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書評シリーズ

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自作の書評記事のみ集めました。ビジネス、思想。
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#書評

人新世の「資本論」をよむ

人新世の「資本論」をよむ

『ジブリの本棚』という映像作品があります。これは宮崎駿監督が岩波児童文庫の解説を行うものです。

この中でインタビューパートが印象的でした。

インタビュアーは『聞く力』の阿川佐和子さん。質問は読みたい本は何ですかという簡単なものだが、はぐらかし答えない。

三度問い詰められ、しぶしぶ答える監督。

「資本論。」

聞く力の勝利である。

資本論の壁宮崎監督は、どうやら資本論に挫折した経験があるよ

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宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

宇野重規『西洋政治思想史』を読んで

危機の時代には、自由は制限され、国家権力に従わなければならない。でも、それは一時的なものだ。

マルクス・ガブリエルがこう言ったのは、哲学者の言葉というよりも、民主主義の当たり前を表現した言葉に思われます。

ですから、政治的なものは、政府と市民の信頼関係が重要ではないでしょうか。

この本の作者宇野重規氏は、東大教授で、博覧強記の持ち主です。古代の政治思想から現代までの歴史をたったひとりで書いて

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