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PdMは組織も作る_#5_コーチングは採用から始まっている

前回まで優秀なプロダクトチームを作るために最も重要なコーチングについて3回に分けて見てきました。

すこしだけ振り返ると

#2_コーチングマインドとコーチングプランを「プロダクト・プロセス・対人スキル」を理解
#3_コーチングの具体的な手法として特に「1on1」と「ナラティブ」を理解
#4_具体的なメンバーを含めた関係者との向き合い方

でした。
今回からはパートが変わり人事です。

文字数:約5,000

参考図書

Chapter06:本書のガイド

Part II:有能なプロダクトリーダーにとって最も重要な職責である「コーチング」と「人材開発」に焦点を当てる
・Part III:プロダクトチームの採用について焦点を当てる(★今回はここ)
・Part IV:これから作ろうとする未来を定義し、プロダクトビジョンと原則について理解する
・Part V:会社のニーズに合うチームトポロジーに編成する方法
・Part VI:プロダクト戦略について理解する
・Part VII:各プロダクトチームの目標(解決すべき問題)を決めて、プロダクト戦略を行動に変える方法について理解する
・Part VIII:ケーススタディの紹介
・Part IX:プロダクト組織が他の部門と築くべきコラボレーションについて理解する
・Part X:すべてをつなぎ合わせ、一流のチームや企業のように仕事をする会社へと変革するプラン

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P49~50

PartIII:人事(採用)

PartIII:Prologue

・ここでは、エンパワーされたプロダクトチーム、特にPdM、デザイナー、シニアエンジニア(テックリード)の人事について説明する
・人事が優れたプロダクト企業とその他大勢の企業との明確で重要な違い
<その他大勢の企業が抱える人事の問題点>
①超優秀人材だけの確保
・GoogleやAmazonのような企業に対抗するには抜きん出て有能な人材を採用しなければならないと考えがちだが、これは危険な思い違い
一流のプロダクト企業は人格が十分に優れた人を採用し、コーチングによって卓越したチームメンバーに育てている

②人事と採用の同一視
・人事は単なる採用よりも大きな課題
・採用のみに集中すると必要な組織を作れる可能性が低下する

③人事の責任が採用マネージャーにある
・人事は履歴書や職務経歴書を確認し、面接に参加するが採用の責任はない
人事部は補助的な事務や管理業務で支援し、採用担当マネージャーが採用の責任を負う

人事のスキルは会社のスキルの指標として重要かつ有効な指標の1つ

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P182~184

Chapter26:能力と人格

・候補者の学歴、カルチャーフィットと言う曖昧な概念化では「候補者が10倍の成果を上げる人材」かどうか、あるいは該当分野の深い知識を持っているかといったことよりも、次に挙げる資質に重点を置くべき
<検討すべき資質>
①能力
信頼は「能力」と「人格」という2つの要素の相関
能力とは「出来ること、スキル、実績」
人格とは「誠実さ、やる気、善意」
・採用する本人に経験がなければ、候補者を判断する能力が不十分であり、かつ採用した人をコーチング出来ない
・プロダクトチームのマネージャーは人事が重要な責務であり、該当する職種に求められる能力を確保するのは決定的に重要

②人格
カルチャーに注目することは、優れた組織を構築する取組みにとってとりわけ有害な概念の一つ
・多くの企業で「カルチャーフィット=自分たちと同じような外見と考え方を持った人」と言い換えてしまっている
もっとシンプルに「イヤな奴お断りルール」で採用候補者プールを絞り込む
・多くの企業で、カルチャーフィットはするが能力の足りない人を採用したり、抜きん出たスキルに目が眩んでイヤな奴を採用してしまっている
・似た人ばかり採用してしまうと、考え方が似通ってしまう
考え方が異なる人材こそチームの多様性を向上させる

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P185~189

Chapter27:スカウト

・有能なマネージャーは自ら必要な人材を見つけ、自ら出向いてスカウトする
書類選考でなくスカウトこそ多様性を向上させる近道
・スカウトする人材の見つけ方
A)業界の会議やパートナーや顧客訪問など何かしらの交流がある場所
B)会社のイメージアップに寄与する業界の講演者による自社オフィスでのセミナーなど
C)会社のブログを発信して素晴らしいプロダクト開発に尽力している事を示すなど

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P190~192

Chapter28:面接

・プロダクトチームにおける採用担当マネージャーは、管理部門や人事部の支援は多少は得るかも知れないが、このプロセスに対して当事者意識を持って積極的にマネジメントする
ゴールは性格の優れた人材を採用し、採用するすべての人(PdM、デザイナー、テックリード)がチームの平均レベルを押し上げるようにする
・エンジニアはチームに複数在籍しており、経験と能力レベルに幅がある
・一方的PdM、デザイナー、テックリードはチームに一人なので高い水準の能力を備えていることが重要
・問題点は面接チームの編成で、採用担当マネージャーは慎重に人選し編成しなければならない

<面接の3つのポイント>
①能力に基づく採用とポテンシャルに基づく採用には違いがある
・通常は必要な職務を遂行できる能力を示している人材を探す
・しかし場合によってはポテンシャルに基づいて採用する、資質はまだないが会社として賭けてみたいと思える人材(新卒採用が例)
採用した人材が妥当な期間内に必要な能力に達したなかった場合、採用担当マネージャーは失敗を是正する責任を負う

②現在いるメンバーと同じような人を求めていない
・異なる考え方を持った人がいてこそイノベーションは栄える

③適切なスキルを備えた適切な人材を採用すれば、分野に関する知識は後から身につけることが出来る
・採用候補ポジションの知識を重視するのは間違い

◼️筆者お気に入りの面接の質問
以下の4つの資質に高いと思うレベルを順に聞く
①実行力
・どのくらいうまく物事をやり遂げ、言われなくても正しいことを実行し、複数の目標を同時に追求できるか
②創造力
・一番多くのアイデア、または最も優れたアイデアを提案できたケースはどの程度頻繁にあるか
③戦略
・現在取り組んでいる内容を俯瞰的により広いマーケットやビジョンのコンテキストでとらえ、それを他の人たちに対して明確に提示することがどのくらいうまくできるか
④成長
・プロセスの賢い使い方やチームマネジメントなど通じて取り組みの成果を倍増させる能力にどのくらい優れているか

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P196〜200

Chapter29:採用

・採用マネージャーとして重要なこと
①素早く動く
・24〜48時間以内に内定通知が出せるように努める

②リファレンスチェック
・目的は性格に起因する有害な候補者を見分けること
※リファレンスチェックとは、前職の関係者に能力など問い合わせること

③個人として向き合う
・採用マネージャーは個人として内定者の人間的、職業的成長を約束し、内定者は個人として会社のビジョンと成功への貢献を約束する

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P201~203

Chapter30:リモートワーカー

・ここでは「プロダクトチームが分散している前提で継続的なイノベーションを起こす可能性を最大限に高めるために、ベストプラクティスをどのように活用するか」という問いに対応するための方法について説明する
・エンパワーされたチームには発見とデリバリーという2種類の主な活動がある
・リモートワーカーにとって難しいのは発見業務について検討するとき
成果物・信頼・時間の3つをうまく扱うのはどれも簡単ではない
・もしチームが分散し以前より成果が上がらないのであれば、3つが重点的なコーチングのテーマになる

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P207~212

Chapter31:オンボーディング

・入社してからが採用マネージャーの仕事の始まり
まず新人を評価し、コーチングプランを作成する
・必要な知識とスキルを培うための十分な時間とチャンスを与え、十分な能力があることを保証する
・オンボーディング期間は能力だけでなく関係の確立にも重きを置くべき
・PdMの場合は一連の顧客訪問とその後に学んだ内容の詳しい報告が含まれる
・重要なKPIについても学ぶ時間と含まれる

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P213~215

Chapter32:新人向けブートキャンプ

・新人向けオリエンテーションは新人が歓迎され、会社の一員になったと感じるようにするためには役立つが、プロダクト担当者が担う重要な業務の準備としては内容不足(例:難しい意思決定を下す、同僚たちから高いレベルの信頼を得るなど)
<ブートキャンプを成功させる要素>
①意思決定はどのように行うのか、過去にどのように行われていたのか
②会社にとって重要なことは何か、現在の目標は何か
③どのようにすれば信頼を得ることができるか
④今すぐにやるべき最も重要なこと

・ブートキャンプを卒業すると、「今日は何をしますか?」と聞いてくることはなくなり、次にやるべきことがすでに分かっている
プロダクト担当者をエンパワーする方法と同じで、「成功に必要な情報を提供したうえで正しい行動を取ってくれると信じること」

※本書にはよりは詳細なブートキャンプの手順が記載されている

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P220~223

Chapter33:パフォーマンスレビュー

・採用担当者は年間パフォーマンスレビューを中心的なフィードバックツールにしてはならないと理解する
・中心的なフィードバックツールは、毎日のやり取りと毎週の1on1であるべき

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P224~225

Chapter34:解雇

<採用ミスの是正が必要な2つの状況>
①求められるレベルに達しない場合
②有害な従業員を排除する場合
・採用ミスに対処するのは気持ちの良いものではないが、有能なプロダクト組織を作るなら重要なこと

EMPOWERED
普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ
ISBN 978-4-8207-2924-2 C2034
P226~228

<所感>

人事や組織論に関する本は何冊かありますが、いつも正解も秘訣もないなと思います。

別でチームトポロジーについて学びましたが、結局その時々で組織は変わり、求める人材も変わります。

EMPOWEREDの特徴は、

とにかく良い人採って、丁寧にコーチング

ということだと思いました。
とても分かり易いですし、柔軟な考え方で筋が通っていると思いました。

内容も普遍的な内容なので、今後は人事や採用で困ったことがあればこの本を見返さば十分と思いました。

評価の仕方は色々あると思うので、そこは継続的な学習はするようにします。

ちなみにこの章には、EMPOWEREDの神髄となるメッセージがありました。

「成功に必要な情報を提供したうえで正しい行動を取ってくれると信じること」

分かり易くて(個人的に)かなり気に入っています。





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