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PdMは組織も作る_#4_プロダクトもメンバーも我が子のように愛す

今回参考にしているEMPOWEREDはコーチングに最もページ数を割いています。前464ページのうち、180ページ近くです。

前々回は、コーチングの全体を説明するコーチングプランを「プロダクト・プロセス・対人スキル」を理解
前回は、コーチングの具体的な手法として1on1とナラティブを理解
しました

今回からは、コーチングにおけるリーダー・マネージャーがコーチングマインドを持って具体的にどう接するかについて理解していきます。(マインドの延長のような感じ)
文字数:約5,500

参考図書

Chapter06:本書のガイド

・Part II:有能なプロダクトリーダーにとって最も重要な職責である「コーチング」と「人材開発」に焦点を当てる(★今回もここ)
・Part III:プロダクトチームの採用について焦点を当てる
・Part IV:これから作ろうとする未来を定義し、プロダクトビジョンと原則について理解する
・Part V:会社のニーズに合うチームトポロジーに編成する方法
・Part VI:プロダクト戦略について理解する
・Part VII:各プロダクトチームの目標(解決すべき問題)を決めて、プロダクト戦略を行動に変える方法について理解する
・Part VIII:ケーススタディの紹介
・Part IX:プロダクト組織が他の部門と築くべきコラボレーションについて理解する
・Part X:すべてをつなぎ合わせ、一流のチームや企業のように仕事をする会社へと変革するプラン

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P49~50

PartII:コーチング

PartII:Prologue

テクノロジー業界では、プロダクトマネージャー、プロダクトデザイナー、エンジニアの中心的スキルと能力に重点を置くが、マネージャーとリーダーのスキルの能力を軽視している
・会社の成功は「優れたプロダクト」にかかっている、「優れたプロダクト」は「優れたプロダクトチーム」から生まれる
優れたコーチングとは、「従業員が自らのポテンシャルを引き出せるように支援するという目的を持った継続的な会話」

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P54~55

Chapter16:チームのコラボレーション

・INSPIREDで有能なプロダクトチームについて以下の3つについて言及
①リスクに早く対応すること
②コラボレーティブに問題解決すること
③結果に対する説明責任
・コラボレーティブな問題解決において、従来型の「PdMが要求事項を定義し、デザイナーが要求に基づいた設計を考え、エンジニアが実装する」というウォーターフォールプロセスは通用しない
コラボレーティブとは、各メンバーの専門性を頼りにする
・PdM、デザイナー、エンジニア間で意見が対立する場合は、テストを実施して判断する
・コラボレーションは成果物の作成でない
・プロダクトチームは
 +価値が高く(対象顧客が実際に購入したり選定したりするほどの価値があり)、
 +ユーザビリティが高く(ユーザーがその価値を味わうことができ)
 +実現可能であり(その価値を届けることができ)
 +事業実現性がある(会社全体で効果的にそのソリューションをマーケ、営業、サポート)
「機能するソリューション」
を見つける
プロダクト担当者は顧客に愛されビジネスがうまく行く方法で問題を解決する
・コラボレーションを作るおすすめの方法は、プロトタイプを囲んで打ち合わせすること
プロトタイプと合わせてストーリーマップも作成し、それを基に打ち合わせる行動が重要
・もう一つの手法として、「見込み顧客と協力し開発中のプロダクトがニーズを満たすかどうか判断する」
PdMは見込み顧客から出てくる要望の背景を理解し、見込み顧客とコラボレーティブに取り組み、汎用性のあるソリューションがあるかどうかを判断する
・コラボレーションとは、PdM、デザイナーらエンジニアが、顧客・ステークホルダー・経営幹部と協力してあらゆる制約とリスクを踏まえたソリューションを考案すること

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P130~135

Chapter17:ステークホルダーとのコラボレーション

・有能なPdMは各ステークホルダーが事業の何らかの主要な側面に責任を負っていることと、機能するソリューションを考案するために寄与する重要なパートナーであることを理解する
建設的でコラボレーティブな関係は、PdMが自己学習し、単なるファシリテーターやPMの類でなく、ステークホルダーの効果的なパートナーとしての能力を身につけていることが前提

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P136~140

Chapter18:インポスター症候群

・インポスター(詐欺師)症候群は極めて健全でなくてはならない感情だと筆者は考えている
・自己学習せずに準備を怠った結果について、脳が警告していると考える
・プロダクト担当者もプロダクトリーダーでも準備不足の末路を警告してくれている脳の声に耳を傾け、誠実で専門的なフィードバックを当てにできる人を探し、成功につながる練習や準備を繰り返し見てもらうようにする

※インポスター症候群:自分の能力や実績を認められない状態を指す

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P141~143

Chapter19:顧客中心主義

・顧客中心主義を会社の中核的価値と考えるならば、プロダクト担当者の特性を育む方法を知る必要がある
顧客という言葉を具体的に定義し、その定義を守ることが第一
顧客中心主義の真のテストは、プロダクト担当者が難しい判断や特に苦しい判断をどのように扱うかという点で判別できる
・プロダクト担当者は作るべきプロダクトを顧客に聞くのが自分の仕事と思ってはいけない
有能なプロダクト担当者の仕事は顧客に代わってイノベーションを起こすことであり、顧客のアンケートやインタビューを鵜呑みにすることではない

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P144~147

Chapter20:誠実さ

エンパワーされたプロダクトチームは、経営幹部・ステークホルダー・顧客・チームメンバーとの信頼関係を前提に成り立つ
この信頼は「能力」と「性格」の両方に基づいており、誠実さは求められる性格の核心

<コーチングする時に重点を置く3つの本質的な行動>
①頼もしさ
・誠実さのコーチングは「プロダクト担当者たるもの、自分自身の言葉と取り組みを真剣に扱わなければならない」と強く印象づけるところから始まる
・誠実さを示し、保つための核心には「ハイイングリティー(誠実性の高い)コミットメント」の概念がある(PartVIIで後述)
エンパワーされたプロダクトチームは約束したタイミングで出荷するだけでなく、出荷したものは機能しなければならない
・ハイイングリティーコミットメントのマネジメントの上達はチームが頼れるという評判を構築する鍵となる

②会社の最善の利益
・大企業で政治色が強いところでは、社員が個人的利益を追求している
エンパワーされたPdMは、会社の全体目標を理解しているだけでなく、会社が成功するために権限の許す限り全力を尽くしていると認識されなければならない
・エンパワーされたプロダクトチームは、チームのやる気と献身性が大きいのも特徴

③説明責任
PdMにとって説明責任とは、ミスの責任を積極的に取ることを意味する

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P148~153

参考:INSPIREDの関連箇所(ハイインテグリティーコミットメント)


Chapter21:意思決定

・エンパワーされていない機能開発チームは意味のある決定のほとんどは経営幹部やステークホルダーによって上流で行われている
エンパワーされたプロダクトチームは意思決定がプロダクトチームまで下りてくる
優れた意思決定とは、チームメンバー・経営幹部・ステークホルダー・顧客が賛成できないにしても支持し理解できる意思決定のこと
・優れた意思決定は約束を確実に守るチームとして頼られ、最善の利益を目指して仕事をしていると信頼され、結果の説明責任をとる、といった誠実さが礎

<意思決定に関する5つのコーチング>
①意思決定の適正規模分析
・プロダクトチームはリスクのレベルとそれに関連する結果のレベルを考慮するように勧めている
・結果はミスしたときにどのくらい大きな問題になるのかを表したもの
・優れた意思決定は「着手計画」の作成から始まり、特にリスクが高く結果に影響を及ぼす状況において重要になってくる

②コラボレーションに基づく意思決定
意思決定に関してPdMはチームの専門性と経験に頼り、その意見に従うべき
・優れた意思決定とは全員に賛成してもらうコンセンサスモデルでもなく、多くの人を満足させる投票モデルでもなく、1人に委ねる優しい独裁者モデルでもない
実現技術はテックリード、UXはデザイナー、事業実現性はステークホルダーに頼る

③意見の不一致
・意見の不一致は正常で健全である
・ここではプロダクトチームがテストを実施するタイミングと方法を知ることが重要
テストを実施することでPdMはチームの意見を覆したり上級管理職に意思決定を委ねたりする状況はほとんどなくなる

④透明性
・簡単な意思決定であればメモレベルでも明確かつシンプルに説明し、重要な意思決定はナラティブがおすすめ
・ナラティブには想定される異論や懸念を上げて対応するFAQがあると良い

⑤賛成できなくても全力を尽くす
・PdMがリーダーに「テックリードに妥協した」「意思決定に賛成出来ず愚痴をこぼしたり」することはチームにとって非常に有害
PdMは自分の意見を隠す必要はないが、多くの選択肢と最終決定の理由を理解し、その決定を成功させるあらゆる手段を講ずることを行動で示さなければならない

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P154~160

Chapter22:効果的なミーティング

・コーチングの際にミーティングの実施方法とそもそも開催する必要があるかの見極めを説明することが重要
・ここで扱うミーティングはプロダクトチームの枠を超えたものを取り扱い、経営幹部やステークホルダーなどが参加する可能性がある

<プロダクト組織でミーティングを開く理由>
①コミュニケーション
・メールなどの非同期的手段では複雑過ぎる、全社会議やリーダーによるプロダクト戦略の説明などが該当する
②意思決定
・プロダクトチームの一存では決められない意思決定が必要な場合
・または影響が会社の他の部署に及ぶ、大きなリスクがある場合
→この場合はナラティブを各メンバーが読み上げてから議論するのが良い
③問題解決
・しかるべきメンバーが集まることで難しい問題でも解決につながる可能性がある

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P161~164

Chapter23:倫理

4つのリスク(価値、ユーザビリティ、実現可能性、事業実現性)に加えて5つ目のリスクとして「私たちはこのプロダクトを製造・構築すべきか?」という倫理的リスクを検討する
・プロダクト担当者にとって、倫理的な問題が起こりかけていることに気づいてもどうやって対処していいか分からないことが困難
・倫理的リスクをチームで議論し、コーチングすることが非常に重要

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P165~169

<所感>

PartIIのコーチングを3回に分けてまとめていきました。
結論は

部下の成長に本気であれ

ということかな?と思いました。
部下という表現はプロダクトチームにおいては語弊もありますが、日本企業に照らし合わせると「部下」が汎用性の高い表現かと思いました。

実はChapter24には幸せのコーチングについて言及していました。
今回それを含めなかったのは、Chapter23までのコーチングを理解すれば必然だと思ったからです。

話は少し逸れますが、前職は大手企業だったので社内政治を理解しないとなかなか大変でした。
でもほんとにごく僅かですが、どんな政治力にも屈せず部下を信じて、責任を与え任せてくれる人がいました。

ミスしても責任は一緒に取ってくれるという安心感がありました。
そしてその安心感が逆に「この人のために絶対成功したい!」になります。

コーチングとは少しズレた所感かもしれませんし、少し時代遅れな考え方のようにも感じますが、

漢気のあるカッコいい大人

がコーチングに向いてるな、と思いました。


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