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タクフォレストリー
2024年4月28日 14:43
ⅰ.プロローグ徳島県の山奥に大歩危(おおぼけ)、小歩危(こぼけ)という渓谷があり、その渓谷からさらに山深い村に住んでいた頃の話を書こうと思う。ラフティングのツアーガイドという仕事をするため、この山奥に住み始めたのだが、週末の2日間しかお客さんが来ない日々が続いていた。それでも最初の頃は、先輩とラフティングのトレーニングとしてボートで川を下ったり、カヤックの練習をして、スキルアップに
2024年4月27日 20:25
1.万引きなんてしねーよ時代が、昭和から平成に入って、間もない頃、徳島県の田舎町に、ある中学校のありふれた日常を、綴った物語である。この中学は、3つの小学校を卒業した生徒に分かれていた。僕らはその中でも過半数を占める最大派の小学校グループだったが、少数派の生徒から受けた影響は計り知れない。それは中学生になるまでは、授業中に寝るとか、先生の話を聞かずにマンガを読むなど、あり得ないと思っ
2024年4月23日 18:50
人生の大きな転機となった中学の部活について書こうと思う。中学校に入学してサッカー部にするか、はたまた陸上部に入るかで長らく悩んでいた。少年サッカーの友達は、ほぼ全員がサッカー部へ入部し、自分だけが、まだどこに入るか決めきれずにいた。1993年。Jリーグ元年であるこの春は、ボールを蹴ったことがない者までが、サッカー部へ入るという人気ぶりであった。さらにサッカー部には、良く知っている仲
2024年4月23日 00:34
今から30年程前のである。平成の太上天皇が徳島県南部に位置する日和佐町へ行幸に来られた。当時の日和佐町では町をあげてのお祭り騒ぎの状況であった。(現在徳島県日和佐町は合併して美波町)「こんな漁師町の片田舎に天皇陛下が来てくださる」と誰もが胸を躍らせ、一生の思い出にひと目お会いしたいと大浜海岸へ集まった。この海岸にはウミガメが産卵にやって来ることが有名で「ウミガメの町」をアピールして
2024年4月9日 13:45
1.プロローグかつて田舎の工業高校卒業生は「金の卵」と呼ばれていた。しかし、僕らはバブル崩壊後の入学で、これから深刻な就職氷河期が始まろうとしていた。進学する生徒が就職する者を上回ったのも自分達の代からである。しかし、自分は就職組に入っていた。高校2年になると、大体めぼしい会社が決まっており、授業はろくに受けなくてよかった。ただ部活だけは真剣に取り組んだ。陸上競技の名門校でその全員
2024年4月3日 17:39
1.プロローグ「明日から廃部になります」と突然上司に告げられた。川崎市の某社会人陸上部に所属していた僕は唖然となった。しかし、会社は早期退職制度なるものを用意し、まだ3年目の僕に、退職金200万円を提示してきた。さらに辞めてから1年間は、会社の寮に残ってもいいという。まだ20歳だった僕は、迷わずその条件に飛びついた。世間知らずの田舎者で、当時は、あまりお金を使うことがなく、