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今週消費した10のこと 禁止された書物、そして制裁を受けたのは誰だ

・禁止された書物

全米最大の地域図書館、ニューヨークパブリック図書館が、アメリカ国内の学校や図書館で「禁書」とされていた4冊の本をネットを通じて誰でも読むことができる「Books for All」という新しいキャンペーンを始めた、という最高なニュースを目にしました。

「禁書」とされた4作品には、日本にもファンの多いJ.Dサリンジャーの名作「ライ麦畑でつかまえて」や、BLM抗議活動をきっかけに世界中から注目された「Stamped」など、歴史や人種、性的マイノリティをテーマにした本が含まれています。

トニー・マークス館長はmnsのインタビューに「図書館は『この本を読むべきだ』というビジネスをすべきではない」と答えていて「今、まさにウクライナの人々が自由に選択できる権利を奪われようとしている。同じことをアメリカで起こしてはいけないんだ」と話していたのが印象的でした。

「自分とは意見の違う人が存在する」と知ることこそが
宗教や民族的価値観を超え、簡単そうに見えて最もチャレンジする価値のある「平和」を実現する1歩目になる。そのきっかけを作るのは、1冊の本なのかもしれないなぁ、と思えた素敵なインタビューでした。

・是枝監督の祝辞

https://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2022/04/2204_speech_koreeda.pdf

是枝監督の早稲田大学入学式でのスピーチが、ユーモアに溢れていて分かりやすく、とにかく素晴らしかった!

「出る杭は叩く」という悪しき文化が色濃く残る日本社会ですが、敢えて「出る杭」になろうとする人の背中を支える優しさのある言葉が溢れていてました。
私が学生だった頃の「夢を持て」「人生の意味を見いだせ」といった、とにかくアンタはこう生きるべし!と圧力を感じるほどの鼓舞されたスピーチとは全く違ったことがなんとも喜ばしかったです。

決して、今この社会に順応するだけの、器用さを手に入れるだけのために人と会ったり本を読んだり、この大学に通わないでほしい。あなたのエネルギーだけが、この世界を変えることができるのだから。
私たち大人の敵になることこそが、世界を半歩先へ更新していく原動力になるはずです。良い敵になって下さい。

・同志少女よ、敵を撃て

第二次世界大戦時の激戦の1つである独ソ戦。その決定的な転換点となったスターリングラードの最前線へ向かった実在したソ連の女性狙撃兵の物語で、今年の本屋大賞を受賞した何ともタイムリーな1冊を読みました。

ピュアでイノセントな少女が狙撃兵になることを想像させる表紙の絵や、「同志少女よ、敵を撃て」というタイトルがどうしても好きになれなくて、読了した後もやはりこの2点は好きになれなかったのですが、それでも今年読んだ本の中では断トツ1番に面白かったです。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、フィクション・ノンフィクション問わず本屋にはウクライナやロシアに関する本が山積みになっているのをよく目にするのですが、本書がそれらと決定的に異なるのは「面白い」ことだと思います。

戦争の話が「面白い」などと書くこと自体不謹慎なのかもしれませんが、最後の1ページまで面白いので、一気に読み進める中で「戦争の無意味さ」「悲惨さ」「理不尽さ」を痛感させられました。

スターリングラードの激戦に巻き込まれたドイツ、ソ連、ウクライナの人々の心境がそれぞれの視点で実話を交えて語られている本書。表紙に描かれた「ピュアでイノセントな少女」だけでなく、大人も子供も、善人も悪人も関係なく全ての人が望まない戦争に巻き込まれ「敵を撃て」を合言葉に武器を手にしていたこと、敵の敵は味方であったこと、女の敵は男だったこと、じゃあ本当の「敵」って誰だったの?という問いがあり、その答えを知っている人が戦争体験者だと思うと、胸が詰まりました。

以前、スティーブ・キングの「小説作法」という本で「文章とは何か?」という問いに「もちろんテレパシーである」と答えているのを読んだことがあるのですが、本書には、著書が丁寧に調べ上げた第二次世界大戦の悲惨すぎる映像と全く同じ映像を、文章の力で読者の頭に思い浮かばせるテレパシーが溢れていました。

銃を持ったこともない私ですが、本書を通して私は銃を手にし、確かに引き金に手をかけ、何の恨みもないはずの人を殺しまくる「死」の最前線に確かに居ました。目の前に死が横たわっている世界で正気を保てる人などいないのではないだろうか?と何度も考えさせられました。

第二次世界大戦の歴史において、よく使われる言葉「最初はだれもあんな大戦争になると思わなかった」を本当によく象徴しているような本書。
著書はあえて「面白く」書くことで、普段当たり前に「生」を感じ、戦争と自分は無関係と無意識に考えて「死」をふと忘れてしまいがちな私に、殺し合わなくてよい人が殺し合いをする「戦争」の無意味を痛感させ、「死を忘れるな」と教えてくれたような気がしました。

・制裁を受けたのは誰だ

IMFによると、ロシアによるウクライナ侵攻により燃料や食品の価格が急激に高騰し、最も打撃を受けているのはロシアではなく低所得な国だそう。

そして先進国の2022年予測インフレ率が5.7%なのに対して、南アフリカなどのエマージング・マーケットは8.7%

例えば2022年に100万円をタンス貯金すると、2032年には実際の価値は先進国で55万円、エマージング・マーケットでは40万円相当になります。(為替無視)
毎年たった3%という差が10年積もるとこうなるのだから、節約や預金だけでは多くの人が価格上昇についていけず生活が苦しくなってくるのは目に見えていてます。

「世界ぜんたいが幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」これは宮沢賢治の「農民芸術概論網要」に書かれた一節なのですが、世界中が深い悲しみに包まれる今、私たちは世界ぜんたいの幸福を考え続けることで、よくやく「平和」を実現できる、と信じたい。

・春、来たる

2年前の春に種を植えた三つ葉。
冬の間にすっかり消え失せていたので、その存在すら忘れていたのですが、気温が上がってくると必ず土からひょっこり芽を出し「春、来ましたよー」と教えてくれている気がします。

冬の寒さに耐えられず枯れた株も多かった絹さやも、日に日に成長し初収穫。

現実は残酷だし、血生臭いニュースばかりを目にする毎日ですが、菜園でちゃんと季節が巡っていることを確認する度に、なぜだか安心する今日この頃。

・焼売で旬の美味しさ閉じ込める

新玉ねぎを大量にいただき、足がはやい食材なだけに毎日食べていたのですが、流石に飽きて新しいレシピを探していて見つけた「新玉ねぎと豚ひき肉の俵焼売」

同量の玉ねぎとひき肉を練って餡にしているので、口の中でジュワ〜っと新玉ねぎならではの甘みが広がり「本当はコレ小籠包だよね?」といいたくなるほどの肉汁ワンダーが最高でした。

・ブリでつくるからブリカケ

焼売弁当のご飯の上に乗せたブリカケ
近所のスーパーでは特売品として3切れ1パックで鰤が売られることが多いのですが、うちは2人家族なので1切れ余る。
その1切れが冷凍庫によく貯まってしまうのですが、それらを使い切れるだけなく、無添加で美味しいフリカケを自分で作れること感激しました。

ところで、無添加表記が禁止されてから早くも1ヶ月が過ぎようとしていますが、小さな文字で表記された添加物をスーパーの片隅で一つ一つ確認する作業に、無駄な時間が掛かるなぁ、と感じる毎日を過ごしています。

・どっさり春大根

特別なことをしなくても上手くつくれた春大根。豊作。

・味見こそが味な春巻き

収穫した春大根で作った大根春巻き

チオベンこと山本千織さんが「春巻きは蒸し料理です」と話しているのを聞いてから、生の食材を「蒸す」ような春巻きが好きになったのですが、この春巻きはまさにそれ!な一品でした。

揚げたてアツアツをひと口、パクチーを乗せてもうひと口、追いパクチーをして更にひと口、と出来たての温度を逃すまい!と夢中で食べるほど美味かったのは”味見”というレベルではないほど食べてしまった、若干の後ろめたさがあったからかも。

・渋滞する宇宙

イーロン・マスクのスターリンクに追いつけ追い越せと、Amazon が立ち上げたプロジェクトKuiper(ケイパー)

Amazon もスターリンク同様、宇宙から直接顧客にインターネットサービスを提供すべく、大量のサテライトを打ち上げる予定のようなのですが、地球の周りには既に無数のスターリンクサテライトが存在するため、それらとAmazonのサテライトが接触しお互いに壊れないようにするにはまだ時間が掛かりそうだ、という内容でした。

イーロン・マスクがスターリンクをウクライナに提供したこと自体は素晴らしいと思うのですが、結果的にスターリンクのアンテナがロシア軍の的になる、という事態が発生してしまいました。
スターリンクのアンテナがイーロン・マスクらしからぬデザインなのも、なんだか少し残念な気が…。

とはいえ、宇宙開発を可能にするのは資金だけでなく、「絶対やってやる!」という大勢の人を巻き込む情熱が必要だと思うので、イーロン・マスクのスターリンクに直接コネクトできるiPhone が完成したら、きっと明るい未来がそこにある、と信じたい。

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