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日本酒を好きな理由。

どうしてこんなに日本酒が好きなんだろう?って、ここ数ヶ月は特に日本酒にハマッていることから時折考えてしまいます。

こういうのって「好きなものは理由なく好き」というシンプルな世界なのでそれで十分かも知れないんですが、ここまで惹かれるのには何か背景があるんだろうという感覚もあって。

今日は、そんな日本酒を愛する理由を思いつくままに書いてみます。

1.原風景との合致

ぼくは関西の、「ど」がつく田舎で生まれ育ちました。家を一歩出れば雄大な山々に囲まれた風景で、田んぼや畑、稲や果物や緑の匂い、近所のおばあちゃん・おじいちゃんの温かい視線に囲まれて育ちました。

夏には蒸し返すような緑の匂いの中、田んぼでタガメ取りをしたり、近くの神社でそこだけ冷んやりとした空気の中カブトムシを見つけに行ったり、秋には稲刈りをした後の田んぼをグラウンド代わりにして友達とかけっこしたり野球をしたり。

近所のおばあちゃんがくれる取れたての果物や、精米したてのお米がやたらと美味しかったのを覚えています。

日本酒を飲んでいて思い浮かぶのは、まさにそんな原風景。日本酒を口にして、「自然」を感じるとき、日本酒を形作る芯の部分がそのまま自分に繋がっているような、そんな感覚を覚えます。

「日本酒が好き」というのは、きっと「自分の根っこが好き」というのと同じ感覚なんですね。それに気付いたというか。

2.日本文化の体現

もう一つは、日本酒はそのままの姿で日本文化を現しているということ。

学生時代一年間大学を休んで、「途上国」と呼ばれる国で海外ボランティアをして以降、現在の仕事を含めてずっと海外と接点のある人生を送ってきました。

海外の方と接すると、「日本人なら日本のこと当然理解してるんでしょ?」という体裁で、色々と日本のことを聞かれるんですね。海外を経験すると日本のことがよく見えるどころか、日本のことを否応なく考えさせられるわけです。

日本、日本人の特性、日本の良いところ、変わらぬ本質、日本の文化って何なのか。ヨーロッパでいう宗教や東南アジアでの親族・近隣のコミュニティにあたるような、日本の根幹をなす価値観って何なのか。

日本酒に出会って分かったんです。その答えは日本酒だって。日本文化の根幹は日本酒だって

日本酒はお米と水と微生物という「自然」と、「自然へのリスペクト」をもつ「造り手の技」との結び目に存在するかけがえのない飲み物だと思っていて、

日本酒は、古来日本人の自然崇拝を形にした神社への神聖なお供え物である点を考えても、古来から連綿と続く日本人の心象風景をそのまま形にしたものだと思ってます。

自然に敬意を払いながら、とことん細部まで誠実に真摯に突き詰める。日本酒は、そんな日本人の特性をそのまま体現している。

日本人の根本は何か。その大きなぼくの疑問に答えてくれたのが日本酒なんですね。

3.人

最後にもう一つあるのは、「人」。

「日本酒の魅力は人と人を繋げることだ」という言い方をよく耳にするしその通りだと思うんですが、ぼくが日本酒を好きになりだしてから一貫して思うことは、

「日本酒を愛する人に悪い人はいない」という、疑いない事実です。

これは日本酒愛のある居酒屋の店主さん、酒屋さん、酒蔵でお会いする方々、日本酒愛好家みんなに共通する点だと思っていて。

日本酒好きな人って面白くて日本酒のことだけでずっと話ができたりするんですが、その話される様子が素朴で、純粋で、愛情があって、温度が乗っていて。もう、その様子を見てるのが大好きというか。

だから、一人でも多くの人が日本酒の魅力に気付いたら、少しでも多くの温かさが世界にもたらされるんじゃないかなって、半ば真剣に思ってます。

そのためにも、まずは足元のこんな素敵な日本文化をぼくら自身がきちんと再発見して、日常の中で楽しんでいくことが始まりかなって。

ちゃんとした美味しい日本酒が、ぼくらにとって普通の選択肢になる

そこが始まりだと思ってます。



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