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連載小説《魔法少女えりっこ×りょっこ》第2話:半信半疑なハナシ(3)

 《前回のあらすじ》
 魔法少女に興味津々の茉弥とは対照的に、魔法少女の存在に疑いの目を向ける由希。
 高等魔術師の塔子と靖広を前にしてもまだ疑ってかかっていた。
 その時、外の異変に気づいた塔子。その場にいた恵璃子、稜子、由希、茉弥を連れて異変を感じた方へ向かうと──


 ノワールの邪気を感じた塔子が恵璃子たちを連れて向かった先は、恵璃子たちの学校だった。
 
「大変! みんなが……!」
 恵璃子は口元を押さえる。サッカー場やテニスコート、屋外で部活中だった生徒たちが、サーベルを持ったたくさんの黒い影──ノワールに襲われていた。響き渡る悲鳴。
「私は由希と茉弥についているわ。靖広、恵璃子と稜子のサポートをお願い!」
「はい、塔子さま! 恵璃子、稜子、変身を!」
「うんっ!」
「はい!」
 
 恵璃子は鍵を、稜子は南京錠を天に掲げた。
 恵璃子の鍵が稜子の南京錠にはまり、解錠され、赤い光に包まれるふたり。
 光が消えると、ふたりは魔法少女姿に変わっていた。
 
「えっ、嘘……!?」
「すごっ! ほんまに変身した……!」
 驚く由希と茉弥。
 
「ふたりとも、いけるね?」
 靖広は恵璃子と稜子に聞く。
「ええ!」
「やっつけちゃいますよ!」
 
 力強くそう言う恵璃子と稜子。そして3人は分かれてノワール駆除に向かった。
 
 *

 テニスコートでは、テニス部の部員たちがノワールから逃げまどっている。その中には、稜子が想いを寄せる健太郎の姿もあった。
「えいっ!」
 手にしたボウガンで、ノワールを駆除していく稜子。
「りょ、稜子!?」
 健太郎は驚きながら稜子の方を向く。
「大丈夫だよ! 私が全部蹴散らしてあげる!」
 稜子は笑顔で、ノワールに向けて引き金を引いた。

「はっ!」
 校舎裏の野球場で暴れているノワールの駆除に向かった靖広。手にした大剣でノワールを次々と駆除していく。
「早く安全な所へ避難するんだ!」
 逃げまどう生徒たちに大声でそう言いながら、靖広は攻撃の手を止めない。そして野球場にいたノワールはすべて駆除された。
「こっちはもうよさそうだ。恵璃子と稜子は大丈夫かな……」
 心配になった靖広は、恵璃子たちの方へ向かった。
 
 *

 サッカー場では、恵璃子が剣を振るっていた。逃げまどう生徒の中には、恵璃子をからかっていた勇司もいた。
「恵璃子!? お前……!」
「いいから逃げて!」
 勇司がノワールに襲われそうになったところを、恵璃子が剣に念を込め、炎を纏わせノワールに切りかかる。しかし、ノワールは一向に減らない。
 
 その時。 
 恵璃子の後ろで尻もちをついている勇司の背後で、1体のノワールがサーベルを振り上げた。
 
「勇司!」
 それにいち早く気づいたのは、由希だった。
 由希は塔子に向かって叫んだ。
 
「塔子さん、私を魔法少女にして! 早く!」
 
「……わかったわ。茉弥も、いいわね?」
「ウチはいつでも準備万端でっせ!」
「じゃあ、いくわよ……」
 塔子は由希と茉弥に向けて両手をかざした。
 
 *
 
「うわああぁぁ!」
 ノワールに襲われる勇司の悲鳴で、恵璃子が振り向く。
「勇司くん!」
 ノワールがサーベルを振り下ろす。
「ダメっ、間に合わない……!」
 恵璃子が勇司に駆け寄った、その時。
 
「勇司っ!」
 
 由希の叫び声と、ガキンと金属がぶつかる音がした。黒と水色を基調としたゴシック服に身を包んだ由希が、槍の柄を使ってノワールの攻撃を食い止めていたのだ。由希の胸元には、頭がスペード型の鍵が揺れている。
「やぁぁっ!」
 攻撃を防いだ由希が槍を振り下ろすと、氷の破片が飛びノワールに突き刺さった。
「まわりが見えてないようじゃ、まだまだね。恵璃子」
「由希、あなた……!」
 魔法少女となった由希を見て恵璃子は驚き、そして満面の笑みを浮かべたのだった。

「うう……ノワール多過ぎだよ……!」
 一方、稜子はたくさんのノワールに苦戦していた。
「稜子ちゃん!」
 そこへ助けに入ったのは、魔法少女になった茉弥。白とオレンジを基調としたゴシック服に身を包んでいる。その胸元にはスペードが描かれた南京錠。雷を纏わせた斧を振り下ろし、次々とノワールを駆除していく。
「茉弥さん!」
「どや? ウチの魔法少女姿、なかなかええやろ? さっさとコイツら追っ払うで!」
「は、はいっ!」
 稜子と茉弥は協力してノワールを駆除していった。



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