思考を用いて、まずは思考の定義を行います。石橋を叩いて渡る哲学において、思考の定義は仮説思考とは違って「実在的な要素」となります。一方、仮説思考は「実在的な要素」というよりはそれを造る手段です。構成要素そのものではありません。仮説思考は手段であり、思考の定義は仮説思考による成果物というわけです。例えるならば、思考の定義は家の土台で、仮説思考は建築のスキルということです。故にどちらも重要ではありますが、石橋を叩いて渡る哲学は思考の定義という「実在的

          2. 思考の定義『石橋を叩いて渡る哲学』

          1. 石橋を叩いて渡る人は常に前提が欲しい生き物『石橋を叩いて渡る哲学』

           石橋を叩いて渡る人  世の中には石橋を叩いて渡る人が一定数存在します。石橋を叩いて渡るとは、頑丈な石で造られた橋を叩いて確認しながら渡ることから、物事に取り組む姿勢が特別慎重であることを表したことわざです。逆に言うと、石橋を叩いて渡る人が橋を渡るには、石橋の安全性を確認するような「前提」が必要になります。石橋を叩いて渡る人はその「前提」がない状態で橋を渡る必要がある場合、不安ながらにその橋を渡ることになるでしょう。私は「前提」がない状態で橋を渡ることは人生を歩むことに似て

          1. 石橋を叩いて渡る人は常に前提が欲しい生き物『石橋を叩いて渡る哲学』