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我が家のバスタブ戦争@香港

 香港は基本的にバスタブに浸かるという文化はありません。

なので、家の浴室はただのシャワールームというところも多いのです。(写真は香港の公共施設のシャワールーム)

日本の影響でバスタブを家に入れる人も昔よりも増えたとは思います。高級マンションを建てる専門の財閥グループのマンション設計にはホテル式の浅いバスタブを使ったユニットバスが定番になっているところもあります。

私は香港に赴任してからもずっとバスタブのあるマンションに住んできたので、結婚してから旦那がバスタブを入れてくれました。

これが初代バスタブ。

元々立ちシャワー室だったところのタイルの上にそのままバスタブを入れただけという乱暴な設置の仕方。(注:旦那Kの職業、内装屋)

ここに、いかにも気が利いてる風の、靴やちょっとしたものを洗えるミニ洗い場みたいな水を溜められるところをつけてくれたのですが、この洗い場の穴はただの穴なので栓を抜くとバスタブと壁の間のタイルにザーザー落ちて、バスタブのお湯がパイプを通って排水管に入っていくその隙間からちょっとずつはけていくという如何にもさっさと詰まってしまいそうな不親切設計。

(写真を良く見るとこの洗い場含めた台とバスタブの間、そして台の下つまりバスタブと壁の間の隙間がおわかりいただけるかと思うのですが、ここにはスペース上、角度上、手が入りません。)

極めつけは当時水回りの職人さんが外注だったのですが、何とその職人さんが頼みもしないのにジャグジー用のバスタブを勝手に設置

この初代バスタブには、このバスタブならではの問題が一つありました。

私が日本に一時帰国して数週間使わないと、そのジェットバスの穴の内部に汚れが溜まるので、お風呂に浸かる前に先に一回お湯を貯めて、ジェットバスを起動し、中の緑黒い汚れを出して、それを捨ててからもう一度お湯を張り直すという二度手間に。

と言うより、サウナのようにずっと水を張りっぱなしではない為、お湯を張っていない間にも内部汚れは溜まるのでした。

でも実はそのバスタブが抱えていた問題より有り得なかったのは、このバスタブを設置する職人さんの手伝いをしていた当時まだ新米だった、Kのスタッフがその時使っていたスパナをバスタブにガンと落としたところ、側面に凹みができ、バスタブの底が紙のように裂けて破れてしまった(←!)のです。

そんなわけでバスタブを設置した直後から、お湯を溜めてもその裂け目からまずお湯が少しずつ漏れてしまうという意味不明な状態で完成品とされていた初代。裂けめの端っことかもキレイに洗おうとすると裂けめが微妙に少しずつ広がっていくという、正に「すくいようのない状態」。
(風呂だけに「掬う」と「救う」を掛けてみました)

水道代が勿体ないのと、ジャグジー穴とその裂け目が不衛生なので比較的すぐに湯船に使う頻度が減って行きました。

そして結局立ちシャワー化した初代バスタブは裂け目がどんどん広がっていき、わずか1年半の命でした。

そして二代目バスタブ。

今度は、元の立ちシャワー室のタイル床もちゃんと全部剥がして何と石タイルを組んで積み木的にバスタブ作成。

・・・何か私の気分はもう「三匹の子豚」の世界。

そして完成図がこちら。

何か日本の温泉でもよくありそうなイイ感じの見た目💗

気に入ったのですが、この二代目には二つ問題がありました。
(バスタブが代替わりする度、問題が増えているような・・?)

①温泉のようにお湯が張りっぱなしではないので、石タイルが冷たいまま。私は大体お風呂の中に雑誌を持ち込んだりするのが好きですが、お湯を張っても石タイルが温まる前に、お湯の熱を全部奪ってしまって、すぐに水風呂のようにぬるま湯になってしまうのです。

②そしてまた、このバスタブが積み木式なので、側面全てが90度直角のバスタブだったので、お湯を張るのにめちゃめちゃお湯が必要という事。

普通のバスタブは床に少しカーブがついていたり底に向かう程に内径が狭くなっていく事で少しの水で浴槽が一杯になりますが、これは底面と上面の面積が全く一緒なので、ものすごい量の水が必要でした。

①と②が相まって、②の理由からできるだけ半身浴なみのお湯で済ませたいところ、寒くて入っていられないという状況に。

加えて我が家のバストイレは窓をくり抜いて換気扇がつけてあるという不思議設計。振動とかどう考えて窓をくり抜く設計にしたのか、壁のコンクリをぶち抜くという面倒を避けたとしか思えません。

つまり、日本のお風呂と違って密室にならないのです。

電気をつけると換気扇の外側の蓋が開いて回り出す設計なので、例え洗濯ばさみで換気扇だけ止めても外の蓋の隙間から風が入るので温かい空気がこの空間に留まってくれないのです。

(注:香港全てがこういう状況というわけではありません。)

二代目は見た目が良かったので、バスタブとしては使えませんでしたが私はもう諦めました。

ところが、Kは私の為に良かれと思って、せっかくの二代目を崩して、シンプルなバスタブを入れてくれました。

これが三代目です。

今度こそ!これで三度目の正直!ただのシンプルなバスタブ!


・・・と思いきや、工事する時、バスタブとセットでついてきた排水管をタイルとバスタブの間にセットする為、高々とコンクリを盛り出したではありませんか。

え?いやいやいや。何故。

何故初代でも二代目でも見せなかった工程を三代目に限って入れる?!

今までみたいにタイルの上に直接バスタブ座らせたらいいんやで?と横で言う私の声に聞く耳は持たず、写真のバスタブ下部の黒い部分15cm上げ底の状態でバスタブが入りました。その高さ65cm。

や・・高すぎて入りにくいんですけど・・・。

日本は逆に地面を掘ってバスタブの高さを低くして軽く跨いで入れる高さにするのが通常なんだけど・・。

掘れないのはわかるけど、高くしないで欲しかった・・・。Kは自分でも入りにくいと思ったのか、後日側面と奥側の壁二か所に手すりをつけてくれました。

しかし、今回のバスタブは少量のお湯で溜まるように、内径が狭くなる、ゆるやかなボート型をしていて中心に向かって少し斜めに深くなる設計なのです。浴槽から立ち上がって身体を洗う時、何気に足元が安定しないのです。

今はまだ意識も身体もしっかりしているけど、もっと年を取ってきて、バランスを崩して外側にフラつきでもしたら、この高過ぎるバスタブはヤバいんじゃないかと今から心配になってきました。

・・・たかがバスタブ、されどバスタブ。

日本にいた時には、どんなバスタブにも不自由を感じた事はなかったけれど、これほどまでに色々な注意点があるとは!

もし今度この三代目が故障したら、その時私はきっとこう言おう。

「バスタブは取っ払おう!」と。




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