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往復書簡

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画家 小河泰帆とタシロサトミの往復書簡。制作について、日々思うことについてやりとりしていきます。
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#絵画制作

作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

作品のお値段と、植物観察など 往復書簡#38

画家・小河泰帆さんとの往復書簡38回目ですよ。
前回は経済だったりNFTだったり、でした。

NFTアート以外にも今はいろんな発表形態や、作家支援の形がありますね。選択肢が多いのは幸せなことのような、煩わしいことのような。新しい技術を使ったサービスは、法整備が追いついているのかの問題も気になりますので、利用するのはおっかなびっくりです。

お金の仕組みについての勉強は、やらないとまずいなと私も思い

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仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

仮縁問題と、ヒルマ・アフ・クリント 往復書簡#36

画家・小河泰帆さんとの往復書簡36回目です。
前回はこちら、作品のサイズについてでした。

基本が100号サイズだったとは、すごい。でも言われてみれば、小河さんの根っこである身体表現を生かすのは確かに大画面ですよね。納得です。小品を愛でるように描くというのも、とても素敵ですね。

作品サイズによって作品に対する姿勢や考え方が違うの、よく分かります。
私の場合はいつも表現したいものありきの制作なので

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noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

noteの効果、嘘、難波田史男 往復書簡#34

画家・小河泰帆さんとの往復書簡34回目です。
前回はnoteの効果について、小河さんの場合でした。

作品管理表やスケジュールメモが参考になったとのことで、お役にたてて何よりです。確かにここまで細かい話は、作家同士でも普段あんまりしないかも知れないですね。
絵を描いていて完成間近になると、他人にとっては何が違うんだかよく分からないようなレベルの微々調整を繰り返しますが、この作業は自分の感情のわずか

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ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

ひとり年末反省会と、違うということ 往復書簡#32

画家・小河泰帆さんとの往復書簡32回目です。
前回は自分の機嫌の取り方のお話で、なるほど~と思いながら読みました。

お料理、いいですね。煮豚とても美味しそうです。私も長時間ほったらかしの煮込み料理をよく作るのですが、アトリエと台所が一体化しているので、鍋をごく弱火にかけた横で制作してますよ。料理は美味しくできると嬉しいから、気分が上がっていいですよね。
炒めものとか、タイミングが重要な料理はたま

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自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

自分の機嫌のとりかた 往復書簡#30

画家・小河泰帆さんとの往復書簡30回目です。
前回は在廊中のお話でした。

小河さんの学生時代のデッサン、空間きれいですね。私が在学時、武蔵美の授業で石膏は描かなかったです。
私も写真フォルダ漁ってみたら、通信課題や対面授業、デッサン会などで描いたものがでてきました。まあ普通のデッサンとクロッキーなんですけど、この写真が何かの助けになる状況もあるのならば、一応携帯に保存しとこうと思いましたよ。

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作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

作品タイトルの件、タシロの場合 往復書簡#28

画家・小河泰帆さんとの往復書簡28回目ですよ。
前回はこちら、作品タイトルのつけ方のお話でした。

タイトルは完成作品からイメージした言葉をつけているとのこと、後付けが多いのですね。最初にあった元になったもの(例えばりんご)から離れていくことを恐れない感じ、「そのほうが何倍もイメージが膨らんで面白い」って書かれてましたけど、「膨らむ」って動詞は内側からものが湧き上がってくる様子の描写で小河さんの作

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絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

絵に求めるもの、活字の限界 往復書簡#26

画家・小河泰帆さんとの往復書簡26回目です。
前回はこちらです。

教育実習での「一般教養としての美術」、なかなか難しいですね。作家にとっての美術はそういうものではないから、けっこう頑張って想像力を働かせないと掴みづらい感じがあります。

ひところビジネス書の出版社が美術関連書籍をつづけて発行していたので、何冊か読んでみたことがありますよ。ビジネス書がターゲットにしているような層は、どんな鑑賞体験

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悲喜劇と白黒映画、見せない面 往復書簡#22

悲喜劇と白黒映画、見せない面 往復書簡#22

画家・小河泰帆さんとの往復書簡22回目です。
前回は好きな映画のお話で、デビット・リンチへの愛が溢れる記事をありがとうございました。

私、デビット・リンチが絵を描いてるのを知ったの、つい10年位前なんですよ。渋谷ヒカリエがオープンしたての頃、8/でリトグラフを見ました。それまで彼のことを映画監督だと思っていたので、作品がとてもよくて驚いたのですが、同時に納得したのを覚えています。
デビット・リン

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SNSのマイナス面、著作権とか 往復書簡#18

SNSのマイナス面、著作権とか 往復書簡#18

画家 小河泰帆さんとの往復書簡18回目ですよ。
前回に引き続き、作家活動とSNSについてのお話です。

SNSはいろいろな使い方ができるので、悩ましいですよね。
私自身、確固たるポリシーがあるわけでもなく何となく日々使っているので、小河さんの文章を読んでだいぶ整理できた感じがしました。

マイナス面として挙げられていた著作権トラブルは、巻き込まれると本当に面倒だし深刻なので、できることなら一生煩わ

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事務仕事のスイッチ 往復書簡#16

事務仕事のスイッチ 往復書簡#16

画家・小河泰帆さんとの往復書簡16回目です。
前回は絵を描くことの快感についてでした。

特に快感なのは描き出しとのこと、よくわかります。むちゃくちゃ気持ちいいですね。

あの気持ちよさの一番古い記憶はどれだろうと記憶をたどると、小学校にあがる前くらいの頃カレンダーの裏にしたお絵かきで、月の終わりに母親が壁掛けカレンダーを一枚破いて渡してくれて、お絵かき帳よりも大きなサイズの紙なので嬉しかったのを

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絵を描くことの快感 往復書簡#15

絵を描くことの快感 往復書簡#15

画家・タシロサトミさんとの往復書簡15回目です。
往復書簡として書いているとお手紙の返事を書くように、次を書かなくてはと思うのでいいですね。自分1人だと文章は絶対に書きつつづけられないな。文章化できるようになるのが今年の課題なので勉強になっています。

前回のタシロさんの変形パネルについてお伺いして、パネルの輪郭さえも描画するような意識や、物質感が大切と言うことなど、なるほどな〜と思いました。

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不定形パネルと触覚について 往復書簡#14

不定形パネルと触覚について 往復書簡#14

画家・小河泰帆さんとの往復書簡14回目ですよ。
前回は完成を決めるタイミングについてのお話でした。

完成を決める難しさ、本当にそうだよなと思いました。

自宅の壁に飾っての検証は、時間が許すかぎり私もよくやります。
この作業、私は作品を忘れないとできないので、数日のあいだ絵を隠しておきます。
描いたばかりの作品は、自分と一体化してしまっている感覚があります。たっぷり絵具を含んだ筆を滑らせた時の快

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色彩について 往復書簡 #11

色彩について 往復書簡 #11

画家 タシロサトミさんとの往復書簡11回目です。
タシロさんの画集ベスト3良かったです。
デ・クーニングもシーレも大好きです。特にシーレは予備校から大学時代お気に入りで展覧会も行きましたし、画集も持っています。人体のとらえ方がいいですよね。
狩野山楽・山節は形のデフォルメが独特でいいですよね。日本美術もっと見て勉強したいです。

さて、田代さんからのお題

ということで、色彩について。
色は大好き

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