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医療格差〜診療科偏在と社会的ニーズの乖離を考える〜


本日の言葉。

「命よりも高価なものは存在しません」
(ホセ・ムヒカ)


診療科別医師数


2020年の統計では我が国の医療施設従事医師数は323,700 人ですが診療科別では内科が最も多くなっています。

医師の総数は増加して、多くの科の医師数が増加し ている一方で、外科と小児科、産婦人科、内科が減少しています。

とりわけ下落が著しいのは外科と小児科で、 1994年から2020年においては 小児科は1割台後半、外科は3割近くも減少しています。

外科医の減少は著しい状態です。

診療科別の平均年齢は、外科医 67.2歳   脳外科医 61.8歳 と他の診療科より高齢化が進んでいます。


外科希望者の減少理由として、
外科医は専門医資格を取得するのに時間がかかり生涯労働期間が短い事、
勤務時間が長い事(ワークライフバランスが十分に考慮されていない事)、給与が勤務量に見合っていない事、
医療訴訟のリスクが高い事、
女性医師への配慮が乏しい事等が挙げられてます。

美容外科、皮膚科に従事する医師は増えています。

2008年と比べて、診療所において主に「美容外科」に従事する医師は3倍以上に増加、「形成外科」に従事する 医師は約2倍に増加しています。

診療所において主に「皮膚科」「美容外科」「形成外科」に従事する医師は、医師全体に比べて、30代以下の医師が占める割合が多いです。

特に「美容外科」については、近年、20代及び30代の医師数の占める割合が増加しています。

施術数は急増し、施術の8割程度は、非外科的手技(「注入剤」(ボツリヌス菌毒素、ヒアルロン酸等)、「顔面若返り」(ケミカルピール、光若返り等)、「その他」(脱毛、硬化療法等)です。

美容医療を提供する医師・医療機関も増加している一方で、美容医療の利用件数の増加に伴い、利用者による相談件数や、危害事例も2023年は
796件と5年前と比べ、約2倍増加しています。

危害とは、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという相談です。 (皮膚障害、熱傷、消化器障害、感覚機能の低下、神経・脊髄の損傷、凍傷、刺傷・切傷、呼吸器障害、擦過傷・挫傷・打撲傷、筋・腱の損傷等)


社会的ニーズ


主要死因別の割合(令和4年)を見ると、第1位が悪性新生物<腫瘍>、第2位が心疾患、第4位が脳血管疾患であり、三大生活習慣病が全体の46.4%を占めます。

そこで、疾患別に分析しました。

1  がん(悪性新生物)


厚生労働省が2023年9月に公表した「2022年の人口動態統計(確定数)」によると、がん(悪性新生物〈腫瘍〉)による死亡は、38万5,797人(男性が22万3,291人、女性が16万2,506人)で、死亡数の24.6%を占めました。

部位別でみると、男性は肺がん、大腸がん、胃がん、すい臓がん、肝臓がんの順に多く、女性は大腸がん、肺がん、膵臓がん、乳がん、胃がんの順となっています。

がん罹患数は男女ともに膵臓がんが増加している一方で、男女ともに肝臓がんが減少傾向にあります。また、女性では乳がんが増加傾向にあります。

例えば、乳がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。

乳がんは、手術によってがんを取りきることが基本となります。

ガンの場合、早期発見後、手術で病巣切除により症状進行を止めることが多いです。

つまり、外科医が必要になります。

外科医が確保できなければ、手術待ちもしくは外科医が多くいる都会の病院まて移動しなければ、ガンの進行を食い止めることができなくなります。


2  心疾患、脳血管疾患


平成20年中の急病の救急自動車による搬送人員283万4,839人の内訳をWHOの国際疾病分類(ICD)の項目別にみると、脳疾患(10.7%)、消化器系(10.4%)、心疾患等(9.3%)、呼吸器系(9.0%)となっています。

脳血管疾患、心疾患においては、救急医や外科医が必要です。


理由としては、どちらも生命にかかわるから。

特に、脳血管疾患は、治療が遅れれば、重度の後遺症が残る可能性が高くなります。

重度になればなるほど、手足の麻痺、高次脳機能障害、さらに食べるのも厳しくなるケースが多いてす。

後遺症がある程度軽快し在宅療養になっても、通常の生活は難しくなり、家族の大半が介護せざるを得ない現状、介護が厳しければ施設入所になります。

特に介護する家族は大変です。

介護疲れにより、家族が心身疲労で病気になったり、ネグレクトや虐待するケースが少なくないので脳血管疾患による転帰は悲惨です。


診療科偏在と社会的ニーズの乖離を解消する対策


これは、私個人の提案ですけど、

大学医学部定員の中に、
「男性・外科医、救急医、麻酔科医枠」を設けるのもありかと考えます。

その枠の学生に対して、卒後大学病院で勤務することを条件に学費を全額免除すれば、本気でやる気のある人間が来るかなと思います。
(ただし、希望診療科や勤務先変更の場合は学費は全額返還にする)

私が、「男性」に限定した理由は、女性の場合、出産や育児などで、医療現場から離れるケースがあり人員確保が厳しくなること、外科や救急のような不規則かつ長時間の勤務が難しいからです。

なので、あらかじめ、「男性」に限定したほうが人員確保が確実だと考えました。

現在、医学部を持つ大学は82校あります。

仮に10人、「男性・外科医、救急医、麻酔科医」枠を設ければ、820人/年 ずつ確保できます。

生命はかけがえのないもの。

診療科偏在で、
助けられるはずの生命が助からない、
本人だけでなく、家族までもが不幸のスパイラルに陥ることは、やってはいけないことです。

他人事は自分事。

老若男女、貧乏人も金持ちも、誰もが
一寸先は闇なのです。

医師は社会的インフラです。
社会的ニーズに対応した診療科別医師配分が必要だと私は考えます。


参考資料 厚生労働省ホームぺージ


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