見出し画像

しとしとピッチャン de 林正英

♪しとしとピッチャン、しとピッチャン、しとピッチャン♪

♪哀しく冷たい 雨すだれ 幼い心を 凍てつかせ
帰らぬ 父(ちゃん)を待っている
ちゃんの仕事は 刺客(しかく)ぞな♪

今、私の頭の中で延々とこの歌がヘビロテ中。

これは70年代の漫画を元に映画化、ドラマ化された時代劇「子連れ狼」の主題歌です。

 この原作漫画の方は小池一夫氏作で、水鴎流剣術の達人で公儀介錯人(罪人を斬首刑に処するお役人)だった拝一刀(おがみ いっとう)と、その息子大五郎(拝大五郎)が、柳生一族による一族皆殺しという非道な所業に復讐するために、刺客に身をやつして「冥府魔道」を歩むという、悲哀と残酷シーンを多分に含む作品は日本のみならず、全世界でも大ヒットとなり、漫画は全世界で1180万部数という数字をたたき出しました。海外版の表紙は、この漫画の大ファンと言うアメコミのライターフランク・ミラーが担当しています。

(ちなみに漫画売上げ一位は「ワンピース」で4億8000万部で現在進行形)

私もかろうじてタイムリーではないのですが、インパクトの強い歌なので、色々な場面で聞く機会がありました。歌っているのは橋幸夫さんです。

子連れ狼の主題歌としては日本のファンの間では、バーブ佐竹さんが歌う「ててご橋」の方が馴染み深く人気も高いようですが、

香港で子連れ狼が放映された時に中国語の歌詞がついて使われたのが、橋幸夫さん歌う「しとしとぴっちゃん」の歌の方でした。

香港でも「子連れ狼」のドラマは当時大ヒットし、この歌も「天涯孤客」という中国語名でこちらも大ヒットしました。

そして、香港の別のテレビドラマでも主題歌として起用されました。

そのドラマこそ、私の敬愛する林正英(ラム・チェンイン)主演のキョンシーテレビドラマシリーズ「 殭屍 道長」です。

「霊幻道士」映画の大ヒットで知名度と人気を爆上げした林正英の姿をもっと見たいというファンの要望に応え、亜視(ATV)がテレビとしては破格のオファーをして映画俳優であった林正英をテレビドラマの主役として招き入れました

*香港の普通の芸能人が辿る道筋はテレビで人気→映画界へ

そうして1995年に作られたキョンシードラマ「殭屍道長」はテレビでも期待通りの高視聴率を収めます。その時の主題歌「天涯孤客」は日本の「子連れ狼」と類似した、ちょっと哀愁漂う感じのバージョンで使われています。

全30話のこのドラマは林正英人気で大人気を博した事で1996年「殭屍道長Ⅱ」が制作されました。

ちょっとポップでアップテンポな前奏で始まるこの主題歌ですが

やっぱり「しとしとぴっちゃん」です。

私は今「 殭屍道長Ⅱ」を見返しているので林正英を目にする度に、この「しとしとぴっちゃん」を聞いているので、この「子連れ狼」が頭の中で延々ヘビロテしているという訳です。

私は「子連れ狼」をやっていた当時はギリギリまだ生まれていないので、タイムリーに見た事も、この歌をちゃんと聞いた事もありませんでしたが、林正英のドラマに主題歌として使われている為に、よく耳にするようになって逆に、日本語のオリジナルを聞き直し、ずっと「しとしとぴっちゃん」というお子ちゃま向けの歌と思っていましたが「子連れ狼」のストーリーに沿った、すごく悲しく切ない歌だという事を初めて知りました。

「殭屍道長Ⅱ」は全50話で、まだまだ林正英を見足りないファンの為にⅢも制作予定でしたが、この時には残念ながら林正英は末期の肝臓癌に侵されており、1997年11月に亡くなってしまいます。

そうして香港中が林正英ロスに陥り、彼を偲んでその後もたくさんのキョンシー映画やドラマが制作され続けています。以前の記事で紹介したキョンシードラマ「我和殭屍有個約會」(1998年)もその一つです。

が、

「林正英の道士役を超える存在はいない」

香港ファンの間では、今なおそうささやかれ、惜しまれ続けているのです。

そしてかく言う私もⅡを見ていると、もしこの幻の「Ⅲ」が制作されていたら、今度は一体どんなバージョンの「しとしとぴっちゃん」だったんだろうな・・と考えずにはいられないのです。


サポートしていただけるとありがたいです。