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青木夕海
2020年7月25日 18:08
……君が人間だったらよかったのにね。って、カケルが言ったから、ぼくはそのとおりになった。夜のあいだだけ、人間になった。どうして昼間は元のすがたのままなのか、考えるまでもなく、彼の言葉が不完全だったからなのだけど、せっかく鳥かごから抜けられたのだ。外へ出てみたい。ぼくはカーテンを引いて、いつもカケルがやっているように窓を開けた。ベランダに足を踏みいれてあたりを見まわす。見わたすかぎり、知らない形ば
2020年7月4日 20:32
ていねいな暮らしていねいな暮らしをしたくて花がらの空になったやかんを置いてる洋服をたたんで捨てる少しでも前のわたしを肯定したくて行数を埋めては消してく指さきにアンテナみたいなささくれが立つ鍋のなか絡まるパスタまぜながら茹でる時間を気にするしあわせ深海にルンバが泳ぐまぼろしをまぶたの裏にうつして眠る野良傘雨水がいつかの誰かのなぐさめのなみだとなって光となってぼくよりも世界をみて