11. 政治の問題『石橋を叩いて渡る哲学』

 政治の構造

 私は、政策は金で買えると考えています。政治を構造として見た場合、政治献金が可能であるならば、政治献金により少数の資本を持つ者が政治家を通じて政治ができるのではないかと考えています。また、現在の日本は実際にそのような構造であると考えています。フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーは大規模な民主制について懐疑的な見解を示しました。その理由の中に、上記のような経済的不平等を挙げています。したがって、この構造を前提とするならば、どの政党が与党になったとしてもその構造は変わらないと言えます。

 このような構造の問題として次が挙げられます。
① 民主主義の根幹である「過半数の意見を政策に反映すること」が実現できない。
② 特定の少数派の意見が採用されることにより「少数派が多数派から搾取する構造」になる。
③ 目的ベースではなくお金ベースの社会構造になる。
④ お金ベースの社会構造による不可抗力を解消するような自浄作用を持てない。
⑤ 負の連鎖による不景気により民衆の不満が高まり社会問題が頻発する。その影響を受ける弱者が耐えられない。社会崩壊へと向かう。

 これらの想定した問題に対する答えとしての改善策は、政治献金の完全な廃止です。そして、それが実現した場合の結果を推測してみます。

 政治献金なしの民主主義社会
① 政治献金の廃止により少数派の意見ではなく多数派の意見が政策に直接反映されるため、元々想定する民主主義の構造になる。
② お金ベースではなく、目的ベースの政策が実行される。
③ 下記は、私の希望的観測でもあります。
 ・ベーシックインカムの採用
 ・既得権益の解消。
 ・国民の平均労働時間が減少し、暇な時間が増える。
 ・暇な時間を使い、各個人が自由に活動することでそれぞれが持つ得意分野が活きる。
 ・文化が急速に発展する。
 ・急速に発展した文化に付加価値が付くことで国外からの収入が増える。

 3つ目は私の希望的観測ですが、このような希望的な観測による推測結果は、あまり意味がありません。上記はおそらく達成されないでしょう。理由は、多数決が実現したとしても、日本は少子高齢化社会であるため、現役世代に関する改善が行われるか疑問だからです。しかしながら、上記の構造が改善されるというだけでも現状よりは良い政治になることは明白でしょう。

 民主主義について

 民主主義の構造における問題について考えていきます。それにあたって、理想の民主主義という視点から考えてみます。私が思う理想の民主主義とは、国民全員が全員のことを考えて問題がないか探したり、助け合ったりする中でそれを円滑に進めることができるように社会のルールを変えるフレームワークとして政治が機能することです。

 しかしながら、現在の政治はそれが達成されないような構造になっていると考えられます。また、民主主義についてですが、民主主義が発案された時代に現在の先進国が抱えるような少子高齢化が予想できたでしょうか。おそらく、民主主義は少子高齢化ではないことを前提として作られた概念だと思います。これを解消するような代替案として、私は中央集権的な統治体制ではなく、アメリカのような分権的な統治体制が挙げられると考えています。根拠としては、現在に至るまで、民主主義よりも良い案が発明されていない以上、民主主義は継続されるということ。そして、民主主義は大規模よりも小規模のほうが向いているというルソーの見解に基づき、民主主義の状態をルソーの理想に近づけるためです。政治の話をする場合、このような根幹に関わる議論はあまり重要視されない傾向にあると感じます。どうしても本質的で抽象的であればあるほど実行する難易度が上がり、現実離れしていると感じてしまうからです。しかしながら、問題の本質が実は具体的なところにはなく、抽象的なところにある場合はどうでしょうか。いくら具体的で現実的な議論を重ねても問題は解決せず、解決したように見えた問題も時が経て再発してしまうのではないでしょうか。そういったジレンマに陥っているからこそ長い間問題が解決しないのではないのかと私は思います。

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